目が覚めたらロリ女神になっていたけど負わされた責務が重すぎる

藤木

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女神☆降臨

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『ぬ。しばらくは大丈夫だと思ったのじゃが……』
「何がだ?」
『そのアイコンの場所を拡大してみよ』
「わかった」

 指示通りにマップを拡大していく……するとやがて何かが戦っているのが見えた。影がそのまま実体化したような巨躯の人型と、なにやら白い装束を纏った小柄な人影が戦っていた。魔法のある世界なのかその手から白い物や光を出しているように見える。
 だがそれらは影にはまるで効いていないように見える。影はコバエでも振り払うようにその魔法を手で跳ねのけると人影に接近し──

 そして大きく振るわれたその腕によって、小柄な人影は弾き飛ばされた。

『いかんな、あの人間ではあれは倒せぬ。このままではまずい、冬樹よ、あ奴を倒してくるのじゃ!』
「はあ!? どうやってだよ!?」
『マップを右クリックして出てくるメニューで"降臨"を選択すれば、その場にいく事ができるのじゃ!』
「いやそんなチュートリアル的な話じゃなくて! 俺別に戦う力なんてねーぞ!」
『神となったお主ならあの程度であれば消し飛べと強くイメージすれば消し飛ばせるわい! アレをそのままにすると不味いからはよいかぬか!』
「くそっ、分かったよ!」

 表示されている映像では、黒い影が吹っ飛ばした小柄な人影に歩みより腕を振り上げていた。

 くそ、見ず知らずの人間とはいえ助けられるのに目の前でぶっ殺されるのはさすがに後味が悪すぎる! 俺は最高神の指示に従い人影のすぐ側を右クリックして、"降臨"を選択した。

 ──その瞬間、目の前の光景が切り替わった。

 荒れ果てた荒野、地面に倒れ伏した白い人影。そして腕を振りあげる影の巨人──

「うわぁっ!?」

 突然目の前に広がった光景に、咄嗟に腕を前に突き出しながら俺が思ったのは「あっちいけ!」だった。

「!?」

 その瞬間、影の巨人の大きな体が何かを叩きつけられたように後方に吹っ飛ばされた。……え、これ俺がやったの? ただ相手は吹っ飛んだだけで、すぐに体を起こし再びこっちによってくる。

 ──そうか、今俺は相手を吹っ飛ばすイメージかしてなかったからダメージは入ってないのか。だったら言われた通り消しとばすイメージをすれば……と思ったところで奴と俺の間に倒れてる人がいる事に気づいた。このまま使ったらその人も巻き込んでしまうのでは? だったら……

 俺は奴を囲うようにドーム上の壁を強くイメージしてみる。すると奴の動きが壁にぶつかったように止まった。どうやら最高神のいう通りイメージするだけで力は使えるらしい。さすが神。クソ長い詠唱とかあったらどうしようかと思った。

 とりあえずこれで後はあの人影の前に移動してアイツを吹っ飛ばせばOKか。そうやって人影の方へ駆け寄っていくと、倒れている人影の姿が目に入った。

 倒れているのは少女だった。多分高校生くらいの、金髪碧眼の美しい少女だが、今は口から血を流しているし、起き上がろうとして顔を顰めているところからかなりのダメージを受けているように見える。

 俺はその姿を見てふと思い当たり、その少女のすぐ横に立つと手を向けて"治れ"と念じる。

 すると、少女の顔から苦痛の色が消えた。そのまま半身を起こし、自分の体を眺めてからこちらに驚愕の視線を向けてくる。

 裂傷とかじゃなかったから治ったのかどうかわからんけど、見た感じ大丈夫そうか? さっき最高神が向こうで回復が出来るっていってたから、それより強い力が使えるここでも出来ると思ったんだよな。ビンゴだ。これで後は影を消し飛ばすだけ。

 俺は少女に背中を向けると、影の方に手を向ける。イメージしたのは光だった。だって影だもんな。光で影を消し去るイメージ。どれくらい力込めればいいかわからないのでめいいっぱい込めてみる。

 次の瞬間、視界が一気に光に包まれ……俺の体は自分の部屋に戻っていた。

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