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イマジナリー
師走の高速バス
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帆乃のメールに詩音奏舎という身に覚えのない相手から脚本の事で連絡が入った。
電話がかかってくると相手の女性の声は、とても丁寧でキチンとしていている。
帆乃が不信に思っているのを察知して、大林沙織と名乗る女性は、帆乃がwho youのことを何も知らないと聞くと、優しく大体のことを教えてくれ、信用に値する人物と事務所だということを説明した。
いつ会ってもらえるかと尋ねられたので、12月になり、手伝いをしている祖父の小さな不動産屋は人の移動も少なく暇な時期に入っていた。
それで、いきなり明日、東京駅のホテルでということになった。
日にちを空けると迷いが出て怖くなるから。
何故か応募したコンテストとは別のルートで脚本の映画化の話が来るのを不思議に思う。
東京に事務所を構えて、who youという割と有名なアーティストが監督をしたいと言って来たのが、訳が分からない。
取り敢えず詐欺では無さそうなので、会っても良いかな?と思った。
母に告げると
「たまには都会で刺激を受けるのも楽しいわよ!
帆乃に少しは新しい出会いがあっても良いと思ってたの。
色んな経験をしてみないとね。
ちょうどパパの命日だし、きっと良いことになるわ!」
明るくて前向きな言葉に励まされた帆乃は
「そうかなぁ、、
そうだと良いな。
、、パパはどう言うかな?」
ポツンと呟くと
「帆乃は何をしても自由!
しなくても自由!」
と、母が代わりに元気に答えた。
13年前に亡くなった父だったが、未だにふたりの会話に出て来る。
父の言いそうなことを、母と帆乃はお喋りして楽しんでいた。
そんな母も2年前から親しい男性が出来て、楽しくお付き合いをしている。
帆乃が、興奮して今夜は眠れそうにないと言ったら
「高速バスが空いてたら、それで行ってみれば?
安いし、浮いたお金で何か楽しいこと出来るわよ!
もし一晩眠れなくても、若いから大丈夫でしょう?」
と、母らしいアドバイスをしてきた。
帆乃は早速スマホで予約を取り、夜の時間までwho youについて調べ始めた。
出て来る画像を見ると、とてもじゃないけど帆乃とは遠くかけ離れた世界で生きている人だった。
今時のキラキラしてる同じ年代の男性。
画像だけ見ると、この人と映画を撮るなんて全く想像もつかない。
話だって合うかどうか、、
自分は臆さずに立ち向かえるのだろうか?
電話をかけてきた大林さんは、who youは真面目でキチンとした人物だと言っていた。
少しトボけた所はあるけれど、、
テレビや流行りの音楽を殆ど観たり聴いたりしない帆乃は、who youのYouTubeで音楽を聴いても、それほど特別な興味は惹かれなかった。
こういうのが今は人気なんだ、、
でも、どこか懐かしくてじんわりと帆乃の心に訴えてかけて来る。
目を閉じてよく聞くと、曲が奏でる風景や声の響きに、だんだんと心地よさを感じた。
美しくて儚い夢の中の、何処か素敵な場所に連れて行ってくれる魔法みたい。
でも何故who youという人は、帆乃の脚本に興味を持ったのだろう?
帆乃の空想の世界を面白いと思ってくれたのかな?
それなら、話が出来る人かもしれない、、
そんなことを考えながら師走の冷え込む夜に、ドキドキしながら帆乃は東京行きのバスに乗り込んだ。
そこで何が待っているのかも知らないで。
電話がかかってくると相手の女性の声は、とても丁寧でキチンとしていている。
帆乃が不信に思っているのを察知して、大林沙織と名乗る女性は、帆乃がwho youのことを何も知らないと聞くと、優しく大体のことを教えてくれ、信用に値する人物と事務所だということを説明した。
いつ会ってもらえるかと尋ねられたので、12月になり、手伝いをしている祖父の小さな不動産屋は人の移動も少なく暇な時期に入っていた。
それで、いきなり明日、東京駅のホテルでということになった。
日にちを空けると迷いが出て怖くなるから。
何故か応募したコンテストとは別のルートで脚本の映画化の話が来るのを不思議に思う。
東京に事務所を構えて、who youという割と有名なアーティストが監督をしたいと言って来たのが、訳が分からない。
取り敢えず詐欺では無さそうなので、会っても良いかな?と思った。
母に告げると
「たまには都会で刺激を受けるのも楽しいわよ!
帆乃に少しは新しい出会いがあっても良いと思ってたの。
色んな経験をしてみないとね。
ちょうどパパの命日だし、きっと良いことになるわ!」
明るくて前向きな言葉に励まされた帆乃は
「そうかなぁ、、
そうだと良いな。
、、パパはどう言うかな?」
ポツンと呟くと
「帆乃は何をしても自由!
しなくても自由!」
と、母が代わりに元気に答えた。
13年前に亡くなった父だったが、未だにふたりの会話に出て来る。
父の言いそうなことを、母と帆乃はお喋りして楽しんでいた。
そんな母も2年前から親しい男性が出来て、楽しくお付き合いをしている。
帆乃が、興奮して今夜は眠れそうにないと言ったら
「高速バスが空いてたら、それで行ってみれば?
安いし、浮いたお金で何か楽しいこと出来るわよ!
もし一晩眠れなくても、若いから大丈夫でしょう?」
と、母らしいアドバイスをしてきた。
帆乃は早速スマホで予約を取り、夜の時間までwho youについて調べ始めた。
出て来る画像を見ると、とてもじゃないけど帆乃とは遠くかけ離れた世界で生きている人だった。
今時のキラキラしてる同じ年代の男性。
画像だけ見ると、この人と映画を撮るなんて全く想像もつかない。
話だって合うかどうか、、
自分は臆さずに立ち向かえるのだろうか?
電話をかけてきた大林さんは、who youは真面目でキチンとした人物だと言っていた。
少しトボけた所はあるけれど、、
テレビや流行りの音楽を殆ど観たり聴いたりしない帆乃は、who youのYouTubeで音楽を聴いても、それほど特別な興味は惹かれなかった。
こういうのが今は人気なんだ、、
でも、どこか懐かしくてじんわりと帆乃の心に訴えてかけて来る。
目を閉じてよく聞くと、曲が奏でる風景や声の響きに、だんだんと心地よさを感じた。
美しくて儚い夢の中の、何処か素敵な場所に連れて行ってくれる魔法みたい。
でも何故who youという人は、帆乃の脚本に興味を持ったのだろう?
帆乃の空想の世界を面白いと思ってくれたのかな?
それなら、話が出来る人かもしれない、、
そんなことを考えながら師走の冷え込む夜に、ドキドキしながら帆乃は東京行きのバスに乗り込んだ。
そこで何が待っているのかも知らないで。
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