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イマジナリー
運命の一目惚れ
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休日の昼下がり、遅いランチの後片付けを終え、ダラダラしながらソファで居眠りしかけていた宮沢直樹は、妻の千里が観ていたYouTubeから流れる音楽を聴いていた。
曲が終わり、次の曲が流れる。
初めて聞くメロディで、軽やかなピアノ伴奏に乗せて、低めのよく響く優しい歌声と、可愛く楽しいリズミカルな演奏が心地よく空間に溢れ出し、優しい気持ちを満たしていく。
トキメキと優しさが入り混じって、瑞々しく訴えかけて来るその楽曲に魅了され、思わず集中して聴き入った。
(誰だこれ? こんな奴いたか、、)
強い電気ショックが落ちた直輝は、たちまち胸がドキドキし始め、居ても立っても居られなくなった。
直ぐにソファから起き上がり、リラックスチェアに座って、膝の上で満足気に寝ている猫のプリンちゃんを撫でていた千里のスマホを覗いた。
「これ誰?
なんて曲?」
「直樹、音楽関係のくせに知らんの?
最近私、登録したんよ。
who youの『フラッフィー』って曲。
とっても優しい良い声で、歌い方に独特な癖があって上手いんよ!
ピアノメロディーがどことなく懐かしくて、素直に入ってきて、キュンでエモ?
私らの年代にも、すっと馴染むんよね。
映像見ると、若い男の子みたい。
顔見せないのが残念!」
直輝は、直ぐに自分のスマホでチャンネルを調べ始めた。
who you、、チャンネル名しか情報がない。
プロのミュージシャンではないようだ。
投稿されている楽曲を、直輝は片っ端から聴いて行った、
日本語の歌詞で上手く歌っているから、おそらく日本人だろうけど、背景の映像は海外、おそらくアメリカかオーストラリアの何処かだろう。
海辺や自然公園みたいな風景に、細身の男性がシルエットだけで、感情豊かにダンスし、歌い、バイオリンを弾いたりしている。
形の美しい横顔と首のラインに、どんな顔をしているのか知りたい、と期待を抱かせる。
しなやかな身体からは音が鳴るように活き活きと動き、長い指先の動きまでがとても美しい。
全て同じ人物がプレイしてるようだ。
who youの創る楽曲は相当な音楽のテクニックと、古来から延々と続いて来た音の蓄積があるように感じた。
飛び抜けたスタイリッシュな感覚で複雑な転調を組み合わせ、そこに好みのジャンルのテイストを加えて、自由気ままに作っているのがわかる。
違う曲では、オリジナルと思われるピアノ曲を力強い超絶技巧で弾き、荒れ狂う大海を一羽の鳥になって悠々と自由自在に飛び回っている。
クラッシックとジャズとポップスとソウル、ラップ、、あらゆる要素が飽きさせることなく絶妙なハーモニーで響く。
ハートから湧き出す歌声は、曲の物語をしっかりと演じていて、ひたむきな愛と強さ、希望、大きな優しさの世界観を作り出し、聴くものを強力に引き込ませて、泡沫の幸福や喜びへと導く。
これを1人でやってるのだろうか、、
だとしたら、とんでもない人間がこの世にいるものだ。
宮沢はすっかりwho youに惚れ込んだ。
業界の人間が、この存在に気づいてないとは思えなかったが、宮沢は一刻も迷わずにDMを入れた。
だが、何度もDMしても返事がない。
もう、何処かと契約してしまったのか、、
宮沢は、知り合いにwho youのことを尋ねてみた。
やはり目をつけられているようで、大手の事務所も複数狙っているが、どこも全く連絡が取れないらしい。
全く謎だった。
宮沢は、who youのYouTubeの投稿に、片っ端から本名で、長々とコメントを入れ始める。
妻の千里も大ファンになり、一緒にコメントアピールの協力をしてくれた。
2ヶ月後、初めてwho youからメールの返事が来た時は、妻の千里と小躍りして喜び、祝杯をあげた。
丁寧な断りのメールだったが、千里の励ましもあり、何故だか諦める気持ちに全くならなかった。
絶対にwho youに会ってみせる。
自分の持てる全ての経験と人脈で、who youをもっと大きな世界に広げて、輝く様をこの目で見届けると決めた。
宮沢はwho youに自分の全てをさらけ出して、熱い思いをプレゼンし続けた。
彼の正体はわからないが、ビデオの背景で、アメリカの西海岸にいると思った。
そこで約束もないのに、休みを1週間取り、ロスへ飛ぶ。
全て、心の赴くままに動いた結果、遂にwho youが会ってもいいと返事をくれた。
彼のカリフォルニアの自宅に招待されたのだ。
約束の日時、宮沢は恋焦がれた人にやっと巡り会える喜びを胸に、who youの自宅のドアを叩いた。
曲が終わり、次の曲が流れる。
初めて聞くメロディで、軽やかなピアノ伴奏に乗せて、低めのよく響く優しい歌声と、可愛く楽しいリズミカルな演奏が心地よく空間に溢れ出し、優しい気持ちを満たしていく。
トキメキと優しさが入り混じって、瑞々しく訴えかけて来るその楽曲に魅了され、思わず集中して聴き入った。
(誰だこれ? こんな奴いたか、、)
強い電気ショックが落ちた直輝は、たちまち胸がドキドキし始め、居ても立っても居られなくなった。
直ぐにソファから起き上がり、リラックスチェアに座って、膝の上で満足気に寝ている猫のプリンちゃんを撫でていた千里のスマホを覗いた。
「これ誰?
なんて曲?」
「直樹、音楽関係のくせに知らんの?
最近私、登録したんよ。
who youの『フラッフィー』って曲。
とっても優しい良い声で、歌い方に独特な癖があって上手いんよ!
ピアノメロディーがどことなく懐かしくて、素直に入ってきて、キュンでエモ?
私らの年代にも、すっと馴染むんよね。
映像見ると、若い男の子みたい。
顔見せないのが残念!」
直輝は、直ぐに自分のスマホでチャンネルを調べ始めた。
who you、、チャンネル名しか情報がない。
プロのミュージシャンではないようだ。
投稿されている楽曲を、直輝は片っ端から聴いて行った、
日本語の歌詞で上手く歌っているから、おそらく日本人だろうけど、背景の映像は海外、おそらくアメリカかオーストラリアの何処かだろう。
海辺や自然公園みたいな風景に、細身の男性がシルエットだけで、感情豊かにダンスし、歌い、バイオリンを弾いたりしている。
形の美しい横顔と首のラインに、どんな顔をしているのか知りたい、と期待を抱かせる。
しなやかな身体からは音が鳴るように活き活きと動き、長い指先の動きまでがとても美しい。
全て同じ人物がプレイしてるようだ。
who youの創る楽曲は相当な音楽のテクニックと、古来から延々と続いて来た音の蓄積があるように感じた。
飛び抜けたスタイリッシュな感覚で複雑な転調を組み合わせ、そこに好みのジャンルのテイストを加えて、自由気ままに作っているのがわかる。
違う曲では、オリジナルと思われるピアノ曲を力強い超絶技巧で弾き、荒れ狂う大海を一羽の鳥になって悠々と自由自在に飛び回っている。
クラッシックとジャズとポップスとソウル、ラップ、、あらゆる要素が飽きさせることなく絶妙なハーモニーで響く。
ハートから湧き出す歌声は、曲の物語をしっかりと演じていて、ひたむきな愛と強さ、希望、大きな優しさの世界観を作り出し、聴くものを強力に引き込ませて、泡沫の幸福や喜びへと導く。
これを1人でやってるのだろうか、、
だとしたら、とんでもない人間がこの世にいるものだ。
宮沢はすっかりwho youに惚れ込んだ。
業界の人間が、この存在に気づいてないとは思えなかったが、宮沢は一刻も迷わずにDMを入れた。
だが、何度もDMしても返事がない。
もう、何処かと契約してしまったのか、、
宮沢は、知り合いにwho youのことを尋ねてみた。
やはり目をつけられているようで、大手の事務所も複数狙っているが、どこも全く連絡が取れないらしい。
全く謎だった。
宮沢は、who youのYouTubeの投稿に、片っ端から本名で、長々とコメントを入れ始める。
妻の千里も大ファンになり、一緒にコメントアピールの協力をしてくれた。
2ヶ月後、初めてwho youからメールの返事が来た時は、妻の千里と小躍りして喜び、祝杯をあげた。
丁寧な断りのメールだったが、千里の励ましもあり、何故だか諦める気持ちに全くならなかった。
絶対にwho youに会ってみせる。
自分の持てる全ての経験と人脈で、who youをもっと大きな世界に広げて、輝く様をこの目で見届けると決めた。
宮沢はwho youに自分の全てをさらけ出して、熱い思いをプレゼンし続けた。
彼の正体はわからないが、ビデオの背景で、アメリカの西海岸にいると思った。
そこで約束もないのに、休みを1週間取り、ロスへ飛ぶ。
全て、心の赴くままに動いた結果、遂にwho youが会ってもいいと返事をくれた。
彼のカリフォルニアの自宅に招待されたのだ。
約束の日時、宮沢は恋焦がれた人にやっと巡り会える喜びを胸に、who youの自宅のドアを叩いた。
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