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第1章 婚約破棄に至るまで
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「ねえベルン!あれ見て、あれ!」
「リシュベル、そんなに急ぐと迷子になるぞ。ただでさえ今日は人が多いんだ。気を付けないと」
「迷子って⋯⋯失礼ね、そんな子供じゃないわっ」
ぷっと頬を膨らませて、ふいっと拗ねたように横を向くリシュベルは、まさしく子供のようだ。
そんな姿が可笑しくて、可愛い。
思わず笑ってしまいそうだったが、そんなことをするとますます彼女を怒らせてしまうため、敢えてベルンハルトは口を閉じた。
それでなくても久々のデートで、上機嫌なリシュベルの機嫌をわざわざ損ねる必要はない。
「本当に今日は人が多いわ。来週は建国祭だからみんなその準備で大忙しなのね。でもとっても楽しそう。前からこの時期に街に行ってみたかったの!」
ここカリアン王国は、600年程前にランザスを初代国王に戴き、ランチェスター帝国から独立した国である。
その当時、大陸で最も栄華を極め、豊富な資源にも恵まれ、強固な軍事力を誇っていたランチェスター帝国は、他の追随を許さぬほどの大国であった。
もともと多民族国家であったランチェスターには、様々な人種、言語、文化、宗教が存在した。
大国であるが故、周辺諸国とは度々、小競り合いが起きていたが、その圧倒的な軍事力の前に本格的な大戦に至ることはなかった。国内も比較的安定しており、多民族国家とはいえ、宗教戦争などもなく、それぞれが良好な関係を築いていた。
だが、700年程前、世襲により愚帝を三代も輩出したランチェスター帝国は、そこから坂道を転がり落ちるかのように衰退の一途を辿った。
皇族や一部の有力貴族達は、権力の上に胡座をかき、自らの欲に溺れ、国民を虐げて搾取し続けた。
毎夜のように、皇宮や貴族の屋敷では、贅を極めた夜会が催され、誰が手をつけるでもない豪華な食事は、余れば惜しむことなく廃棄された。
その一方で、重税に苦しめられた国民はその日食べる物にも困り、各地で多くの餓死者を出した。その死者は、戦による戦死者を遥かに超えた。
そんな状況にも関わらず、皇帝は国庫を開くこともせず、貧しいのは怠惰な証だと唾棄した。
また、その当時の皇帝は、自らの民族こそが至高なる存在と掲げ、他民族を抑圧、迫害、虐殺していった。
100年前から始まった滅亡へのカウントダウンは、この事が決定打となり、猛烈な早さで時を刻んだ。
だが、このような事が起きた中でもカリアンという民族だけは、虐殺されることもなく、細々と生き延びていた。
皇帝の温情などではない。
愚帝はあくまで愚帝。何者にもなれはしない。
偏に、カリアンに利用価値を見出していたためである。
やがて、国民から搾り取るだけ搾り取った皇帝は、これ以上無理だと悟ると次はこのカリアンに目を付けた。
カリアンの民は、古くから多くの者が特殊な力を持っていた。
それは、聖なる加護と呼ばれ、手をかざすだけで病や怪我を治し、何もない所から火や水、風などを起こした。
更には未来を予知する先見の目を持つとされ、その力は天候さえも操ると言われた。
その民族全ての者が『加護持ち』として生まれる訳ではない。また、力が強い者もいれば、そうでない者もいた。だが、それでも高確率で、不思議な力を持つ者は生まれた。
カリアンの民たちは、確かに不思議な力を持ってはいたが、決して私利私欲のために力を使ったりはしなかった。
自然に反する力は、必ずどこかに歪みが生じる。
元来、争い事を好まず、穏やかな気性だったカリアンは、加護に頼ることなく、山の麓に小さな村を作り、貧しいながらもひっそりと暮らしていた。
代々の皇帝とも、行き過ぎない程度で、知恵や力を貸すなどして良好な関係を築いてきた。
それなのにどこから聞きつけたのか。
カリアンの力さえあれば、黄金を生み出すことが可能だと信じた皇帝は、彼らの力を欲した。
ガラクタや鉄から黄金を作り出せるのではないかと。
彼らは、そんなことは不可能だと何度も奏上した。
実際にそんなことは無理だった。
無から有は創り出せない。
本来持つ性質から異なる物質に作り変えることも出来ない。
また、その質量を超えることも出来ない。
黄金のネックレスから黄金の指輪に作り変えることは出来ても、その逆は出来ない。その原理通り、鉄から黄金を新たに創造することなど不可能なのだ。
もし、そんなことが出来てしまうのならば、それこそ一瞬で世界のパワーバランスは崩れてしまう。
彼らとて万能ではない。
自然に住まう精霊の力を借り、火を起こし、水源の地を乞うただけだ。
治癒能力とて、神のように一瞬で治すわけではない。その人が持つ自然治癒力をほんの少し上げてやる程度だ。
だから、死者を生き返らせることは勿論、どんなに助けたいと願っても、重傷者や重病人の時を永らえさせることはできなかった。
たが、それを信じぬ皇帝は、独占するつもりかと激しく憤り、抵抗したカリアンの民を女も子供も関係なく虐殺した。
それと共に、加護を持つ者が生まれた場合は、その出生と同時に始末するよう法で定めたりもした。
それでも生まれた赤子を殺すことなど出来るはずもなく、露見すれば凄惨な未来が待っているにも関わらず、力を持って生まれた子はひたすら隠して育てられた。
だが、終わりの見えぬ悪政に耐えかねたカリアンは、帝国内で他に迫害で苦しめられた者、搾取され続けた民たちを束ね、ランザスを中心に遂に一斉蜂起した。
その中には、皇帝に苦言を呈して処刑された貴族の親族もいた。
優れた軍事力を持つ帝国ではあったが、カリアンだけでなく、同時に各地で起こった数十万にも及ぶ民の反乱を前に徐々に劣勢を強いられた。
そして、およそ半年という短期間で、カリアンの自治権を認める羽目になった。
その時、ランザスに追随した民や貴族たちで新たに建国されたのがカリアン王国だ。
その勢いに乗るかのように、各地で連続して反乱が起こり、長い間内乱状態だったランチェスター帝国は、ついにその国の体を失い、当時最も勢いのあったカリアン王国に併合されることとなった。
時を経て、血が薄れた現在では、加護を持つ者は滅多に生まれず、一般市民の中では十指で数えられるほど。
ランザスを始祖とするカリアンの王族でさえ、現国王と王太子のみである。
そして毎年、自治権が認められたその日を建国祭として、各村や街では盛大な祭りが催される。その日ばかりは無礼講となり、皆が乱痴気騒ぎをするのだ。
祭りは、前夜祭、本祭、後夜祭と三日間行われ、本祭では王城のバルコニーで国王によるスピーチが行われる。
その時ばかりは全ての王族が一般市民の前に姿を現わし、それを一目見ようと多くの観光客や市民が詰めかける。
その前夜祭まで一週間を切ったため、街ではもうすでに半分お祭り騒ぎだ。
このサイラスの街は、王城に最も近いため、自然と各地から人々が集まる。
そのため、隙間もないほど様々な屋台が軒を連ねている。
リシュベルは、この時期に街に来たのは初めてで、周囲の空気に圧倒されつつも、ちゃっかりそれを楽しんでいる。
ベルンハルトはそんな彼女が心配でならない。
今だってきっと、こうして手を繋いでいなければ、勝手に何処かへ行ってしまうだろう。
「わかったからっ。勝手に先に行くな。⋯今度は何を見つけたんだ?」
「あれよ、あのお菓子!とっても美味しそう!ねえベルン、あれは何?」
リシュベルが指差す先の屋台には、すでに長蛇の列が出来ていた。客層は圧倒的に若い女性が多い。皆が手に皿を持ち、そこには揚げた平たい生地の上に生クリームやアイスクリーム、チョコレートソース、フルーツなどがこれでもかと言うほどてんこ盛りにトッピングされている。
「さあ、甘い物は食べないからわからないな。⋯⋯仕方ないな。ちょっとここで待っていろ」
キラキラと輝くリシュベルの瞳を見たベルンハルトは、肩をすくめるとその行列に向かって行った。
「え、ベルン!?」
「買ってきてやるよ。だからリシュベルは絶対にそこを動くなよ。わかったな?絶対!だぞ」
「わかってるわ。ふふ、ありがとう!」
嬉しそうにくしゃっと笑う顔を見たベルンハルトは、思わず眉尻を下げ、口元を緩めると列の最後尾に並んだ。
リシュベルは、彼を待っている間、すぐ後ろにある噴水の縁に腰掛けて、前を行き交う人々を興味深そうに観察している。
カリアン人とは違う肌の色や珍しい髪色の外国人が多く通り、言葉はもちろん、その服装なども様々で見ていて楽しい。
そうして、キョロキョロと辺りを見渡していると後ろから呼ばれた。
「リシュベル」
「リシュベル、そんなに急ぐと迷子になるぞ。ただでさえ今日は人が多いんだ。気を付けないと」
「迷子って⋯⋯失礼ね、そんな子供じゃないわっ」
ぷっと頬を膨らませて、ふいっと拗ねたように横を向くリシュベルは、まさしく子供のようだ。
そんな姿が可笑しくて、可愛い。
思わず笑ってしまいそうだったが、そんなことをするとますます彼女を怒らせてしまうため、敢えてベルンハルトは口を閉じた。
それでなくても久々のデートで、上機嫌なリシュベルの機嫌をわざわざ損ねる必要はない。
「本当に今日は人が多いわ。来週は建国祭だからみんなその準備で大忙しなのね。でもとっても楽しそう。前からこの時期に街に行ってみたかったの!」
ここカリアン王国は、600年程前にランザスを初代国王に戴き、ランチェスター帝国から独立した国である。
その当時、大陸で最も栄華を極め、豊富な資源にも恵まれ、強固な軍事力を誇っていたランチェスター帝国は、他の追随を許さぬほどの大国であった。
もともと多民族国家であったランチェスターには、様々な人種、言語、文化、宗教が存在した。
大国であるが故、周辺諸国とは度々、小競り合いが起きていたが、その圧倒的な軍事力の前に本格的な大戦に至ることはなかった。国内も比較的安定しており、多民族国家とはいえ、宗教戦争などもなく、それぞれが良好な関係を築いていた。
だが、700年程前、世襲により愚帝を三代も輩出したランチェスター帝国は、そこから坂道を転がり落ちるかのように衰退の一途を辿った。
皇族や一部の有力貴族達は、権力の上に胡座をかき、自らの欲に溺れ、国民を虐げて搾取し続けた。
毎夜のように、皇宮や貴族の屋敷では、贅を極めた夜会が催され、誰が手をつけるでもない豪華な食事は、余れば惜しむことなく廃棄された。
その一方で、重税に苦しめられた国民はその日食べる物にも困り、各地で多くの餓死者を出した。その死者は、戦による戦死者を遥かに超えた。
そんな状況にも関わらず、皇帝は国庫を開くこともせず、貧しいのは怠惰な証だと唾棄した。
また、その当時の皇帝は、自らの民族こそが至高なる存在と掲げ、他民族を抑圧、迫害、虐殺していった。
100年前から始まった滅亡へのカウントダウンは、この事が決定打となり、猛烈な早さで時を刻んだ。
だが、このような事が起きた中でもカリアンという民族だけは、虐殺されることもなく、細々と生き延びていた。
皇帝の温情などではない。
愚帝はあくまで愚帝。何者にもなれはしない。
偏に、カリアンに利用価値を見出していたためである。
やがて、国民から搾り取るだけ搾り取った皇帝は、これ以上無理だと悟ると次はこのカリアンに目を付けた。
カリアンの民は、古くから多くの者が特殊な力を持っていた。
それは、聖なる加護と呼ばれ、手をかざすだけで病や怪我を治し、何もない所から火や水、風などを起こした。
更には未来を予知する先見の目を持つとされ、その力は天候さえも操ると言われた。
その民族全ての者が『加護持ち』として生まれる訳ではない。また、力が強い者もいれば、そうでない者もいた。だが、それでも高確率で、不思議な力を持つ者は生まれた。
カリアンの民たちは、確かに不思議な力を持ってはいたが、決して私利私欲のために力を使ったりはしなかった。
自然に反する力は、必ずどこかに歪みが生じる。
元来、争い事を好まず、穏やかな気性だったカリアンは、加護に頼ることなく、山の麓に小さな村を作り、貧しいながらもひっそりと暮らしていた。
代々の皇帝とも、行き過ぎない程度で、知恵や力を貸すなどして良好な関係を築いてきた。
それなのにどこから聞きつけたのか。
カリアンの力さえあれば、黄金を生み出すことが可能だと信じた皇帝は、彼らの力を欲した。
ガラクタや鉄から黄金を作り出せるのではないかと。
彼らは、そんなことは不可能だと何度も奏上した。
実際にそんなことは無理だった。
無から有は創り出せない。
本来持つ性質から異なる物質に作り変えることも出来ない。
また、その質量を超えることも出来ない。
黄金のネックレスから黄金の指輪に作り変えることは出来ても、その逆は出来ない。その原理通り、鉄から黄金を新たに創造することなど不可能なのだ。
もし、そんなことが出来てしまうのならば、それこそ一瞬で世界のパワーバランスは崩れてしまう。
彼らとて万能ではない。
自然に住まう精霊の力を借り、火を起こし、水源の地を乞うただけだ。
治癒能力とて、神のように一瞬で治すわけではない。その人が持つ自然治癒力をほんの少し上げてやる程度だ。
だから、死者を生き返らせることは勿論、どんなに助けたいと願っても、重傷者や重病人の時を永らえさせることはできなかった。
たが、それを信じぬ皇帝は、独占するつもりかと激しく憤り、抵抗したカリアンの民を女も子供も関係なく虐殺した。
それと共に、加護を持つ者が生まれた場合は、その出生と同時に始末するよう法で定めたりもした。
それでも生まれた赤子を殺すことなど出来るはずもなく、露見すれば凄惨な未来が待っているにも関わらず、力を持って生まれた子はひたすら隠して育てられた。
だが、終わりの見えぬ悪政に耐えかねたカリアンは、帝国内で他に迫害で苦しめられた者、搾取され続けた民たちを束ね、ランザスを中心に遂に一斉蜂起した。
その中には、皇帝に苦言を呈して処刑された貴族の親族もいた。
優れた軍事力を持つ帝国ではあったが、カリアンだけでなく、同時に各地で起こった数十万にも及ぶ民の反乱を前に徐々に劣勢を強いられた。
そして、およそ半年という短期間で、カリアンの自治権を認める羽目になった。
その時、ランザスに追随した民や貴族たちで新たに建国されたのがカリアン王国だ。
その勢いに乗るかのように、各地で連続して反乱が起こり、長い間内乱状態だったランチェスター帝国は、ついにその国の体を失い、当時最も勢いのあったカリアン王国に併合されることとなった。
時を経て、血が薄れた現在では、加護を持つ者は滅多に生まれず、一般市民の中では十指で数えられるほど。
ランザスを始祖とするカリアンの王族でさえ、現国王と王太子のみである。
そして毎年、自治権が認められたその日を建国祭として、各村や街では盛大な祭りが催される。その日ばかりは無礼講となり、皆が乱痴気騒ぎをするのだ。
祭りは、前夜祭、本祭、後夜祭と三日間行われ、本祭では王城のバルコニーで国王によるスピーチが行われる。
その時ばかりは全ての王族が一般市民の前に姿を現わし、それを一目見ようと多くの観光客や市民が詰めかける。
その前夜祭まで一週間を切ったため、街ではもうすでに半分お祭り騒ぎだ。
このサイラスの街は、王城に最も近いため、自然と各地から人々が集まる。
そのため、隙間もないほど様々な屋台が軒を連ねている。
リシュベルは、この時期に街に来たのは初めてで、周囲の空気に圧倒されつつも、ちゃっかりそれを楽しんでいる。
ベルンハルトはそんな彼女が心配でならない。
今だってきっと、こうして手を繋いでいなければ、勝手に何処かへ行ってしまうだろう。
「わかったからっ。勝手に先に行くな。⋯今度は何を見つけたんだ?」
「あれよ、あのお菓子!とっても美味しそう!ねえベルン、あれは何?」
リシュベルが指差す先の屋台には、すでに長蛇の列が出来ていた。客層は圧倒的に若い女性が多い。皆が手に皿を持ち、そこには揚げた平たい生地の上に生クリームやアイスクリーム、チョコレートソース、フルーツなどがこれでもかと言うほどてんこ盛りにトッピングされている。
「さあ、甘い物は食べないからわからないな。⋯⋯仕方ないな。ちょっとここで待っていろ」
キラキラと輝くリシュベルの瞳を見たベルンハルトは、肩をすくめるとその行列に向かって行った。
「え、ベルン!?」
「買ってきてやるよ。だからリシュベルは絶対にそこを動くなよ。わかったな?絶対!だぞ」
「わかってるわ。ふふ、ありがとう!」
嬉しそうにくしゃっと笑う顔を見たベルンハルトは、思わず眉尻を下げ、口元を緩めると列の最後尾に並んだ。
リシュベルは、彼を待っている間、すぐ後ろにある噴水の縁に腰掛けて、前を行き交う人々を興味深そうに観察している。
カリアン人とは違う肌の色や珍しい髪色の外国人が多く通り、言葉はもちろん、その服装なども様々で見ていて楽しい。
そうして、キョロキョロと辺りを見渡していると後ろから呼ばれた。
「リシュベル」
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