51 / 56
The Truth - 1
しおりを挟む 月島はたどたどしい指使いでシャツのボタンを外していたが、俺の視線に気付いて手を止めた。
「そう熱烈に見つめられると、些か居心地が悪いのだが」
「いや、別に……」
指摘を受けて目を反らしたが、どうにも気になって仕方がない。完全にスイッチが入ってしまっている。
そんな俺の様子に気が付いたのか、月島も熱を孕んだ瞳で俺の顔を覗き込んできた。
「実は私も、満足出来ていないのだ」
「月島……」
掠れた声で熱っぽく名を呼べば、向こうも完全にその気になったようだ。洗ったばかりのシャツを放り出した月島に腰を抱かれ、至近距離で見つめ合う。
そっと月島の頬に手を伸ばせば、捉えられて手首にキスを落とされた。
「篠崎く……」
その時。
何だか盛り上がりを見せた空気を霧散させるように、ぐうと小さな音が鳴った。
「…………月島ぁ」
思わず気が抜けて崩れ落ちそうになる。批難の色が多分に交じった声を上げれば、月島は慌てて腹部を押さえた。
「し、仕方ないだろう。昼から何も食べていないのだ」
別に俺もムードがどうとか細かいことを気にするタイプではないのだが、流石に今のはひどかった。なまじ顔がいい分、がっかりさもひとしおである。
気まずそうに言い訳を並べる月島の姿に、ついつい笑いが込み上げてくる。
「ふ、はは」
「笑ってくれるな、生理現象だろう」
「はいはい、そうだな。仕方ないな」
「心がこもっていない」
むくれている月島というのも新鮮だ。何だかとても愉快な気分だった。
今なら、ほんの気まぐれを起こして助けてやるのもやぶさかではない。
「しょうがないな、晩飯食って行けよ。多めに作ったからさ」
「いいのか?」
月島の目が吸い寄せられるように食卓へ向かう。相当腹を空かせていたようで、心なしか目が輝いている。
完璧人間も所詮は人間。空腹には勝てないらしい。
まだまだ込み上げてくる笑いを抑えながら、月島の食事を用意していく。俺の真向かいに座るよう促せば、シャツのボタンを閉め直した月島が大人しく席へと収まった。
あの月島が、俺の家で食卓についているとは、まあ随分と異質な光景である。
俺が食事を再開したのを見て、月島も「いただきます」と手を合わせてから箸を取った。
「まさか君の手料理を食べる日が来るとは」
「俺も、まさかお前に手料理を振る舞う日が来るとは思ってなかったよ。いいからさっさと食え」
少しぬるくなった味噌汁を飲みながら月島の様子を伺う。
月島は一口味噌汁を啜ったのち、サバのみりん焼きに手を付けて驚いた声を上げた。
「美味しいな」
「そりゃどーも」
その後もお浸しやポテトサラダに手を伸ばしては、逐一感動した声を上げる。随分と幸せそうに食べてくれるものだ。よっぽど手料理に飢えていたのだろうか。
何にせよ、自分が作った料理を美味そうに食べてくれている姿は、見ていて悪い気はしなかった。
「お前、いつも飯とかどうしてるんだ」
「基本的に外食か、買ってきたもので済ましている。料理は……どうにもな」
「ふぅん。お前にも苦手なことがあったんだな」
何でもスマートにこなす完璧超人かと思っていたが、月島も人の子だったようだ。
「……塩を少々とか、適量とか言われても分らないのだ。仮にもレシピ本を謳うのなら、何グラムで何分何秒加熱するのか明記してほしいものだね」
「あー、なるほどなぁ」
たかが夕飯作りで計量器を持ち出して、グラム単位で材料を量る月島の姿が容易に想像出来てしまった。
おそらく感覚的なことには弱いのだろう。その四角四面さは月島らしいと感じた。
「ごちそうさまでした」
「はいはい、おそまつさまでした」
食事を食べ終えた月島が、手を合わせて一礼する。
そのまま食器を片付けようとするのを制止して、洗面所へと押し込んだ。
「皿は洗っておくから、お前はシャワー浴びて来いよ。俺はもう入ったから」
「何から何まですまないな、失礼する」
「あと服は洗濯機に入れておけ、夜の間に洗濯しておくから。どうせ裸で寝るだろ?」
「私が言えたことでもないが、ムードも何もあったものではないな……」
月島は複雑そうな顔をしながらも、言ったとおりに服を洗濯機へ放り込んでいく。
程なくして聞こえてきた水音を背に受けながら、俺は片づけを再開した。
食器を洗い終わり、手持ち無沙汰にテレビを見始めたところで月島が戻ってくる。思えば風呂上がりの姿を見るのはこれが初めてだ。
まだ髪を乾かしている途中らしく、タオルで乱雑に髪をかき回しては、時折鬱陶しげに前髪をかき上げている。様になっている動きに見惚れてしまった自分が悔しい。
普段は長めの前髪を横に流して整えているが、今はまばらに落ちた髪が顔に影を作っていた。前髪の間から覗く瞳を見ていると、らしくもなく心臓が跳ねる。
「……おや、君はこういうラフな髪型の方が好みかね?」
月島が手を止めてこちらへ歩み寄ってくる。その言葉に否定も肯定も返さないまま、俺は月島を寝室へと引っ張り込んだ。
今日も、長い夜になりそうな気がした。
◆
「なあ、最初の話を覚えているか」
遅い朝食を取りながらそう切り出した月島は、心なしか硬い声をしていた。
「最初の話って?」
「サイトで出会ったときに君が言っていた話だ。セフレを募集している、と」
「ああ……確かにそんなことを書き込んでいたな」
あの出会い系サイトでのやり取りは、半ば黒歴史として封印していたところもあった。
思い出して頷けば、月島はしばし目を閉じ、再び口を開いた。
「あの話、改めて考えてみる気はないか」
「はい?」
「君と、私で、セックスフレンドにならないかと言っている」
「は?」
唖然として月島の顔を見つめる。潔癖そうなこの男の口から『セックスフレンド』なんて単語が出てくるとは思わなかった。
しばし二の句が継げずに固まっていたが、答え自体は一瞬にして固まっていた。
絶対無理、である。
「——無理。俺とお前で『フレンド』っていう響きが無理、ありえん」
「引っかかるのはそちらなのだな……」
「ほっとけ」
確かに『セックス』までは良くて『フレンド』が無理というのは珍しいケースだろう。しかし、こればかりは理屈じゃない。過去の確執を思うと、例え便宜上の名称だとしても、月島との関係に『フレンド』なんて表現は用いられなかった。
何より、コイツと継続的な関係を持つ気はさらさらなかった。
確かに身体の相性がイイことは認める。少し、もったいないと思う自分がいることも認めよう。それでも、わざわざ進んで嫌いな男と関係を持とうとは思わなかった。
ここ最近の俺の精神力は、プラマイゼロというかややマイナス気味だ。性欲を満たすだけなら、適当に引っ掛けた男の方がマシである。
取り付く島もない俺の反応を見た月島は、元々無理を承知だったのか意外にもあっさりと引き下がった。
「分かった、ならば無理にとは言うまい。気が向いたら相手をしてくれると嬉しいね」
「はっ、そんな機会は訪れないだろうな。また誰かさんに酔い潰されでもしない限りは」
「……」
何を言われようと、月島との関係はこれっきりにするつもりだった。
今日この部屋から追い出せば、終わり。二度と敷居を跨がせることもないと思っていた。
俺は不覚にも忘れていたのだ。月島という男の執念深さを。
「——こんばんは。邪魔するよ」
俺の決意とは裏腹に、月島は次の日も、その次の日も俺の部屋に足を踏み入れていた。
その理由は、頻発した忘れ物にある。
「シャツを忘れて、ネクタイを忘れて、時計を忘れて……今日は何を忘れたって言うんだ、おい」
「ああ……忘れ物しておくのを忘れた」
悪びれもせずそう言われれば、もはや噛み付く気力も残らなかった。コイツは俺が関係を受け入れるまで、いくらでも纏わり付いてくるつもりだろう。
……根負けである。
俺はこれ見よがしに大きな溜息を吐くと、今日も月島を部屋に招き入れた。
「分かったよ。今回は、お前の粘り勝ちということにしておいてやる」
「光栄だね」
我が意を得たりと言わんばかりの表情を見ていると腹立たしさしか湧かず、今後が思いやられる。
せめてもの反攻に思いっきり嫌な顔をしてやれば、月島はますます笑みを深めて、慣れた足取りで俺の部屋へと上がり込んで行くのであった。
「そう熱烈に見つめられると、些か居心地が悪いのだが」
「いや、別に……」
指摘を受けて目を反らしたが、どうにも気になって仕方がない。完全にスイッチが入ってしまっている。
そんな俺の様子に気が付いたのか、月島も熱を孕んだ瞳で俺の顔を覗き込んできた。
「実は私も、満足出来ていないのだ」
「月島……」
掠れた声で熱っぽく名を呼べば、向こうも完全にその気になったようだ。洗ったばかりのシャツを放り出した月島に腰を抱かれ、至近距離で見つめ合う。
そっと月島の頬に手を伸ばせば、捉えられて手首にキスを落とされた。
「篠崎く……」
その時。
何だか盛り上がりを見せた空気を霧散させるように、ぐうと小さな音が鳴った。
「…………月島ぁ」
思わず気が抜けて崩れ落ちそうになる。批難の色が多分に交じった声を上げれば、月島は慌てて腹部を押さえた。
「し、仕方ないだろう。昼から何も食べていないのだ」
別に俺もムードがどうとか細かいことを気にするタイプではないのだが、流石に今のはひどかった。なまじ顔がいい分、がっかりさもひとしおである。
気まずそうに言い訳を並べる月島の姿に、ついつい笑いが込み上げてくる。
「ふ、はは」
「笑ってくれるな、生理現象だろう」
「はいはい、そうだな。仕方ないな」
「心がこもっていない」
むくれている月島というのも新鮮だ。何だかとても愉快な気分だった。
今なら、ほんの気まぐれを起こして助けてやるのもやぶさかではない。
「しょうがないな、晩飯食って行けよ。多めに作ったからさ」
「いいのか?」
月島の目が吸い寄せられるように食卓へ向かう。相当腹を空かせていたようで、心なしか目が輝いている。
完璧人間も所詮は人間。空腹には勝てないらしい。
まだまだ込み上げてくる笑いを抑えながら、月島の食事を用意していく。俺の真向かいに座るよう促せば、シャツのボタンを閉め直した月島が大人しく席へと収まった。
あの月島が、俺の家で食卓についているとは、まあ随分と異質な光景である。
俺が食事を再開したのを見て、月島も「いただきます」と手を合わせてから箸を取った。
「まさか君の手料理を食べる日が来るとは」
「俺も、まさかお前に手料理を振る舞う日が来るとは思ってなかったよ。いいからさっさと食え」
少しぬるくなった味噌汁を飲みながら月島の様子を伺う。
月島は一口味噌汁を啜ったのち、サバのみりん焼きに手を付けて驚いた声を上げた。
「美味しいな」
「そりゃどーも」
その後もお浸しやポテトサラダに手を伸ばしては、逐一感動した声を上げる。随分と幸せそうに食べてくれるものだ。よっぽど手料理に飢えていたのだろうか。
何にせよ、自分が作った料理を美味そうに食べてくれている姿は、見ていて悪い気はしなかった。
「お前、いつも飯とかどうしてるんだ」
「基本的に外食か、買ってきたもので済ましている。料理は……どうにもな」
「ふぅん。お前にも苦手なことがあったんだな」
何でもスマートにこなす完璧超人かと思っていたが、月島も人の子だったようだ。
「……塩を少々とか、適量とか言われても分らないのだ。仮にもレシピ本を謳うのなら、何グラムで何分何秒加熱するのか明記してほしいものだね」
「あー、なるほどなぁ」
たかが夕飯作りで計量器を持ち出して、グラム単位で材料を量る月島の姿が容易に想像出来てしまった。
おそらく感覚的なことには弱いのだろう。その四角四面さは月島らしいと感じた。
「ごちそうさまでした」
「はいはい、おそまつさまでした」
食事を食べ終えた月島が、手を合わせて一礼する。
そのまま食器を片付けようとするのを制止して、洗面所へと押し込んだ。
「皿は洗っておくから、お前はシャワー浴びて来いよ。俺はもう入ったから」
「何から何まですまないな、失礼する」
「あと服は洗濯機に入れておけ、夜の間に洗濯しておくから。どうせ裸で寝るだろ?」
「私が言えたことでもないが、ムードも何もあったものではないな……」
月島は複雑そうな顔をしながらも、言ったとおりに服を洗濯機へ放り込んでいく。
程なくして聞こえてきた水音を背に受けながら、俺は片づけを再開した。
食器を洗い終わり、手持ち無沙汰にテレビを見始めたところで月島が戻ってくる。思えば風呂上がりの姿を見るのはこれが初めてだ。
まだ髪を乾かしている途中らしく、タオルで乱雑に髪をかき回しては、時折鬱陶しげに前髪をかき上げている。様になっている動きに見惚れてしまった自分が悔しい。
普段は長めの前髪を横に流して整えているが、今はまばらに落ちた髪が顔に影を作っていた。前髪の間から覗く瞳を見ていると、らしくもなく心臓が跳ねる。
「……おや、君はこういうラフな髪型の方が好みかね?」
月島が手を止めてこちらへ歩み寄ってくる。その言葉に否定も肯定も返さないまま、俺は月島を寝室へと引っ張り込んだ。
今日も、長い夜になりそうな気がした。
◆
「なあ、最初の話を覚えているか」
遅い朝食を取りながらそう切り出した月島は、心なしか硬い声をしていた。
「最初の話って?」
「サイトで出会ったときに君が言っていた話だ。セフレを募集している、と」
「ああ……確かにそんなことを書き込んでいたな」
あの出会い系サイトでのやり取りは、半ば黒歴史として封印していたところもあった。
思い出して頷けば、月島はしばし目を閉じ、再び口を開いた。
「あの話、改めて考えてみる気はないか」
「はい?」
「君と、私で、セックスフレンドにならないかと言っている」
「は?」
唖然として月島の顔を見つめる。潔癖そうなこの男の口から『セックスフレンド』なんて単語が出てくるとは思わなかった。
しばし二の句が継げずに固まっていたが、答え自体は一瞬にして固まっていた。
絶対無理、である。
「——無理。俺とお前で『フレンド』っていう響きが無理、ありえん」
「引っかかるのはそちらなのだな……」
「ほっとけ」
確かに『セックス』までは良くて『フレンド』が無理というのは珍しいケースだろう。しかし、こればかりは理屈じゃない。過去の確執を思うと、例え便宜上の名称だとしても、月島との関係に『フレンド』なんて表現は用いられなかった。
何より、コイツと継続的な関係を持つ気はさらさらなかった。
確かに身体の相性がイイことは認める。少し、もったいないと思う自分がいることも認めよう。それでも、わざわざ進んで嫌いな男と関係を持とうとは思わなかった。
ここ最近の俺の精神力は、プラマイゼロというかややマイナス気味だ。性欲を満たすだけなら、適当に引っ掛けた男の方がマシである。
取り付く島もない俺の反応を見た月島は、元々無理を承知だったのか意外にもあっさりと引き下がった。
「分かった、ならば無理にとは言うまい。気が向いたら相手をしてくれると嬉しいね」
「はっ、そんな機会は訪れないだろうな。また誰かさんに酔い潰されでもしない限りは」
「……」
何を言われようと、月島との関係はこれっきりにするつもりだった。
今日この部屋から追い出せば、終わり。二度と敷居を跨がせることもないと思っていた。
俺は不覚にも忘れていたのだ。月島という男の執念深さを。
「——こんばんは。邪魔するよ」
俺の決意とは裏腹に、月島は次の日も、その次の日も俺の部屋に足を踏み入れていた。
その理由は、頻発した忘れ物にある。
「シャツを忘れて、ネクタイを忘れて、時計を忘れて……今日は何を忘れたって言うんだ、おい」
「ああ……忘れ物しておくのを忘れた」
悪びれもせずそう言われれば、もはや噛み付く気力も残らなかった。コイツは俺が関係を受け入れるまで、いくらでも纏わり付いてくるつもりだろう。
……根負けである。
俺はこれ見よがしに大きな溜息を吐くと、今日も月島を部屋に招き入れた。
「分かったよ。今回は、お前の粘り勝ちということにしておいてやる」
「光栄だね」
我が意を得たりと言わんばかりの表情を見ていると腹立たしさしか湧かず、今後が思いやられる。
せめてもの反攻に思いっきり嫌な顔をしてやれば、月島はますます笑みを深めて、慣れた足取りで俺の部屋へと上がり込んで行くのであった。
0
お気に入りに追加
445
あなたにおすすめの小説

美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛
らがまふぃん
恋愛
こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。※R6.5/18お気に入り登録300超に感謝!一話書いてみましたので是非是非!
*らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。 ※R7.2/22お気に入り登録500を超えておりましたことに感謝を込めて、一話お届けいたします。本当にありがとうございます。

【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜
鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。
誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。
幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。
ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。
一人の客人をもてなしたのだ。
その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。
【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。
彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。
そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。
そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。
やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。
ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、
「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。
学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。
☆第2部完結しました☆
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】この胸が痛むのは
Mimi
恋愛
「アグネス嬢なら」
彼がそう言ったので。
私は縁組をお受けすることにしました。
そのひとは、亡くなった姉の恋人だった方でした。
亡き姉クラリスと婚約間近だった第三王子アシュフォード殿下。
殿下と出会ったのは私が先でしたのに。
幼い私をきっかけに、顔を合わせた姉に殿下は恋をしたのです……
姉が亡くなって7年。
政略婚を拒否したい王弟アシュフォードが
『彼女なら結婚してもいい』と、指名したのが最愛のひとクラリスの妹アグネスだった。
亡くなった恋人と同い年になり、彼女の面影をまとうアグネスに、アシュフォードは……
*****
サイドストーリー
『この胸に抱えたものは』全13話も公開しています。
こちらの結末ネタバレを含んだ内容です。
読了後にお立ち寄りいただけましたら、幸いです
* 他サイトで公開しています。
どうぞよろしくお願い致します。
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
元貧乏貴族の大公夫人、大富豪の旦那様に溺愛されながら人生を謳歌する!
楠ノ木雫
恋愛
貧乏な実家を救うための結婚だった……はずなのに!?
貧乏貴族に生まれたテトラは実は転生者。毎日身を粉にして領民達と一緒に働いてきた。だけど、この家には借金があり、借金取りである商会の商会長から結婚の話を出されてしまっている。彼らはこの貴族の爵位が欲しいらしいけれど、結婚なんてしたくない。
けれどとある日、奴らのせいで仕事を潰された。これでは生活が出来ない。絶体絶命だったその時、とあるお偉いさんが手紙を持ってきた。その中に書いてあったのは……この国の大公様との結婚話ですって!?
※他サイトにも投稿しています。
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
【完】嫁き遅れの伯爵令嬢は逃げられ公爵に熱愛される
えとう蜜夏☆コミカライズ中
恋愛
リリエラは母を亡くし弟の養育や領地の執務の手伝いをしていて貴族令嬢としての適齢期をやや逃してしまっていた。ところが弟の成人と婚約を機に家を追い出されることになり、住み込みの働き口を探していたところ教会のシスターから公爵との契約婚を勧められた。
お相手は公爵家当主となったばかりで、さらに彼は婚約者に立て続けに逃げられるといういわくつきの物件だったのだ。
少し辛辣なところがあるもののお人好しでお節介なリリエラに公爵も心惹かれていて……。
22.4.7女性向けホットランキングに入っておりました。ありがとうございます 22.4.9.9位,4.10.5位,4.11.3位,4.12.2位
Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.
ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる