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第7話 デート②
しおりを挟むショッピングモールに着いてからしばらく、いろんなお店を冷やかしながらも俺たちは洋服店に来ていた。
転生後に家のクローゼットを確認したがまともな服が無かったのでそれを買いに来たというわけだ。
「うーん……どれにしようかな……」
しかしいざ選ぼうとしてもまともなファッションなんてしてこなかった俺が選べるはずもなかった。
それこそ買うとしてもいつも大体1000円から2000円の適当な服を着ていたしそれ以外はもらい物である。
ファッションセンスなんてあるわけなかった。
「……素直にはるのちゃんに頼もう」
それにせっかくのデート。異性に自分に似合う服を選んで貰うのって憧れてたし。
まあ最悪マネキン買いすれば大丈夫だろう。
――え?店員に聞けって? ……そんなのいくら俺がイケメンになったとて中身は前世のままなんだから無理に決まってるだろう? それにさっきから店員が話しかけたそうな視線を送ってきてるんだよ。俺ちょっとそういうの苦手だからさ……。
「……あ、はるのちゃん! 今いいかな?」
お互いに別々のコーナーを見ていた俺たちだったが、俺がもたもたしている間に丁度はるのちゃんが戻ってきた。
「――あ、はい! どうしましたか?」
「 実はどれ選べばいいかわかんなくて、、、よければ服を選んでくれると助かるんだけど……」
「!! わかりました!私に任せてくださいっ!」
そういってはるのちゃんは楽しそうに服を選び始めた。
………………
…………
……
そして数分後。
「ゆうき君に似合いそうな服選びましたよ!やっぱり素材がいいので何でも似合いますね! 」
「これ!それにこれ!そしてこれも! 早速試着してみましょう!」
今日1ハイテンションのはるのちゃんからそう言われた俺は、沢山の服を手に試着室へ向かった。
中で着替え終えた俺は外で待っているはるのちゃんに服を披露する。
「……どうかな? 」
「っ!! とても似合ってます!」
黒のセットアップスタイル、インナーとしてネイビーTシャツと白のレイヤードを会わせた爽やかコーデ……らしい。
何を言っているか俺もわからないが、感覚的に言うなら前世でおしゃれな陽キャが着ているような服だと思った。まあけど……似合っているようで安心した。
――これだからイケメンは。
「じゃあ次はこっちをお願いします!!さあさあ!」
「りょ、了解!」
再び試着室に戻り着替え直す。
何か徐々にはるのちゃんのテンションが上がっていくような……。
「どうかな?」
今度は先ほどの黒とは反対に白のTシャツとベージュのチノパン、そしてネックレスを付けるコーデ……らしい。
これはもうネックレスを付けてる時点で陽キャのファッション。街中でよく見るやつだよ。
「いい!いい!いいですね!! さっきの黒も良かったですけど今回の白とベージュで清涼感があってとてもいいです!やっぱりイケメンは白!白だよね! それに加えて全体的なゆるゆるコーデでエモさがある!! これは強い強すぎるよ!」
暴走気味のはるのちゃんはそう言いながらパシャパシャと写真を撮り始めた。
……もちろんポーズもさせられました。
「――本当にカッコいいですね! 」
「そうなんです! でも私のセンスだとゆうき君の魅力を完全には引き出せなくて……」
「……なるほどなるほど。ではこのコーデではどうですか? こちらは先ほどのコーデにワンポイント加えまして――」
「いいですね!!流石プロの店員さんです! じゃあ次はこれとこれを合わせて――」
そしていつの間にか店員さんが加わっていた。
というか店にいるお客さんが全員こっちを見ている気がするのは気のせいだろうか?
……帰りたくなってきた。
はぁ……。
――それからしばらく。
ある店では観客30名以上の大変賑やかなファッションショーが開催されていたとかいなかったとか。
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