裏アカ男子

やまいし

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第1話 転生と裏アカ

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 俺、宮河祐樹は前世でしがない社会人だった。
 特に生きがいと呼べるものなど無くただ漠然とした生活を繰り返してきた。
 
 友人は比較的多くいたが彼女はいなかった。
 友人からはそれとなく言われたが、恐らく俺の理想が高かったのだろう。

 俺は生粋の面食いであり、いい感じになった女性もいたがやはり顔が好みではなく付き合おうとは考えなかった。
 そうこうしている間にその女性は別の男性と付き合ったと後で友人から聞いた。

 しかし俺はそれを聞いてもやはり、後悔はしたものの自分の理想を下げることは出来なかった。
 なら今度は自分の好みの女性にアプローチしたらどうか?という疑問もでるだろう。

 ――が、しかし。
 
 俺の面食い度は想像よりも高く、具体的には学年でTOP3に入るほどの美少女でないと俺の心は動かなかった。
 そしてそれだけの美少女なら既に俺とは比較できないほどのイケメンと付き合っており、俺の地味面ではどうしようもなかった。

 友人からは再三現実を見ろと言われてきたが、やはり自分ではコントロールすることができず結局卒業するまでのただの一度も彼女なんて出来やしなかった。 

 そしてそれは就職した後も変わることなく人生は無気力感で包まれていた。
 
 もう手詰まりだ。
 正直彼女云々はどうでも良かったが、一度でいいから性行為をしてみたかった。
 残業をしながらそんなことを考える日々。
 
 
 こうなったら整形するか……それともレイ――


 
 ――と、そこまで思考が及んだ瞬間、俺は転生した。
 死因は恐らく精神的な物だろう。日々の無気力感が積りに積もって死んだのかもしれない。



 


#########################################################


 
 転生してしばらく、俺は自身の状況把握に勤しんだ。
 
 結果、俺はこの世界がであることが分かった。
 もちろん俺も例に漏れず美形だった。
 
 嬉しい。ただ嬉しい。俺はそう思っていた。
 前世では不細工で整形しようかと考えたこともあったからだ。
 

 しかし、いくら世の中の全員が美形になったとてその中にはやはり優劣が存在する。
 人間は優劣をつけたがる生き物なのだ。
 
 
 ――なのに。
 

 そう、なのに俺は自分の顔が客観的に見てイケメンなのか不細工なのかがわからないのだ。
 テレビやネットでイケメンと呼ばれている人そして不細工と呼ばれている人を見比べても、その差異が分からなかった。
 
 
 「これじゃあ転生した意味が…………そうか」
 
 
 そうだ完全に忘れてた。
 俺は今自分の顔のことばっかり考えてたけど……それは男だけじゃなくて女にも当てはまる。
 男にあるなら女にも優劣があり美人と不細工が存在するはずなのだ。
 
 
 と言うわけで直ぐさまそれについて調べることにした。
 
 
 ………………

 
 …………

 
 ……
 
 
 結果、女性にも顔の優劣が存在しその傾向は前世よりも異常に高いことがわかった。つまり顔重視の世界になっているということだ。
 加えてこの世界の人間はやはり不細工よりも美人を好きになることが圧倒的に多かった。
 
 そして…………俺はこの世界の不細工と呼ばれる人でも美人に感じるらしい。それも美人との違いがわからないほどに。


 「……神過ぎないか?」


 つまり俺は男に人気のない女性をターゲットにすれば…………。

 
 ――まさにwin-winの関係ってやつだ。
 
 
 問題は俺の顔の評価だが……正直貞操観念が逆転していることを考えると男なら誰でもいいって考えている女性はいるだろう。
 ならそういった人たちを狙えばいいだけの話だ。

 
 「……ふふ」


 俺の中の何かが叫んでいるぜ。
 今世は他人の目を気にせず好きなことをするって決めたんだ俺は。
 
 
 よし。こういう時のためのSNS!
 これで裏アカとか作って遊び相手を探す!


 「――よし……裏アカ作成完了っと。プロフィールは勿論俺の自撮りだな」


 もしこれで相手から連絡があれば俺の顔でも大丈夫という子だろう。
 そして俺は不細工でも関係ない、つまり相手は誰でもいいと来た。


 
 ――やっべ、興奮してきた。

 
 
 
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