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第8話 入学式③
しおりを挟むあれから入学式は紆余曲折を経て無事に終了した。
無事だったからよかったものの、大変だったのはやはり入場の時だろうか……。
入場は新入生が全員で列をなして入場するわけだが、俺はその最後尾に並んでいた。
なるべく混乱を避けるためらしい。
そして俺の番が来たので入場したのだが、…………とにかく凄かった。シャッターが。
保護者席から止まることなく連続でシャッター音が聞こえてくるんだよ……。マジでびっくりした。
盗撮じゃないか? とも思ったが、別に撮られて困る事も無いのでリップサービスということにした。
式が始まってからはシャッター音は聞こえ無くなったので、やっと落ち着けると思ったが今度はたくさんの視線を感じた。
来賓や教師、新入生や保護者。…………やはり慣れないと駄目だな。
学園長式辞、来賓祝辞、来賓紹介・祝電披露、そして歓迎の言葉。
歓迎の言葉では、生徒会長である西園寺蓮末生徒会長が、生真面目な感じではなくユーモアに溢れた素晴らしい祝辞を読み上げてくれた。彼女は身長低めで小柄、髪は黒のポニーテール。まだ見た目でしか判断ができないが、どちらかと言えば元気系の会長なのだろう。とても人柄が良さそうに感じられた。
最後に新入生代表挨拶。
これは新入生の首席合格者が行うもので、今年度の首席は美波麗奈さんだった。
彼女は西園寺生徒会長とは異なり、ユーモアよりも頭の良さが伺える礼儀正しい素晴らしい宣誓をしてくれた。
彼女は身長高め――と言っても170cmは無いくらい――なのだが、注目すべきは彼女の容姿である。
……金髪であった。金髪のワンサイドテールである。
学園の校則違反ではないのか?と思ったが、よくよく思い出すとこの世界には、黒髪以外にも金髪や銀髪や茶髪など様々な髪色の人がいた。
多分世界各地で人口減少が起きているから、国同士が協力して精子提供をしている。それ故にだろう。
しかし日本では比較的黒髪が多いので目新しくはあった。
そんな彼女だが、代表挨拶を終えて自分の席に戻る間、俺に視線を送ってきていた。
対して俺も彼女を見ていたので自然と目が合う。彼女は目が合ったことに驚き恥ずかしがりながらも可愛らしい笑顔を向けてきた。
……そして俺はその笑顔に僅かながら見惚れてしまった。――危なかった! 前世の俺だったら完全に落ちてた……。
男として負けるわけにはいかなくなった俺は、お返しとばかりに最大の笑顔――これは家族にすら見せたことのない笑顔で、俺が密かに練習していたもの ――を繰り出す。
すると――――それを見た彼女は顔を真っ赤にして早歩きで戻っていった。
フッ。俺の勝ち。
その後は校歌斉唱、閉会の挨拶と続いて無事? 入学式が終了した。
これをもって正式に清明学園の一年生になったわけだが、いろんな意味で学園生活が楽しみだと改めて感じた。
――あ、退場するときに2度目のシャッター祭りがあったとだけ言っておく。……マジで疲れた。
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