23 / 26
第23話 デート③
しおりを挟む昼食の後。
俺と七海は、服を見るためにアパレルショップを訪れていた。
折角のデートなのでお互いに似合う服を選んでプレゼントし合うためだ。
「これとかどうかな……」
俺が選んだのはピンク色の……何かサラサラした奴(語彙消失)。
今日の服装を見て清楚系が似合うと思ったので、似たような系統で選んでみた。
「こっちもいいな……」
もう一つ選んだのは、前々から似合いそうだと思っていたゴスロリ系の服。
肌が白くて黒髪がきれいな女性は皆これに適性があると俺は思っているので、七海は絶対に合うはずだ。
「………どっちも試着してもらおう」
俺はその二着を持って七海の方へと向かうことにした。
七海は今俺の服を選んでくれているのでメンズのコーナーにいるはず。
男少ないのにメンズコーナーいるのか?って思ったんだけど、何処の店も一抹の期待を持ってスペースを作っているらしい。実際俺が来たわけだから間違いでは無いと思う。
「……女物の服……彼女が……」
「……うらやましい……あんなイケメン」
「……イケメンじゃ無くていいから……男欲しい……」
今日何度目かの視線を受けながら店内を闊歩する。
視線を向けられるのは別にいいんだけど、せめてガン見じゃなくて隠れるようにして欲しい。
ていうか、メンズの所に七海を一人にしたけど……不審者に思われてないよね?
少し心配になったので俺は急ぎ足で向かった。
到着した所では、――――――七海と店員が大量の服を台に並べてあれこれと話していた。
心配は無用だったどころか、むしろ店員の意見を参考にして七海が仲良く服選びをしていたみたいだ。並んでいる服の数からしてもうかなり時間が経ってると思うんだけど、店の方に戻らなくていいんだろうか。
「七海」
「あ、玉城先生!千葉さん、この人です!」
「……うぇ?! ……めちゃくちゃ格好いい男性じゃん七海ちゃん! お姉さん羨ましいよ!」
七海に声をかけると、店員が変な声を上げた後興奮した様子で七海に話しかけていた。
「でしょ?! 今日はデートなんだ!」
自慢するように七海が言った。
だけど当の七海の耳は真っ赤に染まっているため…………きっと自慢したけど恥ずかしいんだろうなぁ……可愛いやつ。
「それで、選び終わった?」
「はい!これです!」
七海はそう言って10着ほどの服を取り出す。
俺が選んだのは上だけだったのに比べて、こちらは上下一式揃っていた。
どの服も俺が自分では絶対に買わないようなものだとだけ言っておこう。服の名前が全くわからなかった。
「そ、そんなに……? 3着くらいでいいんだけど」
「――それは私に説明させてください!!!」
困惑していると、俺に向かって店員の千葉さんが声をかけてきた。
「こちらは、当店から無料でプレゼントさせて頂きます!ただ……」
「ただ……?」
何だろう。一晩お相手して欲しいとか……?
「その……、5枚、いえ3枚でいいので宣伝用に写真を撮らせて頂きたく……!!」
……なるほど、俺は思考が性的なものに寄っていたみたいだ。
普通に俺を広告のモデルに使いたいだけだった。
正直俺にとってメリットでしか無いんだけどどうしたもんか。
……ああ、そう言えばこの世界の男だと99パーセント無理なのか、こういう自分の姿が晒されるようなやつ……。俺、男の知り合いにいないから感覚麻痺してた。
「いえ、こちらこそよろしくお願いします」
「ほ、ほほ本当ですか?!あ、ありがとうございます!」
スーツ姿でガッツポーズを決める千葉さんがそこに居た。
「で、では!まずこちらの方の試着をお願いします!」
「わかりました」
「……先生、私手伝います……!! 」
「あ、うん、ありがとな」
俺は目をギラつかせた七海と共に試着室に入る。
中には入ると、俺は上着とズボンを脱いで七海に渡し、持ってきた服を着る。
「着替え終わったけど……七海大丈夫か?」
「は、はい……!! 問題ないです……はぁはぁ……!!」
何かに堪えるような様子の七海に俺は心当たりがあるので触れないでおく。
試着室を出た後は千葉さんにその場で撮影をしてもらう。
撮影するなら場所を変えたり照明とか必要なんじゃ無いかと思って聞いてみると、この方が店的にはおいしいということで、このままでお願いされた。
「あ、ありがとうございます! 素敵です! 次も行きましょう!!」
「わかりました」
その後繰り返すこと9回。全ての撮影を終えるといつの間にか増えていたスタッフ一同に感謝されながら試着に使用した10着を頂いた。
「次は七海だな、手伝うぞ」
「は、はい……」
もちろん七海の試着の際は俺も手伝った。
恥ずかしそうに身体を隠す七海は、色々と凄かった……。
15
お気に入りに追加
240
あなたにおすすめの小説
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
裏アカ男子
やまいし
ファンタジー
ここは男女の貞操観念が逆転、そして人類すべてが美形になった世界。
転生した主人公にとってこの世界の女性は誰でも美少女、そして女性は元の世界の男性のように性欲が強いと気付く。
そこで彼は都合の良い(体の)関係を求めて裏アカを使用することにした。
―—これはそんな彼祐樹が好き勝手に生きる物語。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
18禁NTR鬱ゲーの裏ボス最強悪役貴族に転生したのでスローライフを楽しんでいたら、ヒロイン達が奴隷としてやって来たので幸せにすることにした
田中又雄
ファンタジー
『異世界少女を歪ませたい』はエロゲー+MMORPGの要素も入った神ゲーであった。
しかし、NTR鬱ゲーであるためENDはいつも目を覆いたくなるものばかりであった。
そんなある日、裏ボスの悪役貴族として転生したわけだが...俺は悪役貴族として動く気はない。
そう思っていたのに、そこに奴隷として現れたのは今作のヒロイン達。
なので、酷い目にあってきた彼女達を精一杯愛し、幸せなトゥルーエンドに導くことに決めた。
あらすじを読んでいただきありがとうございます。
併せて、本作品についてはYouTubeで動画を投稿しております。
より、作品に没入できるようつくっているものですので、よければ見ていただければ幸いです!
俺の旅の連れは美人奴隷~俺だって異世界に来たのならハーレムを作ってみたい~
藤
ファンタジー
「やめてください」「積極的に行こうよ」「ご主人様ってそういう人だったんだ」様々な女の子とイチャイチャしながら異世界を旅して人生を楽しんでいこう。
男女比崩壊世界で逆ハーレムを
クロウ
ファンタジー
いつからか女性が中々生まれなくなり、人口は徐々に減少する。
国は女児が生まれたら報告するようにと各地に知らせを出しているが、自身の配偶者にするためにと出生を報告しない事例も少なくない。
女性の誘拐、売買、監禁は厳しく取り締まられている。
地下に監禁されていた主人公を救ったのはフロムナード王国の最精鋭部隊と呼ばれる黒龍騎士団。
線の細い男、つまり細マッチョが好まれる世界で彼らのような日々身体を鍛えてムキムキな人はモテない。
しかし転生者たる主人公にはその好みには当てはまらないようで・・・・
更新再開。頑張って更新します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる