貞操逆転世界の男教師

やまいし

文字の大きさ
上 下
21 / 26

第21話 デート①

しおりを挟む


ワックスで軽く髪を整え、粘着クリーナーで埃を一つ残さず取り除く。

22℃という暖かな春の陽気に合った薄手の服装で着飾った俺は、待ち合わせ場所である駅前の広場で壁により掛かりながらイヤホンを付け音楽を聴いていた。

「ちょ……やば」
「うそぉ……格好いい……」
「声かけたい……でもレベルが高すぎる」
「せ、せめて写真だけ……カシャ」
「カシャ」「カシャ」「カシャカシャ」

閉じていた瞼を開き辺りを眺める。

今日は休日であることに加え半袖でもいいくらい暖かいため、スカートやホットパンツを履いた女性達が沢山この駅を利用しているようだった。

この駅の目の前には、スポーツやカラオケ、ファッションセンターや飲食店と様々な店舗が並ぶ大型ショッピングモールがある。

女性達は友人や家族と休暇を満喫するべく続々と吸い込まれるように入っていった。
一応男連れの女性もおり、その人は周りから明らかに視線を集めてしまうため遠くからでも居場所がわかってしまう。しかし、視線に居心地悪そうな表情を作る男性に比べ、女性の方は慣れているのか、または注目を集めることが嬉しいのか、それとも自慢したいのか、視線が集まりだした所で男性と腕を組み始め何のためらいも無く堂々と闊歩していた。
……確認せずとも周囲の羨む表情が目に浮ぶ。


「――玉城先生!お待たせしましたっ!」


待つこと数分。

駅のエントランスから、緑っぽい色の服に膝下のホワイトスカート、肩から白の小さめのショルダーバッグ、靴は白のスニーカーという清楚系のコーディネートで統一されたファッションを身に纏った七海がこちらに向かって来た。


「来たばっかりだから気にしないで」

「よかったです! あっ……その、先生とてもオシャレで似合っていて、す、素敵です!」

「ありがとう。七海の方こそ制服姿も可愛かったけど……今日は一段と可愛いよ」

「……っ!! あ、ありがとうございます!頑張って選んで良かったです!」


七海は褒められて照れたのか顔を少し赤らめる。
俺はそんな恥ずかしがる七海に近づくと横に並び、手を握る。


「えっ……せ、先生……?!」

「デートなんだし手くらい繋ぐだろ? 嫌なら外――――」

「い、嫌じゃ無いです!ビックリしただけですから!――はっ!」


周囲の視線に気付きますます顔を火照らせた七海は、周囲から隠れるように俺の背中に顔を隠す。……可愛すぎかよ。

このままだと一向にデートが進みそうに無かったので、俺は七海の手を引っ張るようにショッピングモールに足を進める。

七海の手は白く、細く、スベスベしていて、お互いの握り合う手のコントラストが俺に強く七海の女性らしさを意識させた。


「待ち合わせはあの子?!」
「確かに可愛いけど……」
「キィー!!手なんか握っちゃって!」
「羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい……」


外野から怨念のようなものが聞こえたがきっと気のせいだろう。
成仏してクレメンス。

しばらく経って落ち着いた様子の七海に声をかける。


「落ち着いた?」

「あ、は、はい!手を握るのは恥ずかしいですけど……幸せです」

「それなら良かった。……映画楽しみだね」

「は、はい!私あの映画の原作小説が大好きで……先生と見れるなんて楽しみすぎます!」


今日は最初に映画館で七海一押しのラブロマンス系の映画を見る予定だ。

七海によるとこの映画は現在女性達に大ヒットしていて、内容的に男性との恋愛の話なので、女性は愛する男性とこの映画を見るのが夢なんだそう。

俺も映画は好きなので今から楽しみだ。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

【掲示板形式】気付いたら貞操逆転世界にいたんだがどうすればいい

やまいし
ファンタジー
掲示板にハマった…… 掲示板形式+αです。※掲示板は元の世界(現代日本)と繋がっています。

俺、貞操逆転世界へイケメン転生

やまいし
ファンタジー
俺はモテなかった…。 勉強や運動は人並み以上に出来るのに…。じゃあ何故かって?――――顔が悪かったからだ。 ――そんなのどうしようも無いだろう。そう思ってた。 ――しかし俺は、男女比1:30の貞操が逆転した世界にイケメンとなって転生した。 これは、そんな俺が今度こそモテるために頑張る。そんな話。 ######## この作品は「小説家になろう様 カクヨム様」にも掲載しています。

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

同級生の女の子を交通事故から庇って異世界転生したけどその子と会えるようです

砂糖流
ファンタジー
俺は楽しみにしていることがあった。 それはある人と話すことだ。 「おはよう、優翔くん」 「おはよう、涼香さん」 「もしかして昨日も夜更かししてたの? 目の下クマができてるよ?」 「昨日ちょっと寝れなくてさ」 「何かあったら私に相談してね?」 「うん、絶対する」 この時間がずっと続けばいいと思った。 だけどそれが続くことはなかった。 ある日、学校の行き道で彼女を見つける。 見ていると横からトラックが走ってくる。 俺はそれを見た瞬間に走り出した。 大切な人を守れるなら後悔などない。 神から貰った『コピー』のスキルでたくさんの人を救う物語。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~

トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。 旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。 この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。 こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

処理中です...