貞操逆転世界の男教師

やまいし

文字の大きさ
上 下
6 / 26

第6話 慰労会

しおりを挟む

会議は紆余曲折ありながらも何とか終わった。
通常の職員会議では一時間から二時間で終了するのがスタンダードなのだが、途中休憩を挟んだり話が脱線したりした結果、時刻は既に18時をまわっていた。

現在俺は、理事長を含めた会議参加者全員と共に駅近郊にある居酒屋――人数が40人近くのため座敷を使用――にいる。
会議終了時に『皆で飲みに行きませんか?』と誘ってみたら全員喰い気味に乗ってくれたのだ。

教師生活は初めてだから分からないけど、普通こういう職場での飲み会は、行きたくないけど行かなければ後々面倒だから行く、と前世ではなっていたと思うが……全然そんなことなかった。よくネットで『近頃の新入社員は飲み会を断る』『飲みにケーションは大事なことだ』等と言った記事を見たから間違いない。
それなのにこの参加率の高さ。皆が男に飢えていることがわかる。先ほどからねっとりとした視線を感じるし。

席順は、権力を発動させようとした理事長に他の教師達が団結して反対したためくじ引きになり、結果は正面が二年二組担任の小林先生、右隣が三年三組担任の篠原先生、斜めが養護教諭兼スクールカウンセラーの山下先生になった。四人席である。ちなみに理事長は一番遠くの席。正当なるくじ引きの結果だ。しかし残念なことに今も『理不尽です~!』『わたしの玉城先生が~!』などと喚いている。本当に残念な人だ。


「玉城先生はお酒強い方ですか?」

俺が席に座ると、俺の正面に座る小林先生がそう声をかけてきた。

「結構いける口ですね。小林先生はどうですか?飲めます?」

「私は弱いのでサワーです!」

小林先生はどうやらお酒が弱いからサワーを飲むらしい。何とも先生のイメージに合っていた。小動物系というか。
しかし、俺としては酔った女性を見たいのでビールを勧めてみることにした。酔ったら素が出るはずだ。

「サワーいいですねー。ですが、今日はビールに挑戦してみませんか?私の少し分けますよ?」

「えぇ?! (……間接ってこと?!) え、えぇ……ぜひ……お願いします」


酔った後にどんな反応をするのか今から楽しみだ。



「玉城先生、何か食べたいものありますか?」

談笑しながらお酒を飲み進めたところで、不意に篠原先生が声をかけてきた。篠原先生の手にはオーダー用のタブレットがあった。

「えっと……では焼き鳥を。篠原先生、任せてしまって申し訳ないです」

「いえいえ!好きでやってることですから!」

言葉から、本心でそう思っているのが伝わってくる。
この人でも結婚できないんだから、この世界は本当に理不尽が過ぎると思う。

「ありがとうございます……そういう女性は素敵だと思います」

「…………え?(これって告白?!)」

率先して雑事を出来る篠原先生はとても素敵な女性だ間違いない。
将来は――出会いがあれば――良い奥さんになるだろう。



「今日は学校始まって初日でしたけど、玉城先生はどうでしたか?」

飲み会が中盤に差し掛かったところで、山下先生がそう声を掛けてきた。

「そうですね。始めて教師という物をしてみて、この職は結構自分に合ってると思いました」

「それは良かったです。突然理事長から『男性が教師をやる』と聞いたときは驚きましたが……玉城先生なら安心ですね」

理事長……。
そう思い視線を送ってみると、あの人は先ほどこっちに突撃して満足したのか、向こうでだらしない格好をしながら幸せそうに眠っていた。……本当残念な人だ。顔は良いのに。

「……山下先生にそう言って貰えて光栄です。ですが、むしろ先生の方が大変だったのでは? スクールカウンセラーでしたよね?」

「…………ええ、まぁ (私の方が光栄ですよ玉城先生と会話が出来て!だって私はメガネで背が低くて胸もお尻も大きくてブスだから……せめて同じ悩みを持つ生徒の心を軽くするためにカウンセラーを目指しただけですから)」

「……山下先生?」

「あ、すいません! えっと、そうですね、今日はカウンセリングというよりは生徒達の話を聞いていただけですよ!『目指せ!二年一組打倒!』みたいな! 」

「おお……担任としては何とも言えないですけどそれは先生が生徒に信頼されているということなので尊敬します」

「そ、そうだと嬉しいです!(私みたいなブスにも優しいし話を聞いてくれるなんて……玉城先生の方が尊敬します!!むしろ私よりカウンセラー向いてます!)」


俺が目指すべき教師像は山下先生かも知れない……話を聞いてそう思った。
生徒達と冗談を言い合うような、そんな慕われる先生に俺はなりたい。

…………親しみのあるエッチなお兄さん的ポジションで。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【掲示板形式】気付いたら貞操逆転世界にいたんだがどうすればいい

やまいし
ファンタジー
掲示板にハマった…… 掲示板形式+αです。※掲示板は元の世界(現代日本)と繋がっています。

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

俺、貞操逆転世界へイケメン転生

やまいし
ファンタジー
俺はモテなかった…。 勉強や運動は人並み以上に出来るのに…。じゃあ何故かって?――――顔が悪かったからだ。 ――そんなのどうしようも無いだろう。そう思ってた。 ――しかし俺は、男女比1:30の貞操が逆転した世界にイケメンとなって転生した。 これは、そんな俺が今度こそモテるために頑張る。そんな話。 ######## この作品は「小説家になろう様 カクヨム様」にも掲載しています。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます

neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。 松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。 ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

貞操逆転の世界で、俺は理想の青春を歩む。

やまいし
ファンタジー
気が付くと、男性の数が著しく少ない歪な世界へ転生してしまう。 彼は持ち前の容姿と才能を使って、やりたいことをやっていく。 彼は何を志し、どんなことを成していくのか。 これはそんな彼――鳴瀬隼人(なるせはやと)の青春サクセスストーリー……withハーレム。

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜

自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで220万PV達成! 理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」 これが翔の望んだ力だった。 スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!? ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。

処理中です...