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9話
しおりを挟む「それじゃ始めるよ!」
『『『はい!』』』
生放送を行なうとSNSで告知してから約一週間の今日。
hajime、kizuna、亜美、美空の4人が気合いを入れると共に遂に生放送が始まった。
放送場所はhajimeの部屋。新しく購入したふかふかのソファーにkizuna、hajime、亜美の順で座っている。美空はもちろん定位置であるhajimeの膝の上だ。姉である亜美はこの事に何度も親切心から説得を試みたがhajimeが『みく…ここがいいっ!! だ、だめ…??』という美幼女の上目遣いに悩殺されたため結果叶わず。彼女のおやつは永久に停止されたらしい。
「初めまして!皆、まずは今日集まってくれてありがとう!hajimeです!」
コメント
:きた!
:……
:とうとい
:動いてる…
:はいイケボきたこれ
:バブゥ
:何これ…まぶしい…
:私だけに向けられた笑顔
:え…待って膝上に女の子いるんだが?
:えっ
:どこ住みですか?!
男が挨拶をすると視聴者の反応はいくつかに別れた。
多くは彼の顔に思考停止するもの、尊いの過剰摂取により幼児退行するもの、ガチ恋勢になるもの。そして少数だが膝上の幼女に気付くものがいた。
しかし初めての配信で慣れていない男は、そのコメントの急流…いや濁流に目が追いついていなくそれに気付くことは無かった。
「そして彼女たちはアシスタントのkizunaちゃん、亜美ちゃん、美空ちゃんです!」
『『『よろしくお願いします!』』』
そしてこの時になって多くの視聴者の意識が男から傍に居る彼女たちに移った。
自分たちは画面から観ることしか出来ないのに彼女たちは同じ部屋で同じソファーに座っている。しかも彼女たちは皆若く全員年下。自分たちがその年頃の時は男の出会いなど皆無でありそれは社会人として日々仕事に勤しむ今も同様。
――沸き起こるのは当然嫉妬であった。
コメント
:そこ代われよ小学生ぇえええ!!!
:ブラック企業で擦り切れながら懸命に働いてる私っていったい……
:けっ いい気になるなよ
:ずるいずるいずるいずるいずるいずるい!!!!
:あ!今、私のhajimeを◯◯したでしょ!!絶対に許さない!
:じろじろ見過ぎ! ◯◯丸出しかよ!
しかしこうなることを理解していた彼女たちはコメントを制限。
hajimeの視界に入れないように対処していた。ファインプレーである。
現に男は「さっきよりコメント早くなってる…すげぇ」と嬉しそうにしていた。アホだった。
「では早速企画説明に行きます!」
画面に簡単なルールが書かれた紙が表示される。
視聴者は「参加型がいいな」や「エッチなの来い!」と誰もが思っていた。だって女の子だもの。
だがそれは完全に良い意味で裏切られた。
――野球拳
それは御伽噺に登場するレベルの伝説上の遊戯。
今より遙か昔のどこかの国の王が国中の美少年を集めて開催したと言われる究極の娯楽だった。
◆◆◆
配信が始まってから1時間。
画面にはボクサーパンツ一枚の男と上下下着姿の女子3人が居た。とどのつまり全員が全部脱いだ状態だった。
「え…えっと……冷静になると凄く恥ずかしい…」
コメント
:(昇天)
:…
:ヤバすぎた……作家さん達捗るだろうなぁ
:当分オカズには困らない
:私も脱がせたかった!!!
:アシスタントの子達の視線がチラチラしてたの微笑ましいわ…
:↑それ 最初は嫉妬したけど全然同類だった むしろ全世界に放映されてる分同情する
:絶対家で〇〇◯◯するんだろうなぁ…
:画面越しでこの威力……自制心鍛えられますね
本来の予定では彼はここまで脱ぐつもりは無かった。精々チラ見せするくらいだった。色々規約とかあるはずだから。
しかし途中から視聴者と連携したkizunaちゃん達に乗せられてしまい結局彼がパンツ一枚になるまでやってしまった。
加えて服を脱がせる役割は勝った相手がやることになっていたので彼は彼女たちのを、彼女たちは彼のを脱がせた。もちろん脱がせるときは至近距離だし匂いもするし触れてしまうこともあるので不可抗力。
何故BANされなかったのか分からなかった。
彼女たちの中で一番そういった気持ち強く、かつ彼とのチョメチョメの経験があるkizunaちゃんに至っては顔が完全にキマっていた。おそらくこの後、何らかの理由を付けて彼は個室に呼び出されるだろう。
それは傍で観ていた二人にも言えることかもしれない。
普段の妄想や映像で観るのとリアルでは刺激が強すぎて思春期の女の子には耐えられないものがあるのだから。
――明日には彼の経験人数が3人になっていることだろう。
「じゃあ皆、そろそろお別れだね 観てくれてありがとう!」
コメント
:行かないで…
:好きです付き合ってください
:どこ住みですか?!
:配信終わったらその部屋から逃げた方がいいよ!その女達犯罪者のする目になっている!!
:何回もリピートします!
:次の配信待ってます!
:逃げて!!
彼は最後にそう残すと配信を終了させた。
周囲の状況――3人の獣が虎視眈々と己を狙っていることに気付かぬまま。
彼は気付いていなかった。後半の数分間彼女たちが一切発言していなかったことに。まるで何かに耐えるようにじっとしていたことに。
――それは彼がパソコンの電源を落としたところで爆発した。
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