穿つ者は戦い抜く

あすとろ

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第一章 異世界への扉

3.銀色のナニカ

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「何をした、とはどういうことでしょうか」

質問を質問で返す。こちらだって知りたいことは山程あるのだ。

「どういうことってそりゃあ……あ、いや、言う必要は無いな」
「それめっちゃ気になるんですけど」

すっごい気になった。何を言おうとしたのか知りたかった。
だが、終わって後ろでこちらの様子を窺ってる奴らもこっちの様子に気付き出したから、早急に切り上げなければならない。なぜなら目立ちたくないからだ。

「それは俺の訓練内容に関わることでしょうか」
「いや、何でもない。聞かなかったことにしてくれ」
と、何も見なかったことにしようとした・・・・・・・・・・・・・・
(へえ)
何を隠してるのか、知りたくなった。
と言っても知る術は無いに等しいのだが。



「これより訓練を開始するが、まず注意事項としていくつか言っておくことがある。」

俺達はあの後無事に天職と技能の確認を済ませ、訓練をするために外へ出た。
訓練所である中庭に出ると先に外に出ていた団長の後ろに何か・・がうず高く積まれていた。

「まずお前らには一人ずつ、担当の騎士が就く。これは俺が直々に選出したから実力は折り紙付きだ。」

団長が俺達の後ろを指し示せば、そこには大勢の騎士と思われる人達がいた。

「次に、騎士の言うことは絶対ではないが言うことは聞いておけ。何か不満があれば俺に言いに来ればい良い。」

その言葉に騎士達が野次を飛ばす。馬鹿にされたことに不満を持っている、というよりは楽しんでいるように見える。
話し終えると、団長の後ろにあった荷物を俺達の前に並べた。

「ここからお前たちの装備品を持って行ってもらうが、注意する点がある。勝手に持っていくな、管理が出来なくなる。そして、渡す前に名前と天職を言え。これも大事だからなー。」

そして団長は銀色のナニカが入った小脇に抱えられる程の瓶を掲げた。

「これはお前ら専用のモノ・・だ。後々説明はされるだろうが、今は持っておけ。」


「村木涼介、天職は狙撃手スナイパーです」
「はいよ、お前さんの衣服と武具だ」
「ありがとうございます」
「あいよ、はい次ぃ!」
それぞれに装備が配布され、担当の騎士が就いたところで訓練が始まった。
まず互いの自己紹介から始まった

「じゃあ俺からってことで…第八魔導・騎士混合部隊第二小隊長のノーランド・ギルデアだ。趣味は酒と睡眠だ、よろしく。」

酒と女じゃないんだな、趣味。
「む、村木涼介です。」
「おっ、ムラキっつうのか。なんかムラムラすんな。」

うるさい。

「にしてもひょろいなぁ…ちゃんと食ってるか?」
「食べてこれなのでどうしようもないですねぇ…」
「ほーん…」
何かを考える素振りを見せた小隊長は俺に向き直った。
「んじゃあこれから訓練をやるわけなんだが…筋トレは絶対やっとけ。どんな訓練の時でも、だ。」
筋トレ?ああ、そういうことか。
「懐に入られたら終わりですもんね」
「そういうことじゃあないんだが…まあ、そういうことだな」
どっちなんだよ。
「でも、筋トレだけやるわけじゃないですよね?」
「まあそうなんだが。んで、訓練の前にプレート見せろ。」
「何を見たいんですか?」
「いや、訓練の参考に、って思っただけだがな。ほら、さっさと出した出した」
「まあ、良いですが…」
ポケットから出したプレートを小隊長へと渡した。
「ふーん…」
「何か不明な点でもありましたか?」
「そうだな、ちょっと待ってろ」
プレートを俺に返却すると脇に置かれていた瓶を取った。
「これ、使うぞ。」
「何ですか、それ?」
すると、小隊長は不敵な笑みを浮かべた。

「聞いて驚け。これは騎士団に入団する際全員に配布される物でな。これは自分の武器を創ることが出来る・・・・・・・・・・・・・・ガチでヤバい代物だ。」



は?


『自分の武器を創ることが出来る』?

それは

「それは何でも作れるんですか?」
「おう、何でもだ。ただ、機構が細かい物とかは正確に寸法を覚えている必要があるし、要求されるこれ・・の量も相当なものになるから注意がいるぞ。」

つまり



銃でさえも創れるということに他ならないと解釈してもいいんだな?


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