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どうして私じゃなかったの
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「僕、彼女できた」
夢落ちであってほしかった。まだ高校生なのに、随分傷つけられた青春だ。
「え? いつから?」
「昨日からだよ。あ、でも、秘密にしててね」
そう言って人差し指を唇に当てる仕草は可愛かったけど、そんなことはどうでもいい。
「誰と付き合ってんの?」
「となりのクラスの、美里ちゃんと。」
ああ、あの清楚系か。まぁ、意外ではないな。むしろ、似合いすぎてて怖いくらいだ。
「いい子だけどさ……」
「うん」
「あんたには勿体ないよ。やめときなって」
「なんで?もうデート約束しちゃったんだけど」
「そう…」
乙女チックに私は俯く。こんな仕草しても通じないんだろうな。
「じゃあ、僕は行くから」
「……いってらっしゃい」
「いってきます!」
爽やかな笑顔が眩しい。こっちは失恋したばっかりだって言うのに。
どうして…どうして私じゃなかったの…!
***
次の日も、その次の日も、祐介は幸せオーラを振り撒いていた。
今日はどんな彼女と過ごしたのか、昨日は何をしたのか、毎日のように聞かされた。
そして、それは私の精神力を大きく削っていった。
「ねぇ、なんで一々私に言うのよ。」
「だって、友達少ないっていうか彼女以外ほんとにいないから…」
「あっそ。」
絶対こいつ私のことそういう目で見たことない。だから平気なんだ。
なんで祐介なんか好きになったんだろ。私バカみたいじゃん……。
「でも、本当にいい子だよ。僕のこと好きでいてくれるし」
「ふーん」
心底どうでもよくなった私は適当に相槌を打つ。
「明日は遊園地に行く予定なんだ」
「へぇ」
「明後日は映画を見に行って、来週はプールかな」
「あっそ」
「今度家に呼ぶつもりだし」
「はいはい」
「……聞いてる?」
「もちろん」
全然聞いてないけど。ていうか、もうやめて。
「じゃあ私帰るね。」
「あ、そう。じゃあね。」
何事もなかったかのように手を振る祐介に背を向ける。
早く帰って寝よう。疲れた……。
「ちょっと待ってよ」
「なに?」
まだ何かあるのかと振り返ると、祐介の顔が目の前にあった。
驚いて飛び退くと、祐介はニヤリと笑っていた。
「やっと反応してくれた」
「……っ!?」
こいつは一体何を考えているのだ。
私は顔を真っ赤にしてその場を立ち去った。
それからというもの、私は彼を避け続けた。しかし、彼は諦めずに話しかけてきた。
「ねぇ、なんで避けるの?僕何か悪いことでも言った?」
「別に……」
「じゃあ、なんで逃げるの?僕が嫌いなの?」
「……」
答えられなかった。
だって、祐介のこと好きだもん。でも言えないんだよ……。
「あのさ……」
彼が言いかけたその時だった。
「ねえ、どうして私じゃなかったの?」
こらえきれない感情が口から出た。しまった。もう止まらない。
「私の方が可愛いし、頭も良いし、性格良いし、料理上手いし、スタイル良いし……」
「ちょ、落ち着いてよ」
「私の方が絶対に祐介のこと幸せにできるから!!なのに……なんで私じゃないの!!」
私は泣きながら叫んだ。
「どういうこと?」
「は?昔からずっと好きだし!でも祐介彼女できちゃったし!」
「え……そうだったの……?」
「そうだよ!それに最近冷たかったのは祐介のせいだから!」
「えっと……ごめんなさい……」
「謝んなくていいから!これからはもっと構って!」
「はぁ……」
「あとキスして!」
「それはだめだよ。僕彼女いるんだから。」
「じゃあ、ハグして!」
「それもダメだって。」
怒鳴り散らしながら私は帰った。服を脱ぎ散らかして風呂に直行する。ああ、最悪だ。なんてことをしてしまったんだろう。
「うわぁぁぁん!」
泣いた。泣くしかなかった。
だって、振られたんだもの。
夢落ちであってほしかった。まだ高校生なのに、随分傷つけられた青春だ。
「え? いつから?」
「昨日からだよ。あ、でも、秘密にしててね」
そう言って人差し指を唇に当てる仕草は可愛かったけど、そんなことはどうでもいい。
「誰と付き合ってんの?」
「となりのクラスの、美里ちゃんと。」
ああ、あの清楚系か。まぁ、意外ではないな。むしろ、似合いすぎてて怖いくらいだ。
「いい子だけどさ……」
「うん」
「あんたには勿体ないよ。やめときなって」
「なんで?もうデート約束しちゃったんだけど」
「そう…」
乙女チックに私は俯く。こんな仕草しても通じないんだろうな。
「じゃあ、僕は行くから」
「……いってらっしゃい」
「いってきます!」
爽やかな笑顔が眩しい。こっちは失恋したばっかりだって言うのに。
どうして…どうして私じゃなかったの…!
***
次の日も、その次の日も、祐介は幸せオーラを振り撒いていた。
今日はどんな彼女と過ごしたのか、昨日は何をしたのか、毎日のように聞かされた。
そして、それは私の精神力を大きく削っていった。
「ねぇ、なんで一々私に言うのよ。」
「だって、友達少ないっていうか彼女以外ほんとにいないから…」
「あっそ。」
絶対こいつ私のことそういう目で見たことない。だから平気なんだ。
なんで祐介なんか好きになったんだろ。私バカみたいじゃん……。
「でも、本当にいい子だよ。僕のこと好きでいてくれるし」
「ふーん」
心底どうでもよくなった私は適当に相槌を打つ。
「明日は遊園地に行く予定なんだ」
「へぇ」
「明後日は映画を見に行って、来週はプールかな」
「あっそ」
「今度家に呼ぶつもりだし」
「はいはい」
「……聞いてる?」
「もちろん」
全然聞いてないけど。ていうか、もうやめて。
「じゃあ私帰るね。」
「あ、そう。じゃあね。」
何事もなかったかのように手を振る祐介に背を向ける。
早く帰って寝よう。疲れた……。
「ちょっと待ってよ」
「なに?」
まだ何かあるのかと振り返ると、祐介の顔が目の前にあった。
驚いて飛び退くと、祐介はニヤリと笑っていた。
「やっと反応してくれた」
「……っ!?」
こいつは一体何を考えているのだ。
私は顔を真っ赤にしてその場を立ち去った。
それからというもの、私は彼を避け続けた。しかし、彼は諦めずに話しかけてきた。
「ねぇ、なんで避けるの?僕何か悪いことでも言った?」
「別に……」
「じゃあ、なんで逃げるの?僕が嫌いなの?」
「……」
答えられなかった。
だって、祐介のこと好きだもん。でも言えないんだよ……。
「あのさ……」
彼が言いかけたその時だった。
「ねえ、どうして私じゃなかったの?」
こらえきれない感情が口から出た。しまった。もう止まらない。
「私の方が可愛いし、頭も良いし、性格良いし、料理上手いし、スタイル良いし……」
「ちょ、落ち着いてよ」
「私の方が絶対に祐介のこと幸せにできるから!!なのに……なんで私じゃないの!!」
私は泣きながら叫んだ。
「どういうこと?」
「は?昔からずっと好きだし!でも祐介彼女できちゃったし!」
「え……そうだったの……?」
「そうだよ!それに最近冷たかったのは祐介のせいだから!」
「えっと……ごめんなさい……」
「謝んなくていいから!これからはもっと構って!」
「はぁ……」
「あとキスして!」
「それはだめだよ。僕彼女いるんだから。」
「じゃあ、ハグして!」
「それもダメだって。」
怒鳴り散らしながら私は帰った。服を脱ぎ散らかして風呂に直行する。ああ、最悪だ。なんてことをしてしまったんだろう。
「うわぁぁぁん!」
泣いた。泣くしかなかった。
だって、振られたんだもの。
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