久しぶりに…どう?

ヘロディア

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久しぶりに…どう?

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結婚して早6年。
最近、妻の態度が冷たい気がする。
妻はすごく美人で、優しいし、料理も美味しい。
しかし、ここのところ冷たくなったと思う。
笑顔が減った。というか消えた。「ねえ」と話しかけても、「うん」とか、「ええ」とかしか言わなくなった。
僕に愛想を尽かしたんだろうか。
そんなことを考えながら、リビングに入ると妻がいた。
ソファーに座っていた。
僕は、その横に座った。すると、妻から「ねえ」と言われた。
僕は、「何?」と答えた。妻は黙って僕の肩に頭を乗せてきた。そして言った。
「あのね……」
そう言うとまた黙ってしまった。僕は待った。5分くらい経ってやっと口を開いた。僕的には「久しぶりに…どう?」とかを期待していたのだが…
「あのさあ……」
「なに?」「私、あなたとはもう終わりだと思うんだよね」
僕は一瞬何を言われたのか分からなかった。ただ呆然としていた。
「じゃあね」
と言って妻は立ち上がり玄関に向かった。僕は慌てて追いかけたが追いつかなかった。
靴を履いてドアノブに手をかけた時、妻が振り向いて言った。
「あなたとの結婚生活は楽しかったよ。ありがとう」
バタンッ! ドアが閉まった。鍵がかかる音がした。
ガチャリ……。
僕は泣き崩れていた。どうして…何があったんだ…? 僕は必死になって考えた。……ああそうだ。確か昨日、妻が「明日、大事な用事があるから早く寝るね」と言っていたのを思い出した。あれが原因なのか。
これは僕よりも大事な人ができたんだじゃいだろうか。そうに違いない。きっとそうだ。
僕は確信した。
僕はふらつきながらも立ち上がった。そして、寝室に向かい、ベッドに入った。そのまま眠りについた。
朝起きると妻はやはりいなかった。テーブルの上に手紙があるだけだった。
『ごめんなさい。私はもうあなたの元には戻れません。どうかお幸せに』……こんなもの置いていきやがって。ふざけんなよ。こっちこそお前なんか願い下げだ。
くそっ。
僕は怒りに任せて紙を破り捨てた。そして、泣いた。
電話を掛ける。意外にも出てくれた。
「ねえ、どうして?なんで!」
僕は怒鳴っていた。相手はしばらく沈黙していたが、やがてこう言った。
「私、もうあなたと一緒にいるの辛いんです。別れてください」
「嫌だよ!絶対別れたりしないぞ」
僕は喚いていた。でも彼女は続けた。
「いい加減にしてください。はっきり言いますけど、迷惑です。これ以上付きまとうなら警察呼びますよ?」
そう言って電話は切れてしまった。
そういえば新婚のときと比べて、僕の態度は随分と変わってしまったような気がする。
彼女のためにも身を引いた方がいいのかもしれない。それが一番良い方法だろう。……なんて簡単に言えるわけがないじゃないか。諦められるはずもない。
そんな僕の望みを打ち砕く光景がその翌日、目の前にあった。彼女が男と手を繋いで歩いていく姿が目に飛び込んできたのだ。……誰なんだあいつは?あんな奴知らないぞ?浮気か?不倫か? とにかく許せない。僕の妻をよくも……! 後をつけることにした。2人は映画館に入っていった。……僕は映画館の前で待っていた。1時間程して出てきた。2人が仲睦まじげに腕を組んで歩いている姿を見て僕はショックを受けた。
2人の姿が遠くなっていく。
負けってやつか。僕はあの二人の関係に負けたんだ。なんて悲しいことだ。僕は泣きながら家に帰った。……それから3日ほど経った。相変わらず僕の心は晴れない。あの日からずっとだ。一体いつになったらこの苦しみから解放されるのだろうか。
そんなある日のことだった。突然インターホンが鳴った。ドアを開けるとそこには妻がいた。僕は驚いて固まっていた。妻は少し微笑んで言った。
「今度こそ本当のさよならを言いに来たわ」……どういうこと? 訳が分からない。妻は続ける。
「だから最後にあなたとお話ししようと思って来たの」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ。話したいことは僕だってあるさ。だけどそれは君も同じじゃないのか?」
「私は違うよ。もう話すことはないしね」
「え?」
「じゃあね」
妻はそう言うとドアを閉めた。そして、鍵をかける音が聞こえた。ガチャリ……。……まさか本当にこれで終わりなのか? 嘘だろ? 信じたくない現実だった。しかし、いくら待ってもドアが開く気配はない。僕は途方に暮れた。これからどうすればいいんだ?僕はしばらく立ち尽くしていた。
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