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飽きたからっておさらばですか…と思ったらあなたの住宅に知らない方が…

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この人と寝るのが私は普通に好きだった。
この人は私を道具として大事にしてくれているだけだとわかっていながらも、私にはそれが必要だったのだ。だから一緒にいる時間の全てを私はこの人に委ねた。
「んんっ!あっ!あああっ!」
私はその独特の感覚に喜びを感じる。
彼に翻弄されながら、それでも私にとってそれは最高の時間だった。
「こっちはどうかな?」
「ああん!!」
「相変わらず敏感だな」
そんな私を見て彼は笑う。
「だって、いいんだもん……」
私はそう言うのが精一杯だった。
そしてそのまま彼に身を任せる。
「あっ!そこっ!」
一番感じる所。
その度に身体が大きく反応してしまうのを抑えられない。
もう自分の意思ではどうすることもできなかった。そんな私を見て彼は言う。
「やっぱりお前は最高だよ」
そう言われて私は嬉しくなる。
私たちは結婚していたが、ずっとそういう感じだった。私はこの人に必要とされている。そう感じるのが何よりも嬉しかった。

できれば捨てないで欲しかった。ずっとこの中途半端な感じでいたかった。
「端的に言うと、君に飽きた。」
「はぁ」
彼は私の反応を見て言う。
「だから、もう終わりにしようと思う」
「えぇ……」
私は困惑するしかなかった。
なんで急に? 今までうまくやってきたじゃない? そんなのありえないよ……。
「えっと、他に好きな女の人ができたの?」
私は恐る恐る聞いてみる。すると彼は首を横に振った。ということは単純に私に飽きたということか……。それならきっと仕方ないのだろう。いつまでもこの関係を続けられるわけがないのだ。でもやっぱり悲しいし納得できない部分もあった。「そっか……」
私はそれだけ言うのが精一杯だった。でも、こればっかりはどうしようもないのかもしれない。お互いに飽きてしまったのだから仕方がないのだ。
「まあ、今までありがとう」
彼はそれだけ言うとそのまま部屋を出ていった。

もう、私の欲求を満たしてくれる人はいない。新たに探すのも難しい。このままでは私は……。
「はぁ……」
私は大きなため息をつく。欲求ごときに人生の悩みを量産されるなんて思ってもみなかった。私も随分と堕ちたものだ。
彼は今頃どうしているのだろう。欲求がどうでもよくなったと言っていた。
「まあ、どうでもいいか」
私はそう言うとベッドの中に潜り込んだ。もう何も考えたくない気分だった。

***
別れた彼の住所を知ったのはつい最近。偶然街で見かけ、尾行してしまったのだ。小さなアパートだった。
それから数日に一度、近くまで行った。まるで私のことに気づいて欲しいかのように。
そして目撃することになった。アパートに入って行く女性を。
「あれは……誰?」
私はショックを受けた。そして怒りすら覚えた。
私に飽きたと言いながら別の女を連れ込んでいるなんて!! そんなの絶対に許せない! 
彼に電話をした。まだ、そこまでは絶たれていない。
「もしもし?」
「どうしたの?」
「ちょっと、今、あなたの部屋、入っていい?」
「いや、なんで僕の部屋知ってるのさ」
「いいから、入れて?」
「いや、困るんだけど」
彼は渋る。でもここで引くわけにはいかない。私は彼に会いたいんだ。
そして無理やり部屋に入った。彼は驚いた顔をしていたが、すぐに追い出そうとしてきた。だが、それを無理矢理押しのけると彼に口づけをする。久しぶりの彼の味だった。それだけでゾクゾクしてくるのがわかるくらい興奮した。
彼はそれでも抵抗するが私には勝てないようだ。
「私に飽きたからって…もう次の人?」
「なっ!」
「さっき入って行くの見たよ。今もあっちの部屋とかにいるんじゃない?淫らな格好でさ…」
「帰ってって!」
「嫌!」
彼は私を振り払うことができなかった。
「ねぇ……しようよ」
「なんで……」
「いいじゃん、もう私たち夫婦じゃないんだよ?あなたを待っているあの人とも別に夫婦じゃないでしょ?」
そう、もう私たちはそういう関係ではない。ただの他人なのだ。でもそんなこと私には関係ないのだ。そもそも別れを切り出してきたのは彼なんだから私に文句を言う資格はないはずなんだ。
「今はそういうのじゃないんだよ。それに僕たちはもう終わったんだ」
彼はまだ抵抗を続ける。でも、私はそれを許さなかった。
「私はやっぱりあなたが好きなの!好きだったの!」
そろそろあの女性が怪しがって出てくる頃だ。決着は早めに着けておきたい。
「お願い、一回だけでいいから……」
私はそう懇願する。すると彼は渋々と言った様子で了承してくれた。やはりなんだかんだで優しい人なのだ。そういうところが好きだったのだから仕方がない。
久しぶりの彼の感覚。そのまま私たちは一線を超えたのだった。そしてそのあとすぐに彼女が出てきて私たちを見て逃げ出したのがわかった。
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