浮気なんて信じない

ヘロディア

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浮気なんて信じない

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信じられない光景だった。僕の彼女が他の男とキスをしている。
「……」
僕は黙ってその光景を見ていた。
――どうして? そう思った瞬間、頭が真っ白になった。
「んん…」
なんか官能的な声まで上げている。僕には絶対してくれないのに。「ぷはっ」
唇が離れる。
「なにしてんだよ!」
僕は思わず叫んでいた。
「何って、キスだけど?」
「なんで……そんなこと……」
「だって、この人と付き合ってたから。だからあなたとはもう別れようと思って」
彼女は平然とそう言った。
「嘘だろ……」
僕は呆然としてつぶやいていた。
「えーっと、君は……」
男が話しかけてくる。
「あんた誰だよ!?」
僕は叫んだ。
「いや、俺はこいつの彼氏っていうか…w…そんな、感じなんすけど?」
いやまてよ、これ浮気ってやつ?俺がこいつと付き合う前に、あいつは他の男と付き合っていたわけだよね?じゃあ俺も、浮気相手の一人なのか……。
「ね~え、続きしようよぉ」
「分かったよ」
男と彼女がキスの続きを始める。何なんだこいつら。彼女に明日問い詰めることにする。
「むう…ちゅっ……んふぅ……」
僕は黙ってそれを見ていた。彼女の喘ぎ声が聞こえてくる。こんな姿見たくなかった。でもなぜか目を離せなかった。
――ああ、ダメだ!さっきの光景を見て興奮してしまっていたのだ。
「僕もあの子にあんな声出させたかったのに!!!」気付いたときには走り出していた。そしてそのまま家に帰って、一人寂しく慰めてしまった。
次の日学校に行くと、彼女は普通に登校してきた。
「昨日のあれは何だったんだ?」
途端に気まずそうな顔をする彼女。「それは……」
「言い訳があるなら聞こうじゃないか」
「ごめんなさい……」
彼女は謝った。
「許さないよ。今日家に行ってもいいかな?」
「うん……」
それから彼女とは別れることにした。
「ごめんね、私が悪かったわ。本当に反省しているから」
「もういいよ。君みたいな女と一緒にいるの疲れた」
「待って!」
「さよなら」
僕は振り返らず歩き出した。そしてそのまま家に帰った。
泣いた。思い出す、思い出す、思い出す。彼女との僅かな熱い日々を。しかし今は違う。今の僕はただ冷たいだけだ。涙も出なかった。
ただ一つだけ、これだけは言っておきたいことがある。それは……
「お前だけは絶対に許さんぞ!!!」
その叫びは虚空へと消えていった。
夢を見た。彼女との夢だ。
「や、やぁん……」
「ここが良いのか?」
「そこばっかりいじらないでぇ……」
僕は今、彼女の中に指を入れていた。どうやらここは良いらしい。
「ひゃっ……」
彼女の体がビクンッと跳ねる。どうやら絶頂を迎えたようだ。僕の方にも限界が近づいてきた。そろそろ挿入しようと思う。
「いくぜ……」
「きてっ……!」
気持ちよかった。そこで目が覚めた。
「僕は…こんなことがしたかっただけなのか。」
自分があまりにも不純な男だったのではないかと悟った。
確かにあの子は魅力的だった。美しい容姿をしていたし、性格も良く、成績も良い。欠点と言えば少しわがままなところぐらいだろう。それでもそんなことは大したことではないと思っていたのだが……。
「まさか、自分から別れを切り出すとは思わなかったよ」
それだけ僕にとって大切な存在だったということだ。そんな存在に僕は結局欲を満たそうとしていただけなのだ。つくづく情けなかった。
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