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奥様、よく我慢されましたね

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夫が女好きであることなんて、前から知っていた。でも………。
「どうして……?」
「どうしてって、何が?」
「そんなに若い子がいいの? 私じゃ駄目なの?」
私は震える声で言った。言いながら涙が出そうになった。だが、ここで泣くわけにはいかない。そう思って必死にこらえた。すると、男は困ったように頭を掻きながら、少し考える素振りを見せたあとでこう答えたのだ。
「君のことが一度好きに決まっているじゃないか。」
「嘘つかないで!だったらなんで今になってこんなことをするのよ!あぁんっ!」
私たちはベッドの上で口論を繰り広げていた。
「君のことを愛しているからだよ。だけどね、あの時はまだ若かったんだ。色々経験してみたかったんだよ。わかるだろう?」
「わかんないわよ!あんっ!やめてぇっ!」
私は必死に抵抗するが、彼はお構いなしに私の体をまさぐってくる。そしてついに彼の手が私のモノへと伸びたその時―――。
「きゃあああっ!!」
私は悲鳴を上げてしまった。私のスカートの中は侵略されようとしていたのだ。
「嫌ああぁぁ!!助けてえええぇ!!!」
「いやだよ。」
「お願い許して!何でも言うこと聞くから!もう逆らいませんからぁ!」
私は泣き叫びながら懇願した。しかし、その願いも虚しく、男の手は私の中に入り込み、そのまま撫で回し始めた。
「ひゃうっ!?そこはダメェッ!」
「ここが弱い。」
「ち、違うぅ……!感じてるんじゃなくて、びっくりしただけなんだからぁ……。」
「ふうん。まあいいか。それならそれで楽しめるし。」
「ひっ!そ、それだけは許して……!」
「大丈夫さ。すぐに気持ちよくなるから。」
「だ、誰か助け……」
もうダメだった。
「あっ!あぁんっ♡あぁぁぁ!!!!」
私は快楽に身をゆだねてしまっていた。もう抵抗する気力などなかった。この男のテクニックの前に、私の体は屈服してしまったのだ。
「はぁ…はぁ…」
「どうだい?気持ちよかったろう?」
「はいぃ……きもちよかったですぅ……。」
私はすっかり蕩けてしまい、もはや思考すらまともに働かなくなっていた。
「そうかそうか。じゃあそろそろ本番といこうかな。」
もう嫌だった。こんな夫に我慢していた。でも、今はそれがどうしようもなく心地よいのだ。
「はいぃ……もっとぉ……もっと気持ちよくなりたいれすぅ……。」
「よしきた。」
こうして私は、夫との生活を続けていったのである。
そんな相談をする相手は、今まで私にいなかった。そう、今までは。
「奥様、随分とよく我慢されましたね。」
目の前にいるこの男性こそが、私が頼れる唯一の存在なのだ。私は彼に全てを打ち明けることにした。
「実は……そうなんです。夫の浮気を知ってからは、ずっと耐えてきたんですけど……。夫との行為も最近はエスカレートしてしまって……。」
「それは辛いですね……。」
男性は本当に辛そうな顔をして聞いてくれた。
「はい。でも、最近になって、このままではいけないと思うようになったんです。」
「どうしてですか?」
「だって、こんな生活を続けていたら、私おかしくなっちゃいますもの。それに……。」
「それに?」
「夫は若い子が好きですから。私がいくら頑張っても敵わないんですよ。だから、他の女に取られてしまう前に、どうにかしたいんです!」
「なるほど……。確かに、その通りかもしれませんね……。」
「ええ。なんとかできますかね?」
「もう、離婚されてはいかがですか?」
「えっ?」
予想外の言葉に、私は驚いた。
「えっと、つまり、別れてしまえばいいということでしょうか?」
「ええ。」
「でも、そんな簡単にいくかしら?」
「いけると思いますよ。」
「どうして言い切れるの?」
「あなたには旦那さんより素敵な人が見つかるはずだからですよ。」
「そんなことありませんよ!」
「まだ二十代じゃないですか。十分魅力的ですよ。」
「本当?」
「もちろんですとも。」
「ありがとうございます!少し元気が出ました!あぁ、これで安心して眠れそうです。」
「そうですか。それは良かったです。」
「本当にありがとうございました!また何かあったらよろしくお願いします!」
そうして私は彼との仲を深めていった。そしてある日、ついに私は夫との別れを決意したのだ。
(あぁ、やっと解放されるんだわ……。)そう思った途端、私の心は軽くなっていった。もう何もかもどうでもいい。私は晴れやかな気分になっていた。
それまで夫のことを我慢していた自分が誇らしくすらなってきた。そしてついにその時が来たのだ。私は意を決して口を開いた。
「ねえ、話があるんだけど。」
「何だい?」
夫が不思議そうな顔をしながら聞き返してきた。
「あのね、私たちもう終わりにしましょう? 私、もうあなたの性欲の消費者じゃないんだから。」「どういう意味かな?」
「そのままの意味よ。私はもうあなたにはついていけないの。」
「なぜだ!?」
「何故って、もう我慢の限界なの!これ以上付き合ってたら気が狂ってしまいそうだわ!」
「何を言っている!? 俺はお前を愛しているんだぞ!」
「浮気したくせにいうんじゃないわよ!」
私は感情に任せて怒鳴りつけてしまった。だが、すぐに後悔した。夫の顔つきが変わったからだ。
「なんだと……!? 誰が誰を愛そうと勝手だろうが!」
「開き直らないで!私はあなたのせいでどれだけ苦しんできたと思っているの!?」
「知るか!俺のせいにするんじゃない!」
「もうやめて!これ以上私の人生をめちゃくちゃにしないで!!」
「黙れ!もう我慢ならない!!今日という今日は絶対に許さないからな!!」
「きゃあっ!!」
私は寝室へと連れ込まれそうになる。
「痛っ……!ちょっと、乱暴なことはしないで!」
「うるさい!」
夫は強引に唇を奪ってくる。
「んむぅっ……!訴えてやる!」
「ちっ!…離婚だけは勘弁して欲しかったが…仕方ないな…」
夫は浮気相手のもとへ行った。私たちは正式に離婚できたのだ。
「やった……とうとう解放された……。うぅ、ぐすっ、ひっく……。」
私は声をあげて泣いた。
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