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エルフの国へお帰りです。
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「行っちゃったね~」
文香と弥生が南街道の彼方に遠ざかる馬車を見送って踵を返す。
日程を延長したケイン王子、もとい王女一行は大満足でウェイランドを後にした。
「そうね~。文香もお友達増えて良かったわね」
「うん!」
「真司も仲良く……なったのかなあれは」
「ケインちゃんずっとおにーちゃんと一緒にいたよね」
三日目の事故以降、ケインはちょいちょい真司と行動を共にする事が多く……帰りの行程にもお願いと言う名の護衛指名が入るほどである。
「そうだね。おかげで私もちょっと身体が空いたから助かっちゃった」
本来なら付き添いに弥生が居る事が多くなるはずだったが、真司が代わってくれて別な事をする時間が増えた。特に三日目の事故の後処理が今でも後を引いている。
「今日は文香午後から学校行くね」
「うん、来月はクラス替えだっけ?」
「そうだよー!」
もう少ししたら弥生達がウェイランドへ来て一年となる。
文香の学年も一つ上がり、新しいクラスでまたお勉強が始まるのだ。
すっかり見慣れたウェイランドの城壁を見上げて弥生は感慨にふける。
日差しも暖かくなってきて日が長くなってきた。
「もう一年かぁ……早いなあ」
「文香いつ9歳になったっけ」
「カレンダー無いからわかんないもんね、私も17かぁ……」
そう、元の日本だったら日付がわかるがこちらの世界には無いのでなんとなーくしかわからない。
「今度皆でお誕生日会しよ! ケーキ食べたい!」
「ケーキかぁ……材料あるかな? 商人ギルドに問い合わせてみようかな」
南門の関所を通り、衛兵さんにあいさつしながら二人はウェイランドに戻る。
「もうすっかり見慣れてきたなぁ、文香。このままご飯何処かで食べていこうか」
「うにゅう、ミアちゃん達とお昼食べる約束しちゃってるの」
「あらら、じゃあ急がなきゃ……ジェノサイド」
ぽふん、と弥生の呼び声に答えて髪の毛の中で休んでいたジェノサイド君が出てきた。
「ごめんね。文香を学校まで送ってもらえる?」
こくりと頷くジェノサイド君、最近はジェミニと遊びながら文字を書く練習を文香と一緒にしている時もある。
「わーい! ありがとうおねーちゃん! じゃあまた夕方ね!」
よじよじとジェノサイドに文香がよじ登る。しっかりと糸で落下防止を施したジェノサイドはしゅたっと前足を上げて近くの建物の屋上へとぴょんぴょん飛んで行った。
「いってらっしゃい、と……そういえば一人で歩くのも久しぶりだなぁ」
偶にはゆっくりと戻ろう、疲れたらどこかで休憩しても問題は無い事だし。と歩き出すと道行く人々が弥生に声をかけていく。
「お、珍しいな嬢ちゃん。今日は一人か?」
「ひしょかんのおねーちゃんだー! またあそんでー!」
「今日は護衛いないんでヤンスか? アニキ! 今なら勝てるっす!!」
「ばっかおまえ!! 後で吊るされるだろうが!! もっと弱いの狙え!!」
等々、すっかり弥生の顔はウェイランドでも広く知れ渡っていたりする。
あれだけ日常的ににぎやかにしていれば当たり前ではあるが……
それぞれに答えたり、通りがかりの衛兵に通報したりして弥生は進んでいく。
「そういえばエキドナさん、もうそろそろ調整終わるって言ってたっけ」
ケイン一行が来る前に調整を済ませたかったエキドナだが、その身体は思いのほか深刻で弥生と桜花がつきっきりで一旦間に合わせるのは諦めた。
その分、洞爺が動いてくれたので護衛の手は足りていたしその妻の楓も強い。
息子の浩太も文香と同じ8歳とは思えないほど運動神経が高く、同じクラスでも目立つくらいだ。
「確かここから近いはず」
ひょい、と大通りを外れて狭い路地をすいすい迷いなく歩く弥生。
ほどなくして桜花の拠点である古びた一軒家が見えた。
「あったあった」
築十年の家は頑丈なレンガ造りだが、玄関には新しくつくったであろう新品のドアがつけられていた。
「この木、良いんだよねぇ」
実は弥生の事務机と同じ木材で作られている。
細工は無いが綺麗な一枚板のドアはそれだけで一種のストイックさを感じた。
――こんこん
同じ木で作ったドアノッカーを使うとしっかりと繊維がつまった木が小気味よい音を立てる。
――はぁーい、入って良いわよ。鍵はかけてないから。
奥から響く桜花の返事に弥生は素直にドアを開けた。
ほんのりと弥生の鼻に届くのは機械油の匂いと金属の焼けた匂い。
工房も兼ねている桜花の住処はいつもこの匂いだが、弥生は好きだった。父親もよく同じ香りを纏っていたから。
「おじゃましまーす。桜花さん、エキドナさんの調子どうですか?」
「今最後の仕上げの所、丁度良かった! 地下に来て―!」
居間の横にある地下への階段から桜花の声が飛んでくる。
タイミングも良かった様で桜花の声が明るい……先日までは頭をガシガシと掻きむしりながら煙草をくわえていたのだが……一段落着いたらしい。
すべり止めの施された地下への石階段を下がり、桜花の居る工房へ足を踏み入れる弥生。
そこには作業台の上に寝かされているエキドナがケーブルまみれになっていた。
「おおう、これ大丈夫なんですか?」
「とりあえず順番に外していくわ、例の件も何とかなったしね」
「例の件……ってああ、蜘蛛の?」
「そうそう、まさか最深部の基幹プログラムまで潜らされるとは思わなかった……それでも結局完全に書き換えられなかったけど怖くは無くなった……はず」
一番時間がかかった作業が実はその一点だったりする。
「自分から言い出した時はびっくりしましたけどね」
「そもそも作ったやつが悪い、とまではいわないけど……限度ってあるわよね」
さすがに自我を持っているエキドナのシステム自身に外部干渉はどうなのだろうかと技術組の弥生、桜花は難色を示したのだが……当の本人にお願い何とかしてぇ!! と泣きつかれたので仕方なく挑戦したのである。
「本当ですね……何か手伝います?」
「そうね、エラーコードのチェックも終わってるし再起動の手伝いでもお願いしようかしら」
もちろん桜花一人でもできるが、複数のPCを操作するので手があった方が楽だ。
とは言え、素人では何の役にも立たず弥生並みに呑み込みのいい人でないとかえって邪魔だったりする。
「分かりました。この後みんなでギルド行きません? エキドナさんの再起動チェックも兼ねて」
「良いわね、晩御飯まだだったからお腹空いたわ」
「…………今朝ですよ。むしろもうすぐお昼」
「……だからカタリナが居なかったのか。納得したわ」
つまり徹夜明けらしい、弥生が良く見ればデスクの上には飲みかけのコーヒーやら焼き菓子の後が残っていた。
「ま、まあ……無理はしないでくださいね」
「大丈夫、食べたらギルドで昼寝するわ。部屋貸してね?」
「どうぞどうぞ」
じゃあ、と桜花がエキドナの再起動プログラムを立ち上げようとすると……。
複数のパソコン画面が一斉に文字列を流し始めた。
「おや?」
「我慢できなかったみたいですね」
どうやら自力で再起動を試みている、と桜花と弥生が見守る中。
数分でエキドナの四肢が微かに動き始めた。
「ん……ああ、あーあー……テストテスト」
うっすらと目を開けたエキドナが声を出し、周りをゆっくりと見回す。
「おはよう、エキドナ」
「おはようございます。エキドナさん」
二人がエキドナの顔を覗き込むと、次第にエキドナの表情も笑みに代わり自分で体中に接続されたケーブルを抜き始めた。
「ふぁ……おはよう。なんかすっげぇ頭が重いよおねーさんは」
「システムチェック入ってるからね。数分で終わるはず」
「ああ、本当だ……見た事ない奴は何?」
「サブルーティンと新しくメインカメラに使った魔石製のレンズチェック、一応これで不死族の人も見えるはず」
「おっけー、のぞき見されるのはこれで防げるねぇ」
エキドナの脳内に流れるチェック項目のほぼすべてが緑の表示となっていく。
今までは黄色、赤が主流だったのに今はほとんど無かった。
「調子どうですか?」
「うん、すごくいい……まだ最適化が終わってないけど」
「これからギルドに行くから機能確認ついでに行くわよ、おなかすいたでしょ?」
「ほいほい、大盛りのギルド定食食べたい」
最後のケーブルを抜いて接続部を隠し終わったエキドナが作業台から立ち上がる。
以前に比べて大分体が軽い。
実際にパーツの一部は桜花がEIMSで作成した軽金属に置き換えられているので、物理的にも一割ほど軽くなっていた。
「こりゃいいや、ありがとね桜花、弥生。これなら心配かける事も無いかな」
「それはこれを見ても言える?」
ぽん、と桜花がエキドナに放り投げたのは蜘蛛のミニチュア。
綺麗に塗装までされてそっくりだが……エキドナの反応は淡泊だった。
「……なんでこんなのに今まで怖がってたんだろう、僕」
「良かったですねエキドナさん。でも、これっきりですよ? システムの基幹なんて迂闊に手を出しちゃいけないところで記憶だってなんかの拍子に飛んじゃう事だってあるんですから」
「もうしないよ!! 僕だって内心びくびくしてたもん!!」
さすがにここまで本格的な整備、調整はなかなかやらないからねとエキドナが笑う。
今まで感じていた不便がほとんど解消されていてこれなら大丈夫だと両手を握った。
「じゃ、行こうかしら……急に眠くなってきたわ」
ふひひ、と力なく笑う桜花を筆頭に三人はギルドへ向かう。
そんな三人が去った後の桜花宅に、一枚の手紙が届く。
ウェイランドの危機を知らせる一報が……。
文香と弥生が南街道の彼方に遠ざかる馬車を見送って踵を返す。
日程を延長したケイン王子、もとい王女一行は大満足でウェイランドを後にした。
「そうね~。文香もお友達増えて良かったわね」
「うん!」
「真司も仲良く……なったのかなあれは」
「ケインちゃんずっとおにーちゃんと一緒にいたよね」
三日目の事故以降、ケインはちょいちょい真司と行動を共にする事が多く……帰りの行程にもお願いと言う名の護衛指名が入るほどである。
「そうだね。おかげで私もちょっと身体が空いたから助かっちゃった」
本来なら付き添いに弥生が居る事が多くなるはずだったが、真司が代わってくれて別な事をする時間が増えた。特に三日目の事故の後処理が今でも後を引いている。
「今日は文香午後から学校行くね」
「うん、来月はクラス替えだっけ?」
「そうだよー!」
もう少ししたら弥生達がウェイランドへ来て一年となる。
文香の学年も一つ上がり、新しいクラスでまたお勉強が始まるのだ。
すっかり見慣れたウェイランドの城壁を見上げて弥生は感慨にふける。
日差しも暖かくなってきて日が長くなってきた。
「もう一年かぁ……早いなあ」
「文香いつ9歳になったっけ」
「カレンダー無いからわかんないもんね、私も17かぁ……」
そう、元の日本だったら日付がわかるがこちらの世界には無いのでなんとなーくしかわからない。
「今度皆でお誕生日会しよ! ケーキ食べたい!」
「ケーキかぁ……材料あるかな? 商人ギルドに問い合わせてみようかな」
南門の関所を通り、衛兵さんにあいさつしながら二人はウェイランドに戻る。
「もうすっかり見慣れてきたなぁ、文香。このままご飯何処かで食べていこうか」
「うにゅう、ミアちゃん達とお昼食べる約束しちゃってるの」
「あらら、じゃあ急がなきゃ……ジェノサイド」
ぽふん、と弥生の呼び声に答えて髪の毛の中で休んでいたジェノサイド君が出てきた。
「ごめんね。文香を学校まで送ってもらえる?」
こくりと頷くジェノサイド君、最近はジェミニと遊びながら文字を書く練習を文香と一緒にしている時もある。
「わーい! ありがとうおねーちゃん! じゃあまた夕方ね!」
よじよじとジェノサイドに文香がよじ登る。しっかりと糸で落下防止を施したジェノサイドはしゅたっと前足を上げて近くの建物の屋上へとぴょんぴょん飛んで行った。
「いってらっしゃい、と……そういえば一人で歩くのも久しぶりだなぁ」
偶にはゆっくりと戻ろう、疲れたらどこかで休憩しても問題は無い事だし。と歩き出すと道行く人々が弥生に声をかけていく。
「お、珍しいな嬢ちゃん。今日は一人か?」
「ひしょかんのおねーちゃんだー! またあそんでー!」
「今日は護衛いないんでヤンスか? アニキ! 今なら勝てるっす!!」
「ばっかおまえ!! 後で吊るされるだろうが!! もっと弱いの狙え!!」
等々、すっかり弥生の顔はウェイランドでも広く知れ渡っていたりする。
あれだけ日常的ににぎやかにしていれば当たり前ではあるが……
それぞれに答えたり、通りがかりの衛兵に通報したりして弥生は進んでいく。
「そういえばエキドナさん、もうそろそろ調整終わるって言ってたっけ」
ケイン一行が来る前に調整を済ませたかったエキドナだが、その身体は思いのほか深刻で弥生と桜花がつきっきりで一旦間に合わせるのは諦めた。
その分、洞爺が動いてくれたので護衛の手は足りていたしその妻の楓も強い。
息子の浩太も文香と同じ8歳とは思えないほど運動神経が高く、同じクラスでも目立つくらいだ。
「確かここから近いはず」
ひょい、と大通りを外れて狭い路地をすいすい迷いなく歩く弥生。
ほどなくして桜花の拠点である古びた一軒家が見えた。
「あったあった」
築十年の家は頑丈なレンガ造りだが、玄関には新しくつくったであろう新品のドアがつけられていた。
「この木、良いんだよねぇ」
実は弥生の事務机と同じ木材で作られている。
細工は無いが綺麗な一枚板のドアはそれだけで一種のストイックさを感じた。
――こんこん
同じ木で作ったドアノッカーを使うとしっかりと繊維がつまった木が小気味よい音を立てる。
――はぁーい、入って良いわよ。鍵はかけてないから。
奥から響く桜花の返事に弥生は素直にドアを開けた。
ほんのりと弥生の鼻に届くのは機械油の匂いと金属の焼けた匂い。
工房も兼ねている桜花の住処はいつもこの匂いだが、弥生は好きだった。父親もよく同じ香りを纏っていたから。
「おじゃましまーす。桜花さん、エキドナさんの調子どうですか?」
「今最後の仕上げの所、丁度良かった! 地下に来て―!」
居間の横にある地下への階段から桜花の声が飛んでくる。
タイミングも良かった様で桜花の声が明るい……先日までは頭をガシガシと掻きむしりながら煙草をくわえていたのだが……一段落着いたらしい。
すべり止めの施された地下への石階段を下がり、桜花の居る工房へ足を踏み入れる弥生。
そこには作業台の上に寝かされているエキドナがケーブルまみれになっていた。
「おおう、これ大丈夫なんですか?」
「とりあえず順番に外していくわ、例の件も何とかなったしね」
「例の件……ってああ、蜘蛛の?」
「そうそう、まさか最深部の基幹プログラムまで潜らされるとは思わなかった……それでも結局完全に書き換えられなかったけど怖くは無くなった……はず」
一番時間がかかった作業が実はその一点だったりする。
「自分から言い出した時はびっくりしましたけどね」
「そもそも作ったやつが悪い、とまではいわないけど……限度ってあるわよね」
さすがに自我を持っているエキドナのシステム自身に外部干渉はどうなのだろうかと技術組の弥生、桜花は難色を示したのだが……当の本人にお願い何とかしてぇ!! と泣きつかれたので仕方なく挑戦したのである。
「本当ですね……何か手伝います?」
「そうね、エラーコードのチェックも終わってるし再起動の手伝いでもお願いしようかしら」
もちろん桜花一人でもできるが、複数のPCを操作するので手があった方が楽だ。
とは言え、素人では何の役にも立たず弥生並みに呑み込みのいい人でないとかえって邪魔だったりする。
「分かりました。この後みんなでギルド行きません? エキドナさんの再起動チェックも兼ねて」
「良いわね、晩御飯まだだったからお腹空いたわ」
「…………今朝ですよ。むしろもうすぐお昼」
「……だからカタリナが居なかったのか。納得したわ」
つまり徹夜明けらしい、弥生が良く見ればデスクの上には飲みかけのコーヒーやら焼き菓子の後が残っていた。
「ま、まあ……無理はしないでくださいね」
「大丈夫、食べたらギルドで昼寝するわ。部屋貸してね?」
「どうぞどうぞ」
じゃあ、と桜花がエキドナの再起動プログラムを立ち上げようとすると……。
複数のパソコン画面が一斉に文字列を流し始めた。
「おや?」
「我慢できなかったみたいですね」
どうやら自力で再起動を試みている、と桜花と弥生が見守る中。
数分でエキドナの四肢が微かに動き始めた。
「ん……ああ、あーあー……テストテスト」
うっすらと目を開けたエキドナが声を出し、周りをゆっくりと見回す。
「おはよう、エキドナ」
「おはようございます。エキドナさん」
二人がエキドナの顔を覗き込むと、次第にエキドナの表情も笑みに代わり自分で体中に接続されたケーブルを抜き始めた。
「ふぁ……おはよう。なんかすっげぇ頭が重いよおねーさんは」
「システムチェック入ってるからね。数分で終わるはず」
「ああ、本当だ……見た事ない奴は何?」
「サブルーティンと新しくメインカメラに使った魔石製のレンズチェック、一応これで不死族の人も見えるはず」
「おっけー、のぞき見されるのはこれで防げるねぇ」
エキドナの脳内に流れるチェック項目のほぼすべてが緑の表示となっていく。
今までは黄色、赤が主流だったのに今はほとんど無かった。
「調子どうですか?」
「うん、すごくいい……まだ最適化が終わってないけど」
「これからギルドに行くから機能確認ついでに行くわよ、おなかすいたでしょ?」
「ほいほい、大盛りのギルド定食食べたい」
最後のケーブルを抜いて接続部を隠し終わったエキドナが作業台から立ち上がる。
以前に比べて大分体が軽い。
実際にパーツの一部は桜花がEIMSで作成した軽金属に置き換えられているので、物理的にも一割ほど軽くなっていた。
「こりゃいいや、ありがとね桜花、弥生。これなら心配かける事も無いかな」
「それはこれを見ても言える?」
ぽん、と桜花がエキドナに放り投げたのは蜘蛛のミニチュア。
綺麗に塗装までされてそっくりだが……エキドナの反応は淡泊だった。
「……なんでこんなのに今まで怖がってたんだろう、僕」
「良かったですねエキドナさん。でも、これっきりですよ? システムの基幹なんて迂闊に手を出しちゃいけないところで記憶だってなんかの拍子に飛んじゃう事だってあるんですから」
「もうしないよ!! 僕だって内心びくびくしてたもん!!」
さすがにここまで本格的な整備、調整はなかなかやらないからねとエキドナが笑う。
今まで感じていた不便がほとんど解消されていてこれなら大丈夫だと両手を握った。
「じゃ、行こうかしら……急に眠くなってきたわ」
ふひひ、と力なく笑う桜花を筆頭に三人はギルドへ向かう。
そんな三人が去った後の桜花宅に、一枚の手紙が届く。
ウェイランドの危機を知らせる一報が……。
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