95 / 255
迷子の迷子の保護者達、貴方の家族はどこですか? ⑦
しおりを挟む
一方的だった。レティシアが拳を振るえばゴブリンの肉体が千切れ跳び、無造作に蹴り抜けば採石場の岩が砕け、無謀と分かりつつも殴り掛かればその殴り掛かった拳が折れ曲がり、隠れれば壁越しであろうとその細腕に捉えられ握りつぶされる。
普段はドワーフの陽気な歌と、岩を切り出すハンマーと楔の軽快な音、草木の香りと陽の光に彩られる採石場はゴブリンの悲鳴と身体一つで自然をぶち壊す鈍い破壊音、鉄錆にも似た血の匂いと青黒く染め上げられていた。常人であればその光景は目を覆いたくなる光景だろう。そんな中を一人の蒼いドレスを着た淑女が闊歩していた。
「黒い、と言う事はさびておりますのかしら? アリスなら……幸太郎様にもわかるのでしょうか? よく似た言葉を話しておられますものね。安全余裕がどうとか、はめ合いがどうとか」
ひょい、とレティシアは足元の小石をいくつか拾い。灰斗に教えてもらった通りゴブリンの数人に向けて振りかぶって投げる。ちょっと強めに投げるのがコツだ、そう言われた。
――ビュンッ!!
振り抜いた腕が風を切り小石が弾丸となりゴブリンを打ち抜く。悲鳴と血と肉がまき散らされる。
「あら凄いですわ!? 大きいほうが威力があると思ってたのですが……小さくても早ければ、言われてみれば弓もあんな小さい矢で射貫きますものね。勉強になりますわぁ」
ぴっと腕を振り抜き、ゴブリンの返り血を払いながらレティシアは感心した。
ちょうど同じころ……はるか遠くにいる彼女の大事な人たちがそろって背筋に冷や汗を垂らしたのは余談である。
「由利崎様も何と言うか……上手いですものね」
そんなレティシアの背後から決死の覚悟でゴブリンはさびた剣や石斧で飛び掛かる。
振り下ろされるさびた剣をレティシアは振り向きざま右手の甲を剣の横腹に添えて逸らそうとするが……バキッ! と折れた。
眉根を寄せてそのままレティシアは腰を起点に足を振り上げる。
手(?)の抜き方が難しいのだがもはや三……何十年も付き合ってきた身体だ。ゴブリンを吹っ飛ばすだけに留めた。
「あれはどうやっておられるのでしょうか? こう、ぬるりと言うかするりと言うか……当たってるのに気持ち悪い感触なのですよね」
レティシアは途中から原始的な武器を多用するゴブリンで由利崎灰斗の真似を繰り返す……いわゆる練習相手にしている。何か掴めそうなのだ、今まで領地で彼女とまともに訓練の形が取れるのは元騎士の夫だけ。それ以外の相手は残念ながらすぐに壊れてしまうから。
「私……もしかして不器用? いえ、そんなはずは……」
屋敷に居た頃は編み物とか料理だって……と遠い目で思い出すレティシア。まあ、そういう事とは無縁なのが灰斗の技術なのだが……案外レティシアは無頓着だった。
「どう思われます? あ、あれ? もうほとんどお亡くなりになられてます?」
無造作に考え事をしながら駆除を続けていたため、気が付いたら陽も傾き始めて……緑と青黒いシミばかりになっていた。
「いけませんわ、私やっぱり一人だとついついボーっとしてしまいまして」
そういう割にはほぼ九割以上をすでに葬っていたりするのだから始末に負えなかったりする。
「さて、後はあそこの洞穴だけですわね」
目印代わりに調べた穴はゴブリンの血で『おしまいですわ』と書いて回ったので一目瞭然だった。なぜそこを最後にしたのかと言うと一番大きくて深そうな穴だったからだし、入り口を木の枝や石で組まれたバリケードが守っていて。レティシアが蹴散らし始めた直後に臆病風に吹かれたゴブリンがそこに逃げ込んだからだ。
まとめて倒すのが効率的なので今まで放っておいたのだが、そろそろ良いだろう。
「……そういえばこの血、取れるのでしょうか?」
もはや染まっていない所を探す方が難しい自分の全身を見回してすぐに諦める。幸太郎にまた胸当てなどを作ってもらえばいい、なぜかこの血は粘着質で動くのに邪魔になって来た。
洞窟の入り口のバリケードを足で蹴り壊して、いくつかの岩を抱える。奥の方に何匹いるかわからないが間引きのためにと適当に投げつけてみた。
「砕けて細かくなっても当たればいいのです」
さっき学んだ散弾を洞窟の壁にぶつけて量産しておくと楽なのだ。ついでに当たっても良い。
とても岩が当たってるとは思えない鈍い打撃音とゴブリンの叫び声が聞こえた。その中に一つだけレティシアの聞き覚えのない声が混じっていた。
「やけに高い悲鳴ですこと……そういえば、オスのゴブリンさんばかりですわね。メスのゴブリンさんもおられるのでしょうか?」
もしかしたらメスを護るためにオスのゴブリンが籠城しているかもしれない。だとしたら少々警戒が必要だとレティシアはほんの少し、目を細めて歩みを進める。彼女は暗いところが好きだった、なぜかというと自分の表情を見られないからだ。
暫く進むと遠くの方に明かりが見える。どうやらドワーフが残した松明を勝手に使っているらしい。
「油もここに備蓄されていそうですわね。注意しませんと私……火が苦手ですから」
すん、と鼻を鳴らしてレティシアは立ち止まると埃や血なまぐさい中にかすかな油の匂いがした。さてどうしようかと考える。ゴブリンたちは賢いとはいえないが火を武器として使う位の事は出来るだろう……。
「いっそのこと埋めてしまいましょうかしら?」
確か娘曰く息をするには換気が必要で、それは火が燃えるのにも関係する。そういう風に娘が言ってるのであれば洞窟を崩して塞いでしまうのも一つの手ではあった。
「まあ、火を使われそうになったら引き返してしまえばいいのですわ」
のほほんと場にそぐわない声音ではあるがレティシアの戦闘感覚は本物だ、危ないと判断したら退くことも即決できるからこその結論。結局そのまま彼女は洞窟の奥へと進んでいくのだが……
「そろそろ行き止まりですわね」
壁についたゴブリンの血を辿り声の反響が変わってきたのを察してレティシアが歩みを止める。少し耳を澄ませると荒い息遣いがいくつか聞こえてきた。空気も埃っぽくなってきたし気が付けば松明も少ない。
さて、ゴブリンはどういう事をしてくるのだろうかとレティシアは最奥部に足を踏み入れた。
普段はドワーフの陽気な歌と、岩を切り出すハンマーと楔の軽快な音、草木の香りと陽の光に彩られる採石場はゴブリンの悲鳴と身体一つで自然をぶち壊す鈍い破壊音、鉄錆にも似た血の匂いと青黒く染め上げられていた。常人であればその光景は目を覆いたくなる光景だろう。そんな中を一人の蒼いドレスを着た淑女が闊歩していた。
「黒い、と言う事はさびておりますのかしら? アリスなら……幸太郎様にもわかるのでしょうか? よく似た言葉を話しておられますものね。安全余裕がどうとか、はめ合いがどうとか」
ひょい、とレティシアは足元の小石をいくつか拾い。灰斗に教えてもらった通りゴブリンの数人に向けて振りかぶって投げる。ちょっと強めに投げるのがコツだ、そう言われた。
――ビュンッ!!
振り抜いた腕が風を切り小石が弾丸となりゴブリンを打ち抜く。悲鳴と血と肉がまき散らされる。
「あら凄いですわ!? 大きいほうが威力があると思ってたのですが……小さくても早ければ、言われてみれば弓もあんな小さい矢で射貫きますものね。勉強になりますわぁ」
ぴっと腕を振り抜き、ゴブリンの返り血を払いながらレティシアは感心した。
ちょうど同じころ……はるか遠くにいる彼女の大事な人たちがそろって背筋に冷や汗を垂らしたのは余談である。
「由利崎様も何と言うか……上手いですものね」
そんなレティシアの背後から決死の覚悟でゴブリンはさびた剣や石斧で飛び掛かる。
振り下ろされるさびた剣をレティシアは振り向きざま右手の甲を剣の横腹に添えて逸らそうとするが……バキッ! と折れた。
眉根を寄せてそのままレティシアは腰を起点に足を振り上げる。
手(?)の抜き方が難しいのだがもはや三……何十年も付き合ってきた身体だ。ゴブリンを吹っ飛ばすだけに留めた。
「あれはどうやっておられるのでしょうか? こう、ぬるりと言うかするりと言うか……当たってるのに気持ち悪い感触なのですよね」
レティシアは途中から原始的な武器を多用するゴブリンで由利崎灰斗の真似を繰り返す……いわゆる練習相手にしている。何か掴めそうなのだ、今まで領地で彼女とまともに訓練の形が取れるのは元騎士の夫だけ。それ以外の相手は残念ながらすぐに壊れてしまうから。
「私……もしかして不器用? いえ、そんなはずは……」
屋敷に居た頃は編み物とか料理だって……と遠い目で思い出すレティシア。まあ、そういう事とは無縁なのが灰斗の技術なのだが……案外レティシアは無頓着だった。
「どう思われます? あ、あれ? もうほとんどお亡くなりになられてます?」
無造作に考え事をしながら駆除を続けていたため、気が付いたら陽も傾き始めて……緑と青黒いシミばかりになっていた。
「いけませんわ、私やっぱり一人だとついついボーっとしてしまいまして」
そういう割にはほぼ九割以上をすでに葬っていたりするのだから始末に負えなかったりする。
「さて、後はあそこの洞穴だけですわね」
目印代わりに調べた穴はゴブリンの血で『おしまいですわ』と書いて回ったので一目瞭然だった。なぜそこを最後にしたのかと言うと一番大きくて深そうな穴だったからだし、入り口を木の枝や石で組まれたバリケードが守っていて。レティシアが蹴散らし始めた直後に臆病風に吹かれたゴブリンがそこに逃げ込んだからだ。
まとめて倒すのが効率的なので今まで放っておいたのだが、そろそろ良いだろう。
「……そういえばこの血、取れるのでしょうか?」
もはや染まっていない所を探す方が難しい自分の全身を見回してすぐに諦める。幸太郎にまた胸当てなどを作ってもらえばいい、なぜかこの血は粘着質で動くのに邪魔になって来た。
洞窟の入り口のバリケードを足で蹴り壊して、いくつかの岩を抱える。奥の方に何匹いるかわからないが間引きのためにと適当に投げつけてみた。
「砕けて細かくなっても当たればいいのです」
さっき学んだ散弾を洞窟の壁にぶつけて量産しておくと楽なのだ。ついでに当たっても良い。
とても岩が当たってるとは思えない鈍い打撃音とゴブリンの叫び声が聞こえた。その中に一つだけレティシアの聞き覚えのない声が混じっていた。
「やけに高い悲鳴ですこと……そういえば、オスのゴブリンさんばかりですわね。メスのゴブリンさんもおられるのでしょうか?」
もしかしたらメスを護るためにオスのゴブリンが籠城しているかもしれない。だとしたら少々警戒が必要だとレティシアはほんの少し、目を細めて歩みを進める。彼女は暗いところが好きだった、なぜかというと自分の表情を見られないからだ。
暫く進むと遠くの方に明かりが見える。どうやらドワーフが残した松明を勝手に使っているらしい。
「油もここに備蓄されていそうですわね。注意しませんと私……火が苦手ですから」
すん、と鼻を鳴らしてレティシアは立ち止まると埃や血なまぐさい中にかすかな油の匂いがした。さてどうしようかと考える。ゴブリンたちは賢いとはいえないが火を武器として使う位の事は出来るだろう……。
「いっそのこと埋めてしまいましょうかしら?」
確か娘曰く息をするには換気が必要で、それは火が燃えるのにも関係する。そういう風に娘が言ってるのであれば洞窟を崩して塞いでしまうのも一つの手ではあった。
「まあ、火を使われそうになったら引き返してしまえばいいのですわ」
のほほんと場にそぐわない声音ではあるがレティシアの戦闘感覚は本物だ、危ないと判断したら退くことも即決できるからこその結論。結局そのまま彼女は洞窟の奥へと進んでいくのだが……
「そろそろ行き止まりですわね」
壁についたゴブリンの血を辿り声の反響が変わってきたのを察してレティシアが歩みを止める。少し耳を澄ませると荒い息遣いがいくつか聞こえてきた。空気も埃っぽくなってきたし気が付けば松明も少ない。
さて、ゴブリンはどういう事をしてくるのだろうかとレティシアは最奥部に足を踏み入れた。
0
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説
異世界で美少女『攻略』スキルでハーレム目指します。嫁のために命懸けてたらいつの間にか最強に!?雷撃魔法と聖剣で俺TUEEEもできて最高です。
真心糸
ファンタジー
☆カクヨムにて、200万PV、ブクマ6500達成!☆
【あらすじ】
どこにでもいるサラリーマンの主人公は、突如光り出した自宅のPCから異世界に転生することになる。
神様は言った。
「あなたはこれから別の世界に転生します。キャラクター設定を行ってください」
現世になんの未練もない主人公は、その状況をすんなり受け入れ、神様らしき人物の指示に従うことにした。
神様曰く、好きな外見を設定して、有効なポイントの範囲内でチートスキルを授けてくれるとのことだ。
それはいい。じゃあ、理想のイケメンになって、美少女ハーレムが作れるようなスキルを取得しよう。
あと、できれば俺TUEEEもしたいなぁ。
そう考えた主人公は、欲望のままにキャラ設定を行った。
そして彼は、剣と魔法がある異世界に「ライ・ミカヅチ」として転生することになる。
ライが取得したチートスキルのうち、最も興味深いのは『攻略』というスキルだ。
この攻略スキルは、好みの美少女を全世界から検索できるのはもちろんのこと、その子の好感度が上がるようなイベントを予見してアドバイスまでしてくれるという優れモノらしい。
さっそく攻略スキルを使ってみると、前世では見たことないような美少女に出会うことができ、このタイミングでこんなセリフを囁くと好感度が上がるよ、なんてアドバイスまでしてくれた。
そして、その通りに行動すると、めちゃくちゃモテたのだ。
チートスキルの効果を実感したライは、冒険者となって俺TUEEEを楽しみながら、理想のハーレムを作ることを人生の目標に決める。
しかし、出会う美少女たちは皆、なにかしらの逆境に苦しんでいて、ライはそんな彼女たちに全力で救いの手を差し伸べる。
もちろん、攻略スキルを使って。
もちろん、救ったあとはハーレムに入ってもらう。
下心全開なのに、正義感があって、熱い心を持つ男ライ・ミカヅチ。
これは、そんな主人公が、異世界を全力で生き抜き、たくさんの美少女を助ける物語。
【他サイトでの掲載状況】
本作は、カクヨム様、小説家になろう様でも掲載しています。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる