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閑話:お掃除大好き ①
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三ヶ国緊急会議の数日前の出来事である。
「これは……すごいね」
「おねえちゃん、蜘蛛の巣さんいっぱいあるぅ……」
弥生と文香が居るのはこの国の顔とも言える迎賓館、各国の要人をおもてなしするために気合を入れて建てられたこの国でも有数の建築物。のはずなのだが……。
「もう三十年以上使われてませんからねぇ、埃くさいのはご愛敬です」
お掃除用のマスク越しにしゃべる、若干くぐもったオルトリンデの声音は呆れの色がにじんでいた。
「オルちゃん、文香たちだけでここお掃除するの?」
「まさか、午後から王城のメイドが来ますよ。私たちは……その、罰ゲーム。です」
「オルちゃんが酔いつぶれちゃったからねー、酷いよこっそり私と文香を巻き込むなんてひどい先生で上司だー(棒読み)」
「ぐふっ!!」
先日の夜、弥生達3きょうだいは弥生の上司であるオルトリンデとこの国の宰相であるクロウに誘われて銀龍亭というお店で晩御飯を食べたのだが……
「まじめな話が終わると同時にかんぱーい!」
「文香憶えてる!! オルちゃんが『普段は目一杯この一杯のために生きてるんですよ!!』って一気飲みしたのー!」
文香の腰に手を当てて飲み干すポーズはオルトリンデの物まねで弥生と文香は思い出してけらけらと笑う。
「ううう、記憶力が良いですね文香」
「真司は自分のグラスと間違えてお酒飲んじゃうし、オルちゃんはそのままクロウ宰相と飲み勝負なんか始めちゃうし……」
「あれはクロウのおバカさんが!」
たまには羽目を外すのもいいだろう、とオルトリンデと行った飲み勝負。
その結果はオルトリンデの惨敗となり、迎賓館のお掃除をお手伝いすることとなったのだ。
「でもおねーちゃん、このお洋服可愛いよね」
「そうね、やっぱり本物って違う……」
「どこにでもある作業服じゃないですか」
黒を基調としたワンピース、対となる純白のフリルエプロン。
そして頭頂部にちょこんと乗せられたホワイトプリム……革のパンプス。
「何言ってるのかな!? 女の憧れメイド様だよ!! 作業服にして作業服にあらず!!」
「あなたのそのメイドに対する熱意はどうやっても理解できません……はあ、おしりがスース―します」
オルトリンデはバッサリと弥生の熱弁を切り捨てる。なにせ普段はパンツルックでスカート自体を履く事に慣れていないので……さっきからおしりや足元をしきりに気にしていた。
「オルちゃん可愛いよ~」
「文香は平気そうですね……よくこんな足元が見えない服で働けますね……」
「女の子は大変だね。さて、僕は高い所の埃を魔法でぱーっと……」
いつもの黒いローブ纏い、杖を掲げた真司が弱めの風魔法で棚や天井付近の埃をかき集めようとしたのだが……魔法陣が発動しない。
「あれ? なんで?」
「真司、迎賓館は盗聴防止のため魔法が封じられています。不死族の方も登録してないと中に入れません……つまり」
「自力でどうにかしないといけない。だね」
「そうなります。高い所は後で不死族の人に任せて私たちは家具とか床の清掃がメインとなります。弥生、指揮は任せますのでちゃっちゃと始めましょう」
「はいはーい」
弥生は持ち込んだ掃除用具を並べてざっくりと清掃範囲をオルトリンデ、真司、文香に割り振る。掃除の基本は清掃範囲に物を置かない事。
「まずは机は……さすがに無理だから椅子とかを入り口付近に避けて箒で掃こうか。真司、オルちゃんと重いのをお願い。私と文香は椅子かな」
無理なく進めて本職に繋いでもらうのだからさほど気合を入れる必要は無い。だからこそ二人筒組んでのんびり開始した罰ゲーム。といっても大したことではないので自然と4人で雑談が増えていく。
学校はどうだ、とか。魔法士ギルドは面白いとか。物を動かしながら話していた。
「姉ちゃん迷惑かけてない? オル姉」
「おねーちゃん他の人のお仕事勝手に持ってってない?」
「そうですね、最近は少し自重してくれているのか他のギルドからの苦情が減りましたね。気が付いたら終わっていた。と言うのもあまりありませんし……」
そこはかとなくオルトリンデが遠い目をしながら真司と文香に答える。
それに猛然とかみついたのは当たり前であるが弥生さんその人だ。
「普通は感謝されると思うの!! なんで仕事すると弟と妹に怒られるのかな!? かなぁ!?」
「弥生、これはもう治らない病と同じだと私は思うので義務で言いますが。何事にも限度、と言うのがあります。あなたと同じ速度で仕事を回せる人がどれだけいると思うのですか?」
「書記官ズは手持無沙汰だってよく相談してくれるのに!!」
「姉ちゃんの犠牲者、あれ以上増やさない様に気を付けてねオル姉」
「大丈夫です。ちゃんとカウンセラーを雇いましたからホワイトで済んでます。と言うか今期の仕事は季節性の物を除いてほぼ片手間で終わりますから……どうしましょうね冬休み、書記官全員ローテーション組んで北の保養地にでも送りますか。温泉に入ってリフレッシュすれば洗脳も解ける……と良いなぁ」
最近ようやく統括ギルドは弥生達が来る以前の落ち着きを取り戻しつつあった。
他のギルドも前倒しで承認をされているものの人手は有限であり、ある意味妥協しての運営状態だ。そんな中で建築ギルドだけは最近臨時発注が多い冒険者ギルドの待合ロビーや試験場の修復に追われていたりするが……まあまあ落ち着いていた。
「おねーちゃん、周りの人に迷惑かけちゃダメ」
「文香まで……酷いなぁ」
「そう思うんだったらもっと休んでください。これ以上前倒しにされたら本当に仕事がなくなります……最近文香の教室で授業ばかりしている気がしますよ私……」
「オルちゃんせんせーの授業楽しいよ?」
「文香は良い子ですね。成績も良いし……弥生みたいに突っ走りませんし」
「ううう……」
普段が普段だけにぐうの音も出ない弥生だがこれでも反省はしている。
できるだけ書記官フロアに出向いてあれこれ悩み相談というかそれぞれが分からない所を丁寧に教えたり、弥生にもわからない事は一緒に調べたりしているのだ。実はこのおかげで調べ方がいまいち理解できてなかった書記官たちには大好評なのである。オルトリンデも可愛らしい幼女なのだが弥生も普段は可愛い女子高校生だし。
「まあ、弥生で遊ぶのはこれくらいにして真司、そっちを持ってもらえますか? この壺は貴重品なので一人じゃ怖いです」
「いいよ。それにしても大きい壺……水瓶みたい」
「何千年も前の出土品です。美術的価値が高いというより研究素材に近いですね」
「ふうん……うわぁ中が蜘蛛の巣で蓋されちゃってるよ。一回横にして中を掃除しない?」
丁度オルトリンデの背丈では壺の中が見れない。真司の言うとおりにそっと壺を横にする。
すると壺の入り口を綺麗に塞いでいる蜘蛛の糸で作られた膜があった。
「これはまた、綺麗に作ったもんですね」
「結構厚めに張られてる……ナイフでふちに沿って切り取ろうか?」
「そうしますか。私がやりましょう」
真司とオルトリンデが手でその糸の蓋を押すとトランポリンの様に押し返されるほどの弾力があった。これはこれでなんか貴重な気がすると思いつつ、オルトリンデがポケットナイフを取り出して優しく壺と蜘蛛の糸を剥いで行く。
「え?」
むにゅぅ、とナイフの刃が絡み取られてあっという間に取り込まれてしまう。
「オル姉……そのナイフ切れるの?」
「おかしいですね、先日研いだばかりなのですが」
「じゃあ僕が……」
むにゅう……やっぱり真司のナイフもほんの少し食い込んだ後糸にくっついてそれ以上進まない。
「……焼こうか?」
「加減できます? 真司」
「もちろん」
最終手段で真司が杖を持ち出して蝋燭の灯火ほどの灯を出して蜘蛛の糸(?)に近づける。魔力が封じられているので真司が力尽くで魔力を込めてもその程度だが。
やがて、ちりちりと焦げる匂いがし始めた……
「何これ、もしかして蜘蛛じゃない?」
もう直接的に真司は火で炙っているのだが……蜘蛛の糸が一本切れただけである。
「やたらと頑丈ですね……刃に油でも塗って根気良く」
オルトリンデが一度ギルドに戻って替えのナイフを取りに行こうとしたその時。
――あつぅい
くぐもった女の声が二人の耳にはっきりと届いた。
「……オル姉、壺の中で閉じこもる種族の人なんていたっけ?」
「安心してください真司、私も知りません」
「どうする?」
「こうします」
真司に壺を動かない様に抑えてもらいつつ、オルトリンデが壺の側面に移動しこんこん、とノックする。
――だれぇ?
「壺の持ち主であるウェイランド国家の関係者です。なかなか住みやすそうな環境でしょうが大掃除をしていますので一度出てきてもらえると助かります」
――寝ちゃってたぁ、今出ますぅ
「正攻法って大事ですよね」
「姉ちゃんも好きであんなことしてるわけじゃないよ? オル姉」
おとなしく出てきてもらえるようなのでのんびりと見守る二人。
しかし、その予想とは裏腹に……
――ザシュ! メリメリッ!!
あれだけナイフの歯が立たなかった真っ白な蓋に、真っ黒な爪が突き立ってきた。
よく見れば表面に毛のようなものもついていて……
「真司、そういえばあの膜……蜘蛛の糸みたいでしたよね」
「そうだね、で、あの壺人一人入るには十分すぎるほどの大きさだね」
数秒後、絶叫が響き渡る。
「これは……すごいね」
「おねえちゃん、蜘蛛の巣さんいっぱいあるぅ……」
弥生と文香が居るのはこの国の顔とも言える迎賓館、各国の要人をおもてなしするために気合を入れて建てられたこの国でも有数の建築物。のはずなのだが……。
「もう三十年以上使われてませんからねぇ、埃くさいのはご愛敬です」
お掃除用のマスク越しにしゃべる、若干くぐもったオルトリンデの声音は呆れの色がにじんでいた。
「オルちゃん、文香たちだけでここお掃除するの?」
「まさか、午後から王城のメイドが来ますよ。私たちは……その、罰ゲーム。です」
「オルちゃんが酔いつぶれちゃったからねー、酷いよこっそり私と文香を巻き込むなんてひどい先生で上司だー(棒読み)」
「ぐふっ!!」
先日の夜、弥生達3きょうだいは弥生の上司であるオルトリンデとこの国の宰相であるクロウに誘われて銀龍亭というお店で晩御飯を食べたのだが……
「まじめな話が終わると同時にかんぱーい!」
「文香憶えてる!! オルちゃんが『普段は目一杯この一杯のために生きてるんですよ!!』って一気飲みしたのー!」
文香の腰に手を当てて飲み干すポーズはオルトリンデの物まねで弥生と文香は思い出してけらけらと笑う。
「ううう、記憶力が良いですね文香」
「真司は自分のグラスと間違えてお酒飲んじゃうし、オルちゃんはそのままクロウ宰相と飲み勝負なんか始めちゃうし……」
「あれはクロウのおバカさんが!」
たまには羽目を外すのもいいだろう、とオルトリンデと行った飲み勝負。
その結果はオルトリンデの惨敗となり、迎賓館のお掃除をお手伝いすることとなったのだ。
「でもおねーちゃん、このお洋服可愛いよね」
「そうね、やっぱり本物って違う……」
「どこにでもある作業服じゃないですか」
黒を基調としたワンピース、対となる純白のフリルエプロン。
そして頭頂部にちょこんと乗せられたホワイトプリム……革のパンプス。
「何言ってるのかな!? 女の憧れメイド様だよ!! 作業服にして作業服にあらず!!」
「あなたのそのメイドに対する熱意はどうやっても理解できません……はあ、おしりがスース―します」
オルトリンデはバッサリと弥生の熱弁を切り捨てる。なにせ普段はパンツルックでスカート自体を履く事に慣れていないので……さっきからおしりや足元をしきりに気にしていた。
「オルちゃん可愛いよ~」
「文香は平気そうですね……よくこんな足元が見えない服で働けますね……」
「女の子は大変だね。さて、僕は高い所の埃を魔法でぱーっと……」
いつもの黒いローブ纏い、杖を掲げた真司が弱めの風魔法で棚や天井付近の埃をかき集めようとしたのだが……魔法陣が発動しない。
「あれ? なんで?」
「真司、迎賓館は盗聴防止のため魔法が封じられています。不死族の方も登録してないと中に入れません……つまり」
「自力でどうにかしないといけない。だね」
「そうなります。高い所は後で不死族の人に任せて私たちは家具とか床の清掃がメインとなります。弥生、指揮は任せますのでちゃっちゃと始めましょう」
「はいはーい」
弥生は持ち込んだ掃除用具を並べてざっくりと清掃範囲をオルトリンデ、真司、文香に割り振る。掃除の基本は清掃範囲に物を置かない事。
「まずは机は……さすがに無理だから椅子とかを入り口付近に避けて箒で掃こうか。真司、オルちゃんと重いのをお願い。私と文香は椅子かな」
無理なく進めて本職に繋いでもらうのだからさほど気合を入れる必要は無い。だからこそ二人筒組んでのんびり開始した罰ゲーム。といっても大したことではないので自然と4人で雑談が増えていく。
学校はどうだ、とか。魔法士ギルドは面白いとか。物を動かしながら話していた。
「姉ちゃん迷惑かけてない? オル姉」
「おねーちゃん他の人のお仕事勝手に持ってってない?」
「そうですね、最近は少し自重してくれているのか他のギルドからの苦情が減りましたね。気が付いたら終わっていた。と言うのもあまりありませんし……」
そこはかとなくオルトリンデが遠い目をしながら真司と文香に答える。
それに猛然とかみついたのは当たり前であるが弥生さんその人だ。
「普通は感謝されると思うの!! なんで仕事すると弟と妹に怒られるのかな!? かなぁ!?」
「弥生、これはもう治らない病と同じだと私は思うので義務で言いますが。何事にも限度、と言うのがあります。あなたと同じ速度で仕事を回せる人がどれだけいると思うのですか?」
「書記官ズは手持無沙汰だってよく相談してくれるのに!!」
「姉ちゃんの犠牲者、あれ以上増やさない様に気を付けてねオル姉」
「大丈夫です。ちゃんとカウンセラーを雇いましたからホワイトで済んでます。と言うか今期の仕事は季節性の物を除いてほぼ片手間で終わりますから……どうしましょうね冬休み、書記官全員ローテーション組んで北の保養地にでも送りますか。温泉に入ってリフレッシュすれば洗脳も解ける……と良いなぁ」
最近ようやく統括ギルドは弥生達が来る以前の落ち着きを取り戻しつつあった。
他のギルドも前倒しで承認をされているものの人手は有限であり、ある意味妥協しての運営状態だ。そんな中で建築ギルドだけは最近臨時発注が多い冒険者ギルドの待合ロビーや試験場の修復に追われていたりするが……まあまあ落ち着いていた。
「おねーちゃん、周りの人に迷惑かけちゃダメ」
「文香まで……酷いなぁ」
「そう思うんだったらもっと休んでください。これ以上前倒しにされたら本当に仕事がなくなります……最近文香の教室で授業ばかりしている気がしますよ私……」
「オルちゃんせんせーの授業楽しいよ?」
「文香は良い子ですね。成績も良いし……弥生みたいに突っ走りませんし」
「ううう……」
普段が普段だけにぐうの音も出ない弥生だがこれでも反省はしている。
できるだけ書記官フロアに出向いてあれこれ悩み相談というかそれぞれが分からない所を丁寧に教えたり、弥生にもわからない事は一緒に調べたりしているのだ。実はこのおかげで調べ方がいまいち理解できてなかった書記官たちには大好評なのである。オルトリンデも可愛らしい幼女なのだが弥生も普段は可愛い女子高校生だし。
「まあ、弥生で遊ぶのはこれくらいにして真司、そっちを持ってもらえますか? この壺は貴重品なので一人じゃ怖いです」
「いいよ。それにしても大きい壺……水瓶みたい」
「何千年も前の出土品です。美術的価値が高いというより研究素材に近いですね」
「ふうん……うわぁ中が蜘蛛の巣で蓋されちゃってるよ。一回横にして中を掃除しない?」
丁度オルトリンデの背丈では壺の中が見れない。真司の言うとおりにそっと壺を横にする。
すると壺の入り口を綺麗に塞いでいる蜘蛛の糸で作られた膜があった。
「これはまた、綺麗に作ったもんですね」
「結構厚めに張られてる……ナイフでふちに沿って切り取ろうか?」
「そうしますか。私がやりましょう」
真司とオルトリンデが手でその糸の蓋を押すとトランポリンの様に押し返されるほどの弾力があった。これはこれでなんか貴重な気がすると思いつつ、オルトリンデがポケットナイフを取り出して優しく壺と蜘蛛の糸を剥いで行く。
「え?」
むにゅぅ、とナイフの刃が絡み取られてあっという間に取り込まれてしまう。
「オル姉……そのナイフ切れるの?」
「おかしいですね、先日研いだばかりなのですが」
「じゃあ僕が……」
むにゅう……やっぱり真司のナイフもほんの少し食い込んだ後糸にくっついてそれ以上進まない。
「……焼こうか?」
「加減できます? 真司」
「もちろん」
最終手段で真司が杖を持ち出して蝋燭の灯火ほどの灯を出して蜘蛛の糸(?)に近づける。魔力が封じられているので真司が力尽くで魔力を込めてもその程度だが。
やがて、ちりちりと焦げる匂いがし始めた……
「何これ、もしかして蜘蛛じゃない?」
もう直接的に真司は火で炙っているのだが……蜘蛛の糸が一本切れただけである。
「やたらと頑丈ですね……刃に油でも塗って根気良く」
オルトリンデが一度ギルドに戻って替えのナイフを取りに行こうとしたその時。
――あつぅい
くぐもった女の声が二人の耳にはっきりと届いた。
「……オル姉、壺の中で閉じこもる種族の人なんていたっけ?」
「安心してください真司、私も知りません」
「どうする?」
「こうします」
真司に壺を動かない様に抑えてもらいつつ、オルトリンデが壺の側面に移動しこんこん、とノックする。
――だれぇ?
「壺の持ち主であるウェイランド国家の関係者です。なかなか住みやすそうな環境でしょうが大掃除をしていますので一度出てきてもらえると助かります」
――寝ちゃってたぁ、今出ますぅ
「正攻法って大事ですよね」
「姉ちゃんも好きであんなことしてるわけじゃないよ? オル姉」
おとなしく出てきてもらえるようなのでのんびりと見守る二人。
しかし、その予想とは裏腹に……
――ザシュ! メリメリッ!!
あれだけナイフの歯が立たなかった真っ白な蓋に、真っ黒な爪が突き立ってきた。
よく見れば表面に毛のようなものもついていて……
「真司、そういえばあの膜……蜘蛛の糸みたいでしたよね」
「そうだね、で、あの壺人一人入るには十分すぎるほどの大きさだね」
数秒後、絶叫が響き渡る。
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