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第2章 自由連合同盟都市国家メルキオール 首都メルキオール編
第27話 この世界の貨幣価値と番兵と世間話。初めてこの世界の宿屋でお泊りする件
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「お疲れ様です」
「おお、ありがとう。入場する人数を言ってくれ」
「3人です」
労いの言葉をかけた俺に水晶球を持った番兵が応え、長槍を持った番兵2人が警戒しながら近寄ってくる。
俺と会話している番兵さんが持っているのは端的に言えば嘘発見器の魔導具だ。
俺の言葉に水晶球は青く輝く。
「3人で馬車持ちか、それなら、銀貨1枚に正銅貨3枚だ」
これまでスルーしてきたが、この世界の貨幣価値について説明しよう。
この世界の貨幣の種類は鉄貨、鋼貨、赤銅貨、青銅貨、正銅貨、銀貨、金貨、魔銀貨、白金貨、神硬金貨の10種類。
分かりやすく表にすると下記の通りだ。
相当円
鉄貨=10
鋼貨=50
赤銅貨=100
青銅貨=500
正銅貨=1,000
銀貨=1万
金貨=10万
魔銀貨=100万
白金貨=1,000万
神硬金貨=1億
ちなみに【異世界電子通販】の仮想通貨1Cが約10円相当なので、1C=1鉄貨と考えることができる。とはいえ、この世界の物価価値が向こうの世界と一致している訳ではないので注意が必要だ。
そして、一般人がお目にかかれるのは金貨まで。それ以上は豪商かギルド、高ランク冒険者、国家位しか持っていない。
「はい、銀貨1枚に正銅貨3枚です。メルキオールは始めてなんで、泊まりやすいお勧めの宿屋ってありますか?」
番兵の人に枕として聞いてみる。
「馬車持ちだったら大通りをこのまま3区画までまっすぐ進んで右に曲がった先にある”宿木亭”がお勧めだ。老舗で、穴場。飯も美味し、宿も清潔な方だ。下手なこの入り口近くの新興の安宿よりは遥かにマシなはずだ」
ほほう、それはいいことを聞いた。
「新興の安宿? そういえば人がやけに多いみたいですがなにかあったんですか?」
「ああ? お前さん知らないのかい?」
「申し訳ありません。この都市から離れた場所から来た者で、疎いのです」
世間話してはいるが、この番兵、水晶の魔導具をしまっていないから迂闊なことは言えない。
「なら、しょうがねえな。なんでも、最近お隣のオディオ王国の国王とお姫様が馬鹿やって、ご先祖が封じた竜の封印を解いちまって、呪われちまったらしい。呪いの影響を恐れた忠臣と国民達がメルキオールに逃げてきているって話だ。国境の村とかは基本、余所者お断りだから、道中の魔物を命がけでなんとかやり過ごして、この首都メルキオールに着の身着のままで来ているってところだな」
ここまでは道中商人達から仕入れた情報と同じだな。
「へぇ、そうなんですか。そういえば、お隣のオディオ王国とキナ臭い話題を耳にしたことがあります。なんでも、禁じられている勇者をオディオ王国は召喚したとか。もしかして、メルキオールに私達が来るより前に勇者が王国から逃げてきて冒険者登録しているとかありません?」
俺達よりも先に駄メン達が王国から逃げ出している可能性も0じゃない。いるなら予め遭遇する心構えができるが、果たして……。
「はっはっは。なかなか面白いこと言うね兄さん。少なくとも、東門には来ていないみたいだし、もし、勇者なんてものが冒険者登録したら、大騒ぎになるんじゃねぇか?」
ぬぅ、どうやらいないではなく、いないかもしれないか。警戒したほうがいいかもだな。それに、ギルドの方も情報封鎖の可能性があるからこの番兵の話を鵜呑みにするのは危険だな。
「っと、これ以上はお仕事の邪魔になりますね。お話ありがとうございました。これは気持ちです。3人で今夜の酒代にでもしてください」
そう言って、俺は皮袋から銀貨を1枚取り出して、番兵に渡した。
「おっ、すまねな」
「いえ、貴重なお話ありがとうございます。私達が安心していられるのも番兵の貴方達がきちんとお仕事してくれているからですよ。それでは」
そう言って俺は馬に【偽装】したケイロンに馬車を進めさせた。
「さっきの話にあった”宿木亭”に向かってくれ」
「了解シマシタ」
■
「いらしゃいませ。当宿は馬車1台駐車料金が1泊銀貨1枚で、馬の餌代と宿代は別になります。宿泊されますか?」
「ありがとう。宿泊するから駐車場所まで誘導してください」
「毎度あり。ではこちらです」
”宿木亭”の門番の1人の誘導に従い、馬車を駐車場に停車した。
「貴重品は馬車に置いていかない様お願いします。紛失されても当方は責任を負いかねますので。馬はどうされます? 馬房に繋ぎますか?」
さて、どうしよう。ケイロンは【偽装】しているから馬扱い。魔法生物だから、通常の馬の餌は不要。いっそのこと俺の【空間収納】にいれることも可能だ。
『マスター、提案ガアリマス』
『なんだ?』
『様子見デ一晩私ハ場房ニ行ッテミヨウト思イマス。モシカシタラ何カ情報ヲ得ラレルカモシレマセン』
たしかに【念話】で対象指定すれば動物でも対話は可能。もしかしたら、収穫があるかもしれないな。
『わかった。許可する。但し、耐え切れなかったり、ヤバくなったらすぐに連絡してくれ』
『分カリマシタ』
俺はケイロンとの【念話】を終了し、案内役となっている門番に1晩試しに馬房に預けることをお願いし、馬に【偽装】したケイロンを預けて、宿の建物に飛鳥とクロエを伴って入った。
■
「いらっしゃいませ。3名様ですね。お1人様1泊正銅貨4枚になります。お部屋は2階、お食事は別料金で1階の食堂で摂ることができますよ。お湯はお1人分の桶1杯で正銅貨1枚になります。トイレは1階のあちらになります」
使い込まれているが掃除が行き届いて清潔なのは言うに及ばず、思っていたよりも雰囲気のいい宿で、料金も良心的だな。
「空いている部屋の種類はどれ位あるかな?」
俺は受付の女性に尋ねた。
「3人部屋が1つと2人部屋が2つ、1人部屋が5つです。ちなみに3人部屋でしたら、割り引きまして1泊銀貨1枚になります」
3人部屋の割引は魅力的ではあるが俺の独断はだめだな。
「2人とも、部屋割りはどうする? 3人部屋、2人部屋と1人部屋、それぞれ個室が選べるけど。後お湯はどうする?」
「出費を抑えるため3人部屋にしましょう。お湯は今夜は不要で」
『我もアスカに同意じゃ』
「わかった。3人部屋でひとまず3泊でお願いします」
「わかりました。こちらにご記帳……代筆しましょうか?」
「いや、大丈夫だ」
そう言って、俺は台帳にカタカナで3人の名前を記入した。
「ありがとうございます。3泊ですと、銀貨3枚になります。こちらがお部屋の鍵です」
俺が料金を支払うのと引き換えに鍵を渡された。
「ありがとう。食堂は何時までやっているかな?それと厨房を借りることはできるかい?」
「食堂はこの都市では夜鐘が9回鳴る終業の鐘がなりますとラストオーダーになります。厨房の利用は混雑時はできませんが、それ以外でしたら、応相談。あ、お部屋での調理は禁止ですのでご注意ください」
なるほどね。
「わかった。ありがとう。じゃあ部屋に行こうか」
「はい」
『うむ』
俺達は日が傾き出したなか、今夜泊まる部屋に移動した。
「おお、ありがとう。入場する人数を言ってくれ」
「3人です」
労いの言葉をかけた俺に水晶球を持った番兵が応え、長槍を持った番兵2人が警戒しながら近寄ってくる。
俺と会話している番兵さんが持っているのは端的に言えば嘘発見器の魔導具だ。
俺の言葉に水晶球は青く輝く。
「3人で馬車持ちか、それなら、銀貨1枚に正銅貨3枚だ」
これまでスルーしてきたが、この世界の貨幣価値について説明しよう。
この世界の貨幣の種類は鉄貨、鋼貨、赤銅貨、青銅貨、正銅貨、銀貨、金貨、魔銀貨、白金貨、神硬金貨の10種類。
分かりやすく表にすると下記の通りだ。
相当円
鉄貨=10
鋼貨=50
赤銅貨=100
青銅貨=500
正銅貨=1,000
銀貨=1万
金貨=10万
魔銀貨=100万
白金貨=1,000万
神硬金貨=1億
ちなみに【異世界電子通販】の仮想通貨1Cが約10円相当なので、1C=1鉄貨と考えることができる。とはいえ、この世界の物価価値が向こうの世界と一致している訳ではないので注意が必要だ。
そして、一般人がお目にかかれるのは金貨まで。それ以上は豪商かギルド、高ランク冒険者、国家位しか持っていない。
「はい、銀貨1枚に正銅貨3枚です。メルキオールは始めてなんで、泊まりやすいお勧めの宿屋ってありますか?」
番兵の人に枕として聞いてみる。
「馬車持ちだったら大通りをこのまま3区画までまっすぐ進んで右に曲がった先にある”宿木亭”がお勧めだ。老舗で、穴場。飯も美味し、宿も清潔な方だ。下手なこの入り口近くの新興の安宿よりは遥かにマシなはずだ」
ほほう、それはいいことを聞いた。
「新興の安宿? そういえば人がやけに多いみたいですがなにかあったんですか?」
「ああ? お前さん知らないのかい?」
「申し訳ありません。この都市から離れた場所から来た者で、疎いのです」
世間話してはいるが、この番兵、水晶の魔導具をしまっていないから迂闊なことは言えない。
「なら、しょうがねえな。なんでも、最近お隣のオディオ王国の国王とお姫様が馬鹿やって、ご先祖が封じた竜の封印を解いちまって、呪われちまったらしい。呪いの影響を恐れた忠臣と国民達がメルキオールに逃げてきているって話だ。国境の村とかは基本、余所者お断りだから、道中の魔物を命がけでなんとかやり過ごして、この首都メルキオールに着の身着のままで来ているってところだな」
ここまでは道中商人達から仕入れた情報と同じだな。
「へぇ、そうなんですか。そういえば、お隣のオディオ王国とキナ臭い話題を耳にしたことがあります。なんでも、禁じられている勇者をオディオ王国は召喚したとか。もしかして、メルキオールに私達が来るより前に勇者が王国から逃げてきて冒険者登録しているとかありません?」
俺達よりも先に駄メン達が王国から逃げ出している可能性も0じゃない。いるなら予め遭遇する心構えができるが、果たして……。
「はっはっは。なかなか面白いこと言うね兄さん。少なくとも、東門には来ていないみたいだし、もし、勇者なんてものが冒険者登録したら、大騒ぎになるんじゃねぇか?」
ぬぅ、どうやらいないではなく、いないかもしれないか。警戒したほうがいいかもだな。それに、ギルドの方も情報封鎖の可能性があるからこの番兵の話を鵜呑みにするのは危険だな。
「っと、これ以上はお仕事の邪魔になりますね。お話ありがとうございました。これは気持ちです。3人で今夜の酒代にでもしてください」
そう言って、俺は皮袋から銀貨を1枚取り出して、番兵に渡した。
「おっ、すまねな」
「いえ、貴重なお話ありがとうございます。私達が安心していられるのも番兵の貴方達がきちんとお仕事してくれているからですよ。それでは」
そう言って俺は馬に【偽装】したケイロンに馬車を進めさせた。
「さっきの話にあった”宿木亭”に向かってくれ」
「了解シマシタ」
■
「いらしゃいませ。当宿は馬車1台駐車料金が1泊銀貨1枚で、馬の餌代と宿代は別になります。宿泊されますか?」
「ありがとう。宿泊するから駐車場所まで誘導してください」
「毎度あり。ではこちらです」
”宿木亭”の門番の1人の誘導に従い、馬車を駐車場に停車した。
「貴重品は馬車に置いていかない様お願いします。紛失されても当方は責任を負いかねますので。馬はどうされます? 馬房に繋ぎますか?」
さて、どうしよう。ケイロンは【偽装】しているから馬扱い。魔法生物だから、通常の馬の餌は不要。いっそのこと俺の【空間収納】にいれることも可能だ。
『マスター、提案ガアリマス』
『なんだ?』
『様子見デ一晩私ハ場房ニ行ッテミヨウト思イマス。モシカシタラ何カ情報ヲ得ラレルカモシレマセン』
たしかに【念話】で対象指定すれば動物でも対話は可能。もしかしたら、収穫があるかもしれないな。
『わかった。許可する。但し、耐え切れなかったり、ヤバくなったらすぐに連絡してくれ』
『分カリマシタ』
俺はケイロンとの【念話】を終了し、案内役となっている門番に1晩試しに馬房に預けることをお願いし、馬に【偽装】したケイロンを預けて、宿の建物に飛鳥とクロエを伴って入った。
■
「いらっしゃいませ。3名様ですね。お1人様1泊正銅貨4枚になります。お部屋は2階、お食事は別料金で1階の食堂で摂ることができますよ。お湯はお1人分の桶1杯で正銅貨1枚になります。トイレは1階のあちらになります」
使い込まれているが掃除が行き届いて清潔なのは言うに及ばず、思っていたよりも雰囲気のいい宿で、料金も良心的だな。
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俺は受付の女性に尋ねた。
「3人部屋が1つと2人部屋が2つ、1人部屋が5つです。ちなみに3人部屋でしたら、割り引きまして1泊銀貨1枚になります」
3人部屋の割引は魅力的ではあるが俺の独断はだめだな。
「2人とも、部屋割りはどうする? 3人部屋、2人部屋と1人部屋、それぞれ個室が選べるけど。後お湯はどうする?」
「出費を抑えるため3人部屋にしましょう。お湯は今夜は不要で」
『我もアスカに同意じゃ』
「わかった。3人部屋でひとまず3泊でお願いします」
「わかりました。こちらにご記帳……代筆しましょうか?」
「いや、大丈夫だ」
そう言って、俺は台帳にカタカナで3人の名前を記入した。
「ありがとうございます。3泊ですと、銀貨3枚になります。こちらがお部屋の鍵です」
俺が料金を支払うのと引き換えに鍵を渡された。
「ありがとう。食堂は何時までやっているかな?それと厨房を借りることはできるかい?」
「食堂はこの都市では夜鐘が9回鳴る終業の鐘がなりますとラストオーダーになります。厨房の利用は混雑時はできませんが、それ以外でしたら、応相談。あ、お部屋での調理は禁止ですのでご注意ください」
なるほどね。
「わかった。ありがとう。じゃあ部屋に行こうか」
「はい」
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