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068 四体のデスマスク④
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どこも混んでいたので結局商業ビルの屋上に来て、ドリンクを買って座った。ここの屋上は都会とは思えないほど緑も多く、買い物疲れの人々の憩いの場になっている。そして隅の方に神社。不思議そうに眺めていたら、
「色んな建て替えの中で、元からあった神社を屋上に移転させたのかなあ? 結構デパートの屋上に神社ってあるよね」
と、先回りして答えられてしまった。
「そうなんですね。屋上ってあまり来たことなかったです。今は遊具とかないんですね」
「僕らの幼少期はミニ遊園地っていうかそれが屋上の定番だったけど。日比野さんの地元にはあったのかな?」
「はい、古い十円の乗り物とか置いてありましたよ。昭和の映画で観るようなのが」
「23歳だもんね。もしかしてミレニアム生まれ?」
「そうです。よく言われますよ、ウィンドウズの2000年問題の時の子だ、とか」
「あー、僕も言いそうになった。危ないわ」
お互いに笑い合いながら、薄曇りの空を見る。秋晴れの時なら都会でも綺麗に青空が楽しめそうだ。
自分達以外にどんな人が来ているのかと周りを見てみると、体力のあり余る子供達が駆け回ったり、かと思えばデパ地下でおやつを買って来て、ここで食べている人も居る。日差しの強いところで寝ている猛者まで。
「日比野さん、お疲れモード? 何か悩んでることでもあるの?」
ぼうっとし過ぎただろうか。顔を上げると井ノ口が心配そうにこちらを見ている。
「いえ、そんなことは」
「連日の佐山氏のコレクション整理のことだけでも大変なのに、比江島氏や八頭女史のことにまで巻き込まれているもんね」
「······ええ」
「おじさんに相談出来ることだったら乗るからね」
「ありがとうございます、でも大丈夫ですよ」
「そう? あ、そういえばニッコー門木のこと見たんでしょう。どうだった?」
「えっ?」
突然の方向転換に驚いてしまい、素で声を上げてしまった。何故ここで門木氏?
「あの人、絶対うちの図書室も使ってると思うんだ。でも顔出さないじゃない? だからもしかして館内の誰かなんじゃないかって噂なんだよ。日比野さんが会ったんなら分かったかなって思って」
門木氏は豊富な知識をもってここ10年程で活躍の場を広げて行った批評家だ。だが、館内の研究員なら館発行のニューズレターや図録に原稿を書く機会も多いので、文章の癖なんかでおのずと察せられる気がする。読むのはマニアばかりなのだから。
「······姿は見たんですが、猿のマスクをしていましたし、ちょっとその時具合悪くしてたので」
「そうか、残念。僕、内心で門木氏って池上かなって思ってたんだけど、いつも近くにいる日比野さんが気づかないなら違うのかもね。外れたかなぁ」
笑っている井ノ口に相槌を打とうとして、遠くから聞こえる雷鳴に阻まれた。雨がこちらに迫って来ているように、真上の雲もみるみる間に黒くなっている。
「あ、一雨来るね。じゃあ帰ろうか」
「はい、今日はありがとうございました」
「色んな建て替えの中で、元からあった神社を屋上に移転させたのかなあ? 結構デパートの屋上に神社ってあるよね」
と、先回りして答えられてしまった。
「そうなんですね。屋上ってあまり来たことなかったです。今は遊具とかないんですね」
「僕らの幼少期はミニ遊園地っていうかそれが屋上の定番だったけど。日比野さんの地元にはあったのかな?」
「はい、古い十円の乗り物とか置いてありましたよ。昭和の映画で観るようなのが」
「23歳だもんね。もしかしてミレニアム生まれ?」
「そうです。よく言われますよ、ウィンドウズの2000年問題の時の子だ、とか」
「あー、僕も言いそうになった。危ないわ」
お互いに笑い合いながら、薄曇りの空を見る。秋晴れの時なら都会でも綺麗に青空が楽しめそうだ。
自分達以外にどんな人が来ているのかと周りを見てみると、体力のあり余る子供達が駆け回ったり、かと思えばデパ地下でおやつを買って来て、ここで食べている人も居る。日差しの強いところで寝ている猛者まで。
「日比野さん、お疲れモード? 何か悩んでることでもあるの?」
ぼうっとし過ぎただろうか。顔を上げると井ノ口が心配そうにこちらを見ている。
「いえ、そんなことは」
「連日の佐山氏のコレクション整理のことだけでも大変なのに、比江島氏や八頭女史のことにまで巻き込まれているもんね」
「······ええ」
「おじさんに相談出来ることだったら乗るからね」
「ありがとうございます、でも大丈夫ですよ」
「そう? あ、そういえばニッコー門木のこと見たんでしょう。どうだった?」
「えっ?」
突然の方向転換に驚いてしまい、素で声を上げてしまった。何故ここで門木氏?
「あの人、絶対うちの図書室も使ってると思うんだ。でも顔出さないじゃない? だからもしかして館内の誰かなんじゃないかって噂なんだよ。日比野さんが会ったんなら分かったかなって思って」
門木氏は豊富な知識をもってここ10年程で活躍の場を広げて行った批評家だ。だが、館内の研究員なら館発行のニューズレターや図録に原稿を書く機会も多いので、文章の癖なんかでおのずと察せられる気がする。読むのはマニアばかりなのだから。
「······姿は見たんですが、猿のマスクをしていましたし、ちょっとその時具合悪くしてたので」
「そうか、残念。僕、内心で門木氏って池上かなって思ってたんだけど、いつも近くにいる日比野さんが気づかないなら違うのかもね。外れたかなぁ」
笑っている井ノ口に相槌を打とうとして、遠くから聞こえる雷鳴に阻まれた。雨がこちらに迫って来ているように、真上の雲もみるみる間に黒くなっている。
「あ、一雨来るね。じゃあ帰ろうか」
「はい、今日はありがとうございました」
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