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063 佐山邸で調査再開④

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 再び佐山邸に着く。
 江藤弁護士の指示通り、今度はセキュリティも一時解除のみにして、外からの侵入対策はしておく。

 今度は真っ先に地下室に向かう。比江島氏の倒れていた痕跡は何も残っておらず、床も綺麗に拭かれている。
 改めて確認するとスチール製の入口のドアにはパワージャッキがついていたり、室内には空気清浄機までつけられていることに気付く。

「田代、まず全てを撮影してくれるか?」

 田代主任が全ての棚や作業台なども漏れなく動画で押さえておく。

「撮影しました」
「よし。じゃあ日比野さんはパソコン立ち上げておいて。先に目録がないか調べよう」

 本棚に「私家本 校正関連」というファイルを見つける。
 パラパラと眺めると、この本を作った時のデータが入っているらしき四角いディスクが綴じられていた。

「これって何でしょう? 何かのディスクっぽいんですけど」
「あー、それ! 懐かしい、MOディスクってやつだよ。フロッピーディスクの次に使ってた記憶媒体。そんなに長くは普及しなかったんじゃないかな」
「2000年前半くらいまではこれにデータ入れて印刷所に持って行ってたんだ。見たことない?」

 西村課長と尾崎係長は盛り上がっているが、私は全然ピンとこない。

「本当に全然ですね。初めましての感じです」
「これが私家本のところにあるってことは、相当前から出版に向けて動いてたんだろうねえ」
「あの本の発行は2016年ですものね」 
「ここでは見られないけど、館に戻れば外付けのMOドライブがあるから、それで開けると思う。このデータの中に、私家本に選別する前の所蔵リストが入ってるかもしれない」

 それではひとまず持ち帰りですね、と私は持ち込んだ文書保存箱を一つ組み立てて、その中に入れておく。資料に付箋で番号を振り、パソコンにも入力する。

「あっ、ありました! 作業台の引出しにまた当館寄贈品リスト用と書かれたノートパソコンが! これを起動してみましょう」

 慌てて田代主任が発見したノートパソコンを立ち上げる。中には所蔵目録の他に、当館と同じYAGIシステムのデータベースアイコンがある。

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