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第12話 モフモフとツルツルは怖くない!
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ミカエル殿下によって私達は王城に転移した。
アーロンは魔術研究所に、ザカライヤ様はノーラン騎士団にそれぞれ謝りに行かなければいけないので、私はボレロと領に戻ることにした。
二人に挨拶をしてボレロを連れて行こうとすると、ザカライヤ様がキラキラした瞳でこちらを見つめておられる事に気づいた。
「その······、小鳥姫、いやガスター嬢。こちらこそあの時は申し訳なかった」
「それはこちらの方こそです。ソーンダイク公爵令息様は何も悪くありませんわ」
「僕は貴女が馬を見事に操る様が見たかったのだ。馬に関しては自分でも自信はあったのだが、『小鳥姫』は格別だというのでね」
「その節は幼稚な対応となりすみませんでした」
「もし良かったら、今度ガスター領の練習場に伺うので、その時にでも貴女の乗馬を見せて欲しい」
「ええ、ぜひに」
「あの時の傷は残らなくて良かった」
ザカライヤ様は優しいお顔で話を続けた。
「僕は勝手に貴女の乗馬の腕に憧れを持っていたのだ。それでずるい手ではあるがまだ婚約者がいないと聞いて、話すチャンスを得ようと学院の茶会を利用しようとした」
「······そうだったのですね」
「嘘をついたのは悪かったが、貴女と一から関係を作りたい。それから前にお願いしたようにザカライヤと気軽に呼んでほしいのだ」
それまで黙っていたアーロンが慌てて割って入って来た。
「ザカライヤ様、彼女には僕がすでに求婚しています! お含み下さい!!」
アーロンはガウガウと犬が威嚇するように叫んでいるが、彼を押さえつつ私はザカライア様の前に進み出た。
「あの······ザカライヤ様。逃げていてすみませんでした。馬のことでしたら我が領でよろしければお力になりますので、ザカライヤ様の馬もぜひお連れになって下さいませ」
「ありがとう! では学院の茶会でもよろしく頼む」
「え? あ、はい」
「クローディア! ザカライヤ様が婚約者というのは先生に訂正したんだよね? なら茶会の隣は僕だよね?」
「え、あの?」
「ザカライヤ様はただの友人、僕は婚約者、だよね?!」
「勝手に決めるなよ、これからまだ分からないだろう?」
ザカライア様はわざとアーロンを煽るようなことを言って楽しんでいるように見えるが、アーロンは真に受けて本気で怒り出しそうだ。
また喧嘩が勃発してしまったら困るので、私は早々に切り上げることにした。
「アーロンもザカライヤ様も、早くお戻り下さい。アーロン、婚約のお話はアーロンからしか頂いていないのですから、私は前向きに考えていますよ! ザカライヤ様、我が領ではご購入いただいた馬の健診、調教その他のメンテナンス等のご相談にも応じておりますのでぜひご利用下さいませ。それでは失礼致します」
二人をその場に残してひらりとボレロに跨り、歩みを進めていった。
「······やっぱり綺麗だなあ」
「クローディアに惚れないで下さいね」
「夢だった『小鳥姫』の乗馬姿を現実に見てしまうとなあ······惚れてしまったかもしれん」
「気のせいだと思いますので、早く夢から醒めて下さい!」
男達は何だかんだで仲良く彼女を見送っていた。
◇ ◇ ◇
自宅に戻ると、家令にボレロを練習場に返すように頼んで、ようやく部屋に戻ってこられた。
アンに頼んで汚れを落とし着替えを済ますと、お茶を入れ終えたアンは静かに退室して行った。
すっきりした口当たりのお茶にゆっくりと一息つくと、改めて先程の事を思い返してみた。
犬になった二人は怖くなかった。
犬に変えられただけで性格は変わらないのだから、あれがザカライヤ様の素なのだろう。
ただ馬術に興味がおありだっただけなのに、私が過剰に怖がったばかりに今まで本当に申し訳ないことをしてしまった。
それから······、ついナデナデまでしてしまった。
いくら見た目が犬だったにしても、公爵令息、侯爵令息に対して大変不敬なことをしてしまったのを自覚すると、頭を抱えたくなる。
――しかし気持ち良かったなあ。あのモフモフとツルツルを両方味わえるなんて至福の一言。癖になりそうなナデナデ具合だったわ。
それに何故か二人共犬にされたのに怒っていなかったし。
犬の時にあれだけ一緒にいて話したからなのか、男性に戻った後もさほど怖くなかったのも不思議だった。
あれこれ考えてみたが、ミカエル殿下の制裁が何故か私には男性恐怖症の荒療治になったのかもしれない。
自分が原因でアーロンに罰を与えられるのかとか、高位貴族の二人が犬にされてしまった驚きで、まず頭がいっぱいで必死になってしまい、男性が怖いとか何とか考える余裕もなかった。
改めて思い返すと、距離は取りつつだったがミカエル殿下や侍従の方とも問題なくお話出来たし。
改善したのは彼ら限定かもしれないけれど、ザカライヤ様にきちんと謝れた事で私の心は相当落ち着いた。
もしかしたらこれは恐怖心というよりかは罪悪感が強かったのかもしれない。
そういえばポーリーンに何も言わずに帰って来てしまった。
アーロンはまだ帰れないだろうし、心配してるだろうから報告だけでもと手紙を書き出したところで、アンから声がかかる。
「奥様がお食事の前だけれどお茶でもどうかとおっしゃっておられます」
◇ ◇ ◇
「クローディア、今日はお疲れ様でしたね」
お母様が手ずからお茶を淹れて下さり、そう切り出された。
差し出されたお茶は野苺と薔薇の香りが口内に広がるお母様お得意のブレンドだ。
「聞いておられるのですか?」
「ええ、ポーリーンかこちらに見えた時に少しだけ」
「彼女から我が家から馬術練習場に回られたと伺いました。ご対応ありがとうございました」
「構わなくてよ。ねえ薔薇ジャムをもう少し足してみる?」
お母様が、薔薇ジャムの載った盆を回して下さる。
「疲れた時は甘いものが一番よ」
「ふふふ、では足しますわ」
ガスター領の女性陣が作った薔薇ジャムは、香りをうまく残して煮詰めているので、甘く華やかな香りが楽しいものだ。
「去年のものはこの一瓶か最後なの。薔薇摘みの季節が待ち遠しいわ」
「朝早くから集まるのが楽しいですものね」
「貴女も今年は沢山作ってギブソン家にお持ちしたらいいわ」
ギブソン家、と聞いて心が跳ねた。
「え、ええ······」
「ポーリーンも夫人も我が領のジャムを贔屓にして下さっているから、今年もお待ちになっておられることよ」
「そう、ですね」
今までは何も気にせずお届けしていたが、今回は······。
「お母様、あの――」
◇ ◇ ◇
ある日の昼下がり、私はアンをお供に連れて馬車に乗っていた。
きちんとしたアフタヌーンドレスに身を包み、目的地に着くまでしばし目を閉じているので、アンも控えていてくれる。
離宮から戻った日の夜。
家族での食事の時に、私はこの日にあったことから自分に起こった変化について話したのだ。
「そんなわけですので、オットーを呼んで下さいな」
「大丈夫なのかい?」
「ええ」
少しして恐る恐るといった感じで現れたオットーは、エプロンを外しながら「お呼びですか?」と頭を下げた。
「オットー。今まで避けてしまってごめんなさい。今日のお食事もおいしいわ」
「お嬢様!」
笑顔で私が声をかけると、なるべく私の視界から遠ざかろうとしていたオットーは驚いて声を上げた。大きな男性らしい声だがあの優しいオットーなのだから大丈夫だ。
「クローディア、本当に怖くなくなったんだね」
「姉様、良かった! 特訓の効果だね!」
「あ、あ、ではお嬢様のお好きなオレンジプディングをお持ちします!」
涙目のオットーは何度も頭を下げて厨房に戻り、そこから「おい、何があったんだよ?」「えっお嬢様が?」などと通常らしからぬ賑やかな声が聞こえて来る。いいの、今日はお祝いみたいなものだから。
「うむ、苦手克服のきっかけはミカエル殿下だったかもしれないが、こう上手く行ったのはアーロン君の献身のおかげだろうね」
「そうよ、あなた。すごかったのよアーロン様の忠犬具合は」
「僕だって犬になるの上手かったよ!」
「ティムもポーリーンと一緒に頑張ってたものねぇ」
「うん!」
「皆さんのおかげですわ」
私は絶対に赤くなっているであろう頬を押さえながら、改めて家族にお礼を言った。
「それでアーロン様に会いに行ってきますわ」
「私達が一緒でなくても平気かい?」
「ええ、大丈夫です」
窓の外に目を向けて、今日は空がとても青いなと思っていたら、どうやら到着したようだ。
「お手をどうぞ、御主人様」
晴天のもと輝く金髪の人――アーロンは、馬車の扉を開けて私にエスコートの手を差し出している。
「ええ、ありがとうアーロン」
アーロンは魔術研究所に、ザカライヤ様はノーラン騎士団にそれぞれ謝りに行かなければいけないので、私はボレロと領に戻ることにした。
二人に挨拶をしてボレロを連れて行こうとすると、ザカライヤ様がキラキラした瞳でこちらを見つめておられる事に気づいた。
「その······、小鳥姫、いやガスター嬢。こちらこそあの時は申し訳なかった」
「それはこちらの方こそです。ソーンダイク公爵令息様は何も悪くありませんわ」
「僕は貴女が馬を見事に操る様が見たかったのだ。馬に関しては自分でも自信はあったのだが、『小鳥姫』は格別だというのでね」
「その節は幼稚な対応となりすみませんでした」
「もし良かったら、今度ガスター領の練習場に伺うので、その時にでも貴女の乗馬を見せて欲しい」
「ええ、ぜひに」
「あの時の傷は残らなくて良かった」
ザカライヤ様は優しいお顔で話を続けた。
「僕は勝手に貴女の乗馬の腕に憧れを持っていたのだ。それでずるい手ではあるがまだ婚約者がいないと聞いて、話すチャンスを得ようと学院の茶会を利用しようとした」
「······そうだったのですね」
「嘘をついたのは悪かったが、貴女と一から関係を作りたい。それから前にお願いしたようにザカライヤと気軽に呼んでほしいのだ」
それまで黙っていたアーロンが慌てて割って入って来た。
「ザカライヤ様、彼女には僕がすでに求婚しています! お含み下さい!!」
アーロンはガウガウと犬が威嚇するように叫んでいるが、彼を押さえつつ私はザカライア様の前に進み出た。
「あの······ザカライヤ様。逃げていてすみませんでした。馬のことでしたら我が領でよろしければお力になりますので、ザカライヤ様の馬もぜひお連れになって下さいませ」
「ありがとう! では学院の茶会でもよろしく頼む」
「え? あ、はい」
「クローディア! ザカライヤ様が婚約者というのは先生に訂正したんだよね? なら茶会の隣は僕だよね?」
「え、あの?」
「ザカライヤ様はただの友人、僕は婚約者、だよね?!」
「勝手に決めるなよ、これからまだ分からないだろう?」
ザカライア様はわざとアーロンを煽るようなことを言って楽しんでいるように見えるが、アーロンは真に受けて本気で怒り出しそうだ。
また喧嘩が勃発してしまったら困るので、私は早々に切り上げることにした。
「アーロンもザカライヤ様も、早くお戻り下さい。アーロン、婚約のお話はアーロンからしか頂いていないのですから、私は前向きに考えていますよ! ザカライヤ様、我が領ではご購入いただいた馬の健診、調教その他のメンテナンス等のご相談にも応じておりますのでぜひご利用下さいませ。それでは失礼致します」
二人をその場に残してひらりとボレロに跨り、歩みを進めていった。
「······やっぱり綺麗だなあ」
「クローディアに惚れないで下さいね」
「夢だった『小鳥姫』の乗馬姿を現実に見てしまうとなあ······惚れてしまったかもしれん」
「気のせいだと思いますので、早く夢から醒めて下さい!」
男達は何だかんだで仲良く彼女を見送っていた。
◇ ◇ ◇
自宅に戻ると、家令にボレロを練習場に返すように頼んで、ようやく部屋に戻ってこられた。
アンに頼んで汚れを落とし着替えを済ますと、お茶を入れ終えたアンは静かに退室して行った。
すっきりした口当たりのお茶にゆっくりと一息つくと、改めて先程の事を思い返してみた。
犬になった二人は怖くなかった。
犬に変えられただけで性格は変わらないのだから、あれがザカライヤ様の素なのだろう。
ただ馬術に興味がおありだっただけなのに、私が過剰に怖がったばかりに今まで本当に申し訳ないことをしてしまった。
それから······、ついナデナデまでしてしまった。
いくら見た目が犬だったにしても、公爵令息、侯爵令息に対して大変不敬なことをしてしまったのを自覚すると、頭を抱えたくなる。
――しかし気持ち良かったなあ。あのモフモフとツルツルを両方味わえるなんて至福の一言。癖になりそうなナデナデ具合だったわ。
それに何故か二人共犬にされたのに怒っていなかったし。
犬の時にあれだけ一緒にいて話したからなのか、男性に戻った後もさほど怖くなかったのも不思議だった。
あれこれ考えてみたが、ミカエル殿下の制裁が何故か私には男性恐怖症の荒療治になったのかもしれない。
自分が原因でアーロンに罰を与えられるのかとか、高位貴族の二人が犬にされてしまった驚きで、まず頭がいっぱいで必死になってしまい、男性が怖いとか何とか考える余裕もなかった。
改めて思い返すと、距離は取りつつだったがミカエル殿下や侍従の方とも問題なくお話出来たし。
改善したのは彼ら限定かもしれないけれど、ザカライヤ様にきちんと謝れた事で私の心は相当落ち着いた。
もしかしたらこれは恐怖心というよりかは罪悪感が強かったのかもしれない。
そういえばポーリーンに何も言わずに帰って来てしまった。
アーロンはまだ帰れないだろうし、心配してるだろうから報告だけでもと手紙を書き出したところで、アンから声がかかる。
「奥様がお食事の前だけれどお茶でもどうかとおっしゃっておられます」
◇ ◇ ◇
「クローディア、今日はお疲れ様でしたね」
お母様が手ずからお茶を淹れて下さり、そう切り出された。
差し出されたお茶は野苺と薔薇の香りが口内に広がるお母様お得意のブレンドだ。
「聞いておられるのですか?」
「ええ、ポーリーンかこちらに見えた時に少しだけ」
「彼女から我が家から馬術練習場に回られたと伺いました。ご対応ありがとうございました」
「構わなくてよ。ねえ薔薇ジャムをもう少し足してみる?」
お母様が、薔薇ジャムの載った盆を回して下さる。
「疲れた時は甘いものが一番よ」
「ふふふ、では足しますわ」
ガスター領の女性陣が作った薔薇ジャムは、香りをうまく残して煮詰めているので、甘く華やかな香りが楽しいものだ。
「去年のものはこの一瓶か最後なの。薔薇摘みの季節が待ち遠しいわ」
「朝早くから集まるのが楽しいですものね」
「貴女も今年は沢山作ってギブソン家にお持ちしたらいいわ」
ギブソン家、と聞いて心が跳ねた。
「え、ええ······」
「ポーリーンも夫人も我が領のジャムを贔屓にして下さっているから、今年もお待ちになっておられることよ」
「そう、ですね」
今までは何も気にせずお届けしていたが、今回は······。
「お母様、あの――」
◇ ◇ ◇
ある日の昼下がり、私はアンをお供に連れて馬車に乗っていた。
きちんとしたアフタヌーンドレスに身を包み、目的地に着くまでしばし目を閉じているので、アンも控えていてくれる。
離宮から戻った日の夜。
家族での食事の時に、私はこの日にあったことから自分に起こった変化について話したのだ。
「そんなわけですので、オットーを呼んで下さいな」
「大丈夫なのかい?」
「ええ」
少しして恐る恐るといった感じで現れたオットーは、エプロンを外しながら「お呼びですか?」と頭を下げた。
「オットー。今まで避けてしまってごめんなさい。今日のお食事もおいしいわ」
「お嬢様!」
笑顔で私が声をかけると、なるべく私の視界から遠ざかろうとしていたオットーは驚いて声を上げた。大きな男性らしい声だがあの優しいオットーなのだから大丈夫だ。
「クローディア、本当に怖くなくなったんだね」
「姉様、良かった! 特訓の効果だね!」
「あ、あ、ではお嬢様のお好きなオレンジプディングをお持ちします!」
涙目のオットーは何度も頭を下げて厨房に戻り、そこから「おい、何があったんだよ?」「えっお嬢様が?」などと通常らしからぬ賑やかな声が聞こえて来る。いいの、今日はお祝いみたいなものだから。
「うむ、苦手克服のきっかけはミカエル殿下だったかもしれないが、こう上手く行ったのはアーロン君の献身のおかげだろうね」
「そうよ、あなた。すごかったのよアーロン様の忠犬具合は」
「僕だって犬になるの上手かったよ!」
「ティムもポーリーンと一緒に頑張ってたものねぇ」
「うん!」
「皆さんのおかげですわ」
私は絶対に赤くなっているであろう頬を押さえながら、改めて家族にお礼を言った。
「それでアーロン様に会いに行ってきますわ」
「私達が一緒でなくても平気かい?」
「ええ、大丈夫です」
窓の外に目を向けて、今日は空がとても青いなと思っていたら、どうやら到着したようだ。
「お手をどうぞ、御主人様」
晴天のもと輝く金髪の人――アーロンは、馬車の扉を開けて私にエスコートの手を差し出している。
「ええ、ありがとうアーロン」
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