12 / 13
第12話 モフモフとツルツルは怖くない!
しおりを挟む
ミカエル殿下によって私達は王城に転移した。
アーロンは魔術研究所に、ザカライヤ様はノーラン騎士団にそれぞれ謝りに行かなければいけないので、私はボレロと領に戻ることにした。
二人に挨拶をしてボレロを連れて行こうとすると、ザカライヤ様がキラキラした瞳でこちらを見つめておられる事に気づいた。
「その······、小鳥姫、いやガスター嬢。こちらこそあの時は申し訳なかった」
「それはこちらの方こそです。ソーンダイク公爵令息様は何も悪くありませんわ」
「僕は貴女が馬を見事に操る様が見たかったのだ。馬に関しては自分でも自信はあったのだが、『小鳥姫』は格別だというのでね」
「その節は幼稚な対応となりすみませんでした」
「もし良かったら、今度ガスター領の練習場に伺うので、その時にでも貴女の乗馬を見せて欲しい」
「ええ、ぜひに」
「あの時の傷は残らなくて良かった」
ザカライヤ様は優しいお顔で話を続けた。
「僕は勝手に貴女の乗馬の腕に憧れを持っていたのだ。それでずるい手ではあるがまだ婚約者がいないと聞いて、話すチャンスを得ようと学院の茶会を利用しようとした」
「······そうだったのですね」
「嘘をついたのは悪かったが、貴女と一から関係を作りたい。それから前にお願いしたようにザカライヤと気軽に呼んでほしいのだ」
それまで黙っていたアーロンが慌てて割って入って来た。
「ザカライヤ様、彼女には僕がすでに求婚しています! お含み下さい!!」
アーロンはガウガウと犬が威嚇するように叫んでいるが、彼を押さえつつ私はザカライア様の前に進み出た。
「あの······ザカライヤ様。逃げていてすみませんでした。馬のことでしたら我が領でよろしければお力になりますので、ザカライヤ様の馬もぜひお連れになって下さいませ」
「ありがとう! では学院の茶会でもよろしく頼む」
「え? あ、はい」
「クローディア! ザカライヤ様が婚約者というのは先生に訂正したんだよね? なら茶会の隣は僕だよね?」
「え、あの?」
「ザカライヤ様はただの友人、僕は婚約者、だよね?!」
「勝手に決めるなよ、これからまだ分からないだろう?」
ザカライア様はわざとアーロンを煽るようなことを言って楽しんでいるように見えるが、アーロンは真に受けて本気で怒り出しそうだ。
また喧嘩が勃発してしまったら困るので、私は早々に切り上げることにした。
「アーロンもザカライヤ様も、早くお戻り下さい。アーロン、婚約のお話はアーロンからしか頂いていないのですから、私は前向きに考えていますよ! ザカライヤ様、我が領ではご購入いただいた馬の健診、調教その他のメンテナンス等のご相談にも応じておりますのでぜひご利用下さいませ。それでは失礼致します」
二人をその場に残してひらりとボレロに跨り、歩みを進めていった。
「······やっぱり綺麗だなあ」
「クローディアに惚れないで下さいね」
「夢だった『小鳥姫』の乗馬姿を現実に見てしまうとなあ······惚れてしまったかもしれん」
「気のせいだと思いますので、早く夢から醒めて下さい!」
男達は何だかんだで仲良く彼女を見送っていた。
◇ ◇ ◇
自宅に戻ると、家令にボレロを練習場に返すように頼んで、ようやく部屋に戻ってこられた。
アンに頼んで汚れを落とし着替えを済ますと、お茶を入れ終えたアンは静かに退室して行った。
すっきりした口当たりのお茶にゆっくりと一息つくと、改めて先程の事を思い返してみた。
犬になった二人は怖くなかった。
犬に変えられただけで性格は変わらないのだから、あれがザカライヤ様の素なのだろう。
ただ馬術に興味がおありだっただけなのに、私が過剰に怖がったばかりに今まで本当に申し訳ないことをしてしまった。
それから······、ついナデナデまでしてしまった。
いくら見た目が犬だったにしても、公爵令息、侯爵令息に対して大変不敬なことをしてしまったのを自覚すると、頭を抱えたくなる。
――しかし気持ち良かったなあ。あのモフモフとツルツルを両方味わえるなんて至福の一言。癖になりそうなナデナデ具合だったわ。
それに何故か二人共犬にされたのに怒っていなかったし。
犬の時にあれだけ一緒にいて話したからなのか、男性に戻った後もさほど怖くなかったのも不思議だった。
あれこれ考えてみたが、ミカエル殿下の制裁が何故か私には男性恐怖症の荒療治になったのかもしれない。
自分が原因でアーロンに罰を与えられるのかとか、高位貴族の二人が犬にされてしまった驚きで、まず頭がいっぱいで必死になってしまい、男性が怖いとか何とか考える余裕もなかった。
改めて思い返すと、距離は取りつつだったがミカエル殿下や侍従の方とも問題なくお話出来たし。
改善したのは彼ら限定かもしれないけれど、ザカライヤ様にきちんと謝れた事で私の心は相当落ち着いた。
もしかしたらこれは恐怖心というよりかは罪悪感が強かったのかもしれない。
そういえばポーリーンに何も言わずに帰って来てしまった。
アーロンはまだ帰れないだろうし、心配してるだろうから報告だけでもと手紙を書き出したところで、アンから声がかかる。
「奥様がお食事の前だけれどお茶でもどうかとおっしゃっておられます」
◇ ◇ ◇
「クローディア、今日はお疲れ様でしたね」
お母様が手ずからお茶を淹れて下さり、そう切り出された。
差し出されたお茶は野苺と薔薇の香りが口内に広がるお母様お得意のブレンドだ。
「聞いておられるのですか?」
「ええ、ポーリーンかこちらに見えた時に少しだけ」
「彼女から我が家から馬術練習場に回られたと伺いました。ご対応ありがとうございました」
「構わなくてよ。ねえ薔薇ジャムをもう少し足してみる?」
お母様が、薔薇ジャムの載った盆を回して下さる。
「疲れた時は甘いものが一番よ」
「ふふふ、では足しますわ」
ガスター領の女性陣が作った薔薇ジャムは、香りをうまく残して煮詰めているので、甘く華やかな香りが楽しいものだ。
「去年のものはこの一瓶か最後なの。薔薇摘みの季節が待ち遠しいわ」
「朝早くから集まるのが楽しいですものね」
「貴女も今年は沢山作ってギブソン家にお持ちしたらいいわ」
ギブソン家、と聞いて心が跳ねた。
「え、ええ······」
「ポーリーンも夫人も我が領のジャムを贔屓にして下さっているから、今年もお待ちになっておられることよ」
「そう、ですね」
今までは何も気にせずお届けしていたが、今回は······。
「お母様、あの――」
◇ ◇ ◇
ある日の昼下がり、私はアンをお供に連れて馬車に乗っていた。
きちんとしたアフタヌーンドレスに身を包み、目的地に着くまでしばし目を閉じているので、アンも控えていてくれる。
離宮から戻った日の夜。
家族での食事の時に、私はこの日にあったことから自分に起こった変化について話したのだ。
「そんなわけですので、オットーを呼んで下さいな」
「大丈夫なのかい?」
「ええ」
少しして恐る恐るといった感じで現れたオットーは、エプロンを外しながら「お呼びですか?」と頭を下げた。
「オットー。今まで避けてしまってごめんなさい。今日のお食事もおいしいわ」
「お嬢様!」
笑顔で私が声をかけると、なるべく私の視界から遠ざかろうとしていたオットーは驚いて声を上げた。大きな男性らしい声だがあの優しいオットーなのだから大丈夫だ。
「クローディア、本当に怖くなくなったんだね」
「姉様、良かった! 特訓の効果だね!」
「あ、あ、ではお嬢様のお好きなオレンジプディングをお持ちします!」
涙目のオットーは何度も頭を下げて厨房に戻り、そこから「おい、何があったんだよ?」「えっお嬢様が?」などと通常らしからぬ賑やかな声が聞こえて来る。いいの、今日はお祝いみたいなものだから。
「うむ、苦手克服のきっかけはミカエル殿下だったかもしれないが、こう上手く行ったのはアーロン君の献身のおかげだろうね」
「そうよ、あなた。すごかったのよアーロン様の忠犬具合は」
「僕だって犬になるの上手かったよ!」
「ティムもポーリーンと一緒に頑張ってたものねぇ」
「うん!」
「皆さんのおかげですわ」
私は絶対に赤くなっているであろう頬を押さえながら、改めて家族にお礼を言った。
「それでアーロン様に会いに行ってきますわ」
「私達が一緒でなくても平気かい?」
「ええ、大丈夫です」
窓の外に目を向けて、今日は空がとても青いなと思っていたら、どうやら到着したようだ。
「お手をどうぞ、御主人様」
晴天のもと輝く金髪の人――アーロンは、馬車の扉を開けて私にエスコートの手を差し出している。
「ええ、ありがとうアーロン」
アーロンは魔術研究所に、ザカライヤ様はノーラン騎士団にそれぞれ謝りに行かなければいけないので、私はボレロと領に戻ることにした。
二人に挨拶をしてボレロを連れて行こうとすると、ザカライヤ様がキラキラした瞳でこちらを見つめておられる事に気づいた。
「その······、小鳥姫、いやガスター嬢。こちらこそあの時は申し訳なかった」
「それはこちらの方こそです。ソーンダイク公爵令息様は何も悪くありませんわ」
「僕は貴女が馬を見事に操る様が見たかったのだ。馬に関しては自分でも自信はあったのだが、『小鳥姫』は格別だというのでね」
「その節は幼稚な対応となりすみませんでした」
「もし良かったら、今度ガスター領の練習場に伺うので、その時にでも貴女の乗馬を見せて欲しい」
「ええ、ぜひに」
「あの時の傷は残らなくて良かった」
ザカライヤ様は優しいお顔で話を続けた。
「僕は勝手に貴女の乗馬の腕に憧れを持っていたのだ。それでずるい手ではあるがまだ婚約者がいないと聞いて、話すチャンスを得ようと学院の茶会を利用しようとした」
「······そうだったのですね」
「嘘をついたのは悪かったが、貴女と一から関係を作りたい。それから前にお願いしたようにザカライヤと気軽に呼んでほしいのだ」
それまで黙っていたアーロンが慌てて割って入って来た。
「ザカライヤ様、彼女には僕がすでに求婚しています! お含み下さい!!」
アーロンはガウガウと犬が威嚇するように叫んでいるが、彼を押さえつつ私はザカライア様の前に進み出た。
「あの······ザカライヤ様。逃げていてすみませんでした。馬のことでしたら我が領でよろしければお力になりますので、ザカライヤ様の馬もぜひお連れになって下さいませ」
「ありがとう! では学院の茶会でもよろしく頼む」
「え? あ、はい」
「クローディア! ザカライヤ様が婚約者というのは先生に訂正したんだよね? なら茶会の隣は僕だよね?」
「え、あの?」
「ザカライヤ様はただの友人、僕は婚約者、だよね?!」
「勝手に決めるなよ、これからまだ分からないだろう?」
ザカライア様はわざとアーロンを煽るようなことを言って楽しんでいるように見えるが、アーロンは真に受けて本気で怒り出しそうだ。
また喧嘩が勃発してしまったら困るので、私は早々に切り上げることにした。
「アーロンもザカライヤ様も、早くお戻り下さい。アーロン、婚約のお話はアーロンからしか頂いていないのですから、私は前向きに考えていますよ! ザカライヤ様、我が領ではご購入いただいた馬の健診、調教その他のメンテナンス等のご相談にも応じておりますのでぜひご利用下さいませ。それでは失礼致します」
二人をその場に残してひらりとボレロに跨り、歩みを進めていった。
「······やっぱり綺麗だなあ」
「クローディアに惚れないで下さいね」
「夢だった『小鳥姫』の乗馬姿を現実に見てしまうとなあ······惚れてしまったかもしれん」
「気のせいだと思いますので、早く夢から醒めて下さい!」
男達は何だかんだで仲良く彼女を見送っていた。
◇ ◇ ◇
自宅に戻ると、家令にボレロを練習場に返すように頼んで、ようやく部屋に戻ってこられた。
アンに頼んで汚れを落とし着替えを済ますと、お茶を入れ終えたアンは静かに退室して行った。
すっきりした口当たりのお茶にゆっくりと一息つくと、改めて先程の事を思い返してみた。
犬になった二人は怖くなかった。
犬に変えられただけで性格は変わらないのだから、あれがザカライヤ様の素なのだろう。
ただ馬術に興味がおありだっただけなのに、私が過剰に怖がったばかりに今まで本当に申し訳ないことをしてしまった。
それから······、ついナデナデまでしてしまった。
いくら見た目が犬だったにしても、公爵令息、侯爵令息に対して大変不敬なことをしてしまったのを自覚すると、頭を抱えたくなる。
――しかし気持ち良かったなあ。あのモフモフとツルツルを両方味わえるなんて至福の一言。癖になりそうなナデナデ具合だったわ。
それに何故か二人共犬にされたのに怒っていなかったし。
犬の時にあれだけ一緒にいて話したからなのか、男性に戻った後もさほど怖くなかったのも不思議だった。
あれこれ考えてみたが、ミカエル殿下の制裁が何故か私には男性恐怖症の荒療治になったのかもしれない。
自分が原因でアーロンに罰を与えられるのかとか、高位貴族の二人が犬にされてしまった驚きで、まず頭がいっぱいで必死になってしまい、男性が怖いとか何とか考える余裕もなかった。
改めて思い返すと、距離は取りつつだったがミカエル殿下や侍従の方とも問題なくお話出来たし。
改善したのは彼ら限定かもしれないけれど、ザカライヤ様にきちんと謝れた事で私の心は相当落ち着いた。
もしかしたらこれは恐怖心というよりかは罪悪感が強かったのかもしれない。
そういえばポーリーンに何も言わずに帰って来てしまった。
アーロンはまだ帰れないだろうし、心配してるだろうから報告だけでもと手紙を書き出したところで、アンから声がかかる。
「奥様がお食事の前だけれどお茶でもどうかとおっしゃっておられます」
◇ ◇ ◇
「クローディア、今日はお疲れ様でしたね」
お母様が手ずからお茶を淹れて下さり、そう切り出された。
差し出されたお茶は野苺と薔薇の香りが口内に広がるお母様お得意のブレンドだ。
「聞いておられるのですか?」
「ええ、ポーリーンかこちらに見えた時に少しだけ」
「彼女から我が家から馬術練習場に回られたと伺いました。ご対応ありがとうございました」
「構わなくてよ。ねえ薔薇ジャムをもう少し足してみる?」
お母様が、薔薇ジャムの載った盆を回して下さる。
「疲れた時は甘いものが一番よ」
「ふふふ、では足しますわ」
ガスター領の女性陣が作った薔薇ジャムは、香りをうまく残して煮詰めているので、甘く華やかな香りが楽しいものだ。
「去年のものはこの一瓶か最後なの。薔薇摘みの季節が待ち遠しいわ」
「朝早くから集まるのが楽しいですものね」
「貴女も今年は沢山作ってギブソン家にお持ちしたらいいわ」
ギブソン家、と聞いて心が跳ねた。
「え、ええ······」
「ポーリーンも夫人も我が領のジャムを贔屓にして下さっているから、今年もお待ちになっておられることよ」
「そう、ですね」
今までは何も気にせずお届けしていたが、今回は······。
「お母様、あの――」
◇ ◇ ◇
ある日の昼下がり、私はアンをお供に連れて馬車に乗っていた。
きちんとしたアフタヌーンドレスに身を包み、目的地に着くまでしばし目を閉じているので、アンも控えていてくれる。
離宮から戻った日の夜。
家族での食事の時に、私はこの日にあったことから自分に起こった変化について話したのだ。
「そんなわけですので、オットーを呼んで下さいな」
「大丈夫なのかい?」
「ええ」
少しして恐る恐るといった感じで現れたオットーは、エプロンを外しながら「お呼びですか?」と頭を下げた。
「オットー。今まで避けてしまってごめんなさい。今日のお食事もおいしいわ」
「お嬢様!」
笑顔で私が声をかけると、なるべく私の視界から遠ざかろうとしていたオットーは驚いて声を上げた。大きな男性らしい声だがあの優しいオットーなのだから大丈夫だ。
「クローディア、本当に怖くなくなったんだね」
「姉様、良かった! 特訓の効果だね!」
「あ、あ、ではお嬢様のお好きなオレンジプディングをお持ちします!」
涙目のオットーは何度も頭を下げて厨房に戻り、そこから「おい、何があったんだよ?」「えっお嬢様が?」などと通常らしからぬ賑やかな声が聞こえて来る。いいの、今日はお祝いみたいなものだから。
「うむ、苦手克服のきっかけはミカエル殿下だったかもしれないが、こう上手く行ったのはアーロン君の献身のおかげだろうね」
「そうよ、あなた。すごかったのよアーロン様の忠犬具合は」
「僕だって犬になるの上手かったよ!」
「ティムもポーリーンと一緒に頑張ってたものねぇ」
「うん!」
「皆さんのおかげですわ」
私は絶対に赤くなっているであろう頬を押さえながら、改めて家族にお礼を言った。
「それでアーロン様に会いに行ってきますわ」
「私達が一緒でなくても平気かい?」
「ええ、大丈夫です」
窓の外に目を向けて、今日は空がとても青いなと思っていたら、どうやら到着したようだ。
「お手をどうぞ、御主人様」
晴天のもと輝く金髪の人――アーロンは、馬車の扉を開けて私にエスコートの手を差し出している。
「ええ、ありがとうアーロン」
20
お気に入りに追加
139
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

【完結】婚約破棄寸前の悪役令嬢は7年前の姿をしている
五色ひわ
恋愛
ドラード王国の第二王女、クラウディア・ドラードは正体不明の相手に襲撃されて子供の姿に変えられてしまった。何とか逃げのびたクラウディアは、年齢を偽って孤児院に隠れて暮らしている。
初めて経験する貧しい暮らしに疲れ果てた頃、目の前に現れたのは婚約破棄寸前の婚約者アルフレートだった。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。


人質王女の婚約者生活(仮)〜「君を愛することはない」と言われたのでひとときの自由を満喫していたら、皇太子殿下との秘密ができました〜
清川和泉
恋愛
幼い頃に半ば騙し討ちの形で人質としてブラウ帝国に連れて来られた、隣国ユーリ王国の王女クレア。
クレアは皇女宮で毎日皇女らに下女として過ごすように強要されていたが、ある日属国で暮らしていた皇太子であるアーサーから「彼から愛されないこと」を条件に婚約を申し込まれる。
(過去に、婚約するはずの女性がいたと聞いたことはあるけれど…)
そう考えたクレアは、彼らの仲が公になるまでの繋ぎの婚約者を演じることにした。
移住先では夢のような好待遇、自由な時間をもつことができ、仮初めの婚約者生活を満喫する。
また、ある出来事がきっかけでクレア自身に秘められた力が解放され、それはアーサーとクレアの二人だけの秘密に。行動を共にすることも増え徐々にアーサーとの距離も縮まっていく。
「俺は君を愛する資格を得たい」
(皇太子殿下には想い人がいたのでは。もしかして、私を愛せないのは別のことが理由だった…?)
これは、不遇な人質王女のクレアが不思議な力で周囲の人々を幸せにし、クレア自身も幸せになっていく物語。

王子殿下の慕う人
夕香里
恋愛
【本編完結・番外編不定期更新】
エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。
しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──?
「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」
好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。
※小説家になろうでも投稿してます
捨てた騎士と拾った魔術師
吉野屋
恋愛
貴族の庶子であるミリアムは、前世持ちである。冷遇されていたが政略でおっさん貴族の後妻落ちになる事を懸念して逃げ出した。実家では隠していたが、魔力にギフトと生活能力はあるので、王都に行き暮らす。優しくて美しい夫も出来て幸せな生活をしていたが、夫の兄の死で伯爵家を継いだ夫に捨てられてしまう。その後、王都に来る前に出会った男(その時は鳥だった)に再会して国を左右する陰謀に巻き込まれていく。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる