猫の魔術師〜その猫がいずれ最強になるまでの話〜

翡翠由

文字の大きさ
上 下
21 / 62

同居人

しおりを挟む
卒業パーティの日

俺はシルヴィアをエスコートし、ファーストダンスをした後、パーティ会場の庭でアイリーンと待ち合わせした。

いつもならこんなとこでアイリーンと2人っきりにはならない。
だけど、アイリーンにお願いされて断れなかった。
まぁ俺も心の中でアイリーンの関係はこれで最後にしようと思い、会いに行った。


『ルイス。愛しているわ。』
『ああ、俺もだ。アイリーン。』


そんなだけの言葉を俺はパーティ会場の庭でアイリーンに囁いた。


でもまさかこの場面をシルヴィアが見てたなんて…


俺はその時夢に浸り過ぎて、現実を見てなかった。
____________________

卒業パーティの翌日

ミルトン家から手紙が来ていた。
なんでも話があるって事で、ミルトン家に来て欲しいというお願いの手紙だ。
その手紙は俺だけではなく、俺の両親も来て欲しいと記されていた。

何故両親もと不思議に思いながらも俺達はミルトン家に向かった。


俺と俺の両親がミルトン家に着いたら、シルヴィアに応接室へと案内された。
そこにはアイリーンとアイリーンの両親が居た。


俺は嫌な予感がした。
まさか俺とアイリーンの関係がバレてしまったのだろうか…


全員が応接室に集まった時、シルヴィアが話を切り出した。



俺とアイリーンがパーティ会場の庭で抱き合って愛を囁いてた事をシルヴィアが見たという事。
俺とアイリーンが恋仲だったんじゃないかという噂が前々からあったという事。



俺は驚いた。
やはり俺の勘は的中していた。
そのまさかだったのだ。


そしてシルヴィアは聞き捨てならない事を言った。

『私、シルヴィア・ミルトンはルイス・フィルトンとの婚約を破棄したいと思います。』



俺は動揺してしまった。
俺は無意識にシルヴィアの名を呼び、その理由を問いかけた。

そしてシルヴィアは言ったのだ。
俺がアイリーンの事が好きだから、婚約破棄すると…



どうして吹っ切れたような感じで言うのだろうか?
俺達には約束がある。
『愛し合える家庭を作りたい。』
シルヴィアは俺の事が好きだから、この約束事を持ちかけたのだ。
そんな簡単に好きな人を諦められるのだろうか?
俺はそう思ってた。


しかし現実は違った。
シルヴィアは俺の事を人として好きだったが、恋愛感情はなかったと…


その言葉に俺は酷く動揺した。


(なぜぇ?)




そんな俺はふっと思ってしまった。



何故俺はこんなに動揺してるのだろう?

もしアイリーンが好きなら、すんなり受け入れて婚約破棄すればいいではないか?



そんな事を思ってたら、俺はある答えに辿り着いた。




そう、俺はシルヴィアが好きなのだ。




俺はシルヴィアが好きだから、頼ってくれないシルヴィアに足りないと思ってしまった。
頼られないと俺の存在意義がなくなってしまうと思ったから…

俺はシルヴィアが好きだから、アイリーンと居た時、物足りないと感じたのかもしれない。無意識の内に俺はアイリーンのようにシルヴィアと過ごしたかったと思ったから…

俺はシルヴィアが好きだから、噂の事、つまり俺の事でシルヴィアが悲しんでると聞かれた時は嬉しかった。
なにせシルヴィアが俺に感情がぶつけてきたのだから…



もしかしたら俺は無意識にアイリーンをシルヴィアにすり替えてたのかもしれない。その理由で俺はアイリーンとの関係が長く続いてたと考えれば納得がいく。



だからアイリーンが俺にペンを持たせ、婚約破棄の書類にサインをさせようとした時、俺はアイリーンの手を振り解いた。

そしてこう発言した。

『お、俺は婚約破棄しない!!!』っと



俺はシルヴィアの事が好きだから、婚約破棄をしたくない!
俺にはシルヴィアが必要だから、婚約破棄をしたくない!

そう思いながら俺は言った。

しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

元天才貴族、今やリモートで最強冒険者!

しらかめこう
ファンタジー
魔法技術が発展した異世界。 そんな世界にあるシャルトルーズ王国という国に冒険者ギルドがあった。 強者ぞろいの冒険者が数多く所属するそのギルドで現在唯一、最高ランクであるSSランクに到達している冒険者がいた。 ───彼の名は「オルタナ」 漆黒のコートに仮面をつけた謎多き冒険者である。彼の素顔を見た者は誰もおらず、どういった人物なのかも知る者は少ない。 だがしかし彼は誰もが認める圧倒的な力を有しており、冒険者になって僅か4年で勇者や英雄レベルのSSランクに到達していた。 そんな彼だが、実は・・・ 『前世の知識を持っている元貴族だった?!」 とある事情で貴族の地位を失い、母親とともに命を狙われることとなった彼。そんな彼は生活費と魔法の研究開発資金を稼ぐため冒険者をしようとするが、自分の正体が周囲に知られてはいけないので自身で開発した特殊な遠隔操作が出来るゴーレムを使って自宅からリモートで冒険者をすることに! そんな最強リモート冒険者が行く、異世界でのリモート冒険物語!! 毎日20時30分更新予定です!!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!

暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい! 政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...