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昇格
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「長いため、ここからは『アノマリー隊』とする……君たちにはこの部隊員としてかつ発足人として今後も活動してもらいたいのだが……」
「ちょっと待ってくれ!」
隣にいたオリバーが声を荒げる。
「何人も人が死んでいるんだぞ?そんな危険な場所の調査のために……わざわざ命をかけろというのか?」
「……そうだ」
「っ!捨て駒にするというのか?」
「捨て駒ではない、有用な人材を持ってして被害が拡大する前に異常現象を全て鎮圧するためだ。必要な犠牲になる可能性はあるが、無駄死にになることはない」
強く言い切る支部長。
「私もオリバーに賛成だよ。私たちはそれぞれ片目と片腕を失った。正直戦闘力大幅ダウンだ。これ以上何かを失うかもしれない危険な任務に首を突っ込み続けたいと思う分けないだろ?」
「ふむ……」
「私たちを有用だと感じてくれたのかもしれないけど、正直厳しいね」
当然だ、危険な任務にわざわざ首を突っ込んで命を落としかけるなんて馬鹿馬鹿しいことをやろうと思う者は少ないだろう。すでに身体の一部を欠損しているからこそ、それがよくわかるのだろう。
通常の討伐依頼とは訳が違うのだ。すでに先人が倒した経験があり、そのノウハウがある。『アノマリー隊』は道なき未知を解決していかなくてはいけないのだ。
「もちろん、これは魔術界……上からの指令ではあるのだが、拒否権はある。本人が拒否するのであれば、参加させないことを私が上部に願い出しておいたからな」
「……そう」
「レイン君、君はどうする?」
ふと話題を振られたレインは頭を傾ける。
「僕たち三人だけでやろうって話じゃないですよね?」
「ああ、願い出た者のうち『上級魔術師以上』であることを条件に参加を認めることとしている」
「じゃあやります」
「「っ!?」」
横から耳が痛くなるくらいの声なき声がする。
「レイン君!?あなたはまだ若いんだよ!?そんな死に急ぐような仕事なんてしなくていいの!お金がないの?じゃあ私が養ってあげるから!」
「そうだ、レイン君。君は将来有望なんだから、魔術界に貢献する方法は他にもある!」
「……レイン君、どうして君はやろうと思ったのか?」
支部長の思い一声で二人が黙る。
「別に……必要なんでしょう?」
「ああ」
「僕が必要とされているのなら、喜んでやりますよ」
「なぜ?わずか半年で中級魔術師になり、報告で聞いたがすでに実力は上級魔術師以上と聞くじゃないか。そこまでの才能があるのならさまざまな人から必要とされているだろう?」
「そんなことないですよ」
現実を見てみれば、レインと関わりのある人間は実に二人しかいなかった。『師匠』は現在賢人会議に向かってどこかへ行ってしまったし、残ったのはグレンとロザリーだ。
ロザリーは……僕のことを必要としてくれていると思いたいが、むしろ必要としているのは僕の方だ。ロザリーがいなければゴミ屋敷になってまともなお金の管理もできないまま宿を失うことになっていただろう。
グレンは……そもそも必要ないだろう、僕は。特級魔術師として、僕よりも優れた能力を持っているから、いなくても問題ないはずだ。
「僕は今までに必要とされたことないです。むしろ周りが優秀すぎて、ちょっと荷が重いですね」
苦笑いをするレイン。
「『アノマリー隊』は優秀な君を必要としている。その力をどうか我々に貸してほしい」
「いいですよ」
そういった後、大きいため息が横から聞こえてきた。
「はあ~!小さな子供がこーんなかっこいいこと言ってんのに、まさか大人が逃げるわけにはいかないよねぇ?」
「……おいおい、ヴァージ」
ニヤニヤと笑うヴァージの視線の先にいるオリバーは頭を抱えながら、引き攣った笑みを見せる。
「支部長、やっぱ私たちも参加するよ」
「え!?」
「なんだ、レイン君。いやそうじゃないか」
「そういうわけではないんですけど……やりたくないんじゃ?」
「そうだけど?はは、大丈夫大丈夫!魔術師には命よりも大事なプライドがあるんさ!なあオリバー!?」
「もともと怪我さえなければ、こんなに面白い現象を研究したいと思っていたんですよね」
本当にそんなことを思っているのかは微妙なところだが、それは心強いことだ。知り合いの上級魔術師が二人もついてきてくれるのなら、安心だ。知らない人がいたらいじめられちゃうかもしれないし。
「三人とも、本当にありがとう。魔術界を代表して感謝する」
深く頭を下げる支部長。
「私が上層部に報告をあげる。君たちはこれから『アノマリー隊』として、我々の直接指揮下に入ることとなる」
「そうなんですか、他は通常通りと同じ生活ができますか?」
「ああ、もちろん」
「なるほど……あ、ちょっと待ってください。僕、中級魔術師なんですけど……」
参加条件は上級魔術師以上の魔術師であることらしい。それなら、レインは参加できないことになってしまう。
「その問題なら、もう解決しているよ」
「え?」
「上層部からの決定だ。中級魔術師レインは、本日をもって上級魔術師への昇格を許可する。
「ちょっと待ってくれ!」
隣にいたオリバーが声を荒げる。
「何人も人が死んでいるんだぞ?そんな危険な場所の調査のために……わざわざ命をかけろというのか?」
「……そうだ」
「っ!捨て駒にするというのか?」
「捨て駒ではない、有用な人材を持ってして被害が拡大する前に異常現象を全て鎮圧するためだ。必要な犠牲になる可能性はあるが、無駄死にになることはない」
強く言い切る支部長。
「私もオリバーに賛成だよ。私たちはそれぞれ片目と片腕を失った。正直戦闘力大幅ダウンだ。これ以上何かを失うかもしれない危険な任務に首を突っ込み続けたいと思う分けないだろ?」
「ふむ……」
「私たちを有用だと感じてくれたのかもしれないけど、正直厳しいね」
当然だ、危険な任務にわざわざ首を突っ込んで命を落としかけるなんて馬鹿馬鹿しいことをやろうと思う者は少ないだろう。すでに身体の一部を欠損しているからこそ、それがよくわかるのだろう。
通常の討伐依頼とは訳が違うのだ。すでに先人が倒した経験があり、そのノウハウがある。『アノマリー隊』は道なき未知を解決していかなくてはいけないのだ。
「もちろん、これは魔術界……上からの指令ではあるのだが、拒否権はある。本人が拒否するのであれば、参加させないことを私が上部に願い出しておいたからな」
「……そう」
「レイン君、君はどうする?」
ふと話題を振られたレインは頭を傾ける。
「僕たち三人だけでやろうって話じゃないですよね?」
「ああ、願い出た者のうち『上級魔術師以上』であることを条件に参加を認めることとしている」
「じゃあやります」
「「っ!?」」
横から耳が痛くなるくらいの声なき声がする。
「レイン君!?あなたはまだ若いんだよ!?そんな死に急ぐような仕事なんてしなくていいの!お金がないの?じゃあ私が養ってあげるから!」
「そうだ、レイン君。君は将来有望なんだから、魔術界に貢献する方法は他にもある!」
「……レイン君、どうして君はやろうと思ったのか?」
支部長の思い一声で二人が黙る。
「別に……必要なんでしょう?」
「ああ」
「僕が必要とされているのなら、喜んでやりますよ」
「なぜ?わずか半年で中級魔術師になり、報告で聞いたがすでに実力は上級魔術師以上と聞くじゃないか。そこまでの才能があるのならさまざまな人から必要とされているだろう?」
「そんなことないですよ」
現実を見てみれば、レインと関わりのある人間は実に二人しかいなかった。『師匠』は現在賢人会議に向かってどこかへ行ってしまったし、残ったのはグレンとロザリーだ。
ロザリーは……僕のことを必要としてくれていると思いたいが、むしろ必要としているのは僕の方だ。ロザリーがいなければゴミ屋敷になってまともなお金の管理もできないまま宿を失うことになっていただろう。
グレンは……そもそも必要ないだろう、僕は。特級魔術師として、僕よりも優れた能力を持っているから、いなくても問題ないはずだ。
「僕は今までに必要とされたことないです。むしろ周りが優秀すぎて、ちょっと荷が重いですね」
苦笑いをするレイン。
「『アノマリー隊』は優秀な君を必要としている。その力をどうか我々に貸してほしい」
「いいですよ」
そういった後、大きいため息が横から聞こえてきた。
「はあ~!小さな子供がこーんなかっこいいこと言ってんのに、まさか大人が逃げるわけにはいかないよねぇ?」
「……おいおい、ヴァージ」
ニヤニヤと笑うヴァージの視線の先にいるオリバーは頭を抱えながら、引き攣った笑みを見せる。
「支部長、やっぱ私たちも参加するよ」
「え!?」
「なんだ、レイン君。いやそうじゃないか」
「そういうわけではないんですけど……やりたくないんじゃ?」
「そうだけど?はは、大丈夫大丈夫!魔術師には命よりも大事なプライドがあるんさ!なあオリバー!?」
「もともと怪我さえなければ、こんなに面白い現象を研究したいと思っていたんですよね」
本当にそんなことを思っているのかは微妙なところだが、それは心強いことだ。知り合いの上級魔術師が二人もついてきてくれるのなら、安心だ。知らない人がいたらいじめられちゃうかもしれないし。
「三人とも、本当にありがとう。魔術界を代表して感謝する」
深く頭を下げる支部長。
「私が上層部に報告をあげる。君たちはこれから『アノマリー隊』として、我々の直接指揮下に入ることとなる」
「そうなんですか、他は通常通りと同じ生活ができますか?」
「ああ、もちろん」
「なるほど……あ、ちょっと待ってください。僕、中級魔術師なんですけど……」
参加条件は上級魔術師以上の魔術師であることらしい。それなら、レインは参加できないことになってしまう。
「その問題なら、もう解決しているよ」
「え?」
「上層部からの決定だ。中級魔術師レインは、本日をもって上級魔術師への昇格を許可する。
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