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討伐報酬
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「時間かけてらんないから……逃げるよスライム!」
「キュ!」
逃げるという言葉だけは伝わったのか、速攻で回れ右で動き出すスライム。水龍と引け劣らないのではないかというほどの速度で走り出すスライムって……ただシーサーペントはすでに私たちを標的として追いかけ始めている。
「おらおら!これでも食らえ!」
集中し、練り上げた魔力が圧縮され制御された大きさまで縮む。小さなボールほどの大きさの魔力球がシーサーペントにぶつかる。衝撃に魔力球が張り裂け、大きな爆発を起こす。
「グオオオオッ!」
一瞬だけ動きを止めることには成功したものの、外傷を与えるには至らなかった。
「……もう、こうなったら」
大剣を取り出す。新たに性能が上がった大剣の性能はよくわかっている。今ならこのシーサーペントも切れるのではないか。
「スライム君、先に逃げなさい」
「キュ!?」
「あなた言葉わからないんじゃなかったっけ?……まあいいや。私は飛んで逃げれるから」
「キュ!」
どこに顔があるのかよくわからない……。
「と、とにかく!あんたはさっさと逃げて。あいつをぶっ倒してくる!」
スライムの船体から飛び出し、追ってくるシーサーペントを迎え撃つ。手にした大剣はシーサーペントの身体と衝突し、硬い感触が手に伝わってくる。
ぶつかった鱗には小さな傷がつき、うっすらと中の肉があらわになる。
「いける!」
尻尾が海の中から上がり、ベアトリスを狙ってうねる。身体にぶつかる衝撃が全身に伝わってくる。
「ぐっ!?」
結界でぶつかる瞬間にカバーすることはできたため、骨まではいかなかったものの結構痛いな……。
「っらあ!」
大剣を振りかぶり、そのまま突き刺す。
「グオオッ!?」
中の肉まで深く突き刺さる感覚。大剣の柄を軸に尻尾へと乗り移る。乗ったと同時に大剣を鎖に変形させた。すぐに私を振り払おうと動き回るシーサーペントの動きを鎖型に変形した大剣を用いて拘束する。
スライムという柔らかい素材を使っているためか、鎖は千切れることなく巻きつけられていく。スライムって実は有能?
「拘束完了!」
「グオオ!」
怒り狂うシーサーペントであったが、こうなって仕舞えばもうこっちのものだ。
「口を開けなさい!」
「グオ!?」
顎を蹴り飛ばし、無理やり口を開かせると閉じる瞬間に口の中に爆発魔法を投げ込む。体内で爆発した炎が全身の肉を焼き、衝撃波が内臓をズタボロにして行くという……なかなかにエグいことをした。
「ようやくか……」
最近の魔物戦闘で一番苦戦した魔物だった気がする。そもそも水龍というSランクの魔物の大群を追いかけ回している時点で異常だったのだ。通常の攻撃は物理も魔法も効き目が薄かったし、体内から攻撃しなければこれは倒せなかった。
「今度ミサリーに調理してもらお」
今はもっていくほどの余裕はないから、今度ミサリーに狩ってきてもらいましょう!もちろん私は食べる専門だ。
割と魔力消費を抑えつつ、体力も温存できた。攻撃は一回喰らってしまったがこんなの屁でもないね。
「あ!スライム君忘れてた!」
と、すぐさまスライムを追いかけ始めたが、意外とすぐそこで見つかった。そこにはあたりを行ったり来たりしているスライムが私を見つけて駆け寄ってくる。いや……こぎ寄ってくる?
船の形だからちょっと不気味だ。
「キュ!」
「何してるのよ、早く逃げろっていったのに」
「キュ……」
「まあいいわ、シーサーペンとはぶっ倒してきたから、ほら。早く先進みましょ」
「っ、キュ!」
なんなんだ?船体の中からスライムの顔がニョキっと生えてくる。かなり不気味……ああいや、そうじゃなくて……そのスライムが私の体の周りをぐるぐると回っている。
「感謝しているの?」
「キュ!」
「あはは、意外と言語って通じなくてもなんとかなるわね……」
シーサーペントを倒した報酬としてスライムと仲良くなれた。まあ、プラス……なのかな?
「って、いけない!急がないと!一分一秒も無駄にはできないわ!急いでスライム君!」
「キュキュ!」
スライムが全速力で動き出す。
「うお!?さっきよりはや……」
逃げるときもこのくらいスピード出せばよかったのに……とか思っていたが、私はふと頭の中である言葉がよぎった。
(この速度……私、数十分後には吐いてそう……)
そこからの流れは全てお察しである。
「キュ!」
逃げるという言葉だけは伝わったのか、速攻で回れ右で動き出すスライム。水龍と引け劣らないのではないかというほどの速度で走り出すスライムって……ただシーサーペントはすでに私たちを標的として追いかけ始めている。
「おらおら!これでも食らえ!」
集中し、練り上げた魔力が圧縮され制御された大きさまで縮む。小さなボールほどの大きさの魔力球がシーサーペントにぶつかる。衝撃に魔力球が張り裂け、大きな爆発を起こす。
「グオオオオッ!」
一瞬だけ動きを止めることには成功したものの、外傷を与えるには至らなかった。
「……もう、こうなったら」
大剣を取り出す。新たに性能が上がった大剣の性能はよくわかっている。今ならこのシーサーペントも切れるのではないか。
「スライム君、先に逃げなさい」
「キュ!?」
「あなた言葉わからないんじゃなかったっけ?……まあいいや。私は飛んで逃げれるから」
「キュ!」
どこに顔があるのかよくわからない……。
「と、とにかく!あんたはさっさと逃げて。あいつをぶっ倒してくる!」
スライムの船体から飛び出し、追ってくるシーサーペントを迎え撃つ。手にした大剣はシーサーペントの身体と衝突し、硬い感触が手に伝わってくる。
ぶつかった鱗には小さな傷がつき、うっすらと中の肉があらわになる。
「いける!」
尻尾が海の中から上がり、ベアトリスを狙ってうねる。身体にぶつかる衝撃が全身に伝わってくる。
「ぐっ!?」
結界でぶつかる瞬間にカバーすることはできたため、骨まではいかなかったものの結構痛いな……。
「っらあ!」
大剣を振りかぶり、そのまま突き刺す。
「グオオッ!?」
中の肉まで深く突き刺さる感覚。大剣の柄を軸に尻尾へと乗り移る。乗ったと同時に大剣を鎖に変形させた。すぐに私を振り払おうと動き回るシーサーペントの動きを鎖型に変形した大剣を用いて拘束する。
スライムという柔らかい素材を使っているためか、鎖は千切れることなく巻きつけられていく。スライムって実は有能?
「拘束完了!」
「グオオ!」
怒り狂うシーサーペントであったが、こうなって仕舞えばもうこっちのものだ。
「口を開けなさい!」
「グオ!?」
顎を蹴り飛ばし、無理やり口を開かせると閉じる瞬間に口の中に爆発魔法を投げ込む。体内で爆発した炎が全身の肉を焼き、衝撃波が内臓をズタボロにして行くという……なかなかにエグいことをした。
「ようやくか……」
最近の魔物戦闘で一番苦戦した魔物だった気がする。そもそも水龍というSランクの魔物の大群を追いかけ回している時点で異常だったのだ。通常の攻撃は物理も魔法も効き目が薄かったし、体内から攻撃しなければこれは倒せなかった。
「今度ミサリーに調理してもらお」
今はもっていくほどの余裕はないから、今度ミサリーに狩ってきてもらいましょう!もちろん私は食べる専門だ。
割と魔力消費を抑えつつ、体力も温存できた。攻撃は一回喰らってしまったがこんなの屁でもないね。
「あ!スライム君忘れてた!」
と、すぐさまスライムを追いかけ始めたが、意外とすぐそこで見つかった。そこにはあたりを行ったり来たりしているスライムが私を見つけて駆け寄ってくる。いや……こぎ寄ってくる?
船の形だからちょっと不気味だ。
「キュ!」
「何してるのよ、早く逃げろっていったのに」
「キュ……」
「まあいいわ、シーサーペンとはぶっ倒してきたから、ほら。早く先進みましょ」
「っ、キュ!」
なんなんだ?船体の中からスライムの顔がニョキっと生えてくる。かなり不気味……ああいや、そうじゃなくて……そのスライムが私の体の周りをぐるぐると回っている。
「感謝しているの?」
「キュ!」
「あはは、意外と言語って通じなくてもなんとかなるわね……」
シーサーペントを倒した報酬としてスライムと仲良くなれた。まあ、プラス……なのかな?
「って、いけない!急がないと!一分一秒も無駄にはできないわ!急いでスライム君!」
「キュキュ!」
スライムが全速力で動き出す。
「うお!?さっきよりはや……」
逃げるときもこのくらいスピード出せばよかったのに……とか思っていたが、私はふと頭の中である言葉がよぎった。
(この速度……私、数十分後には吐いてそう……)
そこからの流れは全てお察しである。
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