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海の魔物
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「ちょっと、ベタつくんだけど……」
「キュ!」
「え?なんて?」
「キュ!」
将軍からお供として一匹のスライムを創り出してもらった。だが、いかんせん言語……というか、会話が通じないため時々困る。ただ、スライムが擬態した船というのは思った以上に早かった。
水による抵抗が少なく、かつ推進力がどこからか湧いている。そのおかげで通常の何倍もの速度で移動できるのだ。私も魔力をたまに使ってスピードを上げつつ、魔力を温存することができているしとても助かってはいるのだが……
「キュー!」
「あ、ちょっと!?」
目の前に現れた魚の群れに釣られてしまうのが難点である。お腹が空いているのか……スライムだって生き物だからね。あとで小島によって食料を分けてやろう。
ただどこまで進めば大陸に辿り着くのかわからないため、むやみにご飯を与え続けるわけにもいかないのだ。確実に少しずつ近づいてはいるのだろうが、大陸と大陸の間を船(スライム)で渡るのは大変だ。
だが、なんとなくまだ先なのではないかと思っている。
「魔物の出現頻度がちょっとずつ上がってる……」
大陸と大陸の間にある広い海にはそれぞれ魔力濃度が異なる波が存在する。魚の餌が大量に生息する黒潮のように、魔力濃度が濃い波には海の魔物が集まってくるのだ。
そして、その波にぶち当たる頻度も上がってきている。
もしかしたら、クラトン大陸を中心にそういった波が渦巻いているという可能性も考えられるため、まだ遠いのではないかと思われる。
「それに、魔物もまだ雑魚ばかりだし」
出てくるのは飛魚のように襲いかかってくる小型の魚の魔物だけ。クラーケンのような海の王者にはまだ出会っていない。まあ、そんなのに何度も出会いたくはないけど。
勝てる勝てないではなく、単純に時間がかかってしまう。クラーケン以外の大型の魔物にも言えることではあるのだが、大型の魔物は一律にしてある程度の防御力を持ち、そしてある程度の耐久力を持っている。
私の攻撃でも場合によっては数発だけじゃ倒せないこともある。クラーケンがそれだ、一発いいのが入ったとしても、すぐに海の中に逃げ込まれて、チクチク攻撃されたら時間かかるし、弱い攻撃を連発したとしてもあまり効きそうにはない。
「それで大量の魔力を消費してどでかいのを一発ってのも燃費悪いし、久しぶりに魔力消費の少なくて高威力な新しい魔法を作ってみようかな」
私が作ったオリジナル魔法は『異納庫』と『インビジブル』などといった無属性のものが多い。そっちの方が作りやすいからだ。
ここに属性を付与すると、さらに作成段階が増えて面倒なのだが、こうしてぼーっとしている時間があるよりよっぽどマシだろう。
「ようし、早速思いつく案を……!?」
とそう考えていた時、突然スライムが揺れ出した。スライムが擬態した船は見た目はまさしく船なのだが、柔らかく立ってはいられない。それが突然大きく揺れだし、座っていたのにコテッと倒れてしまう。
「なに!?」
「キュ!」
「何言ってんのかわかんない!」
索敵範囲を広げると、そこには大きな魔力の塊がウジャウジャと湧いていて、しかもこちらに目掛けて突進してきているようだった。
「何!?」
視力を強化して視界にその魔力反応を放っている魔物を捉える。
「水龍……しかも複数体!?」
ドラゴン系は通常蒸れないはずなのだが、なぜ……四体いるの!?
「くっ……めんどくさいわね」
でも、あの動き方、何やら尋常じゃない。どこか正気を失っているようにも伺える……というより、何かから逃げてきたのか?動き方がまるでオオカミから逃げるウサギのようにも見えた。
まあ、そんな可愛げはないのだけれど。
「まあいいわ。ここで、沈んでもらうわよ!」
私は結界を起動し水龍たちを受け止める準備をする。
「キュ!」
「えっ?わっちょっと!?」
だが、スライムの方にそんな勇気はなかったようだ。
「わー!ちょっと待って揺れないで!集中できないからぁ!」
……これは、ちょっと厳しい闘いになるかもしれない。戦闘的にも……吐き気的にも。
「キュ!」
「え?なんて?」
「キュ!」
将軍からお供として一匹のスライムを創り出してもらった。だが、いかんせん言語……というか、会話が通じないため時々困る。ただ、スライムが擬態した船というのは思った以上に早かった。
水による抵抗が少なく、かつ推進力がどこからか湧いている。そのおかげで通常の何倍もの速度で移動できるのだ。私も魔力をたまに使ってスピードを上げつつ、魔力を温存することができているしとても助かってはいるのだが……
「キュー!」
「あ、ちょっと!?」
目の前に現れた魚の群れに釣られてしまうのが難点である。お腹が空いているのか……スライムだって生き物だからね。あとで小島によって食料を分けてやろう。
ただどこまで進めば大陸に辿り着くのかわからないため、むやみにご飯を与え続けるわけにもいかないのだ。確実に少しずつ近づいてはいるのだろうが、大陸と大陸の間を船(スライム)で渡るのは大変だ。
だが、なんとなくまだ先なのではないかと思っている。
「魔物の出現頻度がちょっとずつ上がってる……」
大陸と大陸の間にある広い海にはそれぞれ魔力濃度が異なる波が存在する。魚の餌が大量に生息する黒潮のように、魔力濃度が濃い波には海の魔物が集まってくるのだ。
そして、その波にぶち当たる頻度も上がってきている。
もしかしたら、クラトン大陸を中心にそういった波が渦巻いているという可能性も考えられるため、まだ遠いのではないかと思われる。
「それに、魔物もまだ雑魚ばかりだし」
出てくるのは飛魚のように襲いかかってくる小型の魚の魔物だけ。クラーケンのような海の王者にはまだ出会っていない。まあ、そんなのに何度も出会いたくはないけど。
勝てる勝てないではなく、単純に時間がかかってしまう。クラーケン以外の大型の魔物にも言えることではあるのだが、大型の魔物は一律にしてある程度の防御力を持ち、そしてある程度の耐久力を持っている。
私の攻撃でも場合によっては数発だけじゃ倒せないこともある。クラーケンがそれだ、一発いいのが入ったとしても、すぐに海の中に逃げ込まれて、チクチク攻撃されたら時間かかるし、弱い攻撃を連発したとしてもあまり効きそうにはない。
「それで大量の魔力を消費してどでかいのを一発ってのも燃費悪いし、久しぶりに魔力消費の少なくて高威力な新しい魔法を作ってみようかな」
私が作ったオリジナル魔法は『異納庫』と『インビジブル』などといった無属性のものが多い。そっちの方が作りやすいからだ。
ここに属性を付与すると、さらに作成段階が増えて面倒なのだが、こうしてぼーっとしている時間があるよりよっぽどマシだろう。
「ようし、早速思いつく案を……!?」
とそう考えていた時、突然スライムが揺れ出した。スライムが擬態した船は見た目はまさしく船なのだが、柔らかく立ってはいられない。それが突然大きく揺れだし、座っていたのにコテッと倒れてしまう。
「なに!?」
「キュ!」
「何言ってんのかわかんない!」
索敵範囲を広げると、そこには大きな魔力の塊がウジャウジャと湧いていて、しかもこちらに目掛けて突進してきているようだった。
「何!?」
視力を強化して視界にその魔力反応を放っている魔物を捉える。
「水龍……しかも複数体!?」
ドラゴン系は通常蒸れないはずなのだが、なぜ……四体いるの!?
「くっ……めんどくさいわね」
でも、あの動き方、何やら尋常じゃない。どこか正気を失っているようにも伺える……というより、何かから逃げてきたのか?動き方がまるでオオカミから逃げるウサギのようにも見えた。
まあ、そんな可愛げはないのだけれど。
「まあいいわ。ここで、沈んでもらうわよ!」
私は結界を起動し水龍たちを受け止める準備をする。
「キュ!」
「えっ?わっちょっと!?」
だが、スライムの方にそんな勇気はなかったようだ。
「わー!ちょっと待って揺れないで!集中できないからぁ!」
……これは、ちょっと厳しい闘いになるかもしれない。戦闘的にも……吐き気的にも。
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