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勝つために
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1億を超える攻撃を行わないと壊れない。ダメージはもちろん結界に残るものの、残念ながら魔力を流し込めばいくらでも回復できる。
つまり、マレスティーナを倒したければ1億ダメージを超える攻撃を叩き込まなければならないのだ。ファー無理でしょそんなの。
《残念ながら、1億を超えるダメージを叩き出すには現状では不可能に近いです》
近いってことはやろうと思えばいけるんだ……それも驚きだ。だが、きっと死ぬ覚悟レベルで危険なことをさせられるに違いない。そんなバカな真似をするわけがないだろう?
というわけで、とりあえずチマチマ反撃して攻撃される頻度を減らし、それらをどうにかさばきながら耐えているのが今の状況だった。マレスティーナは魔法職なので、肉体能力は低かったのが幸いし、私でも十分に見切れる範囲だった。
そして、せめてもの救いと呼べるのは魔力の大半を結界に割いているということである。
《それすなわち、攻撃手段が半減しているのと同義です》
つまり!マレスティーナは魔力を半分以上使った高火力な範囲殲滅魔法は仕えないのである。実質的に火力が半減しているのと同じなので、私が避けきれない、もしくは掠っても即死レベルの攻撃はないと考えるべきだ。
マレスティーナは地上空中お構いなしに飛び回り、私の攻撃をあらぬ方向へ回避することで無理やりに攻撃を続けていた。
私が大剣で切りつければ地面に逃げたり、魔法を飛ばせば軌道を逸らしてくる。正直そんなことをする必要はないのだろうけど、結界の消耗を抑えているのだろう。
「考え事とは、ずいぶんと余裕そうじゃないか!」
「あんたを倒す方法を考えてんの!そういうあなたはどうしてそんなに楽しそうにしているの!?」
笑顔で魔法をぶっぱしてくるマレスティーナのほうがよっぽどいかれている。
マレスティーナの周りに無数の魔法が展開され、私は身構える。
低位魔法は一撃の威力は少ないものの、マレスティーナともなれば何百戸と同時に起動できる。精密にコントロールされたそれが何百個も同時に私のことを追尾してくるのだ。
私はそれを弾き返すのに精一杯だ。
魔法の嵐を大剣で食い止めていると、後ろから気配を感じ私は結界を起動させる。
「ぐっ!」
「やるねぇ」
次元移動してきたマレスティーナが手に魔力を纏わせて攻撃を仕掛けてきた。
マナブレードと呼ばれているそれは自由自在に長さを変えることが出来る、とても便利な近距離武器……それも魔法使いが扱う近距離武器である。
もちろん私も使えるが、私には愛用している大剣があるから必要ないと思っていたが……
「ほらほら!かかってこないのかい!?」
長さを自由自在に変え、変幻自在の剣戟を可能とするマナブレードの攻撃に私は翻弄されていた。
《有効射程距離と視覚情報を当てにしないでください。魔力の流れる様子を視るのです》
出来るか!?
《はぁ……では私が行います》
ため息つくな!
大剣の有効射程を超えたところから攻撃を加えられ、それを防ぐと同時に懐に入りこまれそれを盾に変化させ防ぐ。そんなことをしている間にも背後からは何百個にも上る魔法が私を狙ってゆくてを塞いでくるのがとても厄介だ。
なぜかマレスティーナには一切の流れ弾が来ない、そのせいで私は動きを制限されているのに対し、マレスティーナは自由自在に動き回れる環境が出来てしまっている。
(どうする?魔力を使ってここ一帯ごと吹き飛ばす?だけど、それで現状はどうにかできても結局は無駄に魔力を消耗しただけになる)
マナブレードの軌道を読みながら、そしてツムちゃんのサポートで自分一人ではできないだろう見事なバックステップで魔法を回避しながら、そんなことを考えていると、ふと耳の奥……頭の中から久しぶりに聞く声が聞こえ始めた。
〈手を貸してあげましょうか?〉
「あ、あんた!?」
マレスティーナが私の言葉に反応してしまったが、私はマレスティーナに言ったつもりはない。他の誰でもない、私の頭に語り掛けてくるツムちゃんとは別の存在に向けての話だった。
〈どうやら苦戦しているようね、力が欲しい?〉
そんなありきたりなセリフに騙される奴はいないって。どうせあなた……名前知らないけど、あなたは私の体を乗っ取りたいだけでしょう?
理由は知らないけど。
〈ふふ、そんなのどうだっていいじゃない。死ななかった……いや、死んでちゃんと生き返ったことはほめてあげるけど、生意気な態度は治してくれないの?〉
ちょっと話しかけるのやめてくれる?今ものすごい死にそうなんだから!
背後の攻撃が鎧を掠る。
「あーもう鎧邪魔!」
私は一旦転移で離脱し、それと同時に鎧を異納庫にしまった。
観衆目線では私が急に消えて、急に服を変えたように見えたに違いない。今着ているのは日ノ本に行くときにミハエルの服屋さんで仕立ててもらったローブである。
ランクはBほど。マレスティーナ相手には荷が重いだろうが、破れないでくれ……。
〈そんなに苦戦しているのに、あなたはバカなの?ここにこんなにも強力な力が眠っているというのに!〉
ふざけないで頂戴。あんたの協力は今回受けない。
仮にも味方ではあるマレスティーナにあなたの協力してもらってまだ倒すつもりはない。あくまで自分の力であの人には勝ちたいから。
〈……また死んでも知らないからね。ったく、さっさと体を譲ればいいものを〉
そのセリフを境に声が聞こえてくることはなくなった。
力は借りない……とは言ったものの、このままでは明らかにじり貧である。魔力の総量は私の方が少なく、身体強化に魔力を割いている。
ツムちゃんのサポートがなければ背後からの攻撃で乱れ撃ちされてた。
《そこで提案なのですが》
提案?
《私に、大剣の使用許可をください》
つまり、マレスティーナを倒したければ1億ダメージを超える攻撃を叩き込まなければならないのだ。ファー無理でしょそんなの。
《残念ながら、1億を超えるダメージを叩き出すには現状では不可能に近いです》
近いってことはやろうと思えばいけるんだ……それも驚きだ。だが、きっと死ぬ覚悟レベルで危険なことをさせられるに違いない。そんなバカな真似をするわけがないだろう?
というわけで、とりあえずチマチマ反撃して攻撃される頻度を減らし、それらをどうにかさばきながら耐えているのが今の状況だった。マレスティーナは魔法職なので、肉体能力は低かったのが幸いし、私でも十分に見切れる範囲だった。
そして、せめてもの救いと呼べるのは魔力の大半を結界に割いているということである。
《それすなわち、攻撃手段が半減しているのと同義です》
つまり!マレスティーナは魔力を半分以上使った高火力な範囲殲滅魔法は仕えないのである。実質的に火力が半減しているのと同じなので、私が避けきれない、もしくは掠っても即死レベルの攻撃はないと考えるべきだ。
マレスティーナは地上空中お構いなしに飛び回り、私の攻撃をあらぬ方向へ回避することで無理やりに攻撃を続けていた。
私が大剣で切りつければ地面に逃げたり、魔法を飛ばせば軌道を逸らしてくる。正直そんなことをする必要はないのだろうけど、結界の消耗を抑えているのだろう。
「考え事とは、ずいぶんと余裕そうじゃないか!」
「あんたを倒す方法を考えてんの!そういうあなたはどうしてそんなに楽しそうにしているの!?」
笑顔で魔法をぶっぱしてくるマレスティーナのほうがよっぽどいかれている。
マレスティーナの周りに無数の魔法が展開され、私は身構える。
低位魔法は一撃の威力は少ないものの、マレスティーナともなれば何百戸と同時に起動できる。精密にコントロールされたそれが何百個も同時に私のことを追尾してくるのだ。
私はそれを弾き返すのに精一杯だ。
魔法の嵐を大剣で食い止めていると、後ろから気配を感じ私は結界を起動させる。
「ぐっ!」
「やるねぇ」
次元移動してきたマレスティーナが手に魔力を纏わせて攻撃を仕掛けてきた。
マナブレードと呼ばれているそれは自由自在に長さを変えることが出来る、とても便利な近距離武器……それも魔法使いが扱う近距離武器である。
もちろん私も使えるが、私には愛用している大剣があるから必要ないと思っていたが……
「ほらほら!かかってこないのかい!?」
長さを自由自在に変え、変幻自在の剣戟を可能とするマナブレードの攻撃に私は翻弄されていた。
《有効射程距離と視覚情報を当てにしないでください。魔力の流れる様子を視るのです》
出来るか!?
《はぁ……では私が行います》
ため息つくな!
大剣の有効射程を超えたところから攻撃を加えられ、それを防ぐと同時に懐に入りこまれそれを盾に変化させ防ぐ。そんなことをしている間にも背後からは何百個にも上る魔法が私を狙ってゆくてを塞いでくるのがとても厄介だ。
なぜかマレスティーナには一切の流れ弾が来ない、そのせいで私は動きを制限されているのに対し、マレスティーナは自由自在に動き回れる環境が出来てしまっている。
(どうする?魔力を使ってここ一帯ごと吹き飛ばす?だけど、それで現状はどうにかできても結局は無駄に魔力を消耗しただけになる)
マナブレードの軌道を読みながら、そしてツムちゃんのサポートで自分一人ではできないだろう見事なバックステップで魔法を回避しながら、そんなことを考えていると、ふと耳の奥……頭の中から久しぶりに聞く声が聞こえ始めた。
〈手を貸してあげましょうか?〉
「あ、あんた!?」
マレスティーナが私の言葉に反応してしまったが、私はマレスティーナに言ったつもりはない。他の誰でもない、私の頭に語り掛けてくるツムちゃんとは別の存在に向けての話だった。
〈どうやら苦戦しているようね、力が欲しい?〉
そんなありきたりなセリフに騙される奴はいないって。どうせあなた……名前知らないけど、あなたは私の体を乗っ取りたいだけでしょう?
理由は知らないけど。
〈ふふ、そんなのどうだっていいじゃない。死ななかった……いや、死んでちゃんと生き返ったことはほめてあげるけど、生意気な態度は治してくれないの?〉
ちょっと話しかけるのやめてくれる?今ものすごい死にそうなんだから!
背後の攻撃が鎧を掠る。
「あーもう鎧邪魔!」
私は一旦転移で離脱し、それと同時に鎧を異納庫にしまった。
観衆目線では私が急に消えて、急に服を変えたように見えたに違いない。今着ているのは日ノ本に行くときにミハエルの服屋さんで仕立ててもらったローブである。
ランクはBほど。マレスティーナ相手には荷が重いだろうが、破れないでくれ……。
〈そんなに苦戦しているのに、あなたはバカなの?ここにこんなにも強力な力が眠っているというのに!〉
ふざけないで頂戴。あんたの協力は今回受けない。
仮にも味方ではあるマレスティーナにあなたの協力してもらってまだ倒すつもりはない。あくまで自分の力であの人には勝ちたいから。
〈……また死んでも知らないからね。ったく、さっさと体を譲ればいいものを〉
そのセリフを境に声が聞こえてくることはなくなった。
力は借りない……とは言ったものの、このままでは明らかにじり貧である。魔力の総量は私の方が少なく、身体強化に魔力を割いている。
ツムちゃんのサポートがなければ背後からの攻撃で乱れ撃ちされてた。
《そこで提案なのですが》
提案?
《私に、大剣の使用許可をください》
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