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我慢は辛い
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さて、お兄様が街に最速で帰ってきたとしても約一か月はかかる。それまで、色々な段取りを終わらせておこう。
「予定通りに進んでいるかな?」
みんなには色々と役割を任せてそれぞれ行動している頃合いだが、流石にまだ計画の一日目だ。
大して進んでいるとは思わないけど、一応確認を……
「と、思ってきてみたはいいけど……レオ君?」
「ん?なに?」
まず初めにレオ君の戦場跡地作成の様子を見に来たが、その時点で既に私たちの感覚が非常にずれていたことを思い知らされた。
「レオ君?これは戦場跡じゃないよ……隕石が落下した後だよ……」
「そうかな?」
どでかいクレーターが平原に作られていて、流石の私も驚きを隠せない。
「もしかしてレオ君ステータス伸びた?」
「そうらしいね。僕は解析鑑定が出来ないから分からないけど……」
ステータスを確認してみたら、いつの間にかステータスが約80,000にまで上がっていた。
どうして急に……?
《吸血鬼は特性として血を吸って庇護下に入れた者が力をつけると、それにつられて自らを強化する能力があるのです》
つまり、レオ君から吸血鬼の加護を貰った私が強くなったから、レオ君もステータスが急激に上がったと……。
《ギブアンドテイクというやつですね》
「って、これは流石にやりすぎだから、もう少し規模を小さくできる?例えば……何かを引きずった後程度に留めたり、少ほんの幅数メートルの小さな穴をところどころ作るくらいにしてほしいの」
「わかったよ、ベア」
「っ!」
「どうしたの?」
「きゅ、急にベアって呼ばれたからちょっと……ね」
今までフルで呼ばれていたから完全に忘れていた。そう言えばベアって呼んでといったんだった。
あーもう長年一緒に暮らしているのも合わさって今更恥ずかしいったりゃありゃしない。
「ふふ、恥ずかしがらなくていいよ。僕とベアの中でしょう?」
「ちょ、言い方!」
いつも一緒に行動している私たち3人の中で一番背が高いのはレオ君だ。ちなみに2番目は私。
レオ君と並ぶと、私が上を向く形になってしまう。
くっ!イケメンがこっちを見てる……!
イケメンの人はどうして声までかっこいいのだろうか?顔がかっこよくて声がかっこ悪い人なんて私見たことない!
「……なんか変なこと考えてる?」
「い、いいや別に!?」
「ならいいけど」
全く、私と同い年のくせにどうして身長で負けてるんだ!?レオ君だって2年間仮死状態だっただろう!?
《男女の肉体的成長の差でしょう》
わかっとるわ!
「なんだかレオ君大人びたね」
「そうでもないよ、昔の方が背は……じゃなくて、獣人の中じゃまだ小柄な方だし」
「まあそうだね」
他の獣人はみんな2メートル近くある。レオ君はまだ160センチ半ばと言ったところか。
「じゃあ、私は他の人のところに行ってくるね」
そう言って私が去ろうとすると、待ってくれと止められる。
「あ、あの……もう少ししたら、また貰えるかな?」
「なにを……」
と思ったけど、レオ君が顔を赤らめているところを見るに、たぶん『お食事』のことを言っているのだろう。
「なんなら今でもいいのよ?」
「か、からかわないでよ!」
良かった、中身はまだ可愛い子供だった。
無駄にイケメンになられると、私が惚れそうなのでぜひともやめてほしい。まあ、どうしようもないけどね。
「じゃあ今夜おいで?」
「……」
「冗談冗談」
そう言いながら私は去っていった。
♦↓レオ君視点↓
「もう、からかいすぎなんだよ」
ベアが去ったあと、僕は一人そう呟いていた。
ベアとはここ何年も一緒に暮らしている。ユーリほどではないにしろ、共に一緒に暮らしてきて、とても充実した日々を送っている。
ベアにお願いされたことなら、どんな雑用だろうと些事だろうととてもやりがいのある仕事に感じてくる。
「はぁ……」
ベアは成長していくにつれてどんどん大人びてきていた。なのに、あんな冗談は酷いよ……いつも我慢しているのに、我慢できなくなるじゃないか……。
本当だったら吸血鬼……ハーフとはいえ……は、毎日何かしらの血を摂取しないといけない。栄養が足りないからだ。
「ホントだったら毎日……いいや!違う違う!」
自分の中のやましい感情に気づいてさっさと追い払う。
血を吸っている時の僕は自分が自分で亡くなったような感覚だった。不思議な感覚……快楽なのかはわからないが、気分がとても高揚する。
そのせいで、血を吸った勢いでそのまま……とか、そんな考えがいつも脳裏に浮かんでいた。
だが、僕がそれを実行に移すことは絶対にない。
そんなことして嫌われたら、僕はもう生きていけない……。
「はぁ……もう少し僕の頑張りを知ってよね?」
いつもいつも欲求に耐えているんだから、本当につらい。だから、ユーリが生き返ったベアにキスをしたときは正直嫉妬した。
「今夜……ねえ」
…………………………よし、早く仕事を終わらそう。
「予定通りに進んでいるかな?」
みんなには色々と役割を任せてそれぞれ行動している頃合いだが、流石にまだ計画の一日目だ。
大して進んでいるとは思わないけど、一応確認を……
「と、思ってきてみたはいいけど……レオ君?」
「ん?なに?」
まず初めにレオ君の戦場跡地作成の様子を見に来たが、その時点で既に私たちの感覚が非常にずれていたことを思い知らされた。
「レオ君?これは戦場跡じゃないよ……隕石が落下した後だよ……」
「そうかな?」
どでかいクレーターが平原に作られていて、流石の私も驚きを隠せない。
「もしかしてレオ君ステータス伸びた?」
「そうらしいね。僕は解析鑑定が出来ないから分からないけど……」
ステータスを確認してみたら、いつの間にかステータスが約80,000にまで上がっていた。
どうして急に……?
《吸血鬼は特性として血を吸って庇護下に入れた者が力をつけると、それにつられて自らを強化する能力があるのです》
つまり、レオ君から吸血鬼の加護を貰った私が強くなったから、レオ君もステータスが急激に上がったと……。
《ギブアンドテイクというやつですね》
「って、これは流石にやりすぎだから、もう少し規模を小さくできる?例えば……何かを引きずった後程度に留めたり、少ほんの幅数メートルの小さな穴をところどころ作るくらいにしてほしいの」
「わかったよ、ベア」
「っ!」
「どうしたの?」
「きゅ、急にベアって呼ばれたからちょっと……ね」
今までフルで呼ばれていたから完全に忘れていた。そう言えばベアって呼んでといったんだった。
あーもう長年一緒に暮らしているのも合わさって今更恥ずかしいったりゃありゃしない。
「ふふ、恥ずかしがらなくていいよ。僕とベアの中でしょう?」
「ちょ、言い方!」
いつも一緒に行動している私たち3人の中で一番背が高いのはレオ君だ。ちなみに2番目は私。
レオ君と並ぶと、私が上を向く形になってしまう。
くっ!イケメンがこっちを見てる……!
イケメンの人はどうして声までかっこいいのだろうか?顔がかっこよくて声がかっこ悪い人なんて私見たことない!
「……なんか変なこと考えてる?」
「い、いいや別に!?」
「ならいいけど」
全く、私と同い年のくせにどうして身長で負けてるんだ!?レオ君だって2年間仮死状態だっただろう!?
《男女の肉体的成長の差でしょう》
わかっとるわ!
「なんだかレオ君大人びたね」
「そうでもないよ、昔の方が背は……じゃなくて、獣人の中じゃまだ小柄な方だし」
「まあそうだね」
他の獣人はみんな2メートル近くある。レオ君はまだ160センチ半ばと言ったところか。
「じゃあ、私は他の人のところに行ってくるね」
そう言って私が去ろうとすると、待ってくれと止められる。
「あ、あの……もう少ししたら、また貰えるかな?」
「なにを……」
と思ったけど、レオ君が顔を赤らめているところを見るに、たぶん『お食事』のことを言っているのだろう。
「なんなら今でもいいのよ?」
「か、からかわないでよ!」
良かった、中身はまだ可愛い子供だった。
無駄にイケメンになられると、私が惚れそうなのでぜひともやめてほしい。まあ、どうしようもないけどね。
「じゃあ今夜おいで?」
「……」
「冗談冗談」
そう言いながら私は去っていった。
♦↓レオ君視点↓
「もう、からかいすぎなんだよ」
ベアが去ったあと、僕は一人そう呟いていた。
ベアとはここ何年も一緒に暮らしている。ユーリほどではないにしろ、共に一緒に暮らしてきて、とても充実した日々を送っている。
ベアにお願いされたことなら、どんな雑用だろうと些事だろうととてもやりがいのある仕事に感じてくる。
「はぁ……」
ベアは成長していくにつれてどんどん大人びてきていた。なのに、あんな冗談は酷いよ……いつも我慢しているのに、我慢できなくなるじゃないか……。
本当だったら吸血鬼……ハーフとはいえ……は、毎日何かしらの血を摂取しないといけない。栄養が足りないからだ。
「ホントだったら毎日……いいや!違う違う!」
自分の中のやましい感情に気づいてさっさと追い払う。
血を吸っている時の僕は自分が自分で亡くなったような感覚だった。不思議な感覚……快楽なのかはわからないが、気分がとても高揚する。
そのせいで、血を吸った勢いでそのまま……とか、そんな考えがいつも脳裏に浮かんでいた。
だが、僕がそれを実行に移すことは絶対にない。
そんなことして嫌われたら、僕はもう生きていけない……。
「はぁ……もう少し僕の頑張りを知ってよね?」
いつもいつも欲求に耐えているんだから、本当につらい。だから、ユーリが生き返ったベアにキスをしたときは正直嫉妬した。
「今夜……ねえ」
…………………………よし、早く仕事を終わらそう。
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