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過去の探検録(ユーリ視点)
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「よっしゃ今日も探検しよう!」
そこはエルフの森の中のとある一角。そこに三人の種族様々な若者がいた。
集まった三人の若者はそれぞれ好きなように一人遊びをしていたが、そのうちの一人の魔族、ユーリが声を上げた。
「急だな。とはいってもみんな仕事さぼってきてるだろ?バレたら大変だろ」
そう言ったのはハイエルフ種のゴーノアだった。
「うるさいよ、ゴーノア。ボクら子供を戦争に駆り出すような奴らに従って仕事をするなんてボクは嫌だ!」
「一応言っておくが、今戦争中だぞ?見つかったら俺ら三人そろって死刑だぞ?」
「だいじょぶだいじょぶ、見つからなければいいし!」
「お前なぁ……」
ゴーノアは呆れたようにため息をついた。
「二人とも、うるさいですわよ」
そう言って二人の間に割り込んできたのは深緑色の髪色と金色の瞳をしているのは、ドライアド種のアルラウネだった。
「そんなこと言ってアルちゃん行く気満々じゃん」
「どこがかしら?私はこれっぽっちも探検に出かけたいなんか思ってもいないわ」
そういうアルラウネだったが、顔からは早く行こうというオーラが漂っている。それよりも、三人の中で最も冒険、探検することが好きなのはアルラウネだった。
「よし、決まりだね。どこ行こうかな?」
「人間の街の方角はどうかしら?あそこはまだ私たち行ったことないでしょう?」
「危ない気もするけど、まいっか!」
魔族であるユーリにとっては人間の街はまさに敵の本拠地に乗り込むようなものだ。ただ、本人はその案に賛成し、ゴーノアも反対派しなかった。
それはひとえに本人の実力によるものだろう。なぜなら、彼は若くして……というよりも子供ながらに上級魔族。
魔王が選んだ魔族の実力はエリートなのだから。
魔族にはエルフのような微妙な種族の違いはない。エルフだの、ハイエルフだの……魔族にはそういったものは一切なく、単純に実力のみで評価され、実力がある者は上級魔族と呼ばれていた。
そして、ゴーノアやアルラウネもそのユーリと並ぶ実力を持っていたのだ。
「いざとなってもボクたちならどうにかできるだろうしね」
「せいぜい、正規軍に見つからないようにしないとな」
「じゃあ早速出発だ―!」
♦
探検とは言ったものの、未開の地を歩き続けるわけではない。無論だが、しっかりと開拓された道を歩いていく。
道なき道を進むのも悪くはないが、行ったこともない場所へ行くのが探検の目的であり、危険な場所へ飛び込むのは目的外であった。
「それにしても、人少ないよねー」
「ここの狭い道は魔族と人族がよく争う紛争地帯のすぐ近くだからな」
そこを三人でぶらりと歩く。
やがて目の前には小さな、とても貧乏そうな村が見えてきた。
「ん?あれは、魔族の村かな?」
「こんなところに?あれでは戦いに巻き込まれてしまうのではないか?」
その村はとても小規模で、そこにはやせ細った魔族がいた。見た目は人間とほぼ同じな魔族だが、その内包している魔力量は腐っても魔族。
ユーリにも判別できる程度にはあった。
「やあ、そこの人」
ユーリがその村の人に挨拶をする。だが、
「あ、あれ?」
「聞こえてないのか?」
「あなた完全に無視されてますわね」
話しかけた村人は返事もせず、どこへ向かって歩いて行ってしまった。
「まあ、しょうがないか。生活苦しいはずなのに、何もしてあげれてないんだから」
「恨まれ役ってやつか」
「戦争なんてさっさと終わってしまえばみんな生活が楽になるのに、ほんとみんなバカなのかな?」
「お前、それ……魔王にもいってないだろうな?」
「言った」
「おおおい!?」
「大丈夫、『貴様面白い奴だな』って言って許してくれたよ」
「それたぶん許してないぞ?額に青筋出てるのが幻視できるぞ!」
村の中を散策していると、村人たちは三人の方を見ては珍しいものをみたと言わんばかりの顔をしてまた興味を失くしたように日常生活へと戻っていく。
戦争中であるのに、敵対している種族同士が仲良くつるんでいるのだからそう思われても仕方がない。
「戦争始まる前の仲だからね、何があろうとボクらの絆は変わらないよ」
「たまにはいいこと言いますわね」
そんなことを言いながら、村を見渡していると一つの光景がユーリの目に留まった。
それは小さな男の子が周りの子供に石を投げつけられているところを、殴られているところを見てしまったのだ。
その男の子は反撃することもせずにただただ受け続けていた。
「あんな光景、あっていいはずない」
気づけばユーリの体は動いていた。
「やめなさい」
そう一声かけると村の子供たちはまるで怖いお化けを見たかのような顔をして一目散に逃げていった。
急いでいじめられていた少年の元へ近寄る。
「大丈夫かい?」
「あ……ぁ……」
「アルちゃん、回復魔法を」
「かしこまり」
回復魔法をその少年にかける。すると、ぐっーっとお腹が鳴った。
「何か食べるものは……これでいいかな?」
「ちょっと、何でそんなもの持ってるのよ?」
ユーリの手に握られていたのは、小さなパンだった。
「いやね、お酒に浸して食べたらどうなるかなーってやってたのが、余ってて……」
「未成年でしょうが」
「い、良いのバレてないから!」
そう言いながら、少年にパンを渡した。しかし、少年はキョトンとした顔をしたまま食べようとしなかったので、ユーリはパンをちぎってその口に放り込んだ。
「少しは食べないと大きくなれないからね」
そんなことを言いながら、パンを食べたことにびっくりしている少年にこんどこそパンを渡した。おいしそうに……というより、衝撃を受けたかのような顔で勢いよく食べる少年の顔を見ていると、後ろから三人とはまた別の声が聞こえてきた。
「とても優しいんですね――」
「っ?」
その声の主が誰なのかと思い、三人が後ろを振り向く。そこにいたのは、
「初めまして、俺は『勇者』のミヤマという者です――」
この世界において、ユーリが最もであってはいけない存在との初邂逅だった。
そこはエルフの森の中のとある一角。そこに三人の種族様々な若者がいた。
集まった三人の若者はそれぞれ好きなように一人遊びをしていたが、そのうちの一人の魔族、ユーリが声を上げた。
「急だな。とはいってもみんな仕事さぼってきてるだろ?バレたら大変だろ」
そう言ったのはハイエルフ種のゴーノアだった。
「うるさいよ、ゴーノア。ボクら子供を戦争に駆り出すような奴らに従って仕事をするなんてボクは嫌だ!」
「一応言っておくが、今戦争中だぞ?見つかったら俺ら三人そろって死刑だぞ?」
「だいじょぶだいじょぶ、見つからなければいいし!」
「お前なぁ……」
ゴーノアは呆れたようにため息をついた。
「二人とも、うるさいですわよ」
そう言って二人の間に割り込んできたのは深緑色の髪色と金色の瞳をしているのは、ドライアド種のアルラウネだった。
「そんなこと言ってアルちゃん行く気満々じゃん」
「どこがかしら?私はこれっぽっちも探検に出かけたいなんか思ってもいないわ」
そういうアルラウネだったが、顔からは早く行こうというオーラが漂っている。それよりも、三人の中で最も冒険、探検することが好きなのはアルラウネだった。
「よし、決まりだね。どこ行こうかな?」
「人間の街の方角はどうかしら?あそこはまだ私たち行ったことないでしょう?」
「危ない気もするけど、まいっか!」
魔族であるユーリにとっては人間の街はまさに敵の本拠地に乗り込むようなものだ。ただ、本人はその案に賛成し、ゴーノアも反対派しなかった。
それはひとえに本人の実力によるものだろう。なぜなら、彼は若くして……というよりも子供ながらに上級魔族。
魔王が選んだ魔族の実力はエリートなのだから。
魔族にはエルフのような微妙な種族の違いはない。エルフだの、ハイエルフだの……魔族にはそういったものは一切なく、単純に実力のみで評価され、実力がある者は上級魔族と呼ばれていた。
そして、ゴーノアやアルラウネもそのユーリと並ぶ実力を持っていたのだ。
「いざとなってもボクたちならどうにかできるだろうしね」
「せいぜい、正規軍に見つからないようにしないとな」
「じゃあ早速出発だ―!」
♦
探検とは言ったものの、未開の地を歩き続けるわけではない。無論だが、しっかりと開拓された道を歩いていく。
道なき道を進むのも悪くはないが、行ったこともない場所へ行くのが探検の目的であり、危険な場所へ飛び込むのは目的外であった。
「それにしても、人少ないよねー」
「ここの狭い道は魔族と人族がよく争う紛争地帯のすぐ近くだからな」
そこを三人でぶらりと歩く。
やがて目の前には小さな、とても貧乏そうな村が見えてきた。
「ん?あれは、魔族の村かな?」
「こんなところに?あれでは戦いに巻き込まれてしまうのではないか?」
その村はとても小規模で、そこにはやせ細った魔族がいた。見た目は人間とほぼ同じな魔族だが、その内包している魔力量は腐っても魔族。
ユーリにも判別できる程度にはあった。
「やあ、そこの人」
ユーリがその村の人に挨拶をする。だが、
「あ、あれ?」
「聞こえてないのか?」
「あなた完全に無視されてますわね」
話しかけた村人は返事もせず、どこへ向かって歩いて行ってしまった。
「まあ、しょうがないか。生活苦しいはずなのに、何もしてあげれてないんだから」
「恨まれ役ってやつか」
「戦争なんてさっさと終わってしまえばみんな生活が楽になるのに、ほんとみんなバカなのかな?」
「お前、それ……魔王にもいってないだろうな?」
「言った」
「おおおい!?」
「大丈夫、『貴様面白い奴だな』って言って許してくれたよ」
「それたぶん許してないぞ?額に青筋出てるのが幻視できるぞ!」
村の中を散策していると、村人たちは三人の方を見ては珍しいものをみたと言わんばかりの顔をしてまた興味を失くしたように日常生活へと戻っていく。
戦争中であるのに、敵対している種族同士が仲良くつるんでいるのだからそう思われても仕方がない。
「戦争始まる前の仲だからね、何があろうとボクらの絆は変わらないよ」
「たまにはいいこと言いますわね」
そんなことを言いながら、村を見渡していると一つの光景がユーリの目に留まった。
それは小さな男の子が周りの子供に石を投げつけられているところを、殴られているところを見てしまったのだ。
その男の子は反撃することもせずにただただ受け続けていた。
「あんな光景、あっていいはずない」
気づけばユーリの体は動いていた。
「やめなさい」
そう一声かけると村の子供たちはまるで怖いお化けを見たかのような顔をして一目散に逃げていった。
急いでいじめられていた少年の元へ近寄る。
「大丈夫かい?」
「あ……ぁ……」
「アルちゃん、回復魔法を」
「かしこまり」
回復魔法をその少年にかける。すると、ぐっーっとお腹が鳴った。
「何か食べるものは……これでいいかな?」
「ちょっと、何でそんなもの持ってるのよ?」
ユーリの手に握られていたのは、小さなパンだった。
「いやね、お酒に浸して食べたらどうなるかなーってやってたのが、余ってて……」
「未成年でしょうが」
「い、良いのバレてないから!」
そう言いながら、少年にパンを渡した。しかし、少年はキョトンとした顔をしたまま食べようとしなかったので、ユーリはパンをちぎってその口に放り込んだ。
「少しは食べないと大きくなれないからね」
そんなことを言いながら、パンを食べたことにびっくりしている少年にこんどこそパンを渡した。おいしそうに……というより、衝撃を受けたかのような顔で勢いよく食べる少年の顔を見ていると、後ろから三人とはまた別の声が聞こえてきた。
「とても優しいんですね――」
「っ?」
その声の主が誰なのかと思い、三人が後ろを振り向く。そこにいたのは、
「初めまして、俺は『勇者』のミヤマという者です――」
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