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可愛い武士
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将軍と別れて宿へと戻ったら、一階の酒場でお兄様と蘭丸さんが二人でお酒を飲んでいた。
「お兄様方、お昼からお酒はダメですよ」
貸切だからってテーブルをまとめて大きくしている。お兄様は顔が少し赤くなっているがまだ平常心は保っているようだ。
だけど、蘭丸さんはかなり酔ってそう。
「あれぇ……?おかえりですか?」
「あの……お兄様?何杯飲ませたんですか?」
「ち、違うぞ?蘭丸は酒に酔いやすいんだ」
「というか、二人とも大人なんですから夜まで待てばいいものを……」
そう思って、私が二階に上ろうとした時、
「待って欲しいでござる……」
「はい?」
お酒を飲んで潰れかけていた蘭丸さんの声に私は思わず振り返る。顔はお兄様よりも赤くなっていて、今にもフラッと倒れてしまいそうだ。
「ちょっとお話を伺ってもいいでござるか?」
「え、なんのお話?」
特に心当たりがなく頭を捻っていると、蘭丸さんは手に持っていたお酒をガブっと飲んでテーブルにドンッと置いた。
「今日会議に出られたじゃないですかぁ……」
「え、ええそうだけど……それがどうかしたの?」
「その……」
もじもじとしている蘭丸さんを珍しく思いながらどうしたのかとお兄様に視線を向ける。お兄様はため息をついているだけでなんのことかは教えてくれなかった。
「将軍様に会ったでござるよな?」
「ふぇ?」
実はさっきまで一緒でした。
「そう、ですね。それがどうしたんですか?」
「正直どう思いました?」
「どうって……どういう意味合い?」
性格の話?それなら結局よくわからなかったけど……。
「その……」
「なんですか?聞きたいことがあるんならはっきりと言って来れないとわかりませんよ?」
そう言ってテーブルにぐってりしている蘭丸さんに聞くと、蘭丸さんは恥ずかしげに聞いた。
「将軍様……かわいかったですか?」
「……………?」
頭にタイムラグがあるようだ、よく聞こえなかった。
「もう一度いい?」
「将軍様は!かわいかったですか?」
「……あれ?私の聞き間違いかな?」
そう思ってお兄様の方を向くと、残念そうに首を横に振っている。
「ええ?」
困惑しか出てこなかった。将軍の正体を知っている私からすれば、かわいかった……と聞かれても、うんとは頷けないんだけど……?
「いきなりどうしてそんなことを……」
「ち、違うでござる!誤解しないでほしいでござるよ……拙者はただ、将軍様はとても美しい女性だと話に聞いたので聞きたかっただけでござる!」
「それだけじゃないように見えるのは私だけ?」
そう思ってお兄様の方を……(以下同文)
「当主様!?違うでござる!拙者はそんなやましいことは思っていないでござる!」
「まだ何も言ってないが?」
「うぐっ……」
蘭丸さんに精神的ダメージ大!
「もしかして、蘭丸さんって将軍……様のこと気になってるの?見たことないのに?」
「そ、そんなの関係ないでござるよ。将軍様は武人であるとも聞いたでござる。美しい女性でしかも武人と聞いて拙者気になって気になって……」
「夜も眠れないと……」
「うむ……って、ちがぁう!」
可愛い。
「うふふ、お堅いイメージあったけど、蘭丸さんって結構純情なのね」
「ななな、何を言ってるでござるか!?」
「その反応がもううぶなんですよー。蘭丸さん女性と付き合ったことないんじゃないですか?」
と冗談めかしに言ってみたが、蘭丸さんは押し黙って何も言わなくなった。
「あ、あれぇ……もしかしてほんとになかった?」
「拙者……今まで刀としか向き合ってこなかったが故、女性と出会う機会なんてなかったでござる……」
そう言って拗ねたように頬を膨らませている。
か、可愛い!?
不覚にもビビッと来てしまった……。
「んで、蘭丸さんにとっては武人の将軍が理想のタイプと……」
「当主様と一緒で意地悪な方でござるね……」
「いいじゃない。私そういう話ものすごく好きなの!」
「ほんと、いい性格してるでござる……」
恋に悩める青年に助け舟を出してやろう……うむ、それが乙女の本解よ!(曲解)
「そっかぁ、蘭丸さん将軍みたいな人がいいのね……でも、あの人あんまり表情動かないよ?感情読みにくいし、ちょっと抜けてるところあるし仕事のオンオフにすごく差がある人だったよ」
「なぜそこまで知ってるでござるか?」
「え!?それは……ちょっと、二人話した時に、聞いたというか?」
さっきまで一緒に出掛けてましたとは言えない。
「それでもいいの?」
「何を言うかと思えば。むしろ、そっちの方が拙者は可愛いと思うでござるよ?普段無表情だけど、たまに笑った姿とか、ちょっと抜けていておっちょこちょいな方が助けがいあるし、切り替えが早いと拙者もやりやすいでござる!」
「こりゃ本格的に狙ってるわね……」
「そう言うわけではないでござるよ。拙者は当主様に仕えている身でござるから、最後まで当主様についていくでござる」
ふむふむ……蘭丸さんは童顔で一見すると子供っぽく見えるが、真面目な表情はやはり武士団のリーダーって感じが垣間見える。
「まあ、将軍と会う機会がもしまたあったら紹介しておくよ」
「はは、話のネタにでもなったらいいでござるなぁ」
「お兄様方、お昼からお酒はダメですよ」
貸切だからってテーブルをまとめて大きくしている。お兄様は顔が少し赤くなっているがまだ平常心は保っているようだ。
だけど、蘭丸さんはかなり酔ってそう。
「あれぇ……?おかえりですか?」
「あの……お兄様?何杯飲ませたんですか?」
「ち、違うぞ?蘭丸は酒に酔いやすいんだ」
「というか、二人とも大人なんですから夜まで待てばいいものを……」
そう思って、私が二階に上ろうとした時、
「待って欲しいでござる……」
「はい?」
お酒を飲んで潰れかけていた蘭丸さんの声に私は思わず振り返る。顔はお兄様よりも赤くなっていて、今にもフラッと倒れてしまいそうだ。
「ちょっとお話を伺ってもいいでござるか?」
「え、なんのお話?」
特に心当たりがなく頭を捻っていると、蘭丸さんは手に持っていたお酒をガブっと飲んでテーブルにドンッと置いた。
「今日会議に出られたじゃないですかぁ……」
「え、ええそうだけど……それがどうかしたの?」
「その……」
もじもじとしている蘭丸さんを珍しく思いながらどうしたのかとお兄様に視線を向ける。お兄様はため息をついているだけでなんのことかは教えてくれなかった。
「将軍様に会ったでござるよな?」
「ふぇ?」
実はさっきまで一緒でした。
「そう、ですね。それがどうしたんですか?」
「正直どう思いました?」
「どうって……どういう意味合い?」
性格の話?それなら結局よくわからなかったけど……。
「その……」
「なんですか?聞きたいことがあるんならはっきりと言って来れないとわかりませんよ?」
そう言ってテーブルにぐってりしている蘭丸さんに聞くと、蘭丸さんは恥ずかしげに聞いた。
「将軍様……かわいかったですか?」
「……………?」
頭にタイムラグがあるようだ、よく聞こえなかった。
「もう一度いい?」
「将軍様は!かわいかったですか?」
「……あれ?私の聞き間違いかな?」
そう思ってお兄様の方を向くと、残念そうに首を横に振っている。
「ええ?」
困惑しか出てこなかった。将軍の正体を知っている私からすれば、かわいかった……と聞かれても、うんとは頷けないんだけど……?
「いきなりどうしてそんなことを……」
「ち、違うでござる!誤解しないでほしいでござるよ……拙者はただ、将軍様はとても美しい女性だと話に聞いたので聞きたかっただけでござる!」
「それだけじゃないように見えるのは私だけ?」
そう思ってお兄様の方を……(以下同文)
「当主様!?違うでござる!拙者はそんなやましいことは思っていないでござる!」
「まだ何も言ってないが?」
「うぐっ……」
蘭丸さんに精神的ダメージ大!
「もしかして、蘭丸さんって将軍……様のこと気になってるの?見たことないのに?」
「そ、そんなの関係ないでござるよ。将軍様は武人であるとも聞いたでござる。美しい女性でしかも武人と聞いて拙者気になって気になって……」
「夜も眠れないと……」
「うむ……って、ちがぁう!」
可愛い。
「うふふ、お堅いイメージあったけど、蘭丸さんって結構純情なのね」
「ななな、何を言ってるでござるか!?」
「その反応がもううぶなんですよー。蘭丸さん女性と付き合ったことないんじゃないですか?」
と冗談めかしに言ってみたが、蘭丸さんは押し黙って何も言わなくなった。
「あ、あれぇ……もしかしてほんとになかった?」
「拙者……今まで刀としか向き合ってこなかったが故、女性と出会う機会なんてなかったでござる……」
そう言って拗ねたように頬を膨らませている。
か、可愛い!?
不覚にもビビッと来てしまった……。
「んで、蘭丸さんにとっては武人の将軍が理想のタイプと……」
「当主様と一緒で意地悪な方でござるね……」
「いいじゃない。私そういう話ものすごく好きなの!」
「ほんと、いい性格してるでござる……」
恋に悩める青年に助け舟を出してやろう……うむ、それが乙女の本解よ!(曲解)
「そっかぁ、蘭丸さん将軍みたいな人がいいのね……でも、あの人あんまり表情動かないよ?感情読みにくいし、ちょっと抜けてるところあるし仕事のオンオフにすごく差がある人だったよ」
「なぜそこまで知ってるでござるか?」
「え!?それは……ちょっと、二人話した時に、聞いたというか?」
さっきまで一緒に出掛けてましたとは言えない。
「それでもいいの?」
「何を言うかと思えば。むしろ、そっちの方が拙者は可愛いと思うでござるよ?普段無表情だけど、たまに笑った姿とか、ちょっと抜けていておっちょこちょいな方が助けがいあるし、切り替えが早いと拙者もやりやすいでござる!」
「こりゃ本格的に狙ってるわね……」
「そう言うわけではないでござるよ。拙者は当主様に仕えている身でござるから、最後まで当主様についていくでござる」
ふむふむ……蘭丸さんは童顔で一見すると子供っぽく見えるが、真面目な表情はやはり武士団のリーダーって感じが垣間見える。
「まあ、将軍と会う機会がもしまたあったら紹介しておくよ」
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