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経験値
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轟音が辺りに鳴り響き、地面がかち割れ凄まじい揺れがバランス感覚を狂わせる。凄まじいで起きた粉塵が真っ直ぐに私の元へ直進してくる『何か』によって吹き飛ばされた。
突進してきたユーリは一度のその動きを止める。それによってタイミングが狂わせられた私は防御のタイミングがずれてしまい、また吹き飛ばされた。
現在、街から数キロ離れた無人の平野にて、模擬戦を繰り広げていた。模擬戦とは名ばかりの全力戦闘だが……。
自分の実力が今どれくらいなのか、それを知るところから私は始めなくちゃいけない。私は自分のことを過大評価も過小評価もするつもりはないからね。
吹き飛ばされた自分の体を浮遊の魔法で立て直す。飛んできた紫色に光る電撃を結界によって防ぎ、土魔法で周りを壁で塞ぐ。
ただ、その程度でユーリの猛進が止められるわけはないため、あらかじめ転移で上へ避難するが……
「甘いね」
「後ろ!?」
いつの間にか真後ろにいたユーリの攻撃。それを身体強化と浮遊魔法の力で無理やり捻って避ける。
お返しの空中回し蹴りは足を掴まれてしまい、ノーダメージ。
「ちょっと痛くするよ」
そのまま掴んだ足を振り回し、地面に叩きつける。避けようがなく、そのまま地面に激突する私だが、すぐに立ち上がり体勢を直す。
(ヤベェ……死ぬかと思った)
まあ実際は死にそうになるほどではないが、本気で危機感を覚える。
地面に叩きつけられた私だが、私の体は未だ健全だった。石によってできた擦り傷はみるみる治っていく。
ユーリには一撃も加えることはできていないが、私だって一応ダメージを受けていなかった。
レオ君との秘密のお食事で吸血鬼の加護を得たことで、私の体は即死しなければすぐに傷はすぐに再生する。そして、一度死んだことにより肉体が強化されより頑丈になったおかげで大したダメージはない。
「もう少し早く行くね」
「え、嘘でしょ……」
ユーリがそういうと途端に空中で真空波でも起きたのかという波が見えた。それはユーリがこちらに飛んでくる時の衝撃によるもので、ただの突進でも十分脅威になり得る。
(だけど、ただの直進じゃ私は止められないわ!)
光魔法を行使し、あたりを閃光に包んだ。その隙に私は自身の肉体にありとあらゆるスキルを駆使して強化する。
身体強化のスキルと魔法を合わせた時、私の体にはこの世のものとは思えないほどの優越感を感じた。けど、
「そこ!」
「くっ……」
ユーリが目を封じられただけでは動きを止め切れない。それでも、強化した身体能力でユーリの動きについていける。
ギリギリと言うこともなく、最大限集中すれば攻撃を捌き切ることができるくらいに早い動きだ。
そして、私がユーリの攻撃を防いだ時ユーリの手が私の手首を掴んだ。その瞬間、地面から炎の柱が生まれ、私の体を包んだ。
とてつもない熱気が私の体をおそい、思わず私はびびってしまう。
その隙を見逃さず、ユーリは空中に私を飛ばして、魔法を撃った。魔力を固めて撃ち出しただけの魔力撃と呼ばれるもの。
だが、数が尋常じゃなくそれを捌き切るのは骨が折れる。だから、私は転移の魔法でユーリの背後に現れた……つもりだったが。
「終わりだよ」
「うっそぉ……」
顔を上げるとそこにはユーリの魔法がいくつも私を狙っていた。完全に私の負けだ。
「負けました……」
「やった!勝った!」
ユーリは今までの気迫がなくなったかのように大喜びしている。その代わりとばかりに私はとても落胆していた。
本気できてほしいと頼んだのは私だが、一撃も加えられずにボコされるとは思っても見なかったからね……。
模擬戦のルールは権能の使用禁止、殺すの禁止、広範囲殺傷の魔法の使用禁止。そのルールの下で戦ったわけだけど、結果はご覧の有り様。
私の体にできた火傷の痕や、傷跡はすぐさま回復しまるで無傷かのようになった。だが、そこには確かにダメージを感じる。
精神的なダメージってやつかな?
いくら肉体や肉体の再生能力が化け物の領域になったとしても、私の心は人のままなのでね……攻撃されれば反射で「いてっ!」と言ってしまうし、びっくりしてしまう。自分の体にまだ精神が追いついていないのだ。
そして、もう一つ敗因を挙げるとすれば、それは……
《圧倒的な経験不足です》
あ、はい。ツムちゃんが今言ったように私には戦闘の経験が足りない。
いや、もちろん数多の怪物と死闘は繰り広げているわけだけど、これから戦っていくのは何百年何千年と生きてきた奴らばかりだ。生まれて15年……たった15年の戦闘経験じゃ、元魔王のユーリにはいくら弱体化しているとは言っても勝てない。
身体能力にそこまでの差はないが、経験値が圧倒的に違った。
「ご主人様、体痛んでない?」
「大丈夫大丈夫……ボコボコにされて少し萎えてるだけ」
「あ、あはは……」
ユーリは苦笑いで誤魔化す。
ボコボコにされて私の尊厳が傷ついた代償に、私の今の実力は大体わかった。
身体能力はユーリと同じくらい、つまり座天使と対等に戦えるレベル。私のまあまあ強力な権能を含めると善戦できるはずだ。
だけど、経験が足りないからそこが不安要素。
経験は戦わないと得られないから、今はどうしようもないが……。
「ご主人様、地面ボコボコにしちゃったけど直す?」
そうユーリに問いかけられ我に帰る。
「いや、これはこのままにしておくわ」
「なんで?」
出来上がったものは有効活用していかないとね。
「そろそろ革命軍にも表に出てもらおうかしら」
突進してきたユーリは一度のその動きを止める。それによってタイミングが狂わせられた私は防御のタイミングがずれてしまい、また吹き飛ばされた。
現在、街から数キロ離れた無人の平野にて、模擬戦を繰り広げていた。模擬戦とは名ばかりの全力戦闘だが……。
自分の実力が今どれくらいなのか、それを知るところから私は始めなくちゃいけない。私は自分のことを過大評価も過小評価もするつもりはないからね。
吹き飛ばされた自分の体を浮遊の魔法で立て直す。飛んできた紫色に光る電撃を結界によって防ぎ、土魔法で周りを壁で塞ぐ。
ただ、その程度でユーリの猛進が止められるわけはないため、あらかじめ転移で上へ避難するが……
「甘いね」
「後ろ!?」
いつの間にか真後ろにいたユーリの攻撃。それを身体強化と浮遊魔法の力で無理やり捻って避ける。
お返しの空中回し蹴りは足を掴まれてしまい、ノーダメージ。
「ちょっと痛くするよ」
そのまま掴んだ足を振り回し、地面に叩きつける。避けようがなく、そのまま地面に激突する私だが、すぐに立ち上がり体勢を直す。
(ヤベェ……死ぬかと思った)
まあ実際は死にそうになるほどではないが、本気で危機感を覚える。
地面に叩きつけられた私だが、私の体は未だ健全だった。石によってできた擦り傷はみるみる治っていく。
ユーリには一撃も加えることはできていないが、私だって一応ダメージを受けていなかった。
レオ君との秘密のお食事で吸血鬼の加護を得たことで、私の体は即死しなければすぐに傷はすぐに再生する。そして、一度死んだことにより肉体が強化されより頑丈になったおかげで大したダメージはない。
「もう少し早く行くね」
「え、嘘でしょ……」
ユーリがそういうと途端に空中で真空波でも起きたのかという波が見えた。それはユーリがこちらに飛んでくる時の衝撃によるもので、ただの突進でも十分脅威になり得る。
(だけど、ただの直進じゃ私は止められないわ!)
光魔法を行使し、あたりを閃光に包んだ。その隙に私は自身の肉体にありとあらゆるスキルを駆使して強化する。
身体強化のスキルと魔法を合わせた時、私の体にはこの世のものとは思えないほどの優越感を感じた。けど、
「そこ!」
「くっ……」
ユーリが目を封じられただけでは動きを止め切れない。それでも、強化した身体能力でユーリの動きについていける。
ギリギリと言うこともなく、最大限集中すれば攻撃を捌き切ることができるくらいに早い動きだ。
そして、私がユーリの攻撃を防いだ時ユーリの手が私の手首を掴んだ。その瞬間、地面から炎の柱が生まれ、私の体を包んだ。
とてつもない熱気が私の体をおそい、思わず私はびびってしまう。
その隙を見逃さず、ユーリは空中に私を飛ばして、魔法を撃った。魔力を固めて撃ち出しただけの魔力撃と呼ばれるもの。
だが、数が尋常じゃなくそれを捌き切るのは骨が折れる。だから、私は転移の魔法でユーリの背後に現れた……つもりだったが。
「終わりだよ」
「うっそぉ……」
顔を上げるとそこにはユーリの魔法がいくつも私を狙っていた。完全に私の負けだ。
「負けました……」
「やった!勝った!」
ユーリは今までの気迫がなくなったかのように大喜びしている。その代わりとばかりに私はとても落胆していた。
本気できてほしいと頼んだのは私だが、一撃も加えられずにボコされるとは思っても見なかったからね……。
模擬戦のルールは権能の使用禁止、殺すの禁止、広範囲殺傷の魔法の使用禁止。そのルールの下で戦ったわけだけど、結果はご覧の有り様。
私の体にできた火傷の痕や、傷跡はすぐさま回復しまるで無傷かのようになった。だが、そこには確かにダメージを感じる。
精神的なダメージってやつかな?
いくら肉体や肉体の再生能力が化け物の領域になったとしても、私の心は人のままなのでね……攻撃されれば反射で「いてっ!」と言ってしまうし、びっくりしてしまう。自分の体にまだ精神が追いついていないのだ。
そして、もう一つ敗因を挙げるとすれば、それは……
《圧倒的な経験不足です》
あ、はい。ツムちゃんが今言ったように私には戦闘の経験が足りない。
いや、もちろん数多の怪物と死闘は繰り広げているわけだけど、これから戦っていくのは何百年何千年と生きてきた奴らばかりだ。生まれて15年……たった15年の戦闘経験じゃ、元魔王のユーリにはいくら弱体化しているとは言っても勝てない。
身体能力にそこまでの差はないが、経験値が圧倒的に違った。
「ご主人様、体痛んでない?」
「大丈夫大丈夫……ボコボコにされて少し萎えてるだけ」
「あ、あはは……」
ユーリは苦笑いで誤魔化す。
ボコボコにされて私の尊厳が傷ついた代償に、私の今の実力は大体わかった。
身体能力はユーリと同じくらい、つまり座天使と対等に戦えるレベル。私のまあまあ強力な権能を含めると善戦できるはずだ。
だけど、経験が足りないからそこが不安要素。
経験は戦わないと得られないから、今はどうしようもないが……。
「ご主人様、地面ボコボコにしちゃったけど直す?」
そうユーリに問いかけられ我に帰る。
「いや、これはこのままにしておくわ」
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出来上がったものは有効活用していかないとね。
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