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見逃し
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天使の中でも上位に位置する座天使。強さは呪いにかかっているユーリが苦戦するくらいだ。
呪いが解呪され、完全に実力を取り戻したユーリなら余裕で圧勝できるだろうが、ステータス250000の弱体化した状態では厳しい。つまり、少なくとも目の前にいる座天使はステータス二十五万以上だということだ。
「そんな化け物が将軍やってるなんて……聞いてないわよ」
「日ノ本の国を建国されたのはいわば女神様。そして、私はそれを統治するように命じられた、ただそれだけです」
「女神がなんで建国を?そんなことに興味がありそうな顔してなかったわ」
私と会った時の女神は面倒な仕事をしながら、世界を戦いの渦に巻き込むことだけしか考えてなさそうだったけど……。
「女神様にお会いしたのですね。そして、女神さまがわざわざ建国なされたのは、女神様が『日本』という異世界の国を気に入ったからです」
「日本……」
トーヤの出身国か。
「この国はいわば下界にあるエデン。女神様によって統治された素晴らしい国なのですよ」
「ふん。じゃあなんで反乱なんかが起こるのかしらね?」
「それは民がそのありがたみを理解しないから。女神様によって統治されている自覚がないからです。憐れですが、ただの民草に知らせるわけにはいかないので」
女神によって統治されてる国なんて……呪われてるんじゃないか?世界に見捨てた神もそうだけど……勝手に暴れまわっている女神はもっと悪い。
そして、今現在で一番の問題点は選抜者について女神の使徒が知っていることだ。
「選抜者について知っているということは……女神はもう気づいているの?」
「……ええ。あなたたちの何千年にも及ぶ無駄な抵抗も意味がなくなったわけです」
「ちっ……」
まずいな……バレてるんじゃどうしようもないじゃないか。今ここで将軍様とやりあっても得になることはほとんどない。
大体戦って勝てるかどうかも分からない。それ相応の化け物なのは間違いないため、強くなった私でもやはりわからない。
せめて自分のステータスが見れるようになったらいいのになぁ……。
「話は終わり?なら、私をお兄様の元へ帰して」
「ここでみすみす選抜者を見逃すとでも?」
「見逃す?違うわ、私があなたを見逃すのよ」
完全にハッタリだけど、貴族社会で培われたポーカーフェイスはこの場でも有効に働いたようだ。
「いいでしょう、ここであなたと争っても意・味・は・な・い・の・で・」
「?」
「出口を作りました、行くなら行きなさい。私もやるべきことが出来たようなので」
「え?」
そう言って、将軍は出口を作ったあと、次元魔法でどこかへと消え去ってしまった。
とりあえず見逃してもらえたのだろうか?
「はあ、怖かった……」
ミハエルとは全然雰囲気が違う!包み込むような優しがない!
「もう……どうして私が……」
なんだか世の中の不幸をすべて一身に背負った気分だ。こんな運の悪いことが続くなんて……。
「なんなの?強敵と戦ってすぐに敵の……しかもかなり上位の人と相対しなきゃいけないの?」
気にするだけ負けなのだろう。そうだよね、ツムちゃん?
《一つ不思議な点がございます》
え、不思議な点?
《はい、あの座天使は女神はすでに我々の存在を認識していると言いました。では、なぜ我々を排除しないのか……そしていつ我々に気づいたのでしょう?》
そう言われても……
《女神が直接手を出さずとも天使共が我々を倒すということなのでしょうか?理解するには情報が足りません》
結局は情報集めに戻るんですね……。
「座天使が将軍やってるんだったら、将軍の座から引きずり下ろすのは苦労しそうだなぁ」
ネルネとラグの方はうまくいっているだろうか?だが、ここで私がわざわざ別邸に向かってしまうと、わざわざ将軍を足止めした意味がない。
「やな予感するけど……あとは二人に任せましょう」
二人だって相当な実力者だしね!
♦
お兄様はあの後、私が将軍に失礼を働いていないかしつこく聞いてきた。もちろん私は失礼しか働いていないが、「していません」と答えておく。
お兄様と二人で都にある宿に戻る。そこにはすでにネルネとラグの姿があった。
だが、それはとても無事には見えなかった。
「な、なにがあったの!?」
ネルネとラグの着ていた服はボロボロになっていた。
「ちょっとしくった」
「しくったってレベルじゃないでしょ!?明らかに総攻撃喰らった後みたいになってるよ!?」
「総攻撃なんか喰らってねえ。というよりむしろ、一人相手にここまでボコボコにされたんだ。あの屋敷はやべえよ」
「一人!?」
完全に予想外だった。屋敷にそんなに強い人が残っているなんて……八光の仙人を超えるレベルがそうポンポンいるわけないと思っていたけど、これは完全に予想外。
「どんな人だった?」
「ああ……背中に翼が生えてた」
「……ん?」
「見た目完全に天使なのによ。表情一切動かさずに攻撃してくるんだよ。しかも屋敷を壊さねえように手加減してきた。私じゃネルネを連れて逃げるのが精いっぱいだったよ……」
「将軍じゃねえか!」
呪いが解呪され、完全に実力を取り戻したユーリなら余裕で圧勝できるだろうが、ステータス250000の弱体化した状態では厳しい。つまり、少なくとも目の前にいる座天使はステータス二十五万以上だということだ。
「そんな化け物が将軍やってるなんて……聞いてないわよ」
「日ノ本の国を建国されたのはいわば女神様。そして、私はそれを統治するように命じられた、ただそれだけです」
「女神がなんで建国を?そんなことに興味がありそうな顔してなかったわ」
私と会った時の女神は面倒な仕事をしながら、世界を戦いの渦に巻き込むことだけしか考えてなさそうだったけど……。
「女神様にお会いしたのですね。そして、女神さまがわざわざ建国なされたのは、女神様が『日本』という異世界の国を気に入ったからです」
「日本……」
トーヤの出身国か。
「この国はいわば下界にあるエデン。女神様によって統治された素晴らしい国なのですよ」
「ふん。じゃあなんで反乱なんかが起こるのかしらね?」
「それは民がそのありがたみを理解しないから。女神様によって統治されている自覚がないからです。憐れですが、ただの民草に知らせるわけにはいかないので」
女神によって統治されてる国なんて……呪われてるんじゃないか?世界に見捨てた神もそうだけど……勝手に暴れまわっている女神はもっと悪い。
そして、今現在で一番の問題点は選抜者について女神の使徒が知っていることだ。
「選抜者について知っているということは……女神はもう気づいているの?」
「……ええ。あなたたちの何千年にも及ぶ無駄な抵抗も意味がなくなったわけです」
「ちっ……」
まずいな……バレてるんじゃどうしようもないじゃないか。今ここで将軍様とやりあっても得になることはほとんどない。
大体戦って勝てるかどうかも分からない。それ相応の化け物なのは間違いないため、強くなった私でもやはりわからない。
せめて自分のステータスが見れるようになったらいいのになぁ……。
「話は終わり?なら、私をお兄様の元へ帰して」
「ここでみすみす選抜者を見逃すとでも?」
「見逃す?違うわ、私があなたを見逃すのよ」
完全にハッタリだけど、貴族社会で培われたポーカーフェイスはこの場でも有効に働いたようだ。
「いいでしょう、ここであなたと争っても意・味・は・な・い・の・で・」
「?」
「出口を作りました、行くなら行きなさい。私もやるべきことが出来たようなので」
「え?」
そう言って、将軍は出口を作ったあと、次元魔法でどこかへと消え去ってしまった。
とりあえず見逃してもらえたのだろうか?
「はあ、怖かった……」
ミハエルとは全然雰囲気が違う!包み込むような優しがない!
「もう……どうして私が……」
なんだか世の中の不幸をすべて一身に背負った気分だ。こんな運の悪いことが続くなんて……。
「なんなの?強敵と戦ってすぐに敵の……しかもかなり上位の人と相対しなきゃいけないの?」
気にするだけ負けなのだろう。そうだよね、ツムちゃん?
《一つ不思議な点がございます》
え、不思議な点?
《はい、あの座天使は女神はすでに我々の存在を認識していると言いました。では、なぜ我々を排除しないのか……そしていつ我々に気づいたのでしょう?》
そう言われても……
《女神が直接手を出さずとも天使共が我々を倒すということなのでしょうか?理解するには情報が足りません》
結局は情報集めに戻るんですね……。
「座天使が将軍やってるんだったら、将軍の座から引きずり下ろすのは苦労しそうだなぁ」
ネルネとラグの方はうまくいっているだろうか?だが、ここで私がわざわざ別邸に向かってしまうと、わざわざ将軍を足止めした意味がない。
「やな予感するけど……あとは二人に任せましょう」
二人だって相当な実力者だしね!
♦
お兄様はあの後、私が将軍に失礼を働いていないかしつこく聞いてきた。もちろん私は失礼しか働いていないが、「していません」と答えておく。
お兄様と二人で都にある宿に戻る。そこにはすでにネルネとラグの姿があった。
だが、それはとても無事には見えなかった。
「な、なにがあったの!?」
ネルネとラグの着ていた服はボロボロになっていた。
「ちょっとしくった」
「しくったってレベルじゃないでしょ!?明らかに総攻撃喰らった後みたいになってるよ!?」
「総攻撃なんか喰らってねえ。というよりむしろ、一人相手にここまでボコボコにされたんだ。あの屋敷はやべえよ」
「一人!?」
完全に予想外だった。屋敷にそんなに強い人が残っているなんて……八光の仙人を超えるレベルがそうポンポンいるわけないと思っていたけど、これは完全に予想外。
「どんな人だった?」
「ああ……背中に翼が生えてた」
「……ん?」
「見た目完全に天使なのによ。表情一切動かさずに攻撃してくるんだよ。しかも屋敷を壊さねえように手加減してきた。私じゃネルネを連れて逃げるのが精いっぱいだったよ……」
「将軍じゃねえか!」
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