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忍の強者
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「ここはどこ」
「留置所だ」
連れてこられたでかい屋敷の中で体と手首にロープを巻かれ、身動きが出来ないような状態にさせられた。そして、少し広い部屋の中で待機させられている。
そして、そこで大人しく待っている間に、知らんおじいさんが入ってきた。その後ろには護衛と思しき忍者も追随している。
白髪の髪が伸びて、長い髭と合わさってかなりの貫禄を感じさせる。そのおじいさんは近くの忍者に渡された資料に目を通す。
「我が里の出入り口を破壊したというのに、のんきにお祭り騒ぎか」
鋭い視線が向けられる。まあ、百パーセント……ではないかもだけれど、私が悪いのは分かっている。だからこの待遇も甘んじて受けよう。
「貴様ら罪人は地下の牢獄がお似合いだろう。そこで監禁する」
やっぱ無理。
「それは流石にやりすぎじゃないのおじいさん?」
「それぐらいの罪を犯したということだ」
「でも、私たちには急がなくちゃいけない用事があるのよね」
「だから何だというのだ?お前たちの都合は聞いていない。捕まっている時点で拒否権はないのだよ」
後ろで手を組んで偉そうに……そこまで言うなら、
「捕まってる?何か勘違いしていない?」
「何だと?」
私はミサリーとユーリに目配せを送る。すでにほどけかけていたミサリーのロープはするっと抜け落ち、キツネの姿から人の姿へと切り替えたユーリもロープから抜け出す。
小動物にもロープをかける警戒っぷりだったが、うちの護衛メイドとペットはすごいのだ。レオ君とミハエル……ミハエルはともかく、レオ君は縄の解き方は分からないらしかったので、ここは二人に任せることにする。
ちなみに私も分からん。
「なっ!?」
ロープから一瞬で抜け出した二人は、すぐさま護衛の忍者に向かっていく。その速度はおおよそただの忍者では目に追える速さではなかったようで、反応することも許されずに一気に二人の護衛がその場に倒れる。
ようやく異常を感じた他の護衛達がおじいさんを守ろうと動き出したが、もうすでに遅い。ユーリは残った護衛に向かって動き出し、ミサリーはおじいさんに狙いを定めた。
ユーリにかかれば、忍者の一人や二人は簡単に倒せてしまうようで、おじいさんの元へ向かおうとしている二人の忍者を発動させた風の魔法で障子ごと庭へと吹き飛ばす。
そして、ミサリーはどこからともなく短刀を取り出し、おじいさんに向かって構えた。
「わしに勝負を挑むか」
「無論負けるつもりはないですがね」
「ふん、それはわしとて同じこと」
おじいさんも着ていた着物の中からクナイを取り出した。
二人はほぼ同時に動き出す。刹那、短刀とクナイが交差する金属音と火花が散った。お互いがお互いの攻撃を受け流し、そこからは攻めと守りの交互だ。
ミサリーの攻撃を受け流すおじいさんはミサリーの攻撃の隙を見て、攻勢を仕掛けている。そして、ミサリーはフェイントを混ぜつつ、常に攻撃を続けている。
(っていうか、あのおじいさんすご!)
なんでミサリーの攻撃を受け流せるの?ミサリーはステータスのランク分けでもSランクだぞ?
実力がすでにSを超えている生きる英雄とか呼ばれているクラスだぞ?
その攻防は短い時間でも長く感じた。ユーリは詰まらなさそうに口笛の練習をしている。
のんきにもほどが……って、前にも似たようなことを言った覚えが。
そして、その攻防は一瞬で決着がついた。ミサリーのフェイントが若干甘くなり、その隙を防御を殴り捨てたような動きでおじいさんが攻撃に出た。
いきなりの攻防一転に戸惑ったミサリーの隙を見逃さない。短刀の攻撃を受け流したと同時に懐に潜りこんで、首元にクナイを突きつける。
「久しぶりに良い死合が出来たな」
「……」
おじいさんをにらみつけるミサリー。その場から誰も動こうとしない空間が生まれた。
「少しムカつくわ」
最初に動いたのは私。縄の解き方などという言葉はどこかへと捨て、力でその縄を引きちぎる。
レオ君も縄がほどけたようで、ミハエルのもとに歩き出した。
「今の戦いを見てもまだ希望を持つか」
「問題ないわ、あなたじゃ私には勝てないもの」
「なにを言って――」
戦いにおいて会話は不要。会話は油断につながる。
こちらにクナイを向けるおじいさんの動きを注視しつつ、私は二人の攻防で見せたおじいさんの動きの何倍も速いスピードで懐へ潜りこんだ。
「っ!」
それでも反応してくるおじいさん。流石はミサリーに勝っただけはある。まあ私はそんなの認めていないけどね。
クナイの軌道がこちらに向こうとする直前に私はおじいさんの後ろに転移した。
そして、ミサリーの手から短刀を拝借して、後ろから刀を突きつける。
「私の勝ち」
「な、なにが起こった?」
クナイを私が元いた場所に振り下ろした態勢で硬直しているおじいさん。
だから私は言ってやる。
「何が起こったかって?あなたが負けたのよ」
と。
「留置所だ」
連れてこられたでかい屋敷の中で体と手首にロープを巻かれ、身動きが出来ないような状態にさせられた。そして、少し広い部屋の中で待機させられている。
そして、そこで大人しく待っている間に、知らんおじいさんが入ってきた。その後ろには護衛と思しき忍者も追随している。
白髪の髪が伸びて、長い髭と合わさってかなりの貫禄を感じさせる。そのおじいさんは近くの忍者に渡された資料に目を通す。
「我が里の出入り口を破壊したというのに、のんきにお祭り騒ぎか」
鋭い視線が向けられる。まあ、百パーセント……ではないかもだけれど、私が悪いのは分かっている。だからこの待遇も甘んじて受けよう。
「貴様ら罪人は地下の牢獄がお似合いだろう。そこで監禁する」
やっぱ無理。
「それは流石にやりすぎじゃないのおじいさん?」
「それぐらいの罪を犯したということだ」
「でも、私たちには急がなくちゃいけない用事があるのよね」
「だから何だというのだ?お前たちの都合は聞いていない。捕まっている時点で拒否権はないのだよ」
後ろで手を組んで偉そうに……そこまで言うなら、
「捕まってる?何か勘違いしていない?」
「何だと?」
私はミサリーとユーリに目配せを送る。すでにほどけかけていたミサリーのロープはするっと抜け落ち、キツネの姿から人の姿へと切り替えたユーリもロープから抜け出す。
小動物にもロープをかける警戒っぷりだったが、うちの護衛メイドとペットはすごいのだ。レオ君とミハエル……ミハエルはともかく、レオ君は縄の解き方は分からないらしかったので、ここは二人に任せることにする。
ちなみに私も分からん。
「なっ!?」
ロープから一瞬で抜け出した二人は、すぐさま護衛の忍者に向かっていく。その速度はおおよそただの忍者では目に追える速さではなかったようで、反応することも許されずに一気に二人の護衛がその場に倒れる。
ようやく異常を感じた他の護衛達がおじいさんを守ろうと動き出したが、もうすでに遅い。ユーリは残った護衛に向かって動き出し、ミサリーはおじいさんに狙いを定めた。
ユーリにかかれば、忍者の一人や二人は簡単に倒せてしまうようで、おじいさんの元へ向かおうとしている二人の忍者を発動させた風の魔法で障子ごと庭へと吹き飛ばす。
そして、ミサリーはどこからともなく短刀を取り出し、おじいさんに向かって構えた。
「わしに勝負を挑むか」
「無論負けるつもりはないですがね」
「ふん、それはわしとて同じこと」
おじいさんも着ていた着物の中からクナイを取り出した。
二人はほぼ同時に動き出す。刹那、短刀とクナイが交差する金属音と火花が散った。お互いがお互いの攻撃を受け流し、そこからは攻めと守りの交互だ。
ミサリーの攻撃を受け流すおじいさんはミサリーの攻撃の隙を見て、攻勢を仕掛けている。そして、ミサリーはフェイントを混ぜつつ、常に攻撃を続けている。
(っていうか、あのおじいさんすご!)
なんでミサリーの攻撃を受け流せるの?ミサリーはステータスのランク分けでもSランクだぞ?
実力がすでにSを超えている生きる英雄とか呼ばれているクラスだぞ?
その攻防は短い時間でも長く感じた。ユーリは詰まらなさそうに口笛の練習をしている。
のんきにもほどが……って、前にも似たようなことを言った覚えが。
そして、その攻防は一瞬で決着がついた。ミサリーのフェイントが若干甘くなり、その隙を防御を殴り捨てたような動きでおじいさんが攻撃に出た。
いきなりの攻防一転に戸惑ったミサリーの隙を見逃さない。短刀の攻撃を受け流したと同時に懐に潜りこんで、首元にクナイを突きつける。
「久しぶりに良い死合が出来たな」
「……」
おじいさんをにらみつけるミサリー。その場から誰も動こうとしない空間が生まれた。
「少しムカつくわ」
最初に動いたのは私。縄の解き方などという言葉はどこかへと捨て、力でその縄を引きちぎる。
レオ君も縄がほどけたようで、ミハエルのもとに歩き出した。
「今の戦いを見てもまだ希望を持つか」
「問題ないわ、あなたじゃ私には勝てないもの」
「なにを言って――」
戦いにおいて会話は不要。会話は油断につながる。
こちらにクナイを向けるおじいさんの動きを注視しつつ、私は二人の攻防で見せたおじいさんの動きの何倍も速いスピードで懐へ潜りこんだ。
「っ!」
それでも反応してくるおじいさん。流石はミサリーに勝っただけはある。まあ私はそんなの認めていないけどね。
クナイの軌道がこちらに向こうとする直前に私はおじいさんの後ろに転移した。
そして、ミサリーの手から短刀を拝借して、後ろから刀を突きつける。
「私の勝ち」
「な、なにが起こった?」
クナイを私が元いた場所に振り下ろした態勢で硬直しているおじいさん。
だから私は言ってやる。
「何が起こったかって?あなたが負けたのよ」
と。
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