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スタンピード
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表に出れば、大慌てで道を走り回る人々で溢れかえっていた。その走り回る人だかりの中には冒険者が何人もいる。
一応避難勧告をしているっぽいが、走る音などでかき消されてよく聞こえない。
「さっき買った装備に着替えてる時間はなさそうね……」
さっき買った防具の性能も試したかったが、しょうがないか。でも、私の大剣の性能は試せそうである。
走り回る人々をかき分けて……というより、すり抜けて向かっていく先は街の西側。どうやら西側から魔物たちがこちらに向かってきているらしい。
偵察部隊はかなり優秀なようだ。いくら、新人冒険者が多いとは言っても、冒険者の母数が多いのだから総じて熟練した者も多い。
「見えてきた!」
西側に向かうにつれ、人だかりは減っていき走りやすくなる。そして、やがて防衛陣地として築かれた土壁が見えてきた。
高さはそこまでないがそれでも下から攻撃が当たることはそんなになさそう。
「ちょっと君たち!」
私たちがこっちに向かってきていることに気づいた冒険者の一人が切羽詰まったような声を上げる。
「こっちに来てはダメだ!早く親と一緒に逃げなさい」
あーまたこれか。だが、そんなことを気にしてる場合ではなさそうなので一旦無視。
無造作に異納庫を開いて大剣を取り出した。この大剣、よく見たら地味にギザギザといろんな箇所が尖っているため、振り回す時には注意が必要だ。
「っ!?」
「どいて!」
私が走りながら、大剣を振るった。それと同時に土壁を乗り越えようとしていた狼の魔物が私の大剣にぶつかり切り裂かれる。
というよりも、この大剣軽い割に威力が半端ない!軽く振るっただけで魔物がグロい感じになってしまった……。
どれくらいすごいのかは伝わりにくいが、刃先がギザギザしているおかげで斬りやすいのかな?
「ちゃんと集中しなさい!」
「あ……あぁ……」
とりあえず、普通の子供ではないことが分かったからか、私たちのことは一度視界から外し、再度西側のほうをみる冒険者。
「もう下まで来てんじゃない……」
土壁に上り下を見てみれば、すでにそこには大量の魔物が湧いていた。
「このローブ……汚したくないんだけど……」
まあ、背に腹は代えられないだろう。
「レオ君とユーリは溢れてきたやつをお願い」
「わかった!」
「了解」
その言葉を聞き、私は遠慮なく手に持っていた大剣を地面に向かってぶん投げた。
手は少し抜いたが、遠心力が掛かったその一撃はかなりのスピードとなって地面に激突する。それと同時にすさまじい轟音と地震が起こった。
その震源地はもちろん大剣が刺さった場所。そこを中心に一気に地面に大きなひびが入り始めた。
広がり始めたひびは小さな魔物を落としてしまうほどの大きさにまでなり、土壁にまでひびが入ってしまった。
「ちょっとやりすぎたかな?」
あり得ないものを見たかのように周りの冒険者が大剣を凝視している。
「行くよ!」
土壁から飛び降りると、私はすぐに大剣を拾って近くの魔物まで突進する。魔物が私に気づいて防御姿勢をとろうとする前に、大剣によって斬られていた。
そして、その後ろにいた数匹の魔物まで道ずれに真っ二つになっている。
(こりゃあとんでもない……)
ランクSの装備は伊達ではないようだ。というより、こんな武器を作れるドワーフは一体何者なんだよ!?
有名人ではあるらしいから、巨匠とか?
そんなことを考えながら、大剣を振るう。その大剣の攻撃は空を切ったが、大剣が振るわれた衝撃波が魔物たちを襲う。
魔法でも何でも衝撃波でさえも、その威力に耐え切れず魔物たちはきれいに半分になっていく。
「この服動きやすい!」
そう喜ぶユーリが隣で飛び跳ねて暴れている。ユーリはステータスがもとより高いからか、素手で殴り殺した相手の血を浴びる前にいなくなっている。
ユーリに買い与えた装備はもしかしたらいらなかったのかもしれない。
対してレオ君は少し動きずらそうかな?羽織りものを着ているから、慣れない動きをしなくてはいけないらしい。
それでも戦闘に支障はなさそうだ。服が汚れる気配はない。レオ君はユーリとは違って器用に魔物の内部を破壊しているようだった。
そして、三人で前線を推し進めていると、次第に魔物の数が増えていっているような気がする。
「数百って数じゃなさそうだけど……」
「人為的に起きてるなら、起こしてる人が連れてきてるんじゃない?」
首謀者は魔族であるという予想だが、魔族には魔物を引き寄せる性質もあるのだろうか?
魔族も思ったより厄介そうだ。流石に悪魔ほどではないにしろ、数で勝る人間に戦争仕掛けるだけの力はあるようだ。
現に今、街一つがピンチだし。
「じゃあ、試したかったことも試してみよう」
そう思ってスキルと魔法を同時に起動する。
『探知』のスキルと『魔力感知』だ。この二つを組み合わせて起動すると、私の視界は急に一変した。
索敵範囲がばかみたいに広くなり、その索敵範囲は数キロ通り越して十キロまで行くんじゃないかってレベルに広がった。
「ざっと千匹はいそう……」
十キロ圏内にいる魔物の数も正確に把握できる。というか、千は流石に多すぎでは?
もっと集中してスキルと魔法に意識を向けると、魔力の大小までわかるようになった。
すると、索敵範囲の端のほうに、膨大な魔力を持っている何かが引っかかった。きっとそれが、今回のスタンピードの首謀者であろう。
「見つけた!一際でかい魔力の奴!」
「早く行こう!」
私たちは魔物たちを倒しながら、そいつのいるところまで向かうのだった。
一応避難勧告をしているっぽいが、走る音などでかき消されてよく聞こえない。
「さっき買った装備に着替えてる時間はなさそうね……」
さっき買った防具の性能も試したかったが、しょうがないか。でも、私の大剣の性能は試せそうである。
走り回る人々をかき分けて……というより、すり抜けて向かっていく先は街の西側。どうやら西側から魔物たちがこちらに向かってきているらしい。
偵察部隊はかなり優秀なようだ。いくら、新人冒険者が多いとは言っても、冒険者の母数が多いのだから総じて熟練した者も多い。
「見えてきた!」
西側に向かうにつれ、人だかりは減っていき走りやすくなる。そして、やがて防衛陣地として築かれた土壁が見えてきた。
高さはそこまでないがそれでも下から攻撃が当たることはそんなになさそう。
「ちょっと君たち!」
私たちがこっちに向かってきていることに気づいた冒険者の一人が切羽詰まったような声を上げる。
「こっちに来てはダメだ!早く親と一緒に逃げなさい」
あーまたこれか。だが、そんなことを気にしてる場合ではなさそうなので一旦無視。
無造作に異納庫を開いて大剣を取り出した。この大剣、よく見たら地味にギザギザといろんな箇所が尖っているため、振り回す時には注意が必要だ。
「っ!?」
「どいて!」
私が走りながら、大剣を振るった。それと同時に土壁を乗り越えようとしていた狼の魔物が私の大剣にぶつかり切り裂かれる。
というよりも、この大剣軽い割に威力が半端ない!軽く振るっただけで魔物がグロい感じになってしまった……。
どれくらいすごいのかは伝わりにくいが、刃先がギザギザしているおかげで斬りやすいのかな?
「ちゃんと集中しなさい!」
「あ……あぁ……」
とりあえず、普通の子供ではないことが分かったからか、私たちのことは一度視界から外し、再度西側のほうをみる冒険者。
「もう下まで来てんじゃない……」
土壁に上り下を見てみれば、すでにそこには大量の魔物が湧いていた。
「このローブ……汚したくないんだけど……」
まあ、背に腹は代えられないだろう。
「レオ君とユーリは溢れてきたやつをお願い」
「わかった!」
「了解」
その言葉を聞き、私は遠慮なく手に持っていた大剣を地面に向かってぶん投げた。
手は少し抜いたが、遠心力が掛かったその一撃はかなりのスピードとなって地面に激突する。それと同時にすさまじい轟音と地震が起こった。
その震源地はもちろん大剣が刺さった場所。そこを中心に一気に地面に大きなひびが入り始めた。
広がり始めたひびは小さな魔物を落としてしまうほどの大きさにまでなり、土壁にまでひびが入ってしまった。
「ちょっとやりすぎたかな?」
あり得ないものを見たかのように周りの冒険者が大剣を凝視している。
「行くよ!」
土壁から飛び降りると、私はすぐに大剣を拾って近くの魔物まで突進する。魔物が私に気づいて防御姿勢をとろうとする前に、大剣によって斬られていた。
そして、その後ろにいた数匹の魔物まで道ずれに真っ二つになっている。
(こりゃあとんでもない……)
ランクSの装備は伊達ではないようだ。というより、こんな武器を作れるドワーフは一体何者なんだよ!?
有名人ではあるらしいから、巨匠とか?
そんなことを考えながら、大剣を振るう。その大剣の攻撃は空を切ったが、大剣が振るわれた衝撃波が魔物たちを襲う。
魔法でも何でも衝撃波でさえも、その威力に耐え切れず魔物たちはきれいに半分になっていく。
「この服動きやすい!」
そう喜ぶユーリが隣で飛び跳ねて暴れている。ユーリはステータスがもとより高いからか、素手で殴り殺した相手の血を浴びる前にいなくなっている。
ユーリに買い与えた装備はもしかしたらいらなかったのかもしれない。
対してレオ君は少し動きずらそうかな?羽織りものを着ているから、慣れない動きをしなくてはいけないらしい。
それでも戦闘に支障はなさそうだ。服が汚れる気配はない。レオ君はユーリとは違って器用に魔物の内部を破壊しているようだった。
そして、三人で前線を推し進めていると、次第に魔物の数が増えていっているような気がする。
「数百って数じゃなさそうだけど……」
「人為的に起きてるなら、起こしてる人が連れてきてるんじゃない?」
首謀者は魔族であるという予想だが、魔族には魔物を引き寄せる性質もあるのだろうか?
魔族も思ったより厄介そうだ。流石に悪魔ほどではないにしろ、数で勝る人間に戦争仕掛けるだけの力はあるようだ。
現に今、街一つがピンチだし。
「じゃあ、試したかったことも試してみよう」
そう思ってスキルと魔法を同時に起動する。
『探知』のスキルと『魔力感知』だ。この二つを組み合わせて起動すると、私の視界は急に一変した。
索敵範囲がばかみたいに広くなり、その索敵範囲は数キロ通り越して十キロまで行くんじゃないかってレベルに広がった。
「ざっと千匹はいそう……」
十キロ圏内にいる魔物の数も正確に把握できる。というか、千は流石に多すぎでは?
もっと集中してスキルと魔法に意識を向けると、魔力の大小までわかるようになった。
すると、索敵範囲の端のほうに、膨大な魔力を持っている何かが引っかかった。きっとそれが、今回のスタンピードの首謀者であろう。
「見つけた!一際でかい魔力の奴!」
「早く行こう!」
私たちは魔物たちを倒しながら、そいつのいるところまで向かうのだった。
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