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依頼される
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「いやぁ、こんなところに二つ名持ちが助かりましたよ。なんせ、最近は魔物が多くて困ってたんです」
もう何年も前からだが、魔物は年々増加傾向にある。そのせいで小動物の数は減少するし、魔物が出ない安全区域も減ってきている。
まだ、大規模な被害が出ているわけではない。それもひとえに、冒険者たちのおかげだろう。
「続きはこれで完了です。お二方ともにBランク冒険者からとなりますが、ベアトリス様のパーティメンバーという立ち位置になられると思いますので、Sランクのクエストまで受けることができます」
冒険者は自分の一つ上の難易度のクエストまで受けることができる。自身の冒険者ランクを上げるために、一つ上のクエストを何個かクリアする必要があるためだ。
要するに、私がSランクのクエストをいくつかクリアすれば、私も晴れてSランク冒険者になれる。二人はまずAランクからだけどね。
「クエストを受けて行かれますか?」
「せっかくだし、受けます」
何もしないでこの街から立ち去るわけにも行かないし、少しは冒険者として貢献しよう……そう思った時、
「失礼します!」
扉がバタンと開いて、奥から冒険者らしき男が入ってきた。
「どうしたんだ?今は……」
「スタンピードが発生しました!」
「なんだって?」
スタンピードは前にも経験したことがある。私がまだ学院で生徒をしていた時、フォーマがスタンピードを起こして魔物を学院まで連れてきたことがあった。
「数は?」
「数百はいると思われます!」
「まずいな」
と、頭を抱えるライヘル。
「どうしてですか?この街には冒険者がたくさんいますよね?数百くらいならなんとかなるんじゃ……」
そういうと、飛び入ってきた冒険者が驚いた顔をしていた。ライヘルも、苦笑いで返答する。
「ベアトリス様、ここにいる冒険者が全員高ランクなわけではないのです。ルーキーも数多くいますし、スタンピードの経験がない冒険者もあまり使えません」
「そうですか?私が経験した時は学院の生徒が相手にしてましたけど……」
「学院の生徒がですか?」
まあ、主に戦線を維持していたのはオリビアとかレイではあるが……間違ったことは言っていない。
「とにかく防衛陣地を作れ、偵察部隊も結成して正確な数と進行速度を知らせるんだ」
「はい!」
扉が閉められ、少し重い空気が流れる。外からはさっきまで聞こえなかったガヤガヤとした声が聞こえてくる。
「ベアトリス様、私から依頼してもよろしいですか?」
「もちろんいいですよ」
「スタンピードを共に食い止めていただきたい」
「最初っから参加するつもりでしたよ」
「ありがとうございます!」
深々とお辞儀をするライヘル、それに倣ってお辞儀をする受付に頭を上げるよう言う。
「それにしても、どうしていきなりスタンピードが起きたのでしょうか?確かに年々魔物は増加傾向にあったのは確かですが、いつものスタンピードの『前兆』が全くないとは……」
「前兆って?」
「スタンピードが起こる可能性がある前触れのようなものです。例えば、街近くに魔物の群れが通るようになったり、巣ができたり……。魔物の知性はかなり低いですが、それでも相手の力量を見る目はあります。冒険者が闊歩する街に近づいてくるというのは、かなり異常なことです」
それが見られなかったということは、前兆もなしにいきなりスタンピードが起こったというわけか。でも、フォーマがスタンピードを起こして魔物たちを学院にぶつけた時も前兆なんてものは一切なかった。
少なくとも理事長からそんな話は聞いていない。
じゃあ、フォーマが起こした時と同じような状況に今なっているということなのではないだろうか?
「人為的に起こされたんじゃないですか?」
「それは……一体どういうことですか?」
「スタンピードはある程度人為的に起こすことができると……『私の友人』が言っていました。人為的に起こしたスタンピードに前兆というものはないので、今回と状況は似ているのかなと……」
「可能性はありますね……」
うーん、フォーマにスタンピードの起こし方きいとけばよかったな……。
「まず、人の身でスタンピードを起こせるのかが疑問ですね」
人間のとっちゃ天敵の魔物の軍勢。それを率いることができるのはごく一部の強者だけだろう。
じゃあ他の種族?
頭の中で四苦八苦していると、ユーリが突拍子もなく一つの可能性を上げた。
「魔族じゃない?」
「魔族?」
魔族について詳しいことを知らない私たちからすれば、なぜそういう結論に至ったかわからない。それをわかっているからか、詳しく説明してくれた。
「魔族は魔物が進化したような生物……言うなれば、魔族は魔物たちの頂点にいる生物なんだー。だから、魔族なら生まれつき魔物を『使役』することができると思うよー?」
初耳なんですが?
「そんなことできるの?」
「うん、だってボク……じゃなくて、魔族と戦った時に使役していたのを見たから」
今口滑らせかけたな?
まあ、それはいいとして……魔族であるユーリがそう言っているのだから、間違いないだろう。
「その言葉を信じましょう。では、あらためてベアトリス様ご一向に依頼します」
一拍置いてからライヘルは口を開く。
「スタンピードを引き起こした首謀者を倒してください。報酬はいいねで支払います」
もう何年も前からだが、魔物は年々増加傾向にある。そのせいで小動物の数は減少するし、魔物が出ない安全区域も減ってきている。
まだ、大規模な被害が出ているわけではない。それもひとえに、冒険者たちのおかげだろう。
「続きはこれで完了です。お二方ともにBランク冒険者からとなりますが、ベアトリス様のパーティメンバーという立ち位置になられると思いますので、Sランクのクエストまで受けることができます」
冒険者は自分の一つ上の難易度のクエストまで受けることができる。自身の冒険者ランクを上げるために、一つ上のクエストを何個かクリアする必要があるためだ。
要するに、私がSランクのクエストをいくつかクリアすれば、私も晴れてSランク冒険者になれる。二人はまずAランクからだけどね。
「クエストを受けて行かれますか?」
「せっかくだし、受けます」
何もしないでこの街から立ち去るわけにも行かないし、少しは冒険者として貢献しよう……そう思った時、
「失礼します!」
扉がバタンと開いて、奥から冒険者らしき男が入ってきた。
「どうしたんだ?今は……」
「スタンピードが発生しました!」
「なんだって?」
スタンピードは前にも経験したことがある。私がまだ学院で生徒をしていた時、フォーマがスタンピードを起こして魔物を学院まで連れてきたことがあった。
「数は?」
「数百はいると思われます!」
「まずいな」
と、頭を抱えるライヘル。
「どうしてですか?この街には冒険者がたくさんいますよね?数百くらいならなんとかなるんじゃ……」
そういうと、飛び入ってきた冒険者が驚いた顔をしていた。ライヘルも、苦笑いで返答する。
「ベアトリス様、ここにいる冒険者が全員高ランクなわけではないのです。ルーキーも数多くいますし、スタンピードの経験がない冒険者もあまり使えません」
「そうですか?私が経験した時は学院の生徒が相手にしてましたけど……」
「学院の生徒がですか?」
まあ、主に戦線を維持していたのはオリビアとかレイではあるが……間違ったことは言っていない。
「とにかく防衛陣地を作れ、偵察部隊も結成して正確な数と進行速度を知らせるんだ」
「はい!」
扉が閉められ、少し重い空気が流れる。外からはさっきまで聞こえなかったガヤガヤとした声が聞こえてくる。
「ベアトリス様、私から依頼してもよろしいですか?」
「もちろんいいですよ」
「スタンピードを共に食い止めていただきたい」
「最初っから参加するつもりでしたよ」
「ありがとうございます!」
深々とお辞儀をするライヘル、それに倣ってお辞儀をする受付に頭を上げるよう言う。
「それにしても、どうしていきなりスタンピードが起きたのでしょうか?確かに年々魔物は増加傾向にあったのは確かですが、いつものスタンピードの『前兆』が全くないとは……」
「前兆って?」
「スタンピードが起こる可能性がある前触れのようなものです。例えば、街近くに魔物の群れが通るようになったり、巣ができたり……。魔物の知性はかなり低いですが、それでも相手の力量を見る目はあります。冒険者が闊歩する街に近づいてくるというのは、かなり異常なことです」
それが見られなかったということは、前兆もなしにいきなりスタンピードが起こったというわけか。でも、フォーマがスタンピードを起こして魔物たちを学院にぶつけた時も前兆なんてものは一切なかった。
少なくとも理事長からそんな話は聞いていない。
じゃあ、フォーマが起こした時と同じような状況に今なっているということなのではないだろうか?
「人為的に起こされたんじゃないですか?」
「それは……一体どういうことですか?」
「スタンピードはある程度人為的に起こすことができると……『私の友人』が言っていました。人為的に起こしたスタンピードに前兆というものはないので、今回と状況は似ているのかなと……」
「可能性はありますね……」
うーん、フォーマにスタンピードの起こし方きいとけばよかったな……。
「まず、人の身でスタンピードを起こせるのかが疑問ですね」
人間のとっちゃ天敵の魔物の軍勢。それを率いることができるのはごく一部の強者だけだろう。
じゃあ他の種族?
頭の中で四苦八苦していると、ユーリが突拍子もなく一つの可能性を上げた。
「魔族じゃない?」
「魔族?」
魔族について詳しいことを知らない私たちからすれば、なぜそういう結論に至ったかわからない。それをわかっているからか、詳しく説明してくれた。
「魔族は魔物が進化したような生物……言うなれば、魔族は魔物たちの頂点にいる生物なんだー。だから、魔族なら生まれつき魔物を『使役』することができると思うよー?」
初耳なんですが?
「そんなことできるの?」
「うん、だってボク……じゃなくて、魔族と戦った時に使役していたのを見たから」
今口滑らせかけたな?
まあ、それはいいとして……魔族であるユーリがそう言っているのだから、間違いないだろう。
「その言葉を信じましょう。では、あらためてベアトリス様ご一向に依頼します」
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