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暴れるキツネ
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キツネは迷う。
『ここどこ?』
森の中で迷う。
ただのキツネが森に入って目的地までちゃんとたどりつけるはずもなく、勇者一行の姿を見失った。
「キューン!」
その叫び……鳴き声は勇者一行にも、もちろんベアトリスにも聞こえなかった。
だからと言ってその場で止まるようなキツネではなかった。
そのオレンジ色のキツネはご主人様と過ごすうちに精神が洗練され、恐怖などをさほど感じなくなりつつあった。
よく言えば、精神が強靭化した。
悪く言えば、感覚が麻痺した。
ただのキツネにとって森は天敵が住う場所。
というか、天敵しかいないような森である。
そんなキツネは迷った様子を見せず森の奥に突き進んでいく。
当たり前だが、自分がどこに向かっているのかはわかっていない。
森の中は静かだった。
魔物がいるせいで虫は皆隠れ、普通の動物たちも密かに過ごしている。
魔物が出る森において、キツネはいない。
だからか、そのキツネは格好の的となる。
魔物に現在進行形で狙われているとは露知らず……。
「キュン!」
主人捜索活動を続けるのでした。
♦︎♢♦︎♢♦︎
「はぁ……だるいなー」
男は森を闊歩する。
「オリビアは日常生活とか色々あるし、結局仕事の大半は俺がやることになるなんて……」
自由意志がほぼなくなっているオリビアはちゃんと仕事はできる。
ただ、誰にもオリビアが支配されてると気づかれるわけにはいかない。
というわけで、オリビアはまだ学院に通ってもらっている。
そのせいで自分の仕事が二倍になったのだ。
そのおかげでメアリの捜索が難航している。
一年かけてようやく東に向かっていることが判明した。
帝国内部に入られたらまずいことになる。
うちの組織はそこまで浸透できていない。
帝国内部、上層部に諜報員は存在しない。
というわけで、帝都周辺を重点的に探しているわけだ。
見つかりたくないであろうメアリは目立つことを避けるはずだ。
彼女は多くの人の目を避けて森の中にいるはず。
それが最も安全だからだ。
そして、彼女のことを覚えている人物など、もはやいないだろう。
組織の人間以外はメアリという名前を聞いてもピンとこないだろうな。
なぜなら、俺が記憶を操作したから。
全世界にメアリという聖騎士を知っている人物はほとんどいないというわけだ。
「そのせいもあって探すのが大変になってるんだけどね」
森の中を歩く。
魔物が自分のことを見るなり襲いかかってくる。
「邪魔」
とりあえず、締める。
魔物は雑魚ばかりだから問題はない。
ただ、こういうときに狂信嬢がいないのは残念だな、と、本気でそう思った。
(あの探知お化けなら、すぐに見つけられるんだろうけど……)
未だにピースをして無表情でからかってくる様子が目に浮かぶ。
それだけ印象に残っている。
「あぁ、早く狂信嬢見つかんねーかなー」
そんなことを考えていると、
「ん?」
何人かの声が聞こえた。
「あれは……今代の勇者君か」
何度か覗きに行ったことはあったが、最後に見た時よりも格段に強くなっているのが窺える。
鍛錬を怠らなかったのだろう。
この世界においてレベルというものはあってないようなもの。
上位の職業を得るためだけにあるものがレベルである。
レベルから得られる恩恵と言ったらそれだけだ。
だから、レベルはあまり意味をなさない。
最後は結局努力次第な実力社会がこの世界である。
レベルに頼って魔物を狩りまくっても意味はない。
本質は、そこじゃないのだ。
魔物を狩る過程で鍛えられ、中途半端に強くなる輩が多い中、生まれてすぐから体を鍛え始めたような人が本当の強さを知れる。
俺はそれしかすることがなかったからな。
スキルの存在に気づき、俺は見事に子供ながら使うことができた。
使いまくった結果魔力を消費し、同時に体力も増えた。
その先にあるのが今の俺であり、組織の幹部としての傀儡の姿なのだ。
「勇者か……生かしておく必要はない。が、大聖女捜索のヒントは得られるかもな」
大聖女。
数年前から行方をくらましている先代勇者パーティの一人である。
年齢的には死んでいてもおかしくないが、回復に特化した聖女がそんな簡単に死ぬわけがない。
だから、今もどこかで生き延びていることだろう。
大聖女はいいとして、
「勇者一行はまだ弱いな」
オリビアの方がまだマシって思えるような奴もいる。
その後ろに付き従う冒険者どもなんて論外だ。
せいぜいBランク、Aランクがいいところだろう。
「ベアトリスと勇者……よかった。どうやら一緒には行動してないみたいだな」
ベアトリスの観察は協力者の少女に一任している。
何かあれば報告が来るだろう。
今のところは問題なさそうだ。
勇者一行が奥に入っていき、俺も影から身を出す。
「影潜りって楽じゃないんだよなぁ、潜ってる間ずっと魔力使うんだから」
そう考え、また歩き出そうとした時のことだった。
「え?こんなところにキツネ……」
「キュン?」
お互いほぼ同時に声と鳴き声を上げる。
「キツネがこんなところにいるはずないよな。それとも、この色合いベアトリスが飼ってる……」
キツネのユーリ。
と名付けられたそうだ。
「ユーリか……。そんな名前じゃないんだがな」
「キュン?」
キツネは首輪をしている。
その首輪にはしっかりとユーリという文字が刻まれていた。
「おいおい……マジかよ」
冗談のつもりで、そう考えただけだったが、首輪を見て、歓喜に打ち震える。
(こんなところでまた会えるとは……)
ここで確保すべきか……。
いや、保護と言った方が正しいか。
俺らがベアトリスを直接始末しない理由がこれである。
「“ユーリ“様。私とともに来てもらいます」
上の人には礼儀正しく接しなければな。
うちの組織は人探しすることが多い。
ベアトリスが生まれる前から、この方は捜索されていた。
仲間たちが長年をかけて探し求めていた人物。
この組織の最終目的に必要不可欠な存在がこのユーリというキツネ。
どこに住んでいるのか、見当がつかず捜査はほぼ打ち切り状態となっていたところに、ベアトリスが先に見つけたのだ。
その正体は……、
「キュン!」
「おぉ?私のことを思い出されましたか?」
「キュン!」
「本来の姿は失ったようですが、依然として、基本的な知能な残っているようで何よりです」
俺が手を伸ばしつかもうとする。
だが、
「おっと!」
逃げられた。
でも、所詮はキツネ。
足は遅い。
捕まえるに十分だ。
「『悪魔の牢獄』」
悪魔をも捕らえる闇系統魔法の奥義。
普通に考えれば、こんな盛大な魔法を使うのはもったいないが、この方になら申し分ないだろう。
そう判断した結果だった。
だが、結果は、
「弾かれた!?」
意外なことにも、魔法は霧散してしまった。
闇に囲まれ、閉じ込められそうと思った瞬間のこと。
魔法が魔力へと分解され、さらにはその魔力がユーリによって取り込まれた。
そして、
《我を知っての行動か。愚か者め》
歪んだ声が聞こえてくる。
ザッーっと、ノイズが混ざった声だった。
「え……そうか。魔力を吸収したことで念話が……」
《答えよ人間》
「もちろん存じておりますよ。お仕えしてましたしね」
汗を少し垂らしながら、あまり好印象じゃない事を察する。
闇のオーラを放ちながら、キツネが喋る。
少々シュールな絵ずらだが、これが現実。
浮き上がった小さな体から放たれるオーラを浴び、全身の感覚が逃げろと訴えかけている。
少量の魔力でこれかよ……。
(くっそ……あいつ!ベアトリスの監視ばっかりでユーリの監視できてねーじゃねーか!)
《ふん、我に仕えていたとな。それを差し引いて、今回の件は……万死に値する》
「はは!結局死ぬってわけですね!」
と余裕ぶっこいているのはいいが、
内心では……、
(やんべ。俺死んだかも……)
正直に言えば、本来の姿を取り戻された場合は、俺に勝ち目はない。
今の状態でどれくらいの魔力が溜まっているのかわからないため、下手に攻撃することもできない。
《死ぬがいい》
「ちょっとま——」
《大地崩壊》
「ああ!もう!勘弁しろよ!」
巻き起こるは、一つの地震。
規模は帝都全体を揺らすに十分な大きさだった。
木々が揺れ動き、鳥が飛び立つ。
勇者の魔力がこちらに向かってくるのを感じる。
(ここで見られるのはまずいな。しょうがない、ここは……)
「っち!あの世に行ったら狂信嬢と会えねーかな……」
そうして、一人の人間の運命が終わった。
地面が崩壊し、大穴を作る。
崩壊した地面はすぐさま閉じる。
圧力で肉体は粉々になり、土へと還るのだった。
ただ、それだけ……。
「あっぶねー……」
静かに音を立てずに男は逃げる。
「誰の肉体かわからんけど、身代わりサンキュー!」
操作を得意とする男にとって、自分の魂ほど操作しやすいものはない。
肉体から切り離したそれは新たな肉体の元へと向かっていく。
男は魂だけとなりて、フヨフヨと空に逃げるのだった。
『本部へ、こちら傀儡でーす!最重要目標と接敵しました。依代が一体死亡、ベアトリス、および勇者が帝国に来ているのを確認しましたよ。あと、協力者に『真面目に仕事しろ』って文句言っておいてくださーい!』
通信を切る。
(あぁ、早く休みてぇ)
♦︎♢♦︎♢♦︎
『久しぶりの大魔法は疲れる……』
魔力は今のですっからかんになってしまった。
魔力が切れ、ぽすんと地面に落ちる。
グテーと地面に倒れ込み
『それにしても、あんな奴、知り合いだっけ?』
自分の過去は覚えてない。
ただ、今が幸せだからだ。
『待っててね!ご主人様!すぐに会いに行くよ!』
愛する主人の元へ一秒でも早くたどり着くために!
尻尾をいつも通りピンと立たせる。
「キュン!」
『ここどこ?』
森の中で迷う。
ただのキツネが森に入って目的地までちゃんとたどりつけるはずもなく、勇者一行の姿を見失った。
「キューン!」
その叫び……鳴き声は勇者一行にも、もちろんベアトリスにも聞こえなかった。
だからと言ってその場で止まるようなキツネではなかった。
そのオレンジ色のキツネはご主人様と過ごすうちに精神が洗練され、恐怖などをさほど感じなくなりつつあった。
よく言えば、精神が強靭化した。
悪く言えば、感覚が麻痺した。
ただのキツネにとって森は天敵が住う場所。
というか、天敵しかいないような森である。
そんなキツネは迷った様子を見せず森の奥に突き進んでいく。
当たり前だが、自分がどこに向かっているのかはわかっていない。
森の中は静かだった。
魔物がいるせいで虫は皆隠れ、普通の動物たちも密かに過ごしている。
魔物が出る森において、キツネはいない。
だからか、そのキツネは格好の的となる。
魔物に現在進行形で狙われているとは露知らず……。
「キュン!」
主人捜索活動を続けるのでした。
♦︎♢♦︎♢♦︎
「はぁ……だるいなー」
男は森を闊歩する。
「オリビアは日常生活とか色々あるし、結局仕事の大半は俺がやることになるなんて……」
自由意志がほぼなくなっているオリビアはちゃんと仕事はできる。
ただ、誰にもオリビアが支配されてると気づかれるわけにはいかない。
というわけで、オリビアはまだ学院に通ってもらっている。
そのせいで自分の仕事が二倍になったのだ。
そのおかげでメアリの捜索が難航している。
一年かけてようやく東に向かっていることが判明した。
帝国内部に入られたらまずいことになる。
うちの組織はそこまで浸透できていない。
帝国内部、上層部に諜報員は存在しない。
というわけで、帝都周辺を重点的に探しているわけだ。
見つかりたくないであろうメアリは目立つことを避けるはずだ。
彼女は多くの人の目を避けて森の中にいるはず。
それが最も安全だからだ。
そして、彼女のことを覚えている人物など、もはやいないだろう。
組織の人間以外はメアリという名前を聞いてもピンとこないだろうな。
なぜなら、俺が記憶を操作したから。
全世界にメアリという聖騎士を知っている人物はほとんどいないというわけだ。
「そのせいもあって探すのが大変になってるんだけどね」
森の中を歩く。
魔物が自分のことを見るなり襲いかかってくる。
「邪魔」
とりあえず、締める。
魔物は雑魚ばかりだから問題はない。
ただ、こういうときに狂信嬢がいないのは残念だな、と、本気でそう思った。
(あの探知お化けなら、すぐに見つけられるんだろうけど……)
未だにピースをして無表情でからかってくる様子が目に浮かぶ。
それだけ印象に残っている。
「あぁ、早く狂信嬢見つかんねーかなー」
そんなことを考えていると、
「ん?」
何人かの声が聞こえた。
「あれは……今代の勇者君か」
何度か覗きに行ったことはあったが、最後に見た時よりも格段に強くなっているのが窺える。
鍛錬を怠らなかったのだろう。
この世界においてレベルというものはあってないようなもの。
上位の職業を得るためだけにあるものがレベルである。
レベルから得られる恩恵と言ったらそれだけだ。
だから、レベルはあまり意味をなさない。
最後は結局努力次第な実力社会がこの世界である。
レベルに頼って魔物を狩りまくっても意味はない。
本質は、そこじゃないのだ。
魔物を狩る過程で鍛えられ、中途半端に強くなる輩が多い中、生まれてすぐから体を鍛え始めたような人が本当の強さを知れる。
俺はそれしかすることがなかったからな。
スキルの存在に気づき、俺は見事に子供ながら使うことができた。
使いまくった結果魔力を消費し、同時に体力も増えた。
その先にあるのが今の俺であり、組織の幹部としての傀儡の姿なのだ。
「勇者か……生かしておく必要はない。が、大聖女捜索のヒントは得られるかもな」
大聖女。
数年前から行方をくらましている先代勇者パーティの一人である。
年齢的には死んでいてもおかしくないが、回復に特化した聖女がそんな簡単に死ぬわけがない。
だから、今もどこかで生き延びていることだろう。
大聖女はいいとして、
「勇者一行はまだ弱いな」
オリビアの方がまだマシって思えるような奴もいる。
その後ろに付き従う冒険者どもなんて論外だ。
せいぜいBランク、Aランクがいいところだろう。
「ベアトリスと勇者……よかった。どうやら一緒には行動してないみたいだな」
ベアトリスの観察は協力者の少女に一任している。
何かあれば報告が来るだろう。
今のところは問題なさそうだ。
勇者一行が奥に入っていき、俺も影から身を出す。
「影潜りって楽じゃないんだよなぁ、潜ってる間ずっと魔力使うんだから」
そう考え、また歩き出そうとした時のことだった。
「え?こんなところにキツネ……」
「キュン?」
お互いほぼ同時に声と鳴き声を上げる。
「キツネがこんなところにいるはずないよな。それとも、この色合いベアトリスが飼ってる……」
キツネのユーリ。
と名付けられたそうだ。
「ユーリか……。そんな名前じゃないんだがな」
「キュン?」
キツネは首輪をしている。
その首輪にはしっかりとユーリという文字が刻まれていた。
「おいおい……マジかよ」
冗談のつもりで、そう考えただけだったが、首輪を見て、歓喜に打ち震える。
(こんなところでまた会えるとは……)
ここで確保すべきか……。
いや、保護と言った方が正しいか。
俺らがベアトリスを直接始末しない理由がこれである。
「“ユーリ“様。私とともに来てもらいます」
上の人には礼儀正しく接しなければな。
うちの組織は人探しすることが多い。
ベアトリスが生まれる前から、この方は捜索されていた。
仲間たちが長年をかけて探し求めていた人物。
この組織の最終目的に必要不可欠な存在がこのユーリというキツネ。
どこに住んでいるのか、見当がつかず捜査はほぼ打ち切り状態となっていたところに、ベアトリスが先に見つけたのだ。
その正体は……、
「キュン!」
「おぉ?私のことを思い出されましたか?」
「キュン!」
「本来の姿は失ったようですが、依然として、基本的な知能な残っているようで何よりです」
俺が手を伸ばしつかもうとする。
だが、
「おっと!」
逃げられた。
でも、所詮はキツネ。
足は遅い。
捕まえるに十分だ。
「『悪魔の牢獄』」
悪魔をも捕らえる闇系統魔法の奥義。
普通に考えれば、こんな盛大な魔法を使うのはもったいないが、この方になら申し分ないだろう。
そう判断した結果だった。
だが、結果は、
「弾かれた!?」
意外なことにも、魔法は霧散してしまった。
闇に囲まれ、閉じ込められそうと思った瞬間のこと。
魔法が魔力へと分解され、さらにはその魔力がユーリによって取り込まれた。
そして、
《我を知っての行動か。愚か者め》
歪んだ声が聞こえてくる。
ザッーっと、ノイズが混ざった声だった。
「え……そうか。魔力を吸収したことで念話が……」
《答えよ人間》
「もちろん存じておりますよ。お仕えしてましたしね」
汗を少し垂らしながら、あまり好印象じゃない事を察する。
闇のオーラを放ちながら、キツネが喋る。
少々シュールな絵ずらだが、これが現実。
浮き上がった小さな体から放たれるオーラを浴び、全身の感覚が逃げろと訴えかけている。
少量の魔力でこれかよ……。
(くっそ……あいつ!ベアトリスの監視ばっかりでユーリの監視できてねーじゃねーか!)
《ふん、我に仕えていたとな。それを差し引いて、今回の件は……万死に値する》
「はは!結局死ぬってわけですね!」
と余裕ぶっこいているのはいいが、
内心では……、
(やんべ。俺死んだかも……)
正直に言えば、本来の姿を取り戻された場合は、俺に勝ち目はない。
今の状態でどれくらいの魔力が溜まっているのかわからないため、下手に攻撃することもできない。
《死ぬがいい》
「ちょっとま——」
《大地崩壊》
「ああ!もう!勘弁しろよ!」
巻き起こるは、一つの地震。
規模は帝都全体を揺らすに十分な大きさだった。
木々が揺れ動き、鳥が飛び立つ。
勇者の魔力がこちらに向かってくるのを感じる。
(ここで見られるのはまずいな。しょうがない、ここは……)
「っち!あの世に行ったら狂信嬢と会えねーかな……」
そうして、一人の人間の運命が終わった。
地面が崩壊し、大穴を作る。
崩壊した地面はすぐさま閉じる。
圧力で肉体は粉々になり、土へと還るのだった。
ただ、それだけ……。
「あっぶねー……」
静かに音を立てずに男は逃げる。
「誰の肉体かわからんけど、身代わりサンキュー!」
操作を得意とする男にとって、自分の魂ほど操作しやすいものはない。
肉体から切り離したそれは新たな肉体の元へと向かっていく。
男は魂だけとなりて、フヨフヨと空に逃げるのだった。
『本部へ、こちら傀儡でーす!最重要目標と接敵しました。依代が一体死亡、ベアトリス、および勇者が帝国に来ているのを確認しましたよ。あと、協力者に『真面目に仕事しろ』って文句言っておいてくださーい!』
通信を切る。
(あぁ、早く休みてぇ)
♦︎♢♦︎♢♦︎
『久しぶりの大魔法は疲れる……』
魔力は今のですっからかんになってしまった。
魔力が切れ、ぽすんと地面に落ちる。
グテーと地面に倒れ込み
『それにしても、あんな奴、知り合いだっけ?』
自分の過去は覚えてない。
ただ、今が幸せだからだ。
『待っててね!ご主人様!すぐに会いに行くよ!』
愛する主人の元へ一秒でも早くたどり着くために!
尻尾をいつも通りピンと立たせる。
「キュン!」
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