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有名な三人

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「ああ!みてみて!私の名前あったよ!」

「ほんと?よかったわね、レイ」

 合格発表は試験の次の日だった。
 一度家に帰って私は寝たのだが、どうやら寝る部屋がすで用意されていたようだ。

 そこでみんな寝泊まりしたそうな?

 まあ、私には関係ないけどね。

「ベアちゃんのあった?」

「ちょっと気になってんだけど、いつからベアちゃん呼びしてた?」

「え、ダメ?」

「別にいいけどさぁ」

 気恥ずかしいからねぇ?

 まあ、私もレイナのことをレイと呼んでいるためお互い様か……。

「あれ?ベアちゃんのなくない?」

「まじ?」

 それがほんとだったら嬉しいな。
 そもそもの試験に落ちたのであれば、これから脱出法考える必要もない。

「すみません!追加で次席と首席の名前も張り出させていただきます!」

 上級生?
 制服を着た人が紙を持ってきて、それを掲示板に貼る。

 そこには……。

「あ!あったね!よかったよかった!」

「どうしてだよぉ……」

「ベアちゃん?次席だったのがそんなに悔しいの?」

「そういうわけじゃないけどさぁ?」

 編入試験で次席だろうと、別に編入した後も次席ですと名乗れるわけではない。
 普通に受験して入った貴族たちの中にも次席はいるわけで、決して私が名乗れるわけではない。

 むしろ私が名乗って喧嘩ふっかけてもらおうか?

「首席の子。名前、聞いたことないな?」

「今回の編入試験は貴族だけじゃなくて、一般市民……領民も参加できるってことらしいから、きっと領民の方でしょ」

「へー!仲良くならないと!」

「楽しそうね……」

 私は合格発表と同時に渡された紙を見て、自分の教室まで向かっていくのだった。


 ♦︎♢♦︎♢♦︎


「はぁ、Aクラスか……」

 Aクラスにだけは入りたくなかったが、こればっかりはしょうがない。
 この学院では、成績によってクラス分けされるのだ。

 そしてAクラスはその中でも一番頭がいい部類。
 まあ、成績トップら辺を維持してる人たちがいるってわけ。

 それすなわち、生徒会メンバーのほとんどがここにいるんだよ!

 腐ってやがる!

 どうしてこうなった!?
 私は筆記に関しては0点もいいところでしょ!?

 なんでAクラスなんだよ!
 それに、

「それでね!ベアトリスはね!」

「あはは、そうだったんだ」

 なんでレイは首席と話で盛り上がってるわけ!?
 どんなコミュニケーション能力してんだよ!

 コミュ強かよ!

「ん?どうしたのベアちゃん。疲れてるみたいだけど……」

「なんでもないわ、気にしなくていいわよ」

 一応いつもの態度に戻しておく。

 今は先生は朝のホームルームを行なっている最中であり、私たちは、呼ばれるまで待機しているというのが現状である。

 そして、

「三人とも。準備できたから、入ってきてちょうだい!」

 女の先生が、中から顔を出して、私たちを連れていく。

 しかもなんで私が先頭で?
 最悪すぎる……。

 いや!

 先頭が一番注目を集めると限ったことではない!
 なぜならこっちには美少女が二人もいるのだから!

 男どもだけでもきっとそっちに視線がいくに違いない!
 私なんて目つき悪いだけの普通の女の子。

 もはや顔面偏差値が中の下!
 だから、大丈夫!

 まだ……泣くような時間じゃない……ぐすん。

「はい!今回編入してきた友達を紹介します!では、一人ずつ自己紹介してください!」

 どの順番で自己紹介するかと先ほど相談したのだが、結果レイが最初で首席が最後ということになった。

 まあ、成績順ってことだよね。

「あ、レイナ・フォン・アステルナと申します!えっと、得意なものは魔法です!あの、よかったら、と、友達になってください!」

 ぺこんとお辞儀をするレイ。
 リュース辺境伯……辺境伯の娘なだけあって、お辞儀の所作は完璧なんだけどね……緊張しちゃったら噛んじゃうよね。

「あれって、『呪われた少女』じゃないか?」

「辺境伯の……」

「でも、呪いは解けたって噂だぞ?」

 何かヒソヒソと話している生徒たち。

(呪われた少女?もしかしてレイのこと?)

 確かにアルビノではあったものの、呪われてなんかいなかったけどなぁ。
 まあ、でも治ったって話になってるんだったら別にいいだろう。

「次は私ね」

 レイが一歩下がり、私が一歩前に出る。

「ベアトリス・フォン・アナトレスと申します。得意なものは特にはありませんね。以後お見知り置きくださいませ」

 きれいに所作を決め、一応笑顔で最後を締めることができた。
 私の笑顔がどれだけ恐怖を与えているかはちょっとわからないが、礼儀としては、こうするほかないのである。

「アナトレス……公爵家!?」

「あれって、『神童』じゃない?」

「え?あの勇者と互角だったっていう……」

「でも、単なる噂話でしょ?」

「勇者本人が言いふらしてるらしいけど……?」

 おい、勇者。
 てめーなにしてくれてんだ!

 帝国に帰った後でも、私のことを苦しめてくれる!

「じゃあ、最後は……」

「はい、私ですね」

 その少女……首席の番になる。

「はじめましてオリビアと申します。私は貴族ではないので、右も左もわかりません。どうか、仲良くしてください」

 貴族ではないらしいけど、礼儀作法は教え込まれてるのかな?
 きれいな所作でお辞儀ができている。

 茶色の髪が揺れる動作が可愛いな。

 男子生徒には人気でそう。
 女子には……わからんけど。

「もしかして、『聖女候補』じゃない?」

「あの聖女の!?」

「神官様にも認められているみたいだし、ほぼ確定だろ」

「それにしても、可愛い……」

 男子ウケはめっちゃ良さそうだね。

「はい!というわけで、今日からこの三人と仲良くするように!朝の授業が始まりますので、教科書を準備しておいてください!三人は空いた席に座ってちょうだいね」

 そうして、私たちの自己紹介は終わった。
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