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嫌いになる
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ほぼほぼお風呂タイムではなく、追いかけっこタイムとなりはてたのち、互いにお風呂から出る。
結局一緒にお風呂は入れなかった。
反対側で入るのは絶対一緒に入ったという判定にはなれないはずだ。
ひどいよ、ひどいよ。
私は悲しいよ。
そんなに嫌われていたとは。
前世から嫌われていたのは知っていけどね。
前世と言っても、未来の話であるんで、実質前世はこのぐらいの年齢から嫌われていたということだろう。
というか、そもそも正しく未来を辿れていないのでよくわからない。
あの、今更なんだけどかなり未来変わってきてるんよ。
前世なら今頃いくつかの領地で反乱とか起きているはずなのに、そんな報告は上がっていない。
つまりは、どこかしらで未来が変わっているということ。
でも他の線もあるんだよなぁ~。
『他にも私と同じような人がいる』
何が言いたいかといえば、私のように未来から死んでやってきた人がいるということ。
っていうか、私オンリーでここまで未来を変えられるはずがない。
そのため、この線が濃厚である。
現在は、軽い服に着替えて、殿下の部屋で待機している。
殿下はすでにお眠なようだ。
うとうとしているため、こんな険しい表情をしていても何も言われないのだろう。
その線が濃厚だと思うのはさっきも説明したが、だったらいったい誰なのかという話である。
この世界でそれぐらい影響を及ぼせる人なんだから、有名人という可能性が高いんよ。
そんなわけで、『王国内にいる』という可能性も浮かんできた。
「同じ国に私含めて数人くらいいるかもしれんってことは、他国にいてもおかしくないのでは?」
あれ?
つまり、私の境遇ってそんなに珍しくなかったりする?
いや、王国民約百万人の中の数人だから珍しいことに変わりはないんだけど。
「これからどうなるんだろうなぁ」
私は私のことを邪魔しない限り、どうでもいいけど。
そんなことを考えていると、いつの間にか時間は経っていきーー
「ベアトリスお嬢様、謁見室にて国王陛下がお待ちです」
「は、はい!あの、殿下は連れていかなくてもいいんですか?」
「はい、第一王子様はまだまだ子供だからと、国王陛下が」
子供ってなんだよ。
なんなら、私も子供だよ?
「わかりました」
「お連れいたしますね」
ドアを開けてみれば、お風呂の時にいたメイドさんだった。
「あの、聞いてもいいですか?」
「はい、なんなりと」
「お風呂の時何をしていたんですか?」
「え!?あ、いや、何もしてないですよ!?」
めちゃめちゃ動揺してるじゃん!
いったい何をしていたんだ?
ちなみに、この人だけ手に持っている何かと、お風呂を交互に眺めていて、他のメイドさんたちよりも若干異質だったため、名前も覚えてしまった。
「じゃ、じゃあいきましょう!陛下がお待ちです!」
「は、はぁそうですか」
なんか話を逸らされたけど、よしとしよう。
♦︎♢♦︎♢♦︎
「やあ、やっときたかベアトリス嬢!」
やけに上機嫌になっている国王。
なんかいいことがあったのか?
「で、貴殿を呼んだ理由なんだが……」
「はい」
「実は、“勇者“が現れたんだ」
「はい、そうですか」
「……………え?」
「え?」
だから、何なの?
私が喋ったら時々相手が『え?』ってなるこの現象はいったいなんなの?
「なぜ、驚かんのだ?」
「え?いや、すごいなぁとは思いますが、特別な思いはありませんね」
「そ、そういうものなのか?」
いつの間にか横にいた、父様に目配せ。
あぁ、今度は何を相談しているんだよ……。
「まあ、それはいいんだ。その、勇者が現れた国が問題なんだよ」
「はい、どの国でしょうか?」
「ログノード帝国」
「はい?」
ログノード帝国
それは人間が収める国の中で最も国力の高い国である。
だからこそ、そう何度も勇者召喚の儀を行えたのだろう。
勇者召喚の儀というのは、文字通り勇者召喚をするための儀式である。
勇者っていうのは、魔王を倒せる唯一の人物って感じで有名だよね。
先代勇者も、見事魔王討伐を果たした英雄って言われてるし!
私、前世からそういうの大好きなんよ!
カッコよくない!?
勇者だよ!?
前世の子供の頃なら、なって見たい職業ランキングにさ、勇者をサポートする“聖女“になりたいとも思ったけど、十歳の時の職業適性を見る儀式で現実を思い知らされたけどね。
昔は良かった、純粋チックで。
適性を見る儀式を成人式と間違えるほどバカだったが……。
あれ?
今もか?
まあ、いいけど、とにかくそんな尊敬する勇者が召喚されたということはログノード帝国の国力が上がったということだ。
「まずいですね」
「さすがだな、ベアトリス嬢。やはり気づいたか」
まあ、そりゃあ気づくだろうね。
「つまり、魔王が復活したかもしれないということだ!」
控えている騎士団にも伝わるような声で宣言する。
ん?
って………。
「そっちですか?」
「む?ベアトリス嬢は違う考えに至ったのか?」
「はい、勇者召喚によってログノード帝国の国力向上により、他国の緊迫状況の悪化。周辺国家の属国化、もしくは戦争が起こり、帝国周辺から波紋が広がるものかと。その余波で我々の食料輸入も一時期途絶え、王国の貧民及び難民が増加傾向になり、経済面が圧迫されるものかと思っていました」
「「「……………」」」
「あの、何か間違っていましたか?」
「い、いや決してそんなことはないのだが………」
その場にいた全員がため息をつく。
「え?」
「すまん、国王として不甲斐ないのだが、その可能性は思い浮かばなかった」
おい!
国王でしょ!
シャンとしないさいな!
「ついつい魔王に気を取られてしまった。だが、ベアトリス嬢の言う通りでもある。このままでは、最悪の場合人類の滅亡もありうる」
「魔王の復活と戦争の同時進行ですか。それは最悪ですね」
「ああ、その通りだ」
魔王の復活で戦争しまーす!
帝国が戦争起こしまーす!
で、我が国挟まれて、滅亡!
人類敗北不可避。
って感じ?
「その勇者って名前はなんですか?」
「あぁ、秋嶋藤也と言うらしいぞ?」
「東方の名前見たいですね」
「一応、別世界の住人らしいが………」
やっぱり、先代勇者と似たような名前だな。
漢字とか言う文字を使っている名前というのは同じだった。
「まあ、それはいいんだ。重要なのはその勇者がとんでもなく強いということなんだ」
「それは………ある意味いいことなのでは?」
「もし、帝国がその力を行使しないとしての話だがな」
それで、と話を続ける国王。
「その勇者が自らがどのくらい強くなったのか、試したいとか言い放ってな」
言い方によると、きっと召喚されて何日か経っているのだろう。
「まあ、この世界での強者の名を皇帝が教えてしまってな………」
ん?
なんか言い方が不穏なんだが?
「飛竜隊、緑光の飛鳥、暗黒騎士、大賢者、大聖女、戦神、剣聖。そして……」
国王が私の方を見てくる。
「そして、“神童“」
なんでそこに私が出てくるんだよ!
「帝国の皇帝が告げた強者の名前だ。世界の名だたる二つ名、パーティ名、騎士団名を持つ面々の名前が挙げられた。その中にベアトリス嬢の名前もあったというわけだ」
「どういうわけですか!?」
「いや、私に言うでない!有名な二つ名を持つ人物なんて全員強いと相場が決まっておるのだ!」
「私は全然強くありません!」
「「「十分化け物です!」」」
「と、そこで勇者はこう尋ねた。『まずは、言い方は悪いけど、一番弱い方から戦って見たい』と!」
「つまり?」
「強さの基準が未だ不明なため、年齢が一番若いベアトリス嬢が最初に相手することとなった!」
「なんでですか!?」
え?
私勇者と戦わなくちゃいけないの?
初めて勇者が少し嫌いになったのは内緒…………内緒事でもないか。
「もう、ほんっと嫌い………」
結局一緒にお風呂は入れなかった。
反対側で入るのは絶対一緒に入ったという判定にはなれないはずだ。
ひどいよ、ひどいよ。
私は悲しいよ。
そんなに嫌われていたとは。
前世から嫌われていたのは知っていけどね。
前世と言っても、未来の話であるんで、実質前世はこのぐらいの年齢から嫌われていたということだろう。
というか、そもそも正しく未来を辿れていないのでよくわからない。
あの、今更なんだけどかなり未来変わってきてるんよ。
前世なら今頃いくつかの領地で反乱とか起きているはずなのに、そんな報告は上がっていない。
つまりは、どこかしらで未来が変わっているということ。
でも他の線もあるんだよなぁ~。
『他にも私と同じような人がいる』
何が言いたいかといえば、私のように未来から死んでやってきた人がいるということ。
っていうか、私オンリーでここまで未来を変えられるはずがない。
そのため、この線が濃厚である。
現在は、軽い服に着替えて、殿下の部屋で待機している。
殿下はすでにお眠なようだ。
うとうとしているため、こんな険しい表情をしていても何も言われないのだろう。
その線が濃厚だと思うのはさっきも説明したが、だったらいったい誰なのかという話である。
この世界でそれぐらい影響を及ぼせる人なんだから、有名人という可能性が高いんよ。
そんなわけで、『王国内にいる』という可能性も浮かんできた。
「同じ国に私含めて数人くらいいるかもしれんってことは、他国にいてもおかしくないのでは?」
あれ?
つまり、私の境遇ってそんなに珍しくなかったりする?
いや、王国民約百万人の中の数人だから珍しいことに変わりはないんだけど。
「これからどうなるんだろうなぁ」
私は私のことを邪魔しない限り、どうでもいいけど。
そんなことを考えていると、いつの間にか時間は経っていきーー
「ベアトリスお嬢様、謁見室にて国王陛下がお待ちです」
「は、はい!あの、殿下は連れていかなくてもいいんですか?」
「はい、第一王子様はまだまだ子供だからと、国王陛下が」
子供ってなんだよ。
なんなら、私も子供だよ?
「わかりました」
「お連れいたしますね」
ドアを開けてみれば、お風呂の時にいたメイドさんだった。
「あの、聞いてもいいですか?」
「はい、なんなりと」
「お風呂の時何をしていたんですか?」
「え!?あ、いや、何もしてないですよ!?」
めちゃめちゃ動揺してるじゃん!
いったい何をしていたんだ?
ちなみに、この人だけ手に持っている何かと、お風呂を交互に眺めていて、他のメイドさんたちよりも若干異質だったため、名前も覚えてしまった。
「じゃ、じゃあいきましょう!陛下がお待ちです!」
「は、はぁそうですか」
なんか話を逸らされたけど、よしとしよう。
♦︎♢♦︎♢♦︎
「やあ、やっときたかベアトリス嬢!」
やけに上機嫌になっている国王。
なんかいいことがあったのか?
「で、貴殿を呼んだ理由なんだが……」
「はい」
「実は、“勇者“が現れたんだ」
「はい、そうですか」
「……………え?」
「え?」
だから、何なの?
私が喋ったら時々相手が『え?』ってなるこの現象はいったいなんなの?
「なぜ、驚かんのだ?」
「え?いや、すごいなぁとは思いますが、特別な思いはありませんね」
「そ、そういうものなのか?」
いつの間にか横にいた、父様に目配せ。
あぁ、今度は何を相談しているんだよ……。
「まあ、それはいいんだ。その、勇者が現れた国が問題なんだよ」
「はい、どの国でしょうか?」
「ログノード帝国」
「はい?」
ログノード帝国
それは人間が収める国の中で最も国力の高い国である。
だからこそ、そう何度も勇者召喚の儀を行えたのだろう。
勇者召喚の儀というのは、文字通り勇者召喚をするための儀式である。
勇者っていうのは、魔王を倒せる唯一の人物って感じで有名だよね。
先代勇者も、見事魔王討伐を果たした英雄って言われてるし!
私、前世からそういうの大好きなんよ!
カッコよくない!?
勇者だよ!?
前世の子供の頃なら、なって見たい職業ランキングにさ、勇者をサポートする“聖女“になりたいとも思ったけど、十歳の時の職業適性を見る儀式で現実を思い知らされたけどね。
昔は良かった、純粋チックで。
適性を見る儀式を成人式と間違えるほどバカだったが……。
あれ?
今もか?
まあ、いいけど、とにかくそんな尊敬する勇者が召喚されたということはログノード帝国の国力が上がったということだ。
「まずいですね」
「さすがだな、ベアトリス嬢。やはり気づいたか」
まあ、そりゃあ気づくだろうね。
「つまり、魔王が復活したかもしれないということだ!」
控えている騎士団にも伝わるような声で宣言する。
ん?
って………。
「そっちですか?」
「む?ベアトリス嬢は違う考えに至ったのか?」
「はい、勇者召喚によってログノード帝国の国力向上により、他国の緊迫状況の悪化。周辺国家の属国化、もしくは戦争が起こり、帝国周辺から波紋が広がるものかと。その余波で我々の食料輸入も一時期途絶え、王国の貧民及び難民が増加傾向になり、経済面が圧迫されるものかと思っていました」
「「「……………」」」
「あの、何か間違っていましたか?」
「い、いや決してそんなことはないのだが………」
その場にいた全員がため息をつく。
「え?」
「すまん、国王として不甲斐ないのだが、その可能性は思い浮かばなかった」
おい!
国王でしょ!
シャンとしないさいな!
「ついつい魔王に気を取られてしまった。だが、ベアトリス嬢の言う通りでもある。このままでは、最悪の場合人類の滅亡もありうる」
「魔王の復活と戦争の同時進行ですか。それは最悪ですね」
「ああ、その通りだ」
魔王の復活で戦争しまーす!
帝国が戦争起こしまーす!
で、我が国挟まれて、滅亡!
人類敗北不可避。
って感じ?
「その勇者って名前はなんですか?」
「あぁ、秋嶋藤也と言うらしいぞ?」
「東方の名前見たいですね」
「一応、別世界の住人らしいが………」
やっぱり、先代勇者と似たような名前だな。
漢字とか言う文字を使っている名前というのは同じだった。
「まあ、それはいいんだ。重要なのはその勇者がとんでもなく強いということなんだ」
「それは………ある意味いいことなのでは?」
「もし、帝国がその力を行使しないとしての話だがな」
それで、と話を続ける国王。
「その勇者が自らがどのくらい強くなったのか、試したいとか言い放ってな」
言い方によると、きっと召喚されて何日か経っているのだろう。
「まあ、この世界での強者の名を皇帝が教えてしまってな………」
ん?
なんか言い方が不穏なんだが?
「飛竜隊、緑光の飛鳥、暗黒騎士、大賢者、大聖女、戦神、剣聖。そして……」
国王が私の方を見てくる。
「そして、“神童“」
なんでそこに私が出てくるんだよ!
「帝国の皇帝が告げた強者の名前だ。世界の名だたる二つ名、パーティ名、騎士団名を持つ面々の名前が挙げられた。その中にベアトリス嬢の名前もあったというわけだ」
「どういうわけですか!?」
「いや、私に言うでない!有名な二つ名を持つ人物なんて全員強いと相場が決まっておるのだ!」
「私は全然強くありません!」
「「「十分化け物です!」」」
「と、そこで勇者はこう尋ねた。『まずは、言い方は悪いけど、一番弱い方から戦って見たい』と!」
「つまり?」
「強さの基準が未だ不明なため、年齢が一番若いベアトリス嬢が最初に相手することとなった!」
「なんでですか!?」
え?
私勇者と戦わなくちゃいけないの?
初めて勇者が少し嫌いになったのは内緒…………内緒事でもないか。
「もう、ほんっと嫌い………」
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