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第17話 旧友
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案内役の女性・チェルシーに導かれ、リオンたちは大広間のなかへと足を踏み入れる。“義賊連合”のアジトは島に自然と生み出された洞穴のなかに居住区域を設けているのだが、なかでも一同が辿り着いた大広間は特に豪勢な内装が施されていた。
足元を覆う絨毯の感触にわずかばかり戸惑ってしまったリオンだったが、その目に飛び込んできた光景に「あっ」と声を上げてしまう。チェルシーは部屋に入ると、奥の席に座っていた男に大きく一礼してみせた。
「仰せの通り、『デュランダル』御一行をお連れしました」
彼女の言葉を受け、奥にいた男性はすぐさま手をかざす。彼は「もっと近くへ」と、一同を手招きし、チェルシーはリオンらの代わりに部屋の外へと出ていく。
警戒しながらも前に出る一同だったが、そこにいた男の姿にリオンだけが激しくうろたえてしまう。巨大な椅子に堂々と腰かけた男性は、葉巻の煙をくゆらせながらにんまりと笑ってみせた。
「やあやあ皆さん、こりゃあどうも。わざわざ『デュランダル』の精鋭部隊が、こんなしみったれた所まで、よく来てくれたもんですよ」
なんとも軽々しい物言いに、件の精鋭部隊たちがそれぞれ反応する。一団の先頭に立つ女騎士・アテナは、対峙した男性の姿に「ほお」とやはりどこか嬉々とした笑みを浮かべていた。
一同を待ち構えていたのは、褐色の肌を持つ男性であった。白いシャツに半ズボン、サンダルという軽装なのだが、特筆すべきは彼が全身、至る箇所に装着した“アクセサリー”の数々である。
左右の耳にはおびただしい量のピアスが並び、金髪を編み込んだドレッドヘアにもいくつものリングやチェーンが取り付けられていた。腕輪が足首にまで装着され、首飾りや指輪が様々な箇所でギラギラとした輝きを放っている。歳は30後半といったところで、少し垂れた眠そうな眼差しが目の前に立つ一同を観察していた。
真っ白に輝く歯を見せながら、彼はどこか嬉しそうに笑う。また一つ、男が葉巻をくゆらせると、なんとも甘い果実のような香りが部屋の中に広がった。男はなぜか左目だけを開き、三白眼で一同をまじまじと見つめている。
そんな彼に対し、アテナが臆することなく堂々と真正面から斬り込んでいく。
「君がこの“義賊連合”の“長”を務める人物かな? どうやら、我々がここに来ることを知り得ていた、という感じだが」
「はじめまして。“義賊連合”のトップをやらせてもらってる、キラってものです。隊長殿がおっしゃる通り、うちらの情報網はなにせ別格なんでね。精鋭部隊である『デュランダル』がどう動くか察するくらいは、朝飯前ってことですよ」
「なるほどなぁ、恐れ入ったよ! しかし、我々が聞き及んでいる限りでは“義賊連合”はそもそも、解散したということではなかったかな? なぜそれが、こうしてまた復活しているんだい」
「これはこれは、よくご存じで。まぁ大方、そこにいる“義賊”さんから伝達済みってことでしょうね。なぁ――リオン?」
唐突に語りかけられ、リオンは全身に力を滾らせてしまった。一方、語りかけてきた“長”ことキラはなおも肩の力を抜いて笑っている。『デュランダル』の面々の視線が集まるなか、リオンはどこか歯噛みしながらそれでも言葉を絞り出した。
「驚いたよ。“長”ってのが誰かと思っていたんだが、まさかあんただとはな。キラ?」
「俺みたいな半端者がトップじゃあ、不服かい? なにせお前さんは、かつての長――ヴァンの一番弟子みたいなもんだったからなぁ。色々と、思う所もあるだろうに」
「いや、不満は特にないさ。あんただって、前の“連合”では幹部として活躍していたんだ。十分、長の素質はあると思うぜ。“宝石眼(ジュエルアイ)”のキラといえば、有名だからな」
リオンの言葉を受け、キラは「にひひ」と白い歯を見せて笑った。彼は“宝石眼”という単語に反応するかのように、閉じていた右目を開く。彼の表情はあどけなかったが、一方でその右目の異様な光景に一同は息をのんでしまった。
キラの右目には眼球ではなく、大きな“宝石”がはめ込まれている。どうやら大粒のサファイアのようで、彼が笑うたびに青い輝きがぎらぎらと揺れていた。
「最近手に入れた、“クイーンズ・ティア”って一品なんだ。どうだ、目ん玉にするには、いい具合だろ?」
無邪気に語るキラに対し、リオンはどこかうんざりしたようにため息をついてみせる。彼を深く知るリオンにとって、目の前の“長”の気質がまるで昔から変わっていないことを悟り、少しだけ肩の力が抜けてしまった。
「お宝を体中に散りばめようとするその“強欲”っぷりは、まるで衰えてないみたいだな。まぁ、元気そうで何よりだ」
「“宝”あっての盗賊よ。欲がなくなっちまったら、いい仕事もできねえからな!」
嬉しそうに笑うキラを前に、なおもリオンは脱力せざるをえない。『デュランダル』の面々はどこかその独特の雰囲気に気圧されてしまったようで、笑みを浮かべているのはそれこそ隊長・アテナくらいのものである。
キラ=シャーディアといえば、かつての“義賊連合”でヴァンに負けず劣らずの活躍を見せていた、名うての盗賊だ。その高い実力から連合幹部にまで上り詰めたものの、本人からすれば己の肩書などにはあまり興味がなかったようで、至って自由気ままに振舞い続けていたのをリオンはよく覚えている。
とにかく“強欲”という一言では計り知れないほどの欲深い人物で、自身が獲得した品々を所かまわず身に纏い、周囲の面々にひけらかすことでも有名であった。その二つ名の通り、お気に入りの宝石を“義眼”代わりに使ったりと、なにかと癖の強い人物でもある。
部屋に足を踏み入れてからというもの、一同はキラが身に纏うその独特の気配に完全に飲まれてしまっていた。リオンやアテナを除く面々はもちろんのこと、同行者としてついてきていたハーディまでも圧倒され、生唾を飲み込んでいる。
そんな一同を前に、キラはなおもどこか嬉しそうに声を弾ませた。
「まぁまぁ、立ち話もなんでしょうよ。どうせなら腰を落ち着けて、お茶でもしながらじっくり語り合いましょうや。ねえ?」
言うや否や、彼はパンパンと手を打ち鳴らす。この合図を受け、再び部屋の大扉が開いた。
てっきり、案内役を務めたチェルシーが戻ってきたのかと思っていた一同だったが、部屋に入ってきた思いがけない集団の姿に息をのんでしまう。そこにいたのは木製の大きな“人形”たちで、それぞれがひとりでに動き、机やら椅子やらを部屋の中に運び入れてくる。
予想だにしない事態になおも一同が言葉を失うなか、気が付いた時にはキラの前に大きなテーブルが置かれ、人数分の椅子が等間隔に配置されてしまう。キラは委縮してしまっているリオンらに、「さあさあ」と座るよう促した。
しばし警戒していた一同だったが、意気揚々と歩み出したアテナに続くように、それぞれが席に腰を下ろす。座るや否や、周囲を睨みつけていたダークエルフの魔導士・ココがどこか興味深そうに口を開いた。
「“魔導人形(マギアマトン)”とはね。盗賊の集まりって聞いてたけど、魔法の心得があるやつもいるのかしら?」
「おっ。お嬢さん、鋭いねぇ。うちは来るもの拒まずってスタンスだから、色んな奴が集まって、協力し合っているってわけよ。魔法使いはもちろん、格闘家に賞金稼ぎ、機工士に獣使い、なかには料理人や放浪作家なんかもいるんだぜ」
ココが「ふぅん」とつまらなそうにするなか、リオンはやはり周囲でてきぱきと準備をする“魔導人形(マギアマトン)”の姿に眉をひそめてしまう。すぐ隣に座るアテナは紅茶を差し出してきた人形に「こりゃあどうも」と笑っていたが、あいにくリオンはその人形の造詣を前に、とある人物の顔を思い出していた。
少し顔をしかめてしまうリオンだったが、こうしている間にも人形たちは準備を続け、人数分のコーヒーと茶菓子を整えてしまう。
一室が“応接間”に早変わりしてしまったことで、キラは本題を切り出していく。
「これでよし、と。すみませんねぇ、慌ただしくしちゃって。あらかじめ、準備ができてりゃあ良かったですけど、皆さんがどの便に乗り込むかまではさすがに分からなかったもんですからね」
「いやいや、構わんさ。丁重なおもてなし、感謝する。しかし、こう言っちゃあなんだが、我々が思っていた“義賊”というイメージとは随分と雰囲気が違っているのだね」
「よく言われますよ。“義賊”っていえば、ギラギラした裏社会の面々が集まってるって思われがちですが、少なくともうちはそういうのはやめにしたんです。もっとこう、時代に合わせたクリーンな経営をやろうと思いましてね」
言いながらもキラは、手元のコーヒーに口をつける。彼はその香りを存分に楽しんでいたが、一方でリオンらは安易に目の前に差し出されたものに手を出すことができない。
どれだけキラの姿が気安くとも、まだまだ油断は禁物だった。なにせここは、“義賊連合”の本拠地なのだ。この茶菓子やコーヒーにも、何かしらの薬品が仕込まれているという可能性もある。
それを察したのか、やはりココが目の前の品々に手をかざし、意識を集中した。彼女の眼が魔力の光を放ち、触れずにして様々な情報を読み取っていく。
やがて彼女は、アテナに向けて黙したまま目で合図を投げかけた。どうやら「大丈夫」ということらしく、ようやく一同はコーヒーに手をかける。リオンも恐る恐る口をつけたが、上品な香りが肉体の緊張を一気にほぐしてくれた。おそらくこれも、高級な豆を使った一品なのだろう。
なにから問いかけるべきか――と言葉に迷う一同だったが、やはりその心中を見透かしたかのように、キラがぐいぐいと話題を進めてしまう。
「さて、と。早速だが、本題に入ろうか。皆さんの目当ては俺――“義賊連合”の人間でありながら、同時に『タタラ教団』にかかわりを持つ人間に話を聞く――それが、目的ということですよね?」
ずばり言い当てられたことで、全員が息をのむのが分かった。本来ならば少しずつ切り出そうと思っていた話題を、キラはあえて自身から堂々と目の前に掲げてしまう。
彼の言う通り、リオンらがここにやって来たのは、目の前にいるキラなる人物を追求するためだった。彼は『タタラ教団』と関わりを持ちながら、同時に“義賊連合”にも名を連ねる、なんとも特殊な経歴の持ち主として『デュランダル』に兼ねたからマークされていた人物なのである。
とはいえ、まさかそのキラが“義賊連合”の長という座についているとは、夢にも思わなかった。一同は黙したままアイコンタクトを送り合うが、やがて観念したかのようにリオンが切り出していく。
「ああ、予測の通りだ。まったく、なにからなにまでお見通しってことかよ」
「そう、うんざりなさんなっての。ハルムートで起こった事件のあれやこれやは、連合にも知れ渡ってるからなぁ。お前が『デュランダル』と組んでるとなりゃあ、俺みたいなのに当たりをつけるのは当然のことだろうさ」
「それならむしろ、話が早いな。ご察しの通り、俺らはあんたに話を聞きたくて来たんだ。“義賊連合”がなんで再結成されているのかってのも疑問だが、そのうえで『タタラ教団』なんかと、どうして繋がりを持ってる?」
もはや小細工など無駄だと判断し、リオンはできる限り率直に問いかけていく。それを受け、やはりキラは特に言いよどむこともなく、実に雄弁に答えてくれた。
「連合に関しては3年程前、元幹部の面々から再結成の話が上がったんだよ。なにせ、解散後も行く当てがないメンバーは大勢いたからな。そういうやつらの居場所として、こうして新生・“義賊連合”を立ち上げたってわけだ。まぁ、まだまだ形だけのもんだが、それでも一応、組織としてのトップを決めなきゃあならないだろう? そこで“くじ引き”したら、俺が大当たり引いちまったってわけよ」
「そんな理由かよ……まぁ、連合については分かったよ。そのうえで、なんでまた『タタラ教団』なんかと手を組む必要があるんだ?」
「手を組むってのは少し、語弊があるなぁ。あくまで教団とは“ビジネス”の関係性なだけさ。連中、どうやら色々と物入りなようで、なにかと俺らが集める物資を買い求めてくれるんだ」
嬉しそうに語るその姿を、リオンはもちろん、隣に座っているアテナも真剣に見つめていた。アテナの反応を見る限り、どうやらキラはこの場において“嘘”はついていないらしい。となれば、彼が語るように連合と教団はあくまで“ビジネス関係”に留まっている、ということになる。
リオンに変わり、一団を率いる女隊長・アテナも堂々と質問を投げかけていった。
「教団が不穏な動きを見せていることについて、何か知り得ていることはないだろうか? すでに我々の目の前でも、教団関係者が一人、殺されている。どうにも過激すぎるやり口だと思うのだがね」
「あの闇商人のことですな。ひどいことするもんで、実は俺らもそれをきっかけに、教団のことは警戒しつつあるんだ。俺らは腐っても“義賊”なもんでね。むやみやたらに人を殺すような奴らと、仲良くするってのも違う気がしてるんです」
「ほお。ということは、我々と君たち“義賊連合”の思惑は同じ――ということかな?」
「ええ。このまま誤解されたままっていうのもなんなんで、こうして和解のための場を設けたかった、というわけですな」
その“長”の言葉をどこまで信頼すべきか、一同は慎重に見極めていった。一応のところ、連合と教団の関係性やキラらの思惑にはそれほど違和感はないように思える。
精鋭部隊の面々が慎重になる一方で、キラという盗賊をかつてから知るリオンは、思いの外大胆に一歩を踏み出していく。
「俺みたいなのが言うのもなんだが、信じてもいいかもな。キラは盗賊だが、裏で手練手管を駆使するようなタイプじゃあないよ。やらないっていうより、そういう小細工ができない“タチ”なんだ」
「なんだか随分、俺が単純脳みそみたいな言い方だなぁ。まぁでも、リオンの言う通りさ。俺らにとっちゃ、連合っていう居場所が安定してくれることが最優先なんだ。教団がきな臭い連中だというなら、距離を取るのが妥当だと考えている」
やはりアテナは彼の目をじっと見つめ、それが嘘ではないと悟る。隊長の大きな頷きを確認し、隊員たちもわずかに肩の力を抜いた。
一時はどうなることかと思ったが、それでも思いの外、“義賊連合”はリオンらと友好的に対話をしてくれた。キラはお茶請けに並んだクッキーをばりばりと咀嚼しながら、悪ガキのような笑みを浮かべている。
「俺としちゃあ、これをきっかけに是非とも『デュランダル』の皆さんとも、仲良くしていきたいんだよね。こうしてそちらを招き入れたのも、実はそういう下心おおありってわけさ」
その意味深な言い回しに、包帯を巻いた男・ニーアが慎重に問いかける。
「僕ら『デュランダル』と? それはどうにも、突拍子もない話に思えますけど……」
「さっきも言ったように、これからの連合は真っ当で、堂々とした軍団にしていきたいわけよ。『デュランダル』のような公的機関と仲良くしてるとなれば、俺らとしても“箔”がつくしね。持ちつ持たれつの関係性を作れたらなぁって思ってたところなんだ」
おそらくそうやって、新たなる“義賊連合”は急速にその勢力を拡大しているのだろう。彼らは昔のような陰に生きる存在としてではなく、陽の光の下、臆することなくその存在を知らしめる、一大組織として連合を再構築しようとしている。
ある意味で、キラの腹の中は実に分かりやすい。『デュランダル』も『タタラ教団』も、結局のところ、連合は自分たちにとって“利”となる存在を抱え込みたいだけなのだ。
その清々しいまでの“強欲”っぷりは、むしろ一同に妙な納得すらもたらしてくれる。アテナはクッキーを遠慮なく頬張りながら、「ふうむ」と頷いてしまった。
「なんとも分かりやすいことだな。“義賊連合”と我々が手を組む、か。本部の人間たちが、なにかと目くじらを立てそうな提案だよ」
「もちろん、俺らもそちらに“利”になるよう配慮させてもらいますよ。何せこの世に“タダ”ほど信頼できないものはありませんからね。物資に情報、裏社会のあれこれなど、ご要望とあればできる限りは協力しますんで」
「それは心強いな! リオンもそうだったが、我々では知り得ない“そちら側”の知識というのは、是非とも興味があるよ」
ぐいぐいと話を進めてしまうアテナに、リオンですらどこかたじろいでしまう。しかし、隊長のある意味、いつも通りの姿に、隊員たちも黙したままそのやりとりを見守っていた。
キラはコーヒーで喉を潤し、温かいため息まじにさらなる決定的なひと言を告げてみせる。
「しかも、皆さんは随分と運が良い。実は明日、『タタラ教団』がこのアジトにやってくるんです。しかも、教団のトップ――教祖様直々に、ね」
「なんだって? わざわざ、教団がここに?」
「もし、教団に問いただしたいことがあるなら、それこそこちらで場を整えますよ。なんならこんな感じで飯でも食いながら、思う存分、話してみればいい」
キラはあっけらかんとしているが、彼の損得を見極める審美眼の鋭さに、リオンはため息をついてしまう。おそらく彼は、『デュランダル』と『タタラ教団』という二つの組織を天秤にかけ、そのうえで前者を取ったのだろう。
これもまた、リスクを繊細に見極めるキラだからこその、素早い判断だった。なんとも現金な性格ではあったが、それでも組織を安全な方向に導くという意味では、そう間違った選択であるとも言い難い。
腹の中を明かし、なおもキラは不敵に笑う。彼のその右目ではなお、“女王の涙”という異名を持った青い宝石が輝いている。
「戦時中でもないんだから、今時、組織同士でバチバチなんて流行らないでしょ? 俺らの目標は“世界平和”――悪い奴がいなくなって、皆がハッピーならそれでいいわけよ。それこそ、まずは俺らにとっての“世界”であるこの連合が潤うことが、なによりだと考えてるってこと。お分かりかな?」
ケラケラと笑う褐色肌の男の姿は、一同の心に軽々と寄り添ってくる。その気安さがどこか心地よい一方で、簡単に気を許してしまいそうな危うさもリオンらは感じてしまった。
信じるべきか、疑うべきか。その狭間で揺れるリオンらの姿を、部屋の片隅から密かに見つめる影があった。
“彼”は魔導人形の影にその小柄な体を隠し、少し垂れた眼で席についた一同を観察していく。
その眼差しがリオンを――かつての“戦友”を眺め、湧き上がる感情の数々にわずかに歪んでいった。
足元を覆う絨毯の感触にわずかばかり戸惑ってしまったリオンだったが、その目に飛び込んできた光景に「あっ」と声を上げてしまう。チェルシーは部屋に入ると、奥の席に座っていた男に大きく一礼してみせた。
「仰せの通り、『デュランダル』御一行をお連れしました」
彼女の言葉を受け、奥にいた男性はすぐさま手をかざす。彼は「もっと近くへ」と、一同を手招きし、チェルシーはリオンらの代わりに部屋の外へと出ていく。
警戒しながらも前に出る一同だったが、そこにいた男の姿にリオンだけが激しくうろたえてしまう。巨大な椅子に堂々と腰かけた男性は、葉巻の煙をくゆらせながらにんまりと笑ってみせた。
「やあやあ皆さん、こりゃあどうも。わざわざ『デュランダル』の精鋭部隊が、こんなしみったれた所まで、よく来てくれたもんですよ」
なんとも軽々しい物言いに、件の精鋭部隊たちがそれぞれ反応する。一団の先頭に立つ女騎士・アテナは、対峙した男性の姿に「ほお」とやはりどこか嬉々とした笑みを浮かべていた。
一同を待ち構えていたのは、褐色の肌を持つ男性であった。白いシャツに半ズボン、サンダルという軽装なのだが、特筆すべきは彼が全身、至る箇所に装着した“アクセサリー”の数々である。
左右の耳にはおびただしい量のピアスが並び、金髪を編み込んだドレッドヘアにもいくつものリングやチェーンが取り付けられていた。腕輪が足首にまで装着され、首飾りや指輪が様々な箇所でギラギラとした輝きを放っている。歳は30後半といったところで、少し垂れた眠そうな眼差しが目の前に立つ一同を観察していた。
真っ白に輝く歯を見せながら、彼はどこか嬉しそうに笑う。また一つ、男が葉巻をくゆらせると、なんとも甘い果実のような香りが部屋の中に広がった。男はなぜか左目だけを開き、三白眼で一同をまじまじと見つめている。
そんな彼に対し、アテナが臆することなく堂々と真正面から斬り込んでいく。
「君がこの“義賊連合”の“長”を務める人物かな? どうやら、我々がここに来ることを知り得ていた、という感じだが」
「はじめまして。“義賊連合”のトップをやらせてもらってる、キラってものです。隊長殿がおっしゃる通り、うちらの情報網はなにせ別格なんでね。精鋭部隊である『デュランダル』がどう動くか察するくらいは、朝飯前ってことですよ」
「なるほどなぁ、恐れ入ったよ! しかし、我々が聞き及んでいる限りでは“義賊連合”はそもそも、解散したということではなかったかな? なぜそれが、こうしてまた復活しているんだい」
「これはこれは、よくご存じで。まぁ大方、そこにいる“義賊”さんから伝達済みってことでしょうね。なぁ――リオン?」
唐突に語りかけられ、リオンは全身に力を滾らせてしまった。一方、語りかけてきた“長”ことキラはなおも肩の力を抜いて笑っている。『デュランダル』の面々の視線が集まるなか、リオンはどこか歯噛みしながらそれでも言葉を絞り出した。
「驚いたよ。“長”ってのが誰かと思っていたんだが、まさかあんただとはな。キラ?」
「俺みたいな半端者がトップじゃあ、不服かい? なにせお前さんは、かつての長――ヴァンの一番弟子みたいなもんだったからなぁ。色々と、思う所もあるだろうに」
「いや、不満は特にないさ。あんただって、前の“連合”では幹部として活躍していたんだ。十分、長の素質はあると思うぜ。“宝石眼(ジュエルアイ)”のキラといえば、有名だからな」
リオンの言葉を受け、キラは「にひひ」と白い歯を見せて笑った。彼は“宝石眼”という単語に反応するかのように、閉じていた右目を開く。彼の表情はあどけなかったが、一方でその右目の異様な光景に一同は息をのんでしまった。
キラの右目には眼球ではなく、大きな“宝石”がはめ込まれている。どうやら大粒のサファイアのようで、彼が笑うたびに青い輝きがぎらぎらと揺れていた。
「最近手に入れた、“クイーンズ・ティア”って一品なんだ。どうだ、目ん玉にするには、いい具合だろ?」
無邪気に語るキラに対し、リオンはどこかうんざりしたようにため息をついてみせる。彼を深く知るリオンにとって、目の前の“長”の気質がまるで昔から変わっていないことを悟り、少しだけ肩の力が抜けてしまった。
「お宝を体中に散りばめようとするその“強欲”っぷりは、まるで衰えてないみたいだな。まぁ、元気そうで何よりだ」
「“宝”あっての盗賊よ。欲がなくなっちまったら、いい仕事もできねえからな!」
嬉しそうに笑うキラを前に、なおもリオンは脱力せざるをえない。『デュランダル』の面々はどこかその独特の雰囲気に気圧されてしまったようで、笑みを浮かべているのはそれこそ隊長・アテナくらいのものである。
キラ=シャーディアといえば、かつての“義賊連合”でヴァンに負けず劣らずの活躍を見せていた、名うての盗賊だ。その高い実力から連合幹部にまで上り詰めたものの、本人からすれば己の肩書などにはあまり興味がなかったようで、至って自由気ままに振舞い続けていたのをリオンはよく覚えている。
とにかく“強欲”という一言では計り知れないほどの欲深い人物で、自身が獲得した品々を所かまわず身に纏い、周囲の面々にひけらかすことでも有名であった。その二つ名の通り、お気に入りの宝石を“義眼”代わりに使ったりと、なにかと癖の強い人物でもある。
部屋に足を踏み入れてからというもの、一同はキラが身に纏うその独特の気配に完全に飲まれてしまっていた。リオンやアテナを除く面々はもちろんのこと、同行者としてついてきていたハーディまでも圧倒され、生唾を飲み込んでいる。
そんな一同を前に、キラはなおもどこか嬉しそうに声を弾ませた。
「まぁまぁ、立ち話もなんでしょうよ。どうせなら腰を落ち着けて、お茶でもしながらじっくり語り合いましょうや。ねえ?」
言うや否や、彼はパンパンと手を打ち鳴らす。この合図を受け、再び部屋の大扉が開いた。
てっきり、案内役を務めたチェルシーが戻ってきたのかと思っていた一同だったが、部屋に入ってきた思いがけない集団の姿に息をのんでしまう。そこにいたのは木製の大きな“人形”たちで、それぞれがひとりでに動き、机やら椅子やらを部屋の中に運び入れてくる。
予想だにしない事態になおも一同が言葉を失うなか、気が付いた時にはキラの前に大きなテーブルが置かれ、人数分の椅子が等間隔に配置されてしまう。キラは委縮してしまっているリオンらに、「さあさあ」と座るよう促した。
しばし警戒していた一同だったが、意気揚々と歩み出したアテナに続くように、それぞれが席に腰を下ろす。座るや否や、周囲を睨みつけていたダークエルフの魔導士・ココがどこか興味深そうに口を開いた。
「“魔導人形(マギアマトン)”とはね。盗賊の集まりって聞いてたけど、魔法の心得があるやつもいるのかしら?」
「おっ。お嬢さん、鋭いねぇ。うちは来るもの拒まずってスタンスだから、色んな奴が集まって、協力し合っているってわけよ。魔法使いはもちろん、格闘家に賞金稼ぎ、機工士に獣使い、なかには料理人や放浪作家なんかもいるんだぜ」
ココが「ふぅん」とつまらなそうにするなか、リオンはやはり周囲でてきぱきと準備をする“魔導人形(マギアマトン)”の姿に眉をひそめてしまう。すぐ隣に座るアテナは紅茶を差し出してきた人形に「こりゃあどうも」と笑っていたが、あいにくリオンはその人形の造詣を前に、とある人物の顔を思い出していた。
少し顔をしかめてしまうリオンだったが、こうしている間にも人形たちは準備を続け、人数分のコーヒーと茶菓子を整えてしまう。
一室が“応接間”に早変わりしてしまったことで、キラは本題を切り出していく。
「これでよし、と。すみませんねぇ、慌ただしくしちゃって。あらかじめ、準備ができてりゃあ良かったですけど、皆さんがどの便に乗り込むかまではさすがに分からなかったもんですからね」
「いやいや、構わんさ。丁重なおもてなし、感謝する。しかし、こう言っちゃあなんだが、我々が思っていた“義賊”というイメージとは随分と雰囲気が違っているのだね」
「よく言われますよ。“義賊”っていえば、ギラギラした裏社会の面々が集まってるって思われがちですが、少なくともうちはそういうのはやめにしたんです。もっとこう、時代に合わせたクリーンな経営をやろうと思いましてね」
言いながらもキラは、手元のコーヒーに口をつける。彼はその香りを存分に楽しんでいたが、一方でリオンらは安易に目の前に差し出されたものに手を出すことができない。
どれだけキラの姿が気安くとも、まだまだ油断は禁物だった。なにせここは、“義賊連合”の本拠地なのだ。この茶菓子やコーヒーにも、何かしらの薬品が仕込まれているという可能性もある。
それを察したのか、やはりココが目の前の品々に手をかざし、意識を集中した。彼女の眼が魔力の光を放ち、触れずにして様々な情報を読み取っていく。
やがて彼女は、アテナに向けて黙したまま目で合図を投げかけた。どうやら「大丈夫」ということらしく、ようやく一同はコーヒーに手をかける。リオンも恐る恐る口をつけたが、上品な香りが肉体の緊張を一気にほぐしてくれた。おそらくこれも、高級な豆を使った一品なのだろう。
なにから問いかけるべきか――と言葉に迷う一同だったが、やはりその心中を見透かしたかのように、キラがぐいぐいと話題を進めてしまう。
「さて、と。早速だが、本題に入ろうか。皆さんの目当ては俺――“義賊連合”の人間でありながら、同時に『タタラ教団』にかかわりを持つ人間に話を聞く――それが、目的ということですよね?」
ずばり言い当てられたことで、全員が息をのむのが分かった。本来ならば少しずつ切り出そうと思っていた話題を、キラはあえて自身から堂々と目の前に掲げてしまう。
彼の言う通り、リオンらがここにやって来たのは、目の前にいるキラなる人物を追求するためだった。彼は『タタラ教団』と関わりを持ちながら、同時に“義賊連合”にも名を連ねる、なんとも特殊な経歴の持ち主として『デュランダル』に兼ねたからマークされていた人物なのである。
とはいえ、まさかそのキラが“義賊連合”の長という座についているとは、夢にも思わなかった。一同は黙したままアイコンタクトを送り合うが、やがて観念したかのようにリオンが切り出していく。
「ああ、予測の通りだ。まったく、なにからなにまでお見通しってことかよ」
「そう、うんざりなさんなっての。ハルムートで起こった事件のあれやこれやは、連合にも知れ渡ってるからなぁ。お前が『デュランダル』と組んでるとなりゃあ、俺みたいなのに当たりをつけるのは当然のことだろうさ」
「それならむしろ、話が早いな。ご察しの通り、俺らはあんたに話を聞きたくて来たんだ。“義賊連合”がなんで再結成されているのかってのも疑問だが、そのうえで『タタラ教団』なんかと、どうして繋がりを持ってる?」
もはや小細工など無駄だと判断し、リオンはできる限り率直に問いかけていく。それを受け、やはりキラは特に言いよどむこともなく、実に雄弁に答えてくれた。
「連合に関しては3年程前、元幹部の面々から再結成の話が上がったんだよ。なにせ、解散後も行く当てがないメンバーは大勢いたからな。そういうやつらの居場所として、こうして新生・“義賊連合”を立ち上げたってわけだ。まぁ、まだまだ形だけのもんだが、それでも一応、組織としてのトップを決めなきゃあならないだろう? そこで“くじ引き”したら、俺が大当たり引いちまったってわけよ」
「そんな理由かよ……まぁ、連合については分かったよ。そのうえで、なんでまた『タタラ教団』なんかと手を組む必要があるんだ?」
「手を組むってのは少し、語弊があるなぁ。あくまで教団とは“ビジネス”の関係性なだけさ。連中、どうやら色々と物入りなようで、なにかと俺らが集める物資を買い求めてくれるんだ」
嬉しそうに語るその姿を、リオンはもちろん、隣に座っているアテナも真剣に見つめていた。アテナの反応を見る限り、どうやらキラはこの場において“嘘”はついていないらしい。となれば、彼が語るように連合と教団はあくまで“ビジネス関係”に留まっている、ということになる。
リオンに変わり、一団を率いる女隊長・アテナも堂々と質問を投げかけていった。
「教団が不穏な動きを見せていることについて、何か知り得ていることはないだろうか? すでに我々の目の前でも、教団関係者が一人、殺されている。どうにも過激すぎるやり口だと思うのだがね」
「あの闇商人のことですな。ひどいことするもんで、実は俺らもそれをきっかけに、教団のことは警戒しつつあるんだ。俺らは腐っても“義賊”なもんでね。むやみやたらに人を殺すような奴らと、仲良くするってのも違う気がしてるんです」
「ほお。ということは、我々と君たち“義賊連合”の思惑は同じ――ということかな?」
「ええ。このまま誤解されたままっていうのもなんなんで、こうして和解のための場を設けたかった、というわけですな」
その“長”の言葉をどこまで信頼すべきか、一同は慎重に見極めていった。一応のところ、連合と教団の関係性やキラらの思惑にはそれほど違和感はないように思える。
精鋭部隊の面々が慎重になる一方で、キラという盗賊をかつてから知るリオンは、思いの外大胆に一歩を踏み出していく。
「俺みたいなのが言うのもなんだが、信じてもいいかもな。キラは盗賊だが、裏で手練手管を駆使するようなタイプじゃあないよ。やらないっていうより、そういう小細工ができない“タチ”なんだ」
「なんだか随分、俺が単純脳みそみたいな言い方だなぁ。まぁでも、リオンの言う通りさ。俺らにとっちゃ、連合っていう居場所が安定してくれることが最優先なんだ。教団がきな臭い連中だというなら、距離を取るのが妥当だと考えている」
やはりアテナは彼の目をじっと見つめ、それが嘘ではないと悟る。隊長の大きな頷きを確認し、隊員たちもわずかに肩の力を抜いた。
一時はどうなることかと思ったが、それでも思いの外、“義賊連合”はリオンらと友好的に対話をしてくれた。キラはお茶請けに並んだクッキーをばりばりと咀嚼しながら、悪ガキのような笑みを浮かべている。
「俺としちゃあ、これをきっかけに是非とも『デュランダル』の皆さんとも、仲良くしていきたいんだよね。こうしてそちらを招き入れたのも、実はそういう下心おおありってわけさ」
その意味深な言い回しに、包帯を巻いた男・ニーアが慎重に問いかける。
「僕ら『デュランダル』と? それはどうにも、突拍子もない話に思えますけど……」
「さっきも言ったように、これからの連合は真っ当で、堂々とした軍団にしていきたいわけよ。『デュランダル』のような公的機関と仲良くしてるとなれば、俺らとしても“箔”がつくしね。持ちつ持たれつの関係性を作れたらなぁって思ってたところなんだ」
おそらくそうやって、新たなる“義賊連合”は急速にその勢力を拡大しているのだろう。彼らは昔のような陰に生きる存在としてではなく、陽の光の下、臆することなくその存在を知らしめる、一大組織として連合を再構築しようとしている。
ある意味で、キラの腹の中は実に分かりやすい。『デュランダル』も『タタラ教団』も、結局のところ、連合は自分たちにとって“利”となる存在を抱え込みたいだけなのだ。
その清々しいまでの“強欲”っぷりは、むしろ一同に妙な納得すらもたらしてくれる。アテナはクッキーを遠慮なく頬張りながら、「ふうむ」と頷いてしまった。
「なんとも分かりやすいことだな。“義賊連合”と我々が手を組む、か。本部の人間たちが、なにかと目くじらを立てそうな提案だよ」
「もちろん、俺らもそちらに“利”になるよう配慮させてもらいますよ。何せこの世に“タダ”ほど信頼できないものはありませんからね。物資に情報、裏社会のあれこれなど、ご要望とあればできる限りは協力しますんで」
「それは心強いな! リオンもそうだったが、我々では知り得ない“そちら側”の知識というのは、是非とも興味があるよ」
ぐいぐいと話を進めてしまうアテナに、リオンですらどこかたじろいでしまう。しかし、隊長のある意味、いつも通りの姿に、隊員たちも黙したままそのやりとりを見守っていた。
キラはコーヒーで喉を潤し、温かいため息まじにさらなる決定的なひと言を告げてみせる。
「しかも、皆さんは随分と運が良い。実は明日、『タタラ教団』がこのアジトにやってくるんです。しかも、教団のトップ――教祖様直々に、ね」
「なんだって? わざわざ、教団がここに?」
「もし、教団に問いただしたいことがあるなら、それこそこちらで場を整えますよ。なんならこんな感じで飯でも食いながら、思う存分、話してみればいい」
キラはあっけらかんとしているが、彼の損得を見極める審美眼の鋭さに、リオンはため息をついてしまう。おそらく彼は、『デュランダル』と『タタラ教団』という二つの組織を天秤にかけ、そのうえで前者を取ったのだろう。
これもまた、リスクを繊細に見極めるキラだからこその、素早い判断だった。なんとも現金な性格ではあったが、それでも組織を安全な方向に導くという意味では、そう間違った選択であるとも言い難い。
腹の中を明かし、なおもキラは不敵に笑う。彼のその右目ではなお、“女王の涙”という異名を持った青い宝石が輝いている。
「戦時中でもないんだから、今時、組織同士でバチバチなんて流行らないでしょ? 俺らの目標は“世界平和”――悪い奴がいなくなって、皆がハッピーならそれでいいわけよ。それこそ、まずは俺らにとっての“世界”であるこの連合が潤うことが、なによりだと考えてるってこと。お分かりかな?」
ケラケラと笑う褐色肌の男の姿は、一同の心に軽々と寄り添ってくる。その気安さがどこか心地よい一方で、簡単に気を許してしまいそうな危うさもリオンらは感じてしまった。
信じるべきか、疑うべきか。その狭間で揺れるリオンらの姿を、部屋の片隅から密かに見つめる影があった。
“彼”は魔導人形の影にその小柄な体を隠し、少し垂れた眼で席についた一同を観察していく。
その眼差しがリオンを――かつての“戦友”を眺め、湧き上がる感情の数々にわずかに歪んでいった。
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