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第16話 希望か、罠か
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まだ昼過ぎだというにも関わらず、漁港にはほとんど人影が見えない。この時間ならば本来、多くの漁師たちが自前の船を駆り、沖合へと漁に出ているはずなのだが、誰も彼もがこの日ばかりは家に引きこもり、ゆるゆるとした時間を過ごしていた。
なにせこの濃い“霧”では、いくら凄腕の漁師たちでも満足に漁をこなすことなど出来はしない。あたり一面を覆うように滞留した白い霧の海は、沖合の景色はもちろん、すぐ目の前の波の姿すら満足に確認させてくれない。
そんな閑散とした霧の漁港に、巨大な船影が近付いてくる。彼らは物陰に身を潜め、近付いてくる一隻をじいと見つめていた。
その中の一人――ワイン樽の影からわずかに身を乗り出したリオンが、驚いたように声をあげてしまう。
「冗談だとばかり思っていたけど、本当だったんだな。まさかこんな霧の日に、“連絡船”が来るなんて」
リオンだけでなく、周囲に布陣した『デュランダル』7番隊の面々も、滑り込んでくる船の姿をまじまじと観察している。そんな一同の背後で、守護隊とは本来無関係な一人の“リザードマン”が声をあげた。
「なっ、なぁっ!? 嘘じゃあねえだろう? 俺ぁ、正真正銘、本当のことを言ったまでさぁ」
全員の目がその小さな姿に集中する。視線の束を受け止め、リザードマンの男性は「ひっ」と身をすくませてしまった。
かつて凶悪犯として各地で横暴の限りを尽くしていたその面影は、今やどこにもない。リオンと7番隊の面々を一時は苦しめた彼が、今となっては何かにつけて過剰に怯え、ビクビクしながら身をすくませている。
“ブリュレ兄妹”の長兄・ハーディは、情けないほどに狼狽し、周囲の面々の顔色を窺っている。その姿にリオンは苦笑してしまうが、すぐに視線を彼方の連絡船へと移した。
「疑って悪かったよ。荒唐無稽な話だったんで“まさか”って感じだったんだが、真実だったみたいでなによりだ」
リオンの言葉を受け、ハーディが「なっ?」と幾度とくなく問いかけてくる。その怯えようからすると、“嘘”をついた瞬間、自分がどんな目に遭うのか、あれこれと想像してしまっているのだろう。その証拠に、彼の目はちらちらと隣に立つ狐型獣人の女性・カンナを見つめている。かつて自身の妹・ピーギィを再起不能に陥れた剣士が、恐ろしくて仕方ないのだ。
7番隊の面々にその耳寄りな情報が舞い込んできたのは、つい2日ほど前の出来事であった。「タタラ教団」と“義賊連合”という二つの要素を併せ持つ、とある人物について、コンタクトを取る方法を知る人間が見つかったのである。
それこそ、『デュランダル』が拘留していた凶悪犯・ハーディであった。彼は尋問の末に口を割り、自身が7番隊が探し続けているとある人物と、接点を持っているということを白状したのである。
善は急げ――と、7番体の面々はハーディを引き連れ、総出でこの港町へとやってきた。霧が色濃く海を覆う日のみ、普段は現れることのない特殊な連絡船が港を訪れる。それこそが、リオンらが探しているある人物の元へと辿り着ける、唯一の手段なのだ。
様子を伺う一同の目の前で、連絡船が港に停泊する。船の姿を見つめながら、隊長である女騎士・アテナは不適な笑みを浮かべていた。
「随分と粋な計らいだな。霧に隠れて人々を運ぶ船、か。表舞台から身を引き、影で活躍する者たちだけが知っている、特別便というやつか」
連絡船を見つめる彼女の目は、どこか純粋な子供のように好奇心の輝きで満ち満ちている。隊長が見せる緊張感のない姿に苦笑しつつも、外套を目深に被ったニーア、カンナも思わず呟いていた。
「乗り込む人間はいなさそうですね。港に住む人間たちもきっと、今日、この船がやってくることを知らないのかもしれません」
「まるで“幽霊船”みたいやねぇ。乗ったら最後、彼岸にまで連れていかれそうやわぁ」
リオンも停泊している連絡船を慎重に観察する。ハーディの言葉通りに霧の港に船はやってきたが、だからと言ってまだ、彼の言葉をすべて信じ切るわけにはいかない。もしかすればこれ自体が罠で、乗り込んだが最後、カンナの言葉通り“あの世”送りになる可能性すらありえるのだ。
どうすべきかと考えあぐねる一同のなかで、ダークエルフの女性・ココが気怠そうに告げる。彼女は杖でハーディの背を突いていた。
「まっ、その点は大丈夫じゃない? もしこいつが嘘をついてるなら、今頃、私が仕掛けた“呪印”が発動してるだろうし」
彼女の言葉で、リオンも改めて思い出してしまう。今回、ハーディを同行させるにあたり、彼がどこかで裏切らないよう、ココは既に手を打っていた。かつて、闇の商人・トモジが教団に仕込まれていたものと同様に、ココはハーディの肉体に術式を刻み込み、彼が嘘をついた瞬間に発動する“呪印”を仕込んでいたのである。
魔法使いならではの機微だったが、かといえ、発動した瞬間に肉体を串刺しにするような、無慈悲なことはするつもりはなかった。ココが仕込んだ“呪印”はハーディの全身に電撃を走らせ、その肉体を麻痺させてしまう効果を秘めている。
念を押されたことで、ハーディがまた声をあげてたじろぐ。かつての凶悪犯も、こうなってしまっては形無しである。
「だぁからぁ、嘘じゃねぇっての! あれに乗りゃあ、“義賊連合”のアジトに連れて行ってくれるぅ。一部の悪党しか知らねえ、特別便なんだよぉ」
怯えるリザードマンを尻目に、リオンは再び停泊している連絡船へと視線を戻した。物陰に身を潜ませたまま、慎重に隣のアテナに問いかける。
「俺ら以外に利用客はいないみたいだな。それで、ここからどうするんだ?」
「決まってるだろう。ここまできて、海と船を眺めてさよなら――なんて、もったいない。せっかくこうして来てくれたのだから、しっかりと連れて行ってもらうさ。“義賊連合”のアジトに――な?」
半ば分かりきっていた隊長の一言に、隊員たちは覚悟を決める。あっけらかんと言ってのけたアテナだったが、彼女の言葉がきっかけとなり一同は物陰から飛び出し、ただちに連絡船へと近付いていった。
タラップを渡り船内に乗り込むと、外套を目深に被った男が無言のまま、ハンドサインのみで「こっちへ」と合図してくれる。予想外の出迎えに警戒心を強めてしまった一同だが、黙したまま目線で合図を交わし、おとなしく案内役についていく。
案内された先は快適な船室などではなく、積荷が乱雑に配置された船底近くの貨物室だった。椅子一つ置かれていないその無機質な空間に、既に数名の乗客が腰を下ろし、到着の時を待っている。
リオンらはやはり多くを語らず、黙ってこの船の“しきたり”に従う。おそらく、ここにいる誰も彼もがいわゆる“わけあり”な人物ばかりなのだろうが、彼らは皆一様に口を閉じ、極力周りと関わり合いを持たないように身を縮ませていた。
異様な沈黙が貨物室を包むなか、リオンらも壁際へと腰を下ろし、息を潜める。しばらくすると床下から“ごぅん”という大きな振動が伝わり、船が再び動き出したことが分かった。
誰一人、言葉を発することはなかった。ただ黙したまま、この違法な連絡船が目的地へと辿り着くのを、静かに待ち続ける。
リオンは黙ったまま周囲の面々の顔を見渡したが、そこに浮かぶ表情は三者三様、実に様々だった。
相変わらずどこかわくわくしながら、微笑んでいるアテナ。彼女同様に静かに口元を緩ませているカンナ。どこか緊張した面持ちのニーアに、いつも通りぶすっとした不機嫌な眼差しのココ。同伴者であるハーディはというと、少し飛び出た大きな眼をぐりぐりと動かしながら、実に挙動不審に周囲を警戒している。
この先に何が待つのか、リオンにも皆目見当がつかない。かつて彼も“義賊連合”に所属していた身だが、一団をまとめ上げる男――リオンが“師”として慕っていた盗賊・ヴァンの死により、連合は崩壊したはずである。だからこそ、いまだに“義賊連合”が根城としている地があるなど、初耳であった。
普段、リオンは直感という不確かなものは信じない主義なのだが、なぜかこの時ばかりは妙な胸騒ぎがしてならなかった。まだ目的地にすらついていないというのに、その指先は外套の下で、腰に刺したままの自身のナイフを押さえ、その位置や感触を確かめてしまう。
何かが起こる――そんな漠然とした不安を抱いたリオンらを乗せたまま、船は刻々と霧に包まれた海の中を進み続けた。
30分か、1時間か――正確な時間も分からない一同の肉体を、また一つ、“ごぅん”という大きな振動が襲う。誰しもが目を丸くして驚くなか、またしても連絡船の案内人が現れ、無言のまま「出ろ」と腕で合図を送った。
乗客たちはそれに従い、一人、また一人と黙って貨物室を出ていく。リオンらは再び視線で互いに合図を送り、その流れに続いていった。
一同はタラップを進みながら、目の前に広がっていた光景に唖然としてしまう。いつのまにか霧が晴れ渡り、眼前の景色を昼過ぎの太陽光が鮮やかに照らし出していた。
連絡船がたどり着いたのは、ある小さな島であった。船は入江に造られた即席の港に停泊したようだが、先程の漁村とは打って変わって、多くの人間が港で作業を続けている。
漁業用の道具を手入れする者、船から下ろした積荷をせっせと仕分けする者、大きな建材を担ぎ運ぶ者――リオンらがざっと見ただけでも、港では2、30名の人間がせっせと働いており、島自体が実に活気付いているように思える。
周囲を警戒しつつも、真っ先に包帯まみれの男・ニーアが「ふむ」と声をあげた。
「ここが“義賊連合”のアジト――ですか。見た限りは、離小島を利用した一般的な漁村に見えますけども」
それは概ね、誰しもが真っ先に抱いた感想だったのだろう。ココが杖でハーディの背中を小突きつつ、より一層、不機嫌なトーンで問いかけた。
「あんた、適当な場所に案内したんじゃあないでしょうね。これのどこが、“義賊連合”なのよ」
「ほ、本当だってぇ! 連合はこの島を拠点に活動してんだよ。ごく一部の人間しか、その事実は知らねぇ。無闇にばらしでもすりゃあ、“長”に八つ裂きにされちまうんだよぉ」
慌てて弁明するハーディだったが、彼の口をついて出た“長”という言葉が一同には気になった。腕を組んだまま、アテナが変わらず不適な眼差しを浮かべる。
「責任者がいるというならば、その者と対話するのが手っ取り早いだろうな! その“長”とやらは、どこにいるんだ?」
「そこまでは、知らねえ――いや、本当だってぇ! 連合の長は、そう簡単に人前に姿は現さねえんだ。居場所なんて、一部の人間しか伝えられてねえよぉ」
あたふたと説明するハーディに、なおもココは「本当にぃ?」と凄んでみせる。だが、彼女の圧に対する反応を見る限り、ハーディが嘘をついているとは思い難い。
念願の“義賊連合”のアジトにはたどり着けたのだが、ここからの一手を一同は悩んでしまう。
リオンらが探す人物――“義賊連合”に名を連ね、その上、「タタラ教団」にも関わりを持っているある“男”は、もしかしたらこの島のどこかにいるのかもしれない。その居場所や経歴などを聞き出すには、アテナが言う通り、連合の“長”たる人物に協力を仰ぐのが手っ取り早いだろう。
しかし、改めて考えると、“義賊連合”の権力者がそう易々と協力してくれるとも思い難い。なにせ、かつて連合に所属していたリオンはまだしも、その周囲を固めているのは城塞都市を守護する精鋭部隊『デュランダル』の面々なのである。本来、“義賊”たちからすれば、目の敵とすら思える存在なのだ。
そんな一同に、連合の人々が易々と情報を提供してくれるか、実に怪しいものである。むしろ、リオンらの素性がバレた途端、四方八方から襲いかかって来られる可能性すら否めない。
お目当ての“男”の居場所を探ろうにも、自分たちの経歴を隠し通さなければいけないのは、実にやりづらかった。
何から手をつけるべきか――一手を決めあぐねる一同の背後から、唐突に女性の声が投げかけられる。
「“長”ならば、すでに待機して皆様をお待ちしております。『デュランダル』の皆様、ようこそおいでくださいました」
何気ない一言ではあったが、誰しもが目を見開き一斉に振り返ってしまう。いつのまにか一同のすぐそばに、一人の女性が立っていた。
誰一人、彼女が近付いてくる気配を察知することができなかった。女性のどこか人間離れした存在感に圧倒される一同だったが、一方で彼女はぺこりとお辞儀をし、丁寧な口調で続ける。
「そちらはリオン様、でしたね。それと、ハーディ=ブリュレ様。現在は『デュランダル』の皆様と協力されておられると聞き及んでおります。私、“長”より皆様の案内を任されております、チェルシーと申します。以後、お見知りおきを」
実に丁寧な言葉遣いだったが、それよりもリオンたちは彼女の容姿に目を奪われてしまった。短く柔らかな銀髪と白い肌が実に美しい女性だったが、リオンらを見つめるそのまなざしは凄まじい眼光を放っている。元々目が大きいのだろうが、それにしてもまばたきを極力せず、こちらをじっと、真正面から臆することなく観察しているようだ。
チェルシーの“眼力”に誰しもがたじろぐなか、やはり7番隊の“長”を務める彼女が、物怖じなどせずに堂々と切り返す。
「これはこれは、出迎えとはありがたいな! しかし、随分と我々の素性に詳しいじゃあないか。今回、極秘でこちらにお邪魔させてもらったはずなのだが?」
「我ら、“義賊連合”の情報網のたまものです。“長”の元には古今東西、あらゆる情報が集まりますので」
アテナとチェルシーのやり取りは実に懇切丁寧だったが、一方でその内容にはどうにも不穏な気配が漂っている。『デュランダル』の面々が極秘裏にこの“義賊連合”に潜入しようとしている計画は、どうやらはなから筒抜けだったらしい。
一体全体、どうしてそんな極秘情報までをも把握しているのか――しかし、一同が困惑するなか、あくまで淡々と案内役の女性・チェルシーはリオンらを導いていく。
「こちらで立ち話もなんでしょう。“長”の元にご案内いたします。“長”が皆様に強い興味を抱かれているようですので」
言うや否や、彼女はそそくさと先陣を切って歩き始めてしまう。リオンらはしばしその背中を見つめたまま、うろたえ立ち尽くすほかなかった。
そんななか、カンナが「あらあらぁ」と少し間延びした声を漏らす。
「なんか、最初からはすべてお見通しやったみたいね。こそこそなんかして、損してもうたみたい」
彼女は柔らかに笑っていたが、一方でその隣に立つココは眉間に深々としわを刻み、港にいる連合の面々を睨みつけていた。
「ってことは、こいつらも皆、最初から私たちの正体を知っていて、泳がせてたってことね。一杯食わされたみたいで、嫌な感じ」
連合のアジトで秘かに情報収集をするつもりが、すでに状況は大きく変化しつつある。アジトにいる連合の面々がこちらの正体に勘付いているとなれば、いつ、どこから襲い掛かられてもおかしくない状態ということになってしまう。
あくまで、港を行き交う人々は一同を気にはしていない様子だったが、どこか彼らの姿に不穏な気配を感じてしまう。
誰が敵で、誰が味方なのか――そもそも、この場に味方などいるのか。
各々が警戒心を強めるなか、リオンは先頭に立つアテナの背中に恐る恐る問いかけた。
「なあ、どうするんだ? 案内するとは言ったが、安全だという確証はないぜ。もしかしたら、どれもこれも“罠”かもしれない」
『デュランダル』の面々が真剣な眼差しを浮かべるなか、同伴しているハーディはより一層、弱々しい眼差しで周囲を警戒していた。
そんな一同の先頭に立つ女騎士は、やはりまるで弱みを見せず、「ふんす」と荒々しく鼻息の音を立てる。
「だが、もし彼らが我々を陥れるつもりならば、逃げ場のない船上で総攻撃を仕掛ければよかっただろう? 私は少なくとも、あの案内役の女性が“嘘”をついているようには思えないんだ。乗ってみる価値は十分にあると思うぞ」
「なるほど、ね……もし、連れていかれた先に、大軍勢が待ち構えていたら?」
「それはそれで構わんさ。それなら堂々と、真正面から制圧する! 我々にとっての“いつもどおり”を通すだけだ」
一見、無策極まりない一言に思えたが、それでもアテナが口にすることでそれがどこか適当な答えではないのだ、ということが理解できてしまう。リオンが呆気に取られてしまうなか、アテナはまるで躊躇することなく案内役・チェルシーへとついていった。
一人、また一人と隊長の後を追っていく。リオンはしばし一歩を踏み出せないまま、改めて港の景色を眺めた。
誰も彼も、かつての“義賊連合”にはいなかった顔ばかりだ。この孤島に集う面々はリオンが知り得ない、新たな連合のメンバーということになるのだろう。
ならば、それをまとめ上げる“長”とは――かつての師・ヴァンにとってかわった人物とは、誰なのか。それを思うだけで、リオンの肉体にぴりりとした微かな緊張が走り抜ける。
この先に待つのは“真相”への一歩か、あるいは狂気渦巻く“罠”か。
静かに闘志を滾らせながら、それでもリオンもまた先を行く『デュランダル』の面々に続いていく。潮風が肌を撫でつけるが、その奥に滾っていく熱はまるで衰えることなく、その強さをしたたかに増していった。
なにせこの濃い“霧”では、いくら凄腕の漁師たちでも満足に漁をこなすことなど出来はしない。あたり一面を覆うように滞留した白い霧の海は、沖合の景色はもちろん、すぐ目の前の波の姿すら満足に確認させてくれない。
そんな閑散とした霧の漁港に、巨大な船影が近付いてくる。彼らは物陰に身を潜め、近付いてくる一隻をじいと見つめていた。
その中の一人――ワイン樽の影からわずかに身を乗り出したリオンが、驚いたように声をあげてしまう。
「冗談だとばかり思っていたけど、本当だったんだな。まさかこんな霧の日に、“連絡船”が来るなんて」
リオンだけでなく、周囲に布陣した『デュランダル』7番隊の面々も、滑り込んでくる船の姿をまじまじと観察している。そんな一同の背後で、守護隊とは本来無関係な一人の“リザードマン”が声をあげた。
「なっ、なぁっ!? 嘘じゃあねえだろう? 俺ぁ、正真正銘、本当のことを言ったまでさぁ」
全員の目がその小さな姿に集中する。視線の束を受け止め、リザードマンの男性は「ひっ」と身をすくませてしまった。
かつて凶悪犯として各地で横暴の限りを尽くしていたその面影は、今やどこにもない。リオンと7番隊の面々を一時は苦しめた彼が、今となっては何かにつけて過剰に怯え、ビクビクしながら身をすくませている。
“ブリュレ兄妹”の長兄・ハーディは、情けないほどに狼狽し、周囲の面々の顔色を窺っている。その姿にリオンは苦笑してしまうが、すぐに視線を彼方の連絡船へと移した。
「疑って悪かったよ。荒唐無稽な話だったんで“まさか”って感じだったんだが、真実だったみたいでなによりだ」
リオンの言葉を受け、ハーディが「なっ?」と幾度とくなく問いかけてくる。その怯えようからすると、“嘘”をついた瞬間、自分がどんな目に遭うのか、あれこれと想像してしまっているのだろう。その証拠に、彼の目はちらちらと隣に立つ狐型獣人の女性・カンナを見つめている。かつて自身の妹・ピーギィを再起不能に陥れた剣士が、恐ろしくて仕方ないのだ。
7番隊の面々にその耳寄りな情報が舞い込んできたのは、つい2日ほど前の出来事であった。「タタラ教団」と“義賊連合”という二つの要素を併せ持つ、とある人物について、コンタクトを取る方法を知る人間が見つかったのである。
それこそ、『デュランダル』が拘留していた凶悪犯・ハーディであった。彼は尋問の末に口を割り、自身が7番隊が探し続けているとある人物と、接点を持っているということを白状したのである。
善は急げ――と、7番体の面々はハーディを引き連れ、総出でこの港町へとやってきた。霧が色濃く海を覆う日のみ、普段は現れることのない特殊な連絡船が港を訪れる。それこそが、リオンらが探しているある人物の元へと辿り着ける、唯一の手段なのだ。
様子を伺う一同の目の前で、連絡船が港に停泊する。船の姿を見つめながら、隊長である女騎士・アテナは不適な笑みを浮かべていた。
「随分と粋な計らいだな。霧に隠れて人々を運ぶ船、か。表舞台から身を引き、影で活躍する者たちだけが知っている、特別便というやつか」
連絡船を見つめる彼女の目は、どこか純粋な子供のように好奇心の輝きで満ち満ちている。隊長が見せる緊張感のない姿に苦笑しつつも、外套を目深に被ったニーア、カンナも思わず呟いていた。
「乗り込む人間はいなさそうですね。港に住む人間たちもきっと、今日、この船がやってくることを知らないのかもしれません」
「まるで“幽霊船”みたいやねぇ。乗ったら最後、彼岸にまで連れていかれそうやわぁ」
リオンも停泊している連絡船を慎重に観察する。ハーディの言葉通りに霧の港に船はやってきたが、だからと言ってまだ、彼の言葉をすべて信じ切るわけにはいかない。もしかすればこれ自体が罠で、乗り込んだが最後、カンナの言葉通り“あの世”送りになる可能性すらありえるのだ。
どうすべきかと考えあぐねる一同のなかで、ダークエルフの女性・ココが気怠そうに告げる。彼女は杖でハーディの背を突いていた。
「まっ、その点は大丈夫じゃない? もしこいつが嘘をついてるなら、今頃、私が仕掛けた“呪印”が発動してるだろうし」
彼女の言葉で、リオンも改めて思い出してしまう。今回、ハーディを同行させるにあたり、彼がどこかで裏切らないよう、ココは既に手を打っていた。かつて、闇の商人・トモジが教団に仕込まれていたものと同様に、ココはハーディの肉体に術式を刻み込み、彼が嘘をついた瞬間に発動する“呪印”を仕込んでいたのである。
魔法使いならではの機微だったが、かといえ、発動した瞬間に肉体を串刺しにするような、無慈悲なことはするつもりはなかった。ココが仕込んだ“呪印”はハーディの全身に電撃を走らせ、その肉体を麻痺させてしまう効果を秘めている。
念を押されたことで、ハーディがまた声をあげてたじろぐ。かつての凶悪犯も、こうなってしまっては形無しである。
「だぁからぁ、嘘じゃねぇっての! あれに乗りゃあ、“義賊連合”のアジトに連れて行ってくれるぅ。一部の悪党しか知らねえ、特別便なんだよぉ」
怯えるリザードマンを尻目に、リオンは再び停泊している連絡船へと視線を戻した。物陰に身を潜ませたまま、慎重に隣のアテナに問いかける。
「俺ら以外に利用客はいないみたいだな。それで、ここからどうするんだ?」
「決まってるだろう。ここまできて、海と船を眺めてさよなら――なんて、もったいない。せっかくこうして来てくれたのだから、しっかりと連れて行ってもらうさ。“義賊連合”のアジトに――な?」
半ば分かりきっていた隊長の一言に、隊員たちは覚悟を決める。あっけらかんと言ってのけたアテナだったが、彼女の言葉がきっかけとなり一同は物陰から飛び出し、ただちに連絡船へと近付いていった。
タラップを渡り船内に乗り込むと、外套を目深に被った男が無言のまま、ハンドサインのみで「こっちへ」と合図してくれる。予想外の出迎えに警戒心を強めてしまった一同だが、黙したまま目線で合図を交わし、おとなしく案内役についていく。
案内された先は快適な船室などではなく、積荷が乱雑に配置された船底近くの貨物室だった。椅子一つ置かれていないその無機質な空間に、既に数名の乗客が腰を下ろし、到着の時を待っている。
リオンらはやはり多くを語らず、黙ってこの船の“しきたり”に従う。おそらく、ここにいる誰も彼もがいわゆる“わけあり”な人物ばかりなのだろうが、彼らは皆一様に口を閉じ、極力周りと関わり合いを持たないように身を縮ませていた。
異様な沈黙が貨物室を包むなか、リオンらも壁際へと腰を下ろし、息を潜める。しばらくすると床下から“ごぅん”という大きな振動が伝わり、船が再び動き出したことが分かった。
誰一人、言葉を発することはなかった。ただ黙したまま、この違法な連絡船が目的地へと辿り着くのを、静かに待ち続ける。
リオンは黙ったまま周囲の面々の顔を見渡したが、そこに浮かぶ表情は三者三様、実に様々だった。
相変わらずどこかわくわくしながら、微笑んでいるアテナ。彼女同様に静かに口元を緩ませているカンナ。どこか緊張した面持ちのニーアに、いつも通りぶすっとした不機嫌な眼差しのココ。同伴者であるハーディはというと、少し飛び出た大きな眼をぐりぐりと動かしながら、実に挙動不審に周囲を警戒している。
この先に何が待つのか、リオンにも皆目見当がつかない。かつて彼も“義賊連合”に所属していた身だが、一団をまとめ上げる男――リオンが“師”として慕っていた盗賊・ヴァンの死により、連合は崩壊したはずである。だからこそ、いまだに“義賊連合”が根城としている地があるなど、初耳であった。
普段、リオンは直感という不確かなものは信じない主義なのだが、なぜかこの時ばかりは妙な胸騒ぎがしてならなかった。まだ目的地にすらついていないというのに、その指先は外套の下で、腰に刺したままの自身のナイフを押さえ、その位置や感触を確かめてしまう。
何かが起こる――そんな漠然とした不安を抱いたリオンらを乗せたまま、船は刻々と霧に包まれた海の中を進み続けた。
30分か、1時間か――正確な時間も分からない一同の肉体を、また一つ、“ごぅん”という大きな振動が襲う。誰しもが目を丸くして驚くなか、またしても連絡船の案内人が現れ、無言のまま「出ろ」と腕で合図を送った。
乗客たちはそれに従い、一人、また一人と黙って貨物室を出ていく。リオンらは再び視線で互いに合図を送り、その流れに続いていった。
一同はタラップを進みながら、目の前に広がっていた光景に唖然としてしまう。いつのまにか霧が晴れ渡り、眼前の景色を昼過ぎの太陽光が鮮やかに照らし出していた。
連絡船がたどり着いたのは、ある小さな島であった。船は入江に造られた即席の港に停泊したようだが、先程の漁村とは打って変わって、多くの人間が港で作業を続けている。
漁業用の道具を手入れする者、船から下ろした積荷をせっせと仕分けする者、大きな建材を担ぎ運ぶ者――リオンらがざっと見ただけでも、港では2、30名の人間がせっせと働いており、島自体が実に活気付いているように思える。
周囲を警戒しつつも、真っ先に包帯まみれの男・ニーアが「ふむ」と声をあげた。
「ここが“義賊連合”のアジト――ですか。見た限りは、離小島を利用した一般的な漁村に見えますけども」
それは概ね、誰しもが真っ先に抱いた感想だったのだろう。ココが杖でハーディの背中を小突きつつ、より一層、不機嫌なトーンで問いかけた。
「あんた、適当な場所に案内したんじゃあないでしょうね。これのどこが、“義賊連合”なのよ」
「ほ、本当だってぇ! 連合はこの島を拠点に活動してんだよ。ごく一部の人間しか、その事実は知らねぇ。無闇にばらしでもすりゃあ、“長”に八つ裂きにされちまうんだよぉ」
慌てて弁明するハーディだったが、彼の口をついて出た“長”という言葉が一同には気になった。腕を組んだまま、アテナが変わらず不適な眼差しを浮かべる。
「責任者がいるというならば、その者と対話するのが手っ取り早いだろうな! その“長”とやらは、どこにいるんだ?」
「そこまでは、知らねえ――いや、本当だってぇ! 連合の長は、そう簡単に人前に姿は現さねえんだ。居場所なんて、一部の人間しか伝えられてねえよぉ」
あたふたと説明するハーディに、なおもココは「本当にぃ?」と凄んでみせる。だが、彼女の圧に対する反応を見る限り、ハーディが嘘をついているとは思い難い。
念願の“義賊連合”のアジトにはたどり着けたのだが、ここからの一手を一同は悩んでしまう。
リオンらが探す人物――“義賊連合”に名を連ね、その上、「タタラ教団」にも関わりを持っているある“男”は、もしかしたらこの島のどこかにいるのかもしれない。その居場所や経歴などを聞き出すには、アテナが言う通り、連合の“長”たる人物に協力を仰ぐのが手っ取り早いだろう。
しかし、改めて考えると、“義賊連合”の権力者がそう易々と協力してくれるとも思い難い。なにせ、かつて連合に所属していたリオンはまだしも、その周囲を固めているのは城塞都市を守護する精鋭部隊『デュランダル』の面々なのである。本来、“義賊”たちからすれば、目の敵とすら思える存在なのだ。
そんな一同に、連合の人々が易々と情報を提供してくれるか、実に怪しいものである。むしろ、リオンらの素性がバレた途端、四方八方から襲いかかって来られる可能性すら否めない。
お目当ての“男”の居場所を探ろうにも、自分たちの経歴を隠し通さなければいけないのは、実にやりづらかった。
何から手をつけるべきか――一手を決めあぐねる一同の背後から、唐突に女性の声が投げかけられる。
「“長”ならば、すでに待機して皆様をお待ちしております。『デュランダル』の皆様、ようこそおいでくださいました」
何気ない一言ではあったが、誰しもが目を見開き一斉に振り返ってしまう。いつのまにか一同のすぐそばに、一人の女性が立っていた。
誰一人、彼女が近付いてくる気配を察知することができなかった。女性のどこか人間離れした存在感に圧倒される一同だったが、一方で彼女はぺこりとお辞儀をし、丁寧な口調で続ける。
「そちらはリオン様、でしたね。それと、ハーディ=ブリュレ様。現在は『デュランダル』の皆様と協力されておられると聞き及んでおります。私、“長”より皆様の案内を任されております、チェルシーと申します。以後、お見知りおきを」
実に丁寧な言葉遣いだったが、それよりもリオンたちは彼女の容姿に目を奪われてしまった。短く柔らかな銀髪と白い肌が実に美しい女性だったが、リオンらを見つめるそのまなざしは凄まじい眼光を放っている。元々目が大きいのだろうが、それにしてもまばたきを極力せず、こちらをじっと、真正面から臆することなく観察しているようだ。
チェルシーの“眼力”に誰しもがたじろぐなか、やはり7番隊の“長”を務める彼女が、物怖じなどせずに堂々と切り返す。
「これはこれは、出迎えとはありがたいな! しかし、随分と我々の素性に詳しいじゃあないか。今回、極秘でこちらにお邪魔させてもらったはずなのだが?」
「我ら、“義賊連合”の情報網のたまものです。“長”の元には古今東西、あらゆる情報が集まりますので」
アテナとチェルシーのやり取りは実に懇切丁寧だったが、一方でその内容にはどうにも不穏な気配が漂っている。『デュランダル』の面々が極秘裏にこの“義賊連合”に潜入しようとしている計画は、どうやらはなから筒抜けだったらしい。
一体全体、どうしてそんな極秘情報までをも把握しているのか――しかし、一同が困惑するなか、あくまで淡々と案内役の女性・チェルシーはリオンらを導いていく。
「こちらで立ち話もなんでしょう。“長”の元にご案内いたします。“長”が皆様に強い興味を抱かれているようですので」
言うや否や、彼女はそそくさと先陣を切って歩き始めてしまう。リオンらはしばしその背中を見つめたまま、うろたえ立ち尽くすほかなかった。
そんななか、カンナが「あらあらぁ」と少し間延びした声を漏らす。
「なんか、最初からはすべてお見通しやったみたいね。こそこそなんかして、損してもうたみたい」
彼女は柔らかに笑っていたが、一方でその隣に立つココは眉間に深々としわを刻み、港にいる連合の面々を睨みつけていた。
「ってことは、こいつらも皆、最初から私たちの正体を知っていて、泳がせてたってことね。一杯食わされたみたいで、嫌な感じ」
連合のアジトで秘かに情報収集をするつもりが、すでに状況は大きく変化しつつある。アジトにいる連合の面々がこちらの正体に勘付いているとなれば、いつ、どこから襲い掛かられてもおかしくない状態ということになってしまう。
あくまで、港を行き交う人々は一同を気にはしていない様子だったが、どこか彼らの姿に不穏な気配を感じてしまう。
誰が敵で、誰が味方なのか――そもそも、この場に味方などいるのか。
各々が警戒心を強めるなか、リオンは先頭に立つアテナの背中に恐る恐る問いかけた。
「なあ、どうするんだ? 案内するとは言ったが、安全だという確証はないぜ。もしかしたら、どれもこれも“罠”かもしれない」
『デュランダル』の面々が真剣な眼差しを浮かべるなか、同伴しているハーディはより一層、弱々しい眼差しで周囲を警戒していた。
そんな一同の先頭に立つ女騎士は、やはりまるで弱みを見せず、「ふんす」と荒々しく鼻息の音を立てる。
「だが、もし彼らが我々を陥れるつもりならば、逃げ場のない船上で総攻撃を仕掛ければよかっただろう? 私は少なくとも、あの案内役の女性が“嘘”をついているようには思えないんだ。乗ってみる価値は十分にあると思うぞ」
「なるほど、ね……もし、連れていかれた先に、大軍勢が待ち構えていたら?」
「それはそれで構わんさ。それなら堂々と、真正面から制圧する! 我々にとっての“いつもどおり”を通すだけだ」
一見、無策極まりない一言に思えたが、それでもアテナが口にすることでそれがどこか適当な答えではないのだ、ということが理解できてしまう。リオンが呆気に取られてしまうなか、アテナはまるで躊躇することなく案内役・チェルシーへとついていった。
一人、また一人と隊長の後を追っていく。リオンはしばし一歩を踏み出せないまま、改めて港の景色を眺めた。
誰も彼も、かつての“義賊連合”にはいなかった顔ばかりだ。この孤島に集う面々はリオンが知り得ない、新たな連合のメンバーということになるのだろう。
ならば、それをまとめ上げる“長”とは――かつての師・ヴァンにとってかわった人物とは、誰なのか。それを思うだけで、リオンの肉体にぴりりとした微かな緊張が走り抜ける。
この先に待つのは“真相”への一歩か、あるいは狂気渦巻く“罠”か。
静かに闘志を滾らせながら、それでもリオンもまた先を行く『デュランダル』の面々に続いていく。潮風が肌を撫でつけるが、その奥に滾っていく熱はまるで衰えることなく、その強さをしたたかに増していった。
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