召喚された勇者ですが魔王様のペット『犬野郎』として後宮で飼われています。

msg

文字の大きさ
上 下
30 / 30
2章『勇者』が『犬(ペット)』になるまで。

求愛(スカウト)は十年前。知らない間に魔王様の『運命』に定められてました… 8

しおりを挟む


 遅咲きの紫陽花が咲く生け垣を抜けると、離れの建物が見えてきた。

 紫陽花は自分の一番好きな花だし、この離れもにーちゃんとよく遊んでいた思い出の場所なのに、処刑場に行くような気持ちだった。
 
 気分は優れず、そこへ向かう足がとてつもなく重く感じている。
 朝から比べると体は楽になっているのに、それとは反対に心はより苦しくなっていた。

 あの方の被衣から薫る匂いに勇気をもらい、歩を進める。

 着せられている一族の大人の正装である晴れ着が妙にエロく恥ずかしかったというのもあるが、自分を奮い立たせる為にもあの方にお借りしたものを今も羽織っていた。

 (あの方が星祭に誘ってくれはったんやし、このくらいは許してくれはるやろ)

 離れの玄関に着くと、俺の前を歩いていたヴァーニャはんが俺の方に振り返った。
 畳んだ日傘を片手に構える姿はにーちゃんを彷彿とさせる。
 
「良いですかグルーシァ。
直近での変更ゆえ、私は詳しく存じて上げておりませんが、今からお会いする方はこの『四葩よひら』に逗留することを許されました。
つまり、母君が一番推しておられる方です」

 うちの家の離れは全て【緑】の者である半人外の住まう家だった。
 それぞれその離れの庭に植えているお花から名前を付けている。
 
 主が亡くなり住まう者がいなくなった離れは、このような時に客人にお貸ししていた。
 その中でもこの『四葩』は別格だった。

 元はにーちゃんの為に建てられた特別な家で、大人になり一族を導く立場に就いたにーちゃんがお嫁はんを迎えた後、その方と暮らす為に用意されていた。
 にーちゃんを溺愛していたおかんは、にーちゃんの死後、誰にもここを使わせることを許さず、俺ですら出入りを禁じてしまった。

 ヴァーニャはんの言うようにここに逗留しているのはそれほど大事にしている客人らしい。
 間違いなく本決まりに近い俺の許嫁だろう。

「ヒメルはん (母)のオススメやなんて、余計に信用ならへんねんけどな」

 おかんからも断るのは自由とは言われているが、ここまで別格の扱いをしている方を俺も無下には出来ない。

 (これくらいの愚痴はかんにんえ)

 俺のことをじっと見つめるヴァーニャはん。

 にーちゃんが亡くなってすぐ、このひとをおかんに付けられた。
 学校で授業を受けている時以外の殆どの時間を共に過ごすようになり、もう5年なる。
 
 だから、わかった。
 ヴァーニャはんの冷たく輝く青緑の瞳が『あの方を選びたいんでしょう?』と言っているのが。

「……貴方の体はまだ回復していませんし、明日以降も別の方との対面が控えています」

 星祭の行われる7日間の間、俺は許嫁候補の方と毎日お見合いをしなければいけなかった。

「それを理由に望まないお誘いは断わりなさい。
お相手に言いにくいのなら、私に伝えなさい」

 これから俺が取るべき行動について注意するヴァーニャはんの声には珍しく感情が籠っていた。
 俺の気持ちを察したヴァーニャはんの言葉にも勇気づけられた。

「おおきに。少しだけ気が楽になったさかい、ほんまにあかんようになったら、その時はお願いします」

 ヴァーニャはんは頷づくだけの返事を返してくれた。
 少しだけ申し訳なさそうに見えるのは気のせいだろうか?

 星祭の為の夜のお作法を俺に教てくれたのもヴァーニャはんだが、今日の家出を手伝ったのも彼だ。
 俺に甘いヴァーニャはんは、家出をするほど嫌がる俺にそれをさせたくないのだろう。
 それに、あの方からの釣書の最後に書かれていたメッセージを読んだのはヴァーニャはんだ。 

 俺の開華を楽しみにしていることや、その時には必ず会いに行くなどのことが書かれていたそうだ。

 (そないなお言葉を頂いたら期待してまう)

 ───実際には兄貴と同じくらいかそれ以上の隠語もりもりの恋文やったらしく、ヴァーニャはんは暫しの間固まってはった。

 実のところ儀式のパートナーは性別を問わないらしい。
 だが、絶対に愛する者。もしくは好ましく思う者でなければならない。

 これは、俺らの信仰する神さんが愛の神さんだからだ。

 ───正確には、『性』愛の神さんやったけどな。

 神さんから祝福を頂く為に、星祭では儀式の日である星合ほしあい (旧暦の七夕)の夜までの7日間の間、毎夜宴を開く。
 その宴の席で最終日の儀式の伴にする者を選び、昼は語り合い、夜は情を交わして、儀式までの短い間に愛を育むのだ。

 ところが、今の俺は生涯でも一番薫りフェロモンの強まる開華の直前。
 おかんよりも強力な【魅了】体質も厄介過ぎた。
 その上、俺の美貌は一族の中では『【緑】の秘華』とまで呼ばれ……ぶっちゃけめちゃくちゃ人気があった。

 (評判だけで誘拐されるほどや)

 ───厄介なことにこの星祭に出たことでさらに狙われるようになり、俺を誘拐しようとするやつは一族の血を引く者ばかりになっていく。

 そんな俺を宴の席に出席させることを、おかんや他の一族の長さんたちは危ぶんだ。
 その代わりに用意されたのが、宴のない昼にする見合いだった。 

 懐からピルケースを取り出して、金平糖を一つ口にする。
 これもあの方に『常に持ち歩け。誰かと会う前には必ず一つは口にしろ』という忠告付きで渡された。

 例の『蜜飴』と同じ真っ青な金平糖を噛み砕くと、ロリポップキャンディーよりも上品でやさしい甘さが口の中に広がった。

 今の俺には、この味はあの方とのキス甘さを思い出させてツラかった。

                                                                                              ◇

 …………そう思っていたのに。

 
 (どないしてこうなったんや!)


 カコーンという鹿威ししおどしの音が聞こえた。
 当初の予定のから大幅に遅れてしまったが、高かった日も落ちた夕刻すぎに見合いは開始された。

 俺の目の前には【スメラギ】という一族の正装に身を包んだ白子アルビノの若君様と、その従者である逞しい体付きの青年が正座して並んでいる。

 神聖な白と貴き金色こんじきだけを身に纏うそのお方の整いすぎたお顔は、神々しさすら感じさせる。
 俺だけでなく、誰もがこのお方に見惚れてしまっていることだろう。


刑部ぎょうぶの長、梔子クチナシとゲンジの長、アオの子。白練ビャクレンだ」


 張りのある涼やかなお声で、そのお方は名乗りをされた。

 ……言わなくてもわかるだろうが、このお方はアルビノ先輩こと、ビャクレン様である。

「梨生、これは私の真の名ではないが、あざな紫陽華しようかで呼ばれるのも好かぬ。
儀式まで真名まなは交わせぬ故、とりあえずはビャクレンと呼べ」

 …………告げられた御名は既に釣書で存じている。
 なんせキスまでした仲だ。

 (貴方様も俺のことをよーくご存知かと思いますぅ!)

「ビャクレン様は此度の儀式の巫子を務める【白】の神子様にございます。
非常に強い力をお持ちですから、我が君の許しなくその御名を口にされませんようご注意を。
名無し・・・の方は特にです」

 ビャクレン様のお言葉を補足説明をしてくれたのは、お隣に座るやたらガタイの良い従者はんだ。
 このお兄はんは柔らかな微笑みを浮かべているが、それがめちゃくちゃ胡散臭い!

「『【緑】の秘華』様、私は従者のアララギと申します。
私には敬称など不要です。どうぞそのままアララギとお呼びください」

 従者さんはまるで初対面ような顔をして、俺たちに挨拶をした。

 ……こちらもマッチョ先輩こと、アララギはんだ。
 敬称は要らないと言われたが、俺は厳しく躾けられているので名前の呼び捨てなんて出来ない。

 (そやし、アララギはんと呼ばせて頂きましょ)

 家出した俺を迎えに来たのが何故、おかんの部下やにーちゃんの下僕たちでなくビャクレン様たちだったのか、その理由が今分かった。

 (見合いをすっぽかしたから来はったんやわ)

 それでも助けて頂いたのには代わりないが、なんだかもやもやする。

 アララギはんは俺と目が合うとすっと目を細め、片方の口角だけ上げて笑った。
『驚いた?』とでも言いたそうな、わっるい笑顔を殴りたくなった。

 練武場の時とは大違いに丁寧で落ち着いた物腰の腹黒アララギはんは別人のようだが、ビャクレン様は相変わらずめちゃくちゃ偉そうな口調だし、尊大な態度でいらっしゃる。

 (やんごとなきお方やさかい、しゃーないか)

 間近に迫った死の予感とままならない現状。
 それをヴァーニャはんとふたりで乗り越えようと励まし合っていたのに!

 ガックリきた。
 (あかん、気ぃ抜けたわ)

 ヴァーニャはんも俺と似たような気持ちでいることだろう。
 顔には出さないが膝に乗せているお手手がプルプル震えているし、強く握りこまれていて……うん、ガチギレ寸前のご様子だ。

  ───ランちゃんはな……おかんと交渉しはってな……見合いのトップバッターにご主人様をねじ込みはったそうや…………。

 俺としてもビャクレン様と儀式のパートナーになるのは問題ない。

 (寧ろ、このお方以外は嫌やと思てる)

 でも、俺たちがしているのはガチなお見合い!
 俺は男の子!なのに相手はオス!!
 しかもビャクレン様!!!

 (ほんまになんでやの?!)

 俺もビャクレン様も『男』の筈やのに、おかんは一体何を考えているのか?
 何を考えているのかさっぱりわからないおかんの方を胡乱な目で見ると、珍しく上機嫌で『感謝しろ』的なドヤ顔を返された。

 (嬉しおすけどもぉ……)

 再びがっくりときた。

 挨拶を終えたアララギはんが隣にいるビャクレン様の頭を押さえつけ、無理やりだが一緒にお辞儀をした。
 ビャクレン様のお姿にお辞儀をしているおふたり以外の全員が固まる。

 なぜならビャクレン様は俺たち一族の始祖さんの故郷の国の皇族で、それはもう……めちゃくちゃ高貴でやんごとないお方!

 (人外はんの国の皇子様プーリンツなんやて)

 俺もついさっき聞いたばかりだが、その国の皇族は『神』の血族として信仰されており、あまりにも高貴なご身分故に、謝ったり頭を下げる習慣はない。
 さらに言うとお国では気軽にお顔を晒すことも、御名で呼ばれることもできないらしく、2005年までの11年間を日本で暮らし、うちの学校にも通っていたとアララギはんから聞いた。

 それで先輩とお呼びしていた。

 それほどまでに高貴なご身分は不便なのかと思っていたが……

 うちの下僕などはビャクレン様のお名前を聞いてからずっと平伏している。
 こんな光景を目の当たりにしてしまうと、仕方のないことだと分かった。

 この四葩で給仕する者たちは俺の体質のこともあり年を経た【緑】の者か、おかんの部下だけ。
 一族の中でも強い力のある者ばかりなのだが、それでも畏れ多くて平伏したまま動けない状態らしい。

 部屋の中を見回して、どんな者が居るかを確認したビャクレン様は「この場に同座する者にも私の名を許す。構わんから仕事に戻れ」と告げた。

 ビャクレン様はおかんの側近や給仕をしてくれている女中さんなど、この部屋に居る者全ての者に拝顔と御名を呼ぶ許しまで与えてしまった。

 確かにあのままでいられると、この後予定されている俺たちの食事の支度すら出来ない。
 それで許されたのだろう。

 ビャクレン様のお言葉でいち早く我に返ったヴァーニャはんから、お尻をキュッとつねられた。

 (はわぁッ!)

 さらに「早く御礼とご挨拶を」と小声で指示される。

 痛みなどはおくびにも出さないようにしてよそ行きのお顔で笑顔を作ると、俺のことなど既にご存知のビャクレン様に今更過ぎる自己紹介をする。

「一族の者にまで多大なるご厚情を賜り、ありがとう存じます。
【緑】の長、ヒメルの子。梨華リカどす」

 俺が名乗った『梨華』というのは一族の中での俺の通り名だ。字ともいう。

 (おかんなんてなんでか知らへんけど、この名でしか呼びはらへん)

「リカ様は我ら【緑】の一族の秘華。
字しかお持ちではございませんが、リカ様我が一族【緑】の神子様にございます」

 ツンドラの眼差しで淡々と口上を述べたヴァーニャはんと揃ってお辞儀をする。
 今度は叱られないので合格のようだ。

 ところで、先程から皆が口にしている『真名』と『字』。
 これはどちらも戸籍とは違う俺たち血の濃い先祖返りの名前だ。

 真名は成人を迎えた【緑】の者が名乗る本当の名前。
 所謂忌み名で、字というのは真名を授かる前の幼名みたいなものだ。

 (そやし、おかんやヴァーニャはんはお名前が3つもあるんよ)

 基本的に一族での名乗りは真名か字のどちらかで、これを交わして初めて交流を結んだことになるのだ。
 つまり、ビャクレン様と俺はこれで正式にお名前を呼び合える仲になったというわけだ。

 (アララギはんともやけどな)

 ───星祭はこの真名を授かることが最大の目的やった。

『人』として生きることが出来ない半端な人外である【緑】の者の俺が、『人外』として生きていく為の儀式。それが星祭やった。



しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜 ・話の流れが遅い ・作者が話の進行悩み過ぎてる

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~

シキ
BL
全寮制学園モノBL。 倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。 倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……? 真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。 一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。 こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。 今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。 当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。

私の事を調べないで!

さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と 桜華の白龍としての姿をもつ 咲夜 バレないように過ごすが 転校生が来てから騒がしくなり みんなが私の事を調べだして… 表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓ https://picrew.me/image_maker/625951

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

いつかコントローラーを投げ出して

せんぷう
BL
 オメガバース。世界で男女以外に、アルファ・ベータ・オメガと性別が枝分かれした世界で新たにもう一つの性が発見された。  世界的にはレアなオメガ、アルファ以上の神に選別されたと言われる特異種。  バランサー。  アルファ、ベータ、オメガになるかを自らの意思で選択でき、バランサーの状態ならどのようなフェロモンですら影響を受けない、むしろ自身のフェロモンにより周囲を調伏できる最強の性別。  これは、バランサーであることを隠した少年の少し不運で不思議な出会いの物語。  裏社会のトップにして最強のアルファ攻め  ×  最強種バランサーであることをそれとなく隠して生活する兄弟想いな受け ※オメガバース特殊設定、追加性別有り .

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

なんでも諦めてきた俺だけどヤンデレな彼が貴族の男娼になるなんて黙っていられない

迷路を跳ぶ狐
BL
 自己中な無表情と言われて、恋人と別れたクレッジは冒険者としてぼんやりした毎日を送っていた。  恋愛なんて辛いこと、もうしたくなかった。大体のことはなんでも諦めてのんびりした毎日を送っていたのに、また好きな人ができてしまう。  しかし、告白しようと思っていた大事な日に、知り合いの貴族から、その人が男娼になることを聞いたクレッジは、そんなの黙って見ていられないと止めに急ぐが、好きな人はなんだか様子がおかしくて……。

処理中です...