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一章 降って湧いた災難
もっと俺を喰って、大きく、強くなれ。 四
しおりを挟む*少し暴力的な表現とカニバリズム的な表現などがあります。
◇◇◇
「一度弾けたのに貴様らも懲りぬな『末端』。
親父も時期が悪いと見逃していたのに気づかぬとは…」
いつもと違い感情の籠もらない冷たい声で、淀みなく淡々と語る朱点。
その様はあまりにもヒトらしさが薄く寒気すら感じる。
「貴様らは愚かにも【青】の中の『末端』と繋がり、奴らからは呪詛までくる始末
…俺にも看過できぬものはあるぞ?」
その整い過ぎた顔には何の表情も浮かんでいない。
「知らぬ訳ではなかろう?番に手を出す事は鬼の掟の中でも最も重き罪。
貴様らはその過ちを悔いて逝け」
そこまで言うと、奴らに向かいゆっくりと歩き出した。
まずは僕に声をかけ、拉致しようとして僕を拘束して痣をつけた男の両腕を「お姫様を傷つけた腕からにしよう」と言いそれを容易く引裂いた。
耳障りな断末魔の声をあげて絶命したかに見えた男は、まだ息があるらしく浅く息をしていた。
それからはとても凄まじい惨劇が僕の目の前で起こった。
「煩い」と男の喉を潰し、腸などを引き摺り出して、生きたままバラバラに解体していった。
僕は最近は肉を食べるようになったので、潰されたあとのものを初めて見た時ほどの衝撃はない。
だが、何故か奴らは鬼の癖にそういったことに免疫が無かった。
恐怖の為かその場で凍りつき、動くことが出来ない者や汚いものを垂れ流したり、戻したりする者。
元々酷い奴らの臭いがさらに酷くなる。
僕も気分が悪く吐きそうなのを必死に堪えていた。
(こんなものを見せられるなんて本当にツイていない……)
朱点はそのまま他の兄弟なども惨殺していった。
さっきの奴みたいに生きたままバラされていく奴に、目の前で繰り広げれれる惨劇を呆然としたまま声さえ上げずに見ている、処分を待つ奴。
正直、朱点が潰したばかりの肉に見慣れてきていた僕でも、なかなかに辛い光景だった。
だが、朱点はそれらを平然と行い…更には彼らの肉や魂を喰らいだした。
これには流石に僕も恐ろしさに手足が震え戦慄いた。
そして一通り平らげると、朱点はお腹を空かせていた僕にも「こいつを喰って、大きくなれ」と言い、結局その場にいたもの全てを潰して…無理矢理食わせた。
目の前で起こった兄弟殺しのうえに同族喰い。
聞いていたようにこいつは皇様と同じく強いαの性質を持ちすぎている。
鬼では上の身分の者からの、こういった制裁なんて当たり前だし、もともと鬼は仲間の肉を食べる種族だ。
それによって自分たちが滅びかけたくらいなのに、これだけの血の濃い性質のものが居たなんて恐ろしかった。
僕も最後の純血の鬼と言われていたから、こういった性質がこれから出てくるのだろうか?
正直不味いし、もともと僕は肉を食さない。
なのに朱点はいつも僕に無理矢理にでもして僕に沢山食べさせる。
「……こいつらも俺も好きなだけ沢山喰って、早く、大きく、強くなれ」
いつも僕に食べさせるときに言う言葉がより切実で、
心から僕の成長を苦しいくらいに待っているのがわかった。
「もっと俺を喰って、大きく、強くなれ」
そう言って、満腹になり吐きそうなくらいの僕に血まで飲ませてきた。
こいつは何故こんなにも焦っているんだろう?
何が苦しいんだろう?
あんなにも純粋で無邪気な子供の様な顔をして、好意を向けたかと思えばこんな酷く昏く、つらそうな哀しい顔をする。
こいつの考えていることやその行動や発言など全てが理解不能だ。
だけど…僕に対する愛情は確かにあるんだと思えた。
そしてその後、非常に興奮しているこいつは僕を閨に連れ込み、いつもより乱暴に抱いた。
◇◇◇
あら、………皆、物凄い顔している人と口抑えてる人は大丈夫?
《やっぱりそんなもんばっか食ってたからマリーは味オンチ!》
…………本当にそうだと思うね。
あれ以外持ってきてくれないんだから。
閨…ベッドルームのことなんだけど、百合はほぼそこで暮らす生活だったし、あいつが来るか、肉などのごはんを持ってこなきゃ動けない。
百合はかなり強い力を持つΩだったから大食いだったし、夫が与えてくれなきゃ、眷属の二、三人は余裕で潰してたからね。
まぁ、奴ら下僕の場合は犯罪者などの刑期中のやつか、処刑待ちのやつなんかだから当時はそれほど気にしてなかったけど、あいつはお腹が空くと適当にやつらを潰して、百合にも食べさせた。
《oh……………》
《ぅぇぇ…》
《ハァ?!》
あら…ごめんね?さらに気分悪くなっちゃった?
《シュテンは可哀想なモンスター…》
…そうかもしれないね。
誰からも怖れられていて、簡単に受け入れられなかった為に、その年齢ではあり得ないくらい中身が未成熟なところがちらほらあった。
母親である后陛下が、ベッドルームで過ごすような生活だった事もある。
《全く、父親と母親は何を考えているんだ》
事情があるんだけれど、それはまた先になるかな。
あいつは乳母だった茨木の母や乳兄弟の茨木、それに側近の四童子くらいの力のあるものとしか、慣れ合えなかった。
そんな彼らでも最初の頃はあいつを怖れていたそうだし。
《シュテン…》
あいつにとって百合は、初めて会った時から自分を全く怖れない存在だったんだ。
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