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一章 降って湧いた災難
項を噛んでおるぞ? 弐 *
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日付の感覚がなくなって久しく。
その方は来た。
あいつの閨に張られたあいつの結界…【域】を破り、侵入してきたのは、彼の母であり鬼族の最高権力者の一人、Ωの始祖である后陛下だった。
床に付くほどに長い美しい銀の髪、男にも女にも見える顔、真っ白な肌に凹凸の少ない、男性とも女性ともどちらともつかない体格だ。
彼の瞳は僕と同じ銀色だが、中には環が浮かんでいる。
彼の纏う菊の薫りも馨しい。
初めて見た彼は本当に美しく、皇様が一部の祭祀を除き、彼を監禁して愛でているというのが納得できた。
あまりの美しさと薫りで、外に出れば問題ばかり起こったと聞く。
だが、この時は発情期の真っ只中で、気にも止めていなかったのはずで、この印象は後日のものかもしれない。
「このアホ!幼子になんて無体を強いているのです!
閨に篭もりどれくらい経つと思っているんですか!!
早く帰せと【青】の者たちから多数の苦情が上がっています!!」
彼は美しい顔を怒りに染め、息子を叱りつける。
闖入者に少し驚いたが、発情期で惚けた頭の自分は気にせず、こいつのソレを自分に導き、胡座をかいていた彼の上に乗る。
「ふぅ…あぁ、はぁ…くぅっ!、…あ、…ぁ…あ」
「全く、お前は!本当に!!このアホ!!!私が旦那様の閨から出てすぐに、お前の従者たちに泣きつかれました。【域】まで創って籠もれば、彼らには入れませんからね!」
「お姫様をゆっくり可愛がる必要があった。やつらには見せたくない。」
二人が話していることなど気にせず、自分の良いように動く。
「…その子は最後の純血の鬼となる者。
『血を飲むもの』の中で最も強い者の子で、Ωになるかもしれなかった子です。
お前の妃候補として呼んで、教育をこれからするかどうかの協議に入るところでした」
「なら問題などなかろう?」
朱点の返した言葉に彼は眦を吊り上げ、先ほどまでの柔らかい口調からオスっぽい口調に変わった。
「大アリだ!このアホ!お前はなんてことをしてくれるんだ!!旦那様は激怒している」
「あの糞親父の相手は母上がすれば良い。それが良い!」
「このアホ!何故私がお前の尻拭いで旦那様の機嫌を取らなければならない?
そんなことをすればやっと開放されたばかりなのに、また閨に閉じ込められるわ!」
彼らの会話など気にせず、自分は朱点を貪る。
「はぁ…ああぁぁ…うぅ…、あぁ…ぁぁ…あぁぁ…」
腰を揺らし気持ちの良い場所に当たるように動くが、
自分ではもどかしくなってきていたので彼に、催促する。
「朱、点…僕が、善い、と…ころ…を、もっと…もっと、可愛がってよ」
彼に抱きつく。
「聞いているのか朱!物事には順番があるんだ」
「母上、お姫様の相手をしなくてはならん」
僕を抱きしめ返し、頭を優しく撫でてくれる。
「母上、これは百合だ」
「…私はその子の母と知己であるから、顔を見ればわかる!」
「可愛いだろう?俺のお姫様だ」
「このアホ!話を聞けっ!不思議そうな顔をするなッ!」
僕の要求に答えない彼に、彼の【青薔薇】に強く口づけして噛み、痕をつけてやった。
「くッ!お前がこんなにエロく甘えるとは…本当に愛いな、お姫様」
急所への甘い攻撃に悶える朱点。
「…今の様子をみるに発情期の最中みたいだな…」
邪魔者である彼は怒りを沈め、その美しい顔を曇らせ話しだした。
先程までの怒りを収め、穏やかな調子になった彼は息子に告げる。
「その角を見て分かりましたが、もう既にお前はその子を番にしてしまいました。
見ればお前の【華】も全身に咲いてますし…私は色々と頭が痛いです」
彼は「はぁ…」と溜め息をついて、一呼吸置いてから、
「今離しても良くはありません。仕方ありません。
朱、『蜜月』は許しますが、父上からの仕置は覚悟なさい」
そう言って彼は部屋を出ていった。
「お姫様、お前の好きなところを可愛がってやろう」
「僕を放っておくなんて酷いやつだ…このバカ赤毛!」
「済まぬ。お前の良いところをたんと可愛がるから許せ」
こいつは僕の体の隅々まで拓いて行き、自分好みに仕込んでいた。
はっきり言って恐ろしいが、僕もかなり善かったから、色に溺れ、家に帰らなかったのはそのせいかもしれない。
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・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
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