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094 嫌な予感
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泣きを入れた国王の首に、見えない結界の首輪を付けてから球体から解放してやる。
「随分跪けと怒鳴ってくれたよな。跪くのはどちらだ? ゲロと小便に汚れたお前か、精霊を従える俺か」
渋々跪く、国王の首輪を軽く締めてやる。
「こっ、カハッ、くっ、苦しぃぃ」
「結界から出たら安全だと思ったのか、お前の首には結界で造られた首輪を付けている。何時でもその首を絞める事が出来るのだぞ。その首輪は、俺が死んでも2~3ヶ月は消えないから安心しろ」
ランカン達を呼びに行かせる為には、高官に命令させる必要が有り、近衛騎士団長と数名の騎士を解放する。
警告をしているのに、結界の球体を解除した途端抜き討ってくる騎士団長。
〈ガキーン〉と金属音が鳴り響くが、俺の身体から10センチの所で剣が止まっている。
遣るだろうと思っていたので、シールドの上に結界を張り床に固定していたのさ。
驚愕の表情の騎士団長だが、次の瞬間閃光と〈バッシーン〉と轟音が響き、騎士団長の頭を雷撃が襲う。
倒れた騎士団長の頭が黒く焦げて燻り、嫌な臭いを撒き散らす。
ゲロに小便と続き耐えられないので“ふうちゃん”に換気をお願いする。
「君達も遠慮なく攻撃してくれば良いよ。だけど、こんなに楽には死なせないからね」
にっこり笑って優しく伝えると、総毛立った顔を横に振り逆らわないと示す。
騎士団長の代わりに、宰相閣下を探しだして彼にランカン達の迎えをお願いする。
宰相閣下は物わかりの良い御方で、俺の頼みを快く受け入れてくれた。
騎士を従え氷の溶けた扉を開け、外の護衛にランカン達を呼んで来いと命じている。
「あっ、丁寧にね。偉そうに言ったり、怪我などさせていたら承知しないよ。
・・・・・・
「ランカンよう、今度は一人で向かって来る奴がいるぞ」
「丸腰だわね」
「多分アキュラの使いよ」
「彼奴、今度は何を遣ったのやら」
五メートルほど手前で立ち止まり「風の翼パーティーとお見受けするが、ランカン殿は居られるか」と至極丁寧に尋ねてくる。
「俺だが」とむず痒い顔付きでランカンが返答する。
「馬車を用意致しますので、アキュラ様の元へお越し願いたい」
「やっぱり何かやったわね」
「間違いねえ。そうじゃなきゃ、こんなに態度が変わる分けねえからな」
男が手を振り合図をすると、アキュラを迎えに来た豪華な馬車がゆっくりとやって来る。
・・・・・・
ランカン達を案内してきた男は、扉の手前で立ち止まり中に入るように促した。
「あらあら、水浸しよ」
「今度は何をやらかしたのやら」
「入ってみりゃ判るさ」
それぞれの感想を口にしながら室内に入ると、大勢の人間が球体に閉じ込められたり拘束されて転がっている。
アキュラに手招きされて近づくと、豪華な衣装の男が座り込んでいた。
クリーンで綺麗にして貰ってはいたが、ランカン達を見て侮蔑の表情が浮かぶ。
そんな国王を見て、皮肉な声でランカン達に紹介する。
「サランドル王国の、オリオス・サランドル国王陛下だよ」
ランカンがピシャリと顔を叩き、呻き声を上げる。
残りの五人は微妙な顔で、座り込む男を見て溜め息を漏らす。
「お前えに関わったばっかりに、とんでもない生活をする羽目になったが、国王陛下を見下ろす日が来るとは思わなかったぜ」
「随分お疲れのご様子だけど・・・」
「ああ、言わなくて良いわよ。聞いたら後悔しそうだから」
「だな。で、俺達を呼び寄せたってことは、何か用事が有るのだろう」
「誰か一人、ネイセン侯爵様を迎えに行って欲しいんだ。終わったと伝えて担当の者を連れてきて欲しいんだ」
・・・・・・
ネイセン侯爵様への伝言を預かったガルムが、夕刻には侯爵様と六人の男を連れて帰って来た。
拘束している全員のバリアを不透明にした後、サランドル国王のバリアを解除する。
すかさず侯爵様の連れて来た男の一人が、サランドル国王の背後に回り首輪を装着すると呪文を口ずさむ。
ぼんやりしていた国王が、首輪の意味を知って暴れ出したがランカン達に叩き伏せられる。
国王に続き、王家に連なる者達や宰相,各部門の大臣と奴隷の首輪を装着していく。
騒ぐ者暴れる者には、ランカン達が木刀で遠慮無く叩き伏せてから、奴隷の首輪を装着する。
10人ほど首輪の装着が終わると横一列に並べ「以後俺とネイセン侯爵様の命令には絶対服従を命じる。エメンタイル王国から派遣される人員に対し、危害を与えたり・・・」長い注意事項を伝え、最後に俺の前に来て跪けと命令する。
当然素直に従う訳も無く、反発したり命令を無視しようとして〈ウワァァァ〉〈くっ、グワッ〉〈お許しを!〉とそれぞれ奴隷の首輪に苦しめられて耐えきれず、俺の前に来て跪く。
跪き忠誠・・・逆らわない事を示した者に〔ヒール〕の一言で怪我や火傷を治してやる。
それが終わると、奴隷の首輪をスカーフやタイで包み隠し、他人には絶対に見られるなと命令する。
「何とも、手慣れたお仕事ですね」
「女神教にアリューシュ神教国と苦労しましたから、簡単で楽な方法と模索した結果ですよ。此れなら、侯爵様達も寝首を掻かれる心配無しに、支配出来るでしょう。奴隷の首輪は足りそうですか」
(一人ひとり鑑定しても、心変わりは人の常。奴隷の首輪が最良さ)心の声は漏らさず惚けておく。
「いやいや、王国中から掻き集めても80少々しか集められませんでした」
「国王や国の重鎮,高位貴族に嵌めたら足りなくなるでしょう。後は此の国で首輪を集めさせて使いましょう。重要人物を押さえたら、少しずつ後任と入れ替えて、現在の奴等は幽閉して権力の座から追放しましょう」
「恐ろしい事を、さらりと言うねぇ」
「ほぼ無血制圧したので、事実を知れば反発する奴が騒いで内乱になりますよ。侯爵様は面倒事がお好きですか?」
「それは止めてもらいたいね。君の意見には全面的に賛成だ」
「そこでご相談なのですが、治癒師や魔法使いだけを救出するつもりでしたが、少し変更しますので宜しく」
「どうするつもりかね?」
「このまま数年して彼等を解放すると、後任が同じ事をすると思います。その芽を摘んでおこうと思います」
このサランドル王国の選民意識を潰す為に、王城内の従者や小者の中に獣人族を入れる。
彼等は差別され妨害や弾圧を受けるが、それらを全て報告させる。
内容が横暴だと認められるものは、差別や妨害を為した者を排除し獣人族の者と入れ替える。
能力の無いプライドだけの貴族を廃嫡し、官吏などで優秀な者を貴族に取り立てる。
一気にやれば反発を招くので、じわりじわりと遣る必要が有るので、王家や高官高位貴族を常に監視する必要が有る。
「これは五年や十年で出来るものでは在りませんし、王族を押さえる者が必要になります」
「それは私が遣りますよ。専属では無く、半年か一年に一度か二度不定期に此の国に来て王家や高官達を押さえます。反抗の芽を摘むだけですけどね」
国王や宰相等高官の補佐や側近の中に、エメンタイル王国から選抜された者を入れて支配の準備を進める。
十日ほどサランドル王国の王宮内で過ごした後、ネイセン侯爵様を残してエメンタイル王国に帰る。
その際侯爵様からレムリバード宰相への伝言を頼まれたが〔さっさと私の後任を寄越せ!〕と言った乱暴な伝言だった。
女神教あたりは成り行きで手伝って貰えたが、アリューシュ神教国では占領政策の中心的役割を担わされて懲りたようだ。
俺だって三度目ともなると、代わりの者を寄越せと喚くだろう。
転移魔法陣を出て手配していた馬車を探していると、見覚えの有る男が近づいて来る。
警戒警報発令!
「アキュラ様、レムリバード宰相閣下よりの書状で御座います。お返事を頂きたいと申しております」
嫌な予感はよく当たる。
嫌な事は早く片付けろ、先送りにしても片付く事は無い。
先送りにすれば、事態は悪化するだけ。
嫌な言葉が次々と頭に浮かび、その場で書状を読む事にした。
〔俺達が王都から姿を消して数日後、スリナガン大公国の派遣大使が街の俺の家を訪れ、その後二度にわたり使いの者を寄越している。その事に関して、国王陛下より提案が有るのでお越し願いたい〕
此れは無視する訳にはいかないので、ランカン達を帰してレムリバード宰相と面会する事にした。
・・・・・・
レムリバード宰相に面談を求めたのに、呼びに来た侍従は王城の奥深くへと俺を導く。
幾つかの厳重な警備兵の立つ通路を通り、華麗な彫刻が施された扉の前で止まる。
「アキュラ様をお連れしました」ノックの後声高に伝えると、ゆっくりと扉が開き護衛の騎士が両脇に立つ。
「アキュラ殿、ご足労頂き有り難う御座います」
室内に招き入れられ、宰相の言葉と共に部屋の主の元に案内された。
「良くおいで下された、アキュラ殿。お掛けになって下さい」
軽く一礼してソファーに腰を下ろすが、少しは対等な相手として話す気になったようだ。
「書状の内容を、私から説明させて貰う。君がサランドル王国に出立して五日後、君が街の家と呼ぶ所へ、スリナガン大公国派遣大使が訪れたのだよ。その後二回使いの者を差し向け、君の帰りが何時になるのかと尋ねている」
「スリナガン大公国派遣大使が、俺の家を訪問するって事は狙いはサランドル王国と同じかな」
「先ず間違いないでしょう。貴女がアリューシュ神教国を制圧した前後から、我が国に滞在する派遣大使達や各国の貴族は、貴女の情報を求めて活発に活動している。サランドル王国が動き、スリナガン大公国が動いたとなるとクリルローン王国,ブルマズ王国,マラインド王国も同様な動きをみせるでしょう」
「俺には静かに暮らす権利も無いって事かな」
「随分跪けと怒鳴ってくれたよな。跪くのはどちらだ? ゲロと小便に汚れたお前か、精霊を従える俺か」
渋々跪く、国王の首輪を軽く締めてやる。
「こっ、カハッ、くっ、苦しぃぃ」
「結界から出たら安全だと思ったのか、お前の首には結界で造られた首輪を付けている。何時でもその首を絞める事が出来るのだぞ。その首輪は、俺が死んでも2~3ヶ月は消えないから安心しろ」
ランカン達を呼びに行かせる為には、高官に命令させる必要が有り、近衛騎士団長と数名の騎士を解放する。
警告をしているのに、結界の球体を解除した途端抜き討ってくる騎士団長。
〈ガキーン〉と金属音が鳴り響くが、俺の身体から10センチの所で剣が止まっている。
遣るだろうと思っていたので、シールドの上に結界を張り床に固定していたのさ。
驚愕の表情の騎士団長だが、次の瞬間閃光と〈バッシーン〉と轟音が響き、騎士団長の頭を雷撃が襲う。
倒れた騎士団長の頭が黒く焦げて燻り、嫌な臭いを撒き散らす。
ゲロに小便と続き耐えられないので“ふうちゃん”に換気をお願いする。
「君達も遠慮なく攻撃してくれば良いよ。だけど、こんなに楽には死なせないからね」
にっこり笑って優しく伝えると、総毛立った顔を横に振り逆らわないと示す。
騎士団長の代わりに、宰相閣下を探しだして彼にランカン達の迎えをお願いする。
宰相閣下は物わかりの良い御方で、俺の頼みを快く受け入れてくれた。
騎士を従え氷の溶けた扉を開け、外の護衛にランカン達を呼んで来いと命じている。
「あっ、丁寧にね。偉そうに言ったり、怪我などさせていたら承知しないよ。
・・・・・・
「ランカンよう、今度は一人で向かって来る奴がいるぞ」
「丸腰だわね」
「多分アキュラの使いよ」
「彼奴、今度は何を遣ったのやら」
五メートルほど手前で立ち止まり「風の翼パーティーとお見受けするが、ランカン殿は居られるか」と至極丁寧に尋ねてくる。
「俺だが」とむず痒い顔付きでランカンが返答する。
「馬車を用意致しますので、アキュラ様の元へお越し願いたい」
「やっぱり何かやったわね」
「間違いねえ。そうじゃなきゃ、こんなに態度が変わる分けねえからな」
男が手を振り合図をすると、アキュラを迎えに来た豪華な馬車がゆっくりとやって来る。
・・・・・・
ランカン達を案内してきた男は、扉の手前で立ち止まり中に入るように促した。
「あらあら、水浸しよ」
「今度は何をやらかしたのやら」
「入ってみりゃ判るさ」
それぞれの感想を口にしながら室内に入ると、大勢の人間が球体に閉じ込められたり拘束されて転がっている。
アキュラに手招きされて近づくと、豪華な衣装の男が座り込んでいた。
クリーンで綺麗にして貰ってはいたが、ランカン達を見て侮蔑の表情が浮かぶ。
そんな国王を見て、皮肉な声でランカン達に紹介する。
「サランドル王国の、オリオス・サランドル国王陛下だよ」
ランカンがピシャリと顔を叩き、呻き声を上げる。
残りの五人は微妙な顔で、座り込む男を見て溜め息を漏らす。
「お前えに関わったばっかりに、とんでもない生活をする羽目になったが、国王陛下を見下ろす日が来るとは思わなかったぜ」
「随分お疲れのご様子だけど・・・」
「ああ、言わなくて良いわよ。聞いたら後悔しそうだから」
「だな。で、俺達を呼び寄せたってことは、何か用事が有るのだろう」
「誰か一人、ネイセン侯爵様を迎えに行って欲しいんだ。終わったと伝えて担当の者を連れてきて欲しいんだ」
・・・・・・
ネイセン侯爵様への伝言を預かったガルムが、夕刻には侯爵様と六人の男を連れて帰って来た。
拘束している全員のバリアを不透明にした後、サランドル国王のバリアを解除する。
すかさず侯爵様の連れて来た男の一人が、サランドル国王の背後に回り首輪を装着すると呪文を口ずさむ。
ぼんやりしていた国王が、首輪の意味を知って暴れ出したがランカン達に叩き伏せられる。
国王に続き、王家に連なる者達や宰相,各部門の大臣と奴隷の首輪を装着していく。
騒ぐ者暴れる者には、ランカン達が木刀で遠慮無く叩き伏せてから、奴隷の首輪を装着する。
10人ほど首輪の装着が終わると横一列に並べ「以後俺とネイセン侯爵様の命令には絶対服従を命じる。エメンタイル王国から派遣される人員に対し、危害を与えたり・・・」長い注意事項を伝え、最後に俺の前に来て跪けと命令する。
当然素直に従う訳も無く、反発したり命令を無視しようとして〈ウワァァァ〉〈くっ、グワッ〉〈お許しを!〉とそれぞれ奴隷の首輪に苦しめられて耐えきれず、俺の前に来て跪く。
跪き忠誠・・・逆らわない事を示した者に〔ヒール〕の一言で怪我や火傷を治してやる。
それが終わると、奴隷の首輪をスカーフやタイで包み隠し、他人には絶対に見られるなと命令する。
「何とも、手慣れたお仕事ですね」
「女神教にアリューシュ神教国と苦労しましたから、簡単で楽な方法と模索した結果ですよ。此れなら、侯爵様達も寝首を掻かれる心配無しに、支配出来るでしょう。奴隷の首輪は足りそうですか」
(一人ひとり鑑定しても、心変わりは人の常。奴隷の首輪が最良さ)心の声は漏らさず惚けておく。
「いやいや、王国中から掻き集めても80少々しか集められませんでした」
「国王や国の重鎮,高位貴族に嵌めたら足りなくなるでしょう。後は此の国で首輪を集めさせて使いましょう。重要人物を押さえたら、少しずつ後任と入れ替えて、現在の奴等は幽閉して権力の座から追放しましょう」
「恐ろしい事を、さらりと言うねぇ」
「ほぼ無血制圧したので、事実を知れば反発する奴が騒いで内乱になりますよ。侯爵様は面倒事がお好きですか?」
「それは止めてもらいたいね。君の意見には全面的に賛成だ」
「そこでご相談なのですが、治癒師や魔法使いだけを救出するつもりでしたが、少し変更しますので宜しく」
「どうするつもりかね?」
「このまま数年して彼等を解放すると、後任が同じ事をすると思います。その芽を摘んでおこうと思います」
このサランドル王国の選民意識を潰す為に、王城内の従者や小者の中に獣人族を入れる。
彼等は差別され妨害や弾圧を受けるが、それらを全て報告させる。
内容が横暴だと認められるものは、差別や妨害を為した者を排除し獣人族の者と入れ替える。
能力の無いプライドだけの貴族を廃嫡し、官吏などで優秀な者を貴族に取り立てる。
一気にやれば反発を招くので、じわりじわりと遣る必要が有るので、王家や高官高位貴族を常に監視する必要が有る。
「これは五年や十年で出来るものでは在りませんし、王族を押さえる者が必要になります」
「それは私が遣りますよ。専属では無く、半年か一年に一度か二度不定期に此の国に来て王家や高官達を押さえます。反抗の芽を摘むだけですけどね」
国王や宰相等高官の補佐や側近の中に、エメンタイル王国から選抜された者を入れて支配の準備を進める。
十日ほどサランドル王国の王宮内で過ごした後、ネイセン侯爵様を残してエメンタイル王国に帰る。
その際侯爵様からレムリバード宰相への伝言を頼まれたが〔さっさと私の後任を寄越せ!〕と言った乱暴な伝言だった。
女神教あたりは成り行きで手伝って貰えたが、アリューシュ神教国では占領政策の中心的役割を担わされて懲りたようだ。
俺だって三度目ともなると、代わりの者を寄越せと喚くだろう。
転移魔法陣を出て手配していた馬車を探していると、見覚えの有る男が近づいて来る。
警戒警報発令!
「アキュラ様、レムリバード宰相閣下よりの書状で御座います。お返事を頂きたいと申しております」
嫌な予感はよく当たる。
嫌な事は早く片付けろ、先送りにしても片付く事は無い。
先送りにすれば、事態は悪化するだけ。
嫌な言葉が次々と頭に浮かび、その場で書状を読む事にした。
〔俺達が王都から姿を消して数日後、スリナガン大公国の派遣大使が街の俺の家を訪れ、その後二度にわたり使いの者を寄越している。その事に関して、国王陛下より提案が有るのでお越し願いたい〕
此れは無視する訳にはいかないので、ランカン達を帰してレムリバード宰相と面会する事にした。
・・・・・・
レムリバード宰相に面談を求めたのに、呼びに来た侍従は王城の奥深くへと俺を導く。
幾つかの厳重な警備兵の立つ通路を通り、華麗な彫刻が施された扉の前で止まる。
「アキュラ様をお連れしました」ノックの後声高に伝えると、ゆっくりと扉が開き護衛の騎士が両脇に立つ。
「アキュラ殿、ご足労頂き有り難う御座います」
室内に招き入れられ、宰相の言葉と共に部屋の主の元に案内された。
「良くおいで下された、アキュラ殿。お掛けになって下さい」
軽く一礼してソファーに腰を下ろすが、少しは対等な相手として話す気になったようだ。
「書状の内容を、私から説明させて貰う。君がサランドル王国に出立して五日後、君が街の家と呼ぶ所へ、スリナガン大公国派遣大使が訪れたのだよ。その後二回使いの者を差し向け、君の帰りが何時になるのかと尋ねている」
「スリナガン大公国派遣大使が、俺の家を訪問するって事は狙いはサランドル王国と同じかな」
「先ず間違いないでしょう。貴女がアリューシュ神教国を制圧した前後から、我が国に滞在する派遣大使達や各国の貴族は、貴女の情報を求めて活発に活動している。サランドル王国が動き、スリナガン大公国が動いたとなるとクリルローン王国,ブルマズ王国,マラインド王国も同様な動きをみせるでしょう」
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