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081 侯爵邸訪問
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ネイセン伯爵様に提供するポーションの用意が出来たので、お散歩がてら伯爵邸へ届けに行く。
通用門で執事のブリントさんを呼んで貰い、伯爵様の在宅を確認するが女神教大神殿に行っていると聞き、彼にポーションを預けておくことにした。
出入りの商人達の控え室ではポーションを出し辛いので、ブリントさんの執務室で渡す。
用意されたワゴンに、熱冷まし,頭痛薬,下痢止め,咳止め,痛み止め等を各100本。
人気が赤丸急上昇の酔い止めは200本、値上げしてやろうかと思う代物だ。
疲労体力回復ポーションを120本。
怪我の回復ポーションは初級120本と中級を80本。
魔力回復ポーションは、魔力回復20・30回復・40回復の物を各60本。
長らくポーションの提供が出来なかったので、従来の2倍の数をお渡ししますと告げて伯爵邸を後にする。
貴族街を森に向かって歩いていると、相変わらず緊張に包まれる各屋敷の警備兵達。
追い越して行った馬車が停まり〈アキュラ様、アキュラ様では御座いませんか?〉と声が掛かった。
こんな所で大声で呼び止められる覚えは無いので、声の方を見ると豪華な馬車だが貴族の紋章が無い。
御者が開いた扉から、慌てて降りてきた男に見覚えが有ったが、誰だったっけ。
「その節は娘が大変お世話になり。有り難う御座います」
思い出した、ランガス商会会長とか言った大商人で、俺にマジックポーチを押しつけていった男だ。
「アキュラ様は、何故此の様なところをお一人で?」
大商人なら貴族との繋がりが有るので貴族街でも見かけるだろうが、俺は一介の冒険者であり森の事を話す気はない。
話を逸らして別れようと思ったが、「娘はすっかり元気になり。常々会ってお礼を申したい」と言っていますと言い、現在王都の屋敷に滞在しているので是非お越し願いたいと熱心に誘われた。
「ネイセン伯爵様に用が合ってきたのですよ。ランガス様こそ何用でこんな所に」
徒歩と馬車とは言え同じ方向だ、周囲は伯爵家の館が並ぶ場所。
「私はこの先の、ザブランド侯爵様に用がありましてね」
ザブランド侯爵か、お茶でもご馳走になりランガス会長を置いて先に消えることに決めた。
「私もザブランド侯爵邸に用がありまして、向かっている所ですよ」
馬車に同乗させて貰いザブランド侯爵邸に向かうが、俺も馬車で来れば良かったと後悔した。
まさかこんな所で出会うとは、思ってもみなかった。
大商人とは言え正門からは入れず通用門から邸内に入り、ランガス会長は裏玄関で執事に取り次ぎを頼んでいる。
俺は出入りの商人用の裏口に回り、名を名乗って執事を呼ぶ様に頼む。
「お前は何様だ、用も言わずに執事殿を呼べとは無礼であろう」
「失礼しました。ランガス商会会長と共にご当家を訪れたものですから、ご挨拶をと思いまして」
「なら何故、ランガス様と一緒に会わないのだ」
「間違わないで下さいね。ランガス会長の馬車に同乗させて貰いご当家を訪れましたが、見たとおり私は冒険者ですし用件も違います」
「なら用を申せ!」
判んない奴だねぇ~、殴り込みに来た訳じゃないので大人しくしているのだが、お茶は諦めて帰ろうかな。
「何をやっている!」
おっ、騎士様の登場だ、嘗て一悶着あったので俺の顔を覚えていたようで顔色が変わる。
「いえね、用件も言わずに執事殿に会わせろと・・・」
「呼んで来い!」
「へっ・・・なんと」
「アキュラ殿でしたな、只今執事を呼びに行かせますので暫しお待ち下さい」
呆気にとられている男を〈アキュラ殿が訪ねて来られていると、執事殿に伝えてこい!〉と怒鳴りつけている。
怒鳴られた為に、慌てて執事を呼びに走る男に少し同情したが黙っていよう。
暫く待つと、急ぎ足で現れた執事が俺の顔を見て恭しく頭を下げる。
「何用で御座いましょうか、アキュラ様」
「驚かせて済まない。お茶を一杯貰いたくてね」
「はっ? お茶・・・ですか」
「ああ、さっきランガス商会会長が尋ねて来ただろう。その先でばったり出会ってしまい、馬車に乗せられたので誤魔化して逃げてきたんだ。お茶を飲んだら失礼するから、ランガス会長には先に帰ったと伝えておいてくれるかな」
問い詰めてきた男と騎士は、何を言っているのかと言った顔で俺を見ている。
執事が恭しく頭を下げて椅子を勧め、お茶の用意を命じたのであたふたしている。
美味しいお茶と菓子を楽しんでいると、再び扉が開きザブランド侯爵が現れた。
「アキュラ殿、御用があれば正面玄関よりお越し下されば・・・」
「すいませんね侯爵様、ばったりランガス会長と出会ってしまったのですよ。此の奥の場所を話したく無かったので、失礼ながらお名前を利用させて貰いました。お茶を飲んだらお暇しますのでお許し下さい」
「いえいえ、貴方は私共の命の恩人です。何時なりと当家をご利用下さい。どうぞサロンの方へお越し願えませんか、妻と息子も貴方にお礼を言いたいと待っているのです。あの時助けて頂いた騎士達の中には、訓練の為に参加していた息子も居たのです。親子で助けられたのに、碌なお礼も言わずにお別れしてしまいました」
ザブランド侯爵の懇願に負け、サロンで彼の妻と息子から感謝の言葉を受ける事になってしまった。
こういうの苦手なんだよね、おまけにランガス商会会長も同席していて、お互い身内を助けて貰ったと侯爵夫人と盛り上がっている。
ザブランド侯爵の次男グレン・ザブランドは、冒険者の俺がお気に召さない様で感謝の言葉を述べた後は、興味を失ったようだ。
正妻フィネ・ザブランドは息子とは正反対に、感謝の言葉を連射し言葉の端々から次男を溺愛しているのが丸わかり。
ランガス会長からも、是非我が家に一度お越し下さいと招待される始末。
話の流れかに俺の宿泊先がカルロンホテルと聞くと、是非我が家にお泊まり下さいと熱心に誘われる。
ランカン達風の翼の六人が同行していると告げて辞退すると、離れが空いていますのでお友達もご一緒にどうぞと言われる。
何か段々蟻地獄に嵌まっていく様な気がする。
ザブランド侯爵が助け船を出してくれて、俺と大事な話があると言って別室に案内してくれた。
「助かりましたよ侯爵様」
「いやいや、彼も娘が元気になり大喜びしていますので、感謝の念も大きいのでしょう。息子の場合も妻が溺愛していて、怪我が治ったとは言え破れた衣服に衰弱した姿を見たときは大変でした。私も貴方をご招待しろと、大分責められました」
苦笑交じりに言ったが、傍らに控える執事に頷くとワゴンが押されてくる。
ちょっと嫌な予感がするが、嫌な予感はよく当たる。
被せられた布を取ると革袋が10個乗っている。
「あの時、お連れの冒険者達がオーク五頭を討伐されたと聞きました。多くの者の命を助けていただいて有り難う御座います。感謝の気持ちです、お納め下さい」
やっぱりこうなるのか、面子を潰す訳にもいかず礼を言って革袋をマジックポーチにしまうと、執事が一枚のカードを差し出してきた。
「王家の身分証では使い辛いでしょう。私の執事と同等の身分で申し訳ないのですが、ご自由にお使い下さい。私に用が御座いましたらそれを示していただければ、即座にお会い致します」
「此れって、転移魔法陣の使用も出来ますか?」
「料金は必要ですが可能ですし、お供の方も連れて行けます」
ナイスタイミング、と言っても家が出来るまでは王都に居ることになる。
女神教の身分証を使おうと思っていたが、聖女の格好って嫌なんだよな。
ランガス会長に合わない様に、挨拶もせずにザブランド邸を抜け出させて貰った。
翌朝やって来た皆を集めて、革袋を六個並べる。
全員?な顔になっているが、革袋の前にマジックポーチを五つと金貨30枚を置く。
「此れが何か?」
「金貨の袋とマジックポーチよね」
「俺達は用無しかな」
「ランカン気が早いよ。昨日ザブランド侯爵に会ってね、オークに襲われていた時に助けた謝礼として、革袋を十個貰ったんだよ。少ないけど各自一袋とマジックポーチね。マジックポーチが一つ足りないので、ポーチ代の金貨30枚だよ。それぞれのマジックポーチの容量は、3メートルの正方形と同じで時間遅延はバラバラだね。クジ引きでどれか一つを撰びなよ」
「これ全部金貨が入っているのか?」
「そう、金貨100枚ね」
「意外とちっちゃいな」
「ボルヘン持ってみなよ、思っているより重いぞ。想像しているお宝たっぷりの革袋にしたら、両手で持っても重くて大変だぞ」
全員が目の前の革袋を手に重さを確かめて納得している。
「確かにな、鉄貨100枚とは比べものにならない重さだわ」
「銀貨一枚でも結構重いからな」
「同じ一枚で10倍の価値だから、その分大きさも重さも段違いってことか」
「このマジックポーチに何か見覚えが有るんだが・・・」
「そりゃそうさ、草原の牙から取り上げた物だよ。持ち主が特定出来なくて俺の所へ持ってきたのさ」
「盗賊のお宝は、討伐者の物だものね」
「ああ、中の物は処分してもらい、マジックポーチだけ持っていたんだ」
わいわい言いながら、それぞれ撰んだマジックポーチに使用者登録をして革袋を入れて腰に付ける。
メリンダはマジックポーチ無しを引き当て、羨ましそうにしているので欲しいのなら金貨30枚で譲るよと伝えた。
即座に欲しいと金貨30枚を差し出したので、ランガス商会会長から貰ったマジックポーチを渡す。
「ええ~、それが一番綺麗じゃない」
速効でアリシアが反応したが、一個しか無いんだよねぇ~。残念でした!
マジックポーチを腰から下げていると目立つので、ポケットの中に隠す方法を教えておく。
ポケットにすっぽりとマジックポーチが収まるので皆感心しているが、服を作る時にポケットの大きさを指定しておいたのさ。
通用門で執事のブリントさんを呼んで貰い、伯爵様の在宅を確認するが女神教大神殿に行っていると聞き、彼にポーションを預けておくことにした。
出入りの商人達の控え室ではポーションを出し辛いので、ブリントさんの執務室で渡す。
用意されたワゴンに、熱冷まし,頭痛薬,下痢止め,咳止め,痛み止め等を各100本。
人気が赤丸急上昇の酔い止めは200本、値上げしてやろうかと思う代物だ。
疲労体力回復ポーションを120本。
怪我の回復ポーションは初級120本と中級を80本。
魔力回復ポーションは、魔力回復20・30回復・40回復の物を各60本。
長らくポーションの提供が出来なかったので、従来の2倍の数をお渡ししますと告げて伯爵邸を後にする。
貴族街を森に向かって歩いていると、相変わらず緊張に包まれる各屋敷の警備兵達。
追い越して行った馬車が停まり〈アキュラ様、アキュラ様では御座いませんか?〉と声が掛かった。
こんな所で大声で呼び止められる覚えは無いので、声の方を見ると豪華な馬車だが貴族の紋章が無い。
御者が開いた扉から、慌てて降りてきた男に見覚えが有ったが、誰だったっけ。
「その節は娘が大変お世話になり。有り難う御座います」
思い出した、ランガス商会会長とか言った大商人で、俺にマジックポーチを押しつけていった男だ。
「アキュラ様は、何故此の様なところをお一人で?」
大商人なら貴族との繋がりが有るので貴族街でも見かけるだろうが、俺は一介の冒険者であり森の事を話す気はない。
話を逸らして別れようと思ったが、「娘はすっかり元気になり。常々会ってお礼を申したい」と言っていますと言い、現在王都の屋敷に滞在しているので是非お越し願いたいと熱心に誘われた。
「ネイセン伯爵様に用が合ってきたのですよ。ランガス様こそ何用でこんな所に」
徒歩と馬車とは言え同じ方向だ、周囲は伯爵家の館が並ぶ場所。
「私はこの先の、ザブランド侯爵様に用がありましてね」
ザブランド侯爵か、お茶でもご馳走になりランガス会長を置いて先に消えることに決めた。
「私もザブランド侯爵邸に用がありまして、向かっている所ですよ」
馬車に同乗させて貰いザブランド侯爵邸に向かうが、俺も馬車で来れば良かったと後悔した。
まさかこんな所で出会うとは、思ってもみなかった。
大商人とは言え正門からは入れず通用門から邸内に入り、ランガス会長は裏玄関で執事に取り次ぎを頼んでいる。
俺は出入りの商人用の裏口に回り、名を名乗って執事を呼ぶ様に頼む。
「お前は何様だ、用も言わずに執事殿を呼べとは無礼であろう」
「失礼しました。ランガス商会会長と共にご当家を訪れたものですから、ご挨拶をと思いまして」
「なら何故、ランガス様と一緒に会わないのだ」
「間違わないで下さいね。ランガス会長の馬車に同乗させて貰いご当家を訪れましたが、見たとおり私は冒険者ですし用件も違います」
「なら用を申せ!」
判んない奴だねぇ~、殴り込みに来た訳じゃないので大人しくしているのだが、お茶は諦めて帰ろうかな。
「何をやっている!」
おっ、騎士様の登場だ、嘗て一悶着あったので俺の顔を覚えていたようで顔色が変わる。
「いえね、用件も言わずに執事殿に会わせろと・・・」
「呼んで来い!」
「へっ・・・なんと」
「アキュラ殿でしたな、只今執事を呼びに行かせますので暫しお待ち下さい」
呆気にとられている男を〈アキュラ殿が訪ねて来られていると、執事殿に伝えてこい!〉と怒鳴りつけている。
怒鳴られた為に、慌てて執事を呼びに走る男に少し同情したが黙っていよう。
暫く待つと、急ぎ足で現れた執事が俺の顔を見て恭しく頭を下げる。
「何用で御座いましょうか、アキュラ様」
「驚かせて済まない。お茶を一杯貰いたくてね」
「はっ? お茶・・・ですか」
「ああ、さっきランガス商会会長が尋ねて来ただろう。その先でばったり出会ってしまい、馬車に乗せられたので誤魔化して逃げてきたんだ。お茶を飲んだら失礼するから、ランガス会長には先に帰ったと伝えておいてくれるかな」
問い詰めてきた男と騎士は、何を言っているのかと言った顔で俺を見ている。
執事が恭しく頭を下げて椅子を勧め、お茶の用意を命じたのであたふたしている。
美味しいお茶と菓子を楽しんでいると、再び扉が開きザブランド侯爵が現れた。
「アキュラ殿、御用があれば正面玄関よりお越し下されば・・・」
「すいませんね侯爵様、ばったりランガス会長と出会ってしまったのですよ。此の奥の場所を話したく無かったので、失礼ながらお名前を利用させて貰いました。お茶を飲んだらお暇しますのでお許し下さい」
「いえいえ、貴方は私共の命の恩人です。何時なりと当家をご利用下さい。どうぞサロンの方へお越し願えませんか、妻と息子も貴方にお礼を言いたいと待っているのです。あの時助けて頂いた騎士達の中には、訓練の為に参加していた息子も居たのです。親子で助けられたのに、碌なお礼も言わずにお別れしてしまいました」
ザブランド侯爵の懇願に負け、サロンで彼の妻と息子から感謝の言葉を受ける事になってしまった。
こういうの苦手なんだよね、おまけにランガス商会会長も同席していて、お互い身内を助けて貰ったと侯爵夫人と盛り上がっている。
ザブランド侯爵の次男グレン・ザブランドは、冒険者の俺がお気に召さない様で感謝の言葉を述べた後は、興味を失ったようだ。
正妻フィネ・ザブランドは息子とは正反対に、感謝の言葉を連射し言葉の端々から次男を溺愛しているのが丸わかり。
ランガス会長からも、是非我が家に一度お越し下さいと招待される始末。
話の流れかに俺の宿泊先がカルロンホテルと聞くと、是非我が家にお泊まり下さいと熱心に誘われる。
ランカン達風の翼の六人が同行していると告げて辞退すると、離れが空いていますのでお友達もご一緒にどうぞと言われる。
何か段々蟻地獄に嵌まっていく様な気がする。
ザブランド侯爵が助け船を出してくれて、俺と大事な話があると言って別室に案内してくれた。
「助かりましたよ侯爵様」
「いやいや、彼も娘が元気になり大喜びしていますので、感謝の念も大きいのでしょう。息子の場合も妻が溺愛していて、怪我が治ったとは言え破れた衣服に衰弱した姿を見たときは大変でした。私も貴方をご招待しろと、大分責められました」
苦笑交じりに言ったが、傍らに控える執事に頷くとワゴンが押されてくる。
ちょっと嫌な予感がするが、嫌な予感はよく当たる。
被せられた布を取ると革袋が10個乗っている。
「あの時、お連れの冒険者達がオーク五頭を討伐されたと聞きました。多くの者の命を助けていただいて有り難う御座います。感謝の気持ちです、お納め下さい」
やっぱりこうなるのか、面子を潰す訳にもいかず礼を言って革袋をマジックポーチにしまうと、執事が一枚のカードを差し出してきた。
「王家の身分証では使い辛いでしょう。私の執事と同等の身分で申し訳ないのですが、ご自由にお使い下さい。私に用が御座いましたらそれを示していただければ、即座にお会い致します」
「此れって、転移魔法陣の使用も出来ますか?」
「料金は必要ですが可能ですし、お供の方も連れて行けます」
ナイスタイミング、と言っても家が出来るまでは王都に居ることになる。
女神教の身分証を使おうと思っていたが、聖女の格好って嫌なんだよな。
ランガス会長に合わない様に、挨拶もせずにザブランド邸を抜け出させて貰った。
翌朝やって来た皆を集めて、革袋を六個並べる。
全員?な顔になっているが、革袋の前にマジックポーチを五つと金貨30枚を置く。
「此れが何か?」
「金貨の袋とマジックポーチよね」
「俺達は用無しかな」
「ランカン気が早いよ。昨日ザブランド侯爵に会ってね、オークに襲われていた時に助けた謝礼として、革袋を十個貰ったんだよ。少ないけど各自一袋とマジックポーチね。マジックポーチが一つ足りないので、ポーチ代の金貨30枚だよ。それぞれのマジックポーチの容量は、3メートルの正方形と同じで時間遅延はバラバラだね。クジ引きでどれか一つを撰びなよ」
「これ全部金貨が入っているのか?」
「そう、金貨100枚ね」
「意外とちっちゃいな」
「ボルヘン持ってみなよ、思っているより重いぞ。想像しているお宝たっぷりの革袋にしたら、両手で持っても重くて大変だぞ」
全員が目の前の革袋を手に重さを確かめて納得している。
「確かにな、鉄貨100枚とは比べものにならない重さだわ」
「銀貨一枚でも結構重いからな」
「同じ一枚で10倍の価値だから、その分大きさも重さも段違いってことか」
「このマジックポーチに何か見覚えが有るんだが・・・」
「そりゃそうさ、草原の牙から取り上げた物だよ。持ち主が特定出来なくて俺の所へ持ってきたのさ」
「盗賊のお宝は、討伐者の物だものね」
「ああ、中の物は処分してもらい、マジックポーチだけ持っていたんだ」
わいわい言いながら、それぞれ撰んだマジックポーチに使用者登録をして革袋を入れて腰に付ける。
メリンダはマジックポーチ無しを引き当て、羨ましそうにしているので欲しいのなら金貨30枚で譲るよと伝えた。
即座に欲しいと金貨30枚を差し出したので、ランガス商会会長から貰ったマジックポーチを渡す。
「ええ~、それが一番綺麗じゃない」
速効でアリシアが反応したが、一個しか無いんだよねぇ~。残念でした!
マジックポーチを腰から下げていると目立つので、ポケットの中に隠す方法を教えておく。
ポケットにすっぽりとマジックポーチが収まるので皆感心しているが、服を作る時にポケットの大きさを指定しておいたのさ。
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