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077 魔法使いの処遇
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「解体主任、此の獲物は全てベルリオの物だ」
「おい、待てよ! 俺は案内しただけだぞ」
「お前のお陰でゴールデンベア討伐が成ったんだ。俺達はゴールデンベア討伐に来たのだから、あの二頭で十分さ。あんたが居なけりゃラムゼイ村の様子も判らずに困るところだった、亡くなった仲間の家族にも少しは援助してやれ」
「・・・すまねえ、感謝する」
獲物の状態を見てあれこれ言っている冒険者を掻き分け、ギルマスがやって来た。
「ご苦労、ゴールデンベアの討伐は出来たか」
「ああ、二頭とも仕留めたよ」
「そうか、出してくれ」
「はっ・・・何故?」
「ゴールデンベアを討伐してたたんだろう。だから出せって言っているんだ!」
「馬鹿かお前は、良くそれでギルマスになれたな。冒険者は売りたい物を、好きなときに好きな場所で売る。それが冒険者の常識だろう」
「だが依頼を受けて、ゴールデンベアを討伐したんだろうが!」
「いんや、依頼なんて受けてないよ。頼まれたから来ただけであって依頼人もいないし依頼料も無い。馬鹿に判る様に言ってやろうか、王都のギルマスに頼まれて来たのであって、お前に頼まれた訳では無い! 故にお前には何の権限も無い。判ったか?」
顔を真っ赤にして震えているギルマスに背を向け、ベルリオに手を振ってギルドを後にする。
〈おいおい、ゴールデンベアを見せずに帰るのかよう〉
〈本当にゴールデンベアを討伐したのか?〉
〈よう、ベルリオ、一緒に行ったのなら見たんだろう?〉
〈本当に討伐したのか?〉
「おうよ、見たさ・・・見事な雷撃魔法の連続攻撃で一頭、アイスランスを胸に叩き込んでもう一頭倒したぞ。見たとおり奴等は無傷で笑っていた、お前達もあの魔法を見て逃げ帰ったのなら判るだろう」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「あれっ、お前達がゴールデンベア討伐に行くって噂になっていたのに、何でこんな所に居るんだ」
「ただの噂だろう。それより売りたい物が有るので通らせて貰うぜ」
ガルムがニヤ二ヤ笑いながら解体場に向かう。
アリシアとメリンダがクスクス笑いながら後に続き、ランカン達が素知らぬ顔で続く。
解体主任に声を掛けて、置き場所を指定して貰う。
「今日は何を持った来たんだ?」
「ゴールデンベアよ、高く買ってね」
「それが本当なら久々のゴールデンベアだ、高く売れるだろう」
「此処で買い取らないの?」
「お前さん達の持ち込む物は傷が少ないからな、ゴールデンベアの上物ならオークションに出すさ」
ガルムがマジックバッグから、ゴールデンベアの黒く焦げた巨体を置く。
「こりゃー派手に遣ったな。残念だが此奴は解体だな」
〈えぇーーー〉アリシアがふくれっ面で抗議の声を上げる。
「こんなに焼け焦げていたんじゃ、毛皮も取れるところは少なくなるし肉も結構傷んでいる筈だぞ」
ガルムが黙って二頭目のゴールデンベアを隣に並べる。
「此れは良いな、此奴はオークション行きだな。然し何発撃ち込んだんだ」
「だってー、恐かったんだから仕方が無いじゃない」
解体主任が首を振りながら〈こんな物を討伐しておきながら、怖いんなんて良く言うよ〉と呆れた様な声でぼやいている。
・・・・・・
食堂に行き、エールで乾杯をしているとギルマスがやって来た。
「おう、ゴールデンベア二頭とも仕留めたんだってな。ボルトンのギルマスがぼやいていたぞ」
〈おい、ゴールデンベアだってよ〉
〈奴等、解体場から出てきたぞ〉
〈俺、ちょっと見てくる〉
〈ゴールデンベア討伐から帰って来たって雰囲気じゃ無いな〉
〈汚れの一つも無い、何時もの洒落た服だぞ。嘘に決まっているさ〉
見もせずに否定的な事を言う奴に限って下っ端なのになぁ。
高ランクとみられる冒険者達が、彼等の銅鑼声を聞きながら笑っている。
〈うおおおぉぉぉ〉
〈なんじゃこりゃー!〉
〈でっけえぇぇぇ!〉
解体場のほうから驚愕の声が聞こえてくる。
「大きさはどれ位だったんだ」
「んー・・・肩先から尻までが4メートルオーバーかな」
ランカンの返事にギルマスが固まり、食堂内が大騒ぎになる。
〈嘘だろう〉
〈ゴールデンベアでも化け物クラスじゃねえか!〉
〈おい、解体場に行くぞ〉
〈こりゃー、後学の為にも見ておかなくっちゃな〉
〈俺たちゃー、オークを五人がかりで一頭倒すのがやっとなのに二頭もかよ〉
〈俺達とは出来が違うんだろうな〉
「アキュラ、冒険者カードを出せ!」
「言っておくけど、倒したのはお姉様達二人だよ。俺は後ろで見物していただけ。俺は風の翼の一員ですら無いからね」
「お前等のランクは?」
「ギルマス、シルバーとブロンズのパーティーだけど、ランクアップは断るよ」
「何故だ、俺は未だ見ていないが、奴等が此れほどの歓声を上げるってことは、話通りの大物なんだろう。断る意味が判らん」
「俺達はこの嬢ちゃんに雇われて護衛をしているんで、ランクアップは必要無いのさ」
「そうそう、ご主人様もこの間やっとシルバーにされたばかりだしよ」
ギルマス相手に揶揄って遊んでいるよ。
ゴールデンベアの代金は風の翼の口座に振り込んでおいてと頼み、ホテルに帰る。
勿論オークションの清算金も振り込みをお願いしておく。
明日からは女神教に集めた、治癒師と魔法使いの処遇を決めなきゃ成らないので忙しくなりそうだが、丸投げの原案は出来ている。
レムリバード宰相に頑張って貰う予定だ。
・・・・・・
「アキュラ殿、治癒魔法使いと鑑定スキル持ちに対する提案が有るそうですが、以前言われていた事ですかな」
「似ていますが、貴族や豪商達は抱え込んだ治癒魔法使いや鑑定スキル持ちを手放さないでしょう。強制すれば貴族同盟の二番煎じが出来るかもしれません。現在の制度は容認し、新たな法を制定して下さい」
そうしてレムリバード宰相に新たな法の概要を記した書面を差し出した。
王家と教会が認知した魔法使いは、最長二年の任期での契約雇用することが出来る。
これらの者を雇用する場合、現在雇用している魔法使いや鑑定使い薬師等を、新たな法にしたがって新規に契約をしなければならない。
認知された魔法使いや鑑定使いと契約を交わし、同一文面を四通制作し、雇用主と"認知された者",王家,女神教教会の四者が保管する。
雇用契約は、"認知された者"に不利なものは認めない。
雇用契約が正しく履行されている事を王家が常に監視し、違反者には厳罰を下す。
"認知された者"を奴隷にする場合、王家の許可が必要で在る。
この法の制定後は女神教教会と王家が授けの儀を監督し、魔法を授かった者と鑑定スキル持ちを登録する。
登録された者を強制的に雇用したり、仲間に引き入れる事を禁ずる。
薬師ギルド及び治癒魔法ギルドも、ギルド員とは"認知された者"と同様の契約書を結ばなければならない。
此の法に背く者は、財産の没収及び終生犯罪奴隷とする。
尚、協力者も此に準ずるものとする。
"認知された者"は契約書に違反した扱いを受けた場合、女神教教会又は貴族の治安部隊詰め所に報告の義務があり、報告を受けた全ての者は訴えた者を保護し王家に知らせる義務がある。
(訴えた内容と対応の全てを書面にして提出の義務)
アキュラの示した書面を読み進むうち、冷や汗が流れて来る。
これは一介の冒険者や治癒魔法使いの決め事ではない、法の何たるかを知り定める法の概要を記したものだと理解した。
此の法を制定すれば、貴族や豪商達は言うに及ばずギルドと称して暴利を貪る者達も、否応なく従わなければならないようになっている。
拒否すれば、新たな魔法使いや鑑定使い薬師等を抱え込むことが不可能になる。
アキュラが女神教本部に集めた治癒師達はぐんぐんと腕を上げている。
どちらを選ぶ方が利になるかと問えば、新たな法に従うだろう。
然しアキュラも人が悪い、このまま施行すれば抜け道がある。
抜け道を塞いでこそ彼女の信頼を得て、治癒師や魔法使いを王国に留めることが出来るのだろう。
「この書状に記されたことに異存は無いが、契約者本人が不当に扱われていないか、王国が監視する方法を加えても良いかな」
「其れについても提案が有ります」
"認知された者"は契約翌日から数えて3~6ヶ月に一度は教会に出頭しなければならない、次回出頭は出頭日翌日から数えて3~6ヶ月以内とする。
王国の巡回監督官制度を設定し、巡察官は3~6ヶ月に一度は認知された者と面会し契約が遵守されているのかを確認しなければならない。
巡回監督官は同一地域内では同一人物とは、一つの契約に対し一度だけの接触とする。
但し新たな契約が為された場合は、巡回規定に基づいて監督する。
運営費用は王国と雇用主が4/10ずつで、残りの2を契約者が支払う事とする。
此れは"認知された者"を守る保険であり、拒否すれば保護を受ける事を拒否したと看做され巡回監視の対象から外される。
「ざっとこんな所ですかね。不備や訂正が必要なら其方で検討して下さい」
やはりアキュラはそこまで考えていて、敢えて言わなかったのだろう。
「判った、此れを原本に法を定める事にするよ」
「治癒師や魔法使いが正当な扱いを受けると知れ渡れば、エメンタイル王国に皆が集まりますよ。その結果他国も治癒師や魔法使い達に無体な事は出来なくなります」
「だろうね。女神教大神殿に集まる治癒師達の腕が上がり、噂が他国の教会に広まっているよ。その結果、我が国に治癒魔法の勉強の為に、治癒師を派遣したいと言い出した国もあるよ」
「明日女神教大神殿に行きますが、貴方とネイセン伯爵様にも来て頂けますか」
「おい、待てよ! 俺は案内しただけだぞ」
「お前のお陰でゴールデンベア討伐が成ったんだ。俺達はゴールデンベア討伐に来たのだから、あの二頭で十分さ。あんたが居なけりゃラムゼイ村の様子も判らずに困るところだった、亡くなった仲間の家族にも少しは援助してやれ」
「・・・すまねえ、感謝する」
獲物の状態を見てあれこれ言っている冒険者を掻き分け、ギルマスがやって来た。
「ご苦労、ゴールデンベアの討伐は出来たか」
「ああ、二頭とも仕留めたよ」
「そうか、出してくれ」
「はっ・・・何故?」
「ゴールデンベアを討伐してたたんだろう。だから出せって言っているんだ!」
「馬鹿かお前は、良くそれでギルマスになれたな。冒険者は売りたい物を、好きなときに好きな場所で売る。それが冒険者の常識だろう」
「だが依頼を受けて、ゴールデンベアを討伐したんだろうが!」
「いんや、依頼なんて受けてないよ。頼まれたから来ただけであって依頼人もいないし依頼料も無い。馬鹿に判る様に言ってやろうか、王都のギルマスに頼まれて来たのであって、お前に頼まれた訳では無い! 故にお前には何の権限も無い。判ったか?」
顔を真っ赤にして震えているギルマスに背を向け、ベルリオに手を振ってギルドを後にする。
〈おいおい、ゴールデンベアを見せずに帰るのかよう〉
〈本当にゴールデンベアを討伐したのか?〉
〈よう、ベルリオ、一緒に行ったのなら見たんだろう?〉
〈本当に討伐したのか?〉
「おうよ、見たさ・・・見事な雷撃魔法の連続攻撃で一頭、アイスランスを胸に叩き込んでもう一頭倒したぞ。見たとおり奴等は無傷で笑っていた、お前達もあの魔法を見て逃げ帰ったのなら判るだろう」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「あれっ、お前達がゴールデンベア討伐に行くって噂になっていたのに、何でこんな所に居るんだ」
「ただの噂だろう。それより売りたい物が有るので通らせて貰うぜ」
ガルムがニヤ二ヤ笑いながら解体場に向かう。
アリシアとメリンダがクスクス笑いながら後に続き、ランカン達が素知らぬ顔で続く。
解体主任に声を掛けて、置き場所を指定して貰う。
「今日は何を持った来たんだ?」
「ゴールデンベアよ、高く買ってね」
「それが本当なら久々のゴールデンベアだ、高く売れるだろう」
「此処で買い取らないの?」
「お前さん達の持ち込む物は傷が少ないからな、ゴールデンベアの上物ならオークションに出すさ」
ガルムがマジックバッグから、ゴールデンベアの黒く焦げた巨体を置く。
「こりゃー派手に遣ったな。残念だが此奴は解体だな」
〈えぇーーー〉アリシアがふくれっ面で抗議の声を上げる。
「こんなに焼け焦げていたんじゃ、毛皮も取れるところは少なくなるし肉も結構傷んでいる筈だぞ」
ガルムが黙って二頭目のゴールデンベアを隣に並べる。
「此れは良いな、此奴はオークション行きだな。然し何発撃ち込んだんだ」
「だってー、恐かったんだから仕方が無いじゃない」
解体主任が首を振りながら〈こんな物を討伐しておきながら、怖いんなんて良く言うよ〉と呆れた様な声でぼやいている。
・・・・・・
食堂に行き、エールで乾杯をしているとギルマスがやって来た。
「おう、ゴールデンベア二頭とも仕留めたんだってな。ボルトンのギルマスがぼやいていたぞ」
〈おい、ゴールデンベアだってよ〉
〈奴等、解体場から出てきたぞ〉
〈俺、ちょっと見てくる〉
〈ゴールデンベア討伐から帰って来たって雰囲気じゃ無いな〉
〈汚れの一つも無い、何時もの洒落た服だぞ。嘘に決まっているさ〉
見もせずに否定的な事を言う奴に限って下っ端なのになぁ。
高ランクとみられる冒険者達が、彼等の銅鑼声を聞きながら笑っている。
〈うおおおぉぉぉ〉
〈なんじゃこりゃー!〉
〈でっけえぇぇぇ!〉
解体場のほうから驚愕の声が聞こえてくる。
「大きさはどれ位だったんだ」
「んー・・・肩先から尻までが4メートルオーバーかな」
ランカンの返事にギルマスが固まり、食堂内が大騒ぎになる。
〈嘘だろう〉
〈ゴールデンベアでも化け物クラスじゃねえか!〉
〈おい、解体場に行くぞ〉
〈こりゃー、後学の為にも見ておかなくっちゃな〉
〈俺たちゃー、オークを五人がかりで一頭倒すのがやっとなのに二頭もかよ〉
〈俺達とは出来が違うんだろうな〉
「アキュラ、冒険者カードを出せ!」
「言っておくけど、倒したのはお姉様達二人だよ。俺は後ろで見物していただけ。俺は風の翼の一員ですら無いからね」
「お前等のランクは?」
「ギルマス、シルバーとブロンズのパーティーだけど、ランクアップは断るよ」
「何故だ、俺は未だ見ていないが、奴等が此れほどの歓声を上げるってことは、話通りの大物なんだろう。断る意味が判らん」
「俺達はこの嬢ちゃんに雇われて護衛をしているんで、ランクアップは必要無いのさ」
「そうそう、ご主人様もこの間やっとシルバーにされたばかりだしよ」
ギルマス相手に揶揄って遊んでいるよ。
ゴールデンベアの代金は風の翼の口座に振り込んでおいてと頼み、ホテルに帰る。
勿論オークションの清算金も振り込みをお願いしておく。
明日からは女神教に集めた、治癒師と魔法使いの処遇を決めなきゃ成らないので忙しくなりそうだが、丸投げの原案は出来ている。
レムリバード宰相に頑張って貰う予定だ。
・・・・・・
「アキュラ殿、治癒魔法使いと鑑定スキル持ちに対する提案が有るそうですが、以前言われていた事ですかな」
「似ていますが、貴族や豪商達は抱え込んだ治癒魔法使いや鑑定スキル持ちを手放さないでしょう。強制すれば貴族同盟の二番煎じが出来るかもしれません。現在の制度は容認し、新たな法を制定して下さい」
そうしてレムリバード宰相に新たな法の概要を記した書面を差し出した。
王家と教会が認知した魔法使いは、最長二年の任期での契約雇用することが出来る。
これらの者を雇用する場合、現在雇用している魔法使いや鑑定使い薬師等を、新たな法にしたがって新規に契約をしなければならない。
認知された魔法使いや鑑定使いと契約を交わし、同一文面を四通制作し、雇用主と"認知された者",王家,女神教教会の四者が保管する。
雇用契約は、"認知された者"に不利なものは認めない。
雇用契約が正しく履行されている事を王家が常に監視し、違反者には厳罰を下す。
"認知された者"を奴隷にする場合、王家の許可が必要で在る。
この法の制定後は女神教教会と王家が授けの儀を監督し、魔法を授かった者と鑑定スキル持ちを登録する。
登録された者を強制的に雇用したり、仲間に引き入れる事を禁ずる。
薬師ギルド及び治癒魔法ギルドも、ギルド員とは"認知された者"と同様の契約書を結ばなければならない。
此の法に背く者は、財産の没収及び終生犯罪奴隷とする。
尚、協力者も此に準ずるものとする。
"認知された者"は契約書に違反した扱いを受けた場合、女神教教会又は貴族の治安部隊詰め所に報告の義務があり、報告を受けた全ての者は訴えた者を保護し王家に知らせる義務がある。
(訴えた内容と対応の全てを書面にして提出の義務)
アキュラの示した書面を読み進むうち、冷や汗が流れて来る。
これは一介の冒険者や治癒魔法使いの決め事ではない、法の何たるかを知り定める法の概要を記したものだと理解した。
此の法を制定すれば、貴族や豪商達は言うに及ばずギルドと称して暴利を貪る者達も、否応なく従わなければならないようになっている。
拒否すれば、新たな魔法使いや鑑定使い薬師等を抱え込むことが不可能になる。
アキュラが女神教本部に集めた治癒師達はぐんぐんと腕を上げている。
どちらを選ぶ方が利になるかと問えば、新たな法に従うだろう。
然しアキュラも人が悪い、このまま施行すれば抜け道がある。
抜け道を塞いでこそ彼女の信頼を得て、治癒師や魔法使いを王国に留めることが出来るのだろう。
「この書状に記されたことに異存は無いが、契約者本人が不当に扱われていないか、王国が監視する方法を加えても良いかな」
「其れについても提案が有ります」
"認知された者"は契約翌日から数えて3~6ヶ月に一度は教会に出頭しなければならない、次回出頭は出頭日翌日から数えて3~6ヶ月以内とする。
王国の巡回監督官制度を設定し、巡察官は3~6ヶ月に一度は認知された者と面会し契約が遵守されているのかを確認しなければならない。
巡回監督官は同一地域内では同一人物とは、一つの契約に対し一度だけの接触とする。
但し新たな契約が為された場合は、巡回規定に基づいて監督する。
運営費用は王国と雇用主が4/10ずつで、残りの2を契約者が支払う事とする。
此れは"認知された者"を守る保険であり、拒否すれば保護を受ける事を拒否したと看做され巡回監視の対象から外される。
「ざっとこんな所ですかね。不備や訂正が必要なら其方で検討して下さい」
やはりアキュラはそこまで考えていて、敢えて言わなかったのだろう。
「判った、此れを原本に法を定める事にするよ」
「治癒師や魔法使いが正当な扱いを受けると知れ渡れば、エメンタイル王国に皆が集まりますよ。その結果他国も治癒師や魔法使い達に無体な事は出来なくなります」
「だろうね。女神教大神殿に集まる治癒師達の腕が上がり、噂が他国の教会に広まっているよ。その結果、我が国に治癒魔法の勉強の為に、治癒師を派遣したいと言い出した国もあるよ」
「明日女神教大神殿に行きますが、貴方とネイセン伯爵様にも来て頂けますか」
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