54 / 100
054 オンデウスの帰還
しおりを挟む
まいったね、俺の名前も愛し子も巫女も駄目となると、適当な呼び名が必要になるよな。
偽名にしようかと思ったが、しっくりくる名前を思いつかない。
と言うか、女の名前で呼ばれることに拒否反応が出そうで止めた。
薬師様も使えないので、廃止したばかりの聖女を名乗ることに決めた。
此れなら此の国に聖女と呼ばれる存在は俺一人で間違えようがない。
エメンタイル王国に因んでエメンタイルの聖女、若しくは王都ファンネルの名を取ってファンネルの聖女でよかろう。
俺の指示がいたってまともなのでほっとしているが、そんなに甘くないぞ。 大教主と教主を並べ、腰に下げているマジックポーチの使用者登録を外して差し出せと命じる。
居並ぶ面々の顔が一斉に強ばるのは見ていて面白い、相当見られて都合の悪い物が収まっていそうだ。
渋る者は教皇の殉死者として殺してやろうかと言うと、皆渋々とだが登録を外した。
命あっての事だから当然のことだね。
大教主様や教主様の指に光る物も、マジックポーチに入れて差し出させる。
教皇の凍り付いたマジックポーチも回収し、本格的な捜索開始だ。
姿を現した“ほむら,らいちゃん,あいす”を見張りに残し、教皇猊下の居室へと向かうと大教主達の顔色が変わる。
教主の一人に案内させて教皇の居室に入ると、豪華絢爛キンキラキンで部屋付きの妙齢の侍女まで居る。
「此処は教皇猊下のお部屋です。何をなさるおつもりですか」
「下がりなさい! 教皇猊下はお亡くなりになられました。このお方はエメンタイル王国唯一の聖女様です。聖女様の問いには包み隠さずお答えしなさい!」
言葉の意味が判らないのだろう、呆けた顔の侍女を無視して部屋の捜索を始める。
と言っても“だいち”に石壁や地下の空間を探してもらっただけ。
地下室はなかったが、壁を刳り抜き隠し金庫の様なものの中からマジックバッグを発見。
寝室のテーブルの下に有った宝石箱をいただき、教主の持つマジックポーチに放り込む。
ソブラン,ランドル二人の大教主の部屋も似たり寄ったりだが、金に飽かせた贅沢な造りは教皇の部屋に負けない造りで、宗教ビジネスは儲かるのだと改めて思う。
元の部屋に戻ると、ソブラン,ランドル二人の大教主の浮かぬ顔が印象的だ。
ザンドラ教皇のマジックポーチとマジックバッグは、魔道具店の職人を呼んで使用者登録を外してもらう事にする。
全員を壁際に寄らせ、野営用のタープを広げた上で教主のマジックポーチを逆さにしてぶち撒ける。
教主様とは言え結構稼いでいる様で、革袋が何個も出て来る。
壁際に控えていた聖父・・・治癒師を呼び寄せて宝石と革袋を一ヶ所に集めさせ、残りの品々をマジックポーチに戻させる。
その際金貨10枚と銀貨10枚だけマジックポーチに戻してやる。
元の持ち主に投げ返し、次のマジックポーチを逆さにしてお宝を選別する。
と言ってもそれをするのは壁際に控えていた者達の仕事だ。
教主と言えども結構な稼ぎが有る様で、革袋は平均7,8個持っている。
剛の者は20個近い革袋が出てきて、同僚からも冷たい視線をあびていた。
二人の大教主のマジックポーチは役職相当に、金貨の革袋が30数個が出てきたがこの程度では在るまい。
マジックポーチの中身を見ればマジックバッグの中は想像できるので没収し、積み上げられた金貨の袋を全てマジックバッグに入れさせる。
20名近い教主と二人の大教主、マジックポーチから出てきた革袋だけで160近い数になった。
革袋の選別と回収をさせられた治癒師達が、げっそりとした顔で教主や大教主を見ているがその目に尊敬の色は欠片もない。
金貨の革袋を抜かれて返されたマジックポーチを受け取る、教主や大教主の顔は別な意味で冴えないものになっている。
教皇のマジックポーチと、マジックバッグ三個を俺のマジックポーチに入れて今日の仕事はお終い。
残業は俺の趣味に合わないので、明日又来るからと告げて“てんちゃん”に馬車まで送って貰う。
残された者達はアキュラが消えた場所を恨めしげな目で見ていたが、如何ともしがたく深い溜め息を吐くだけだった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
エメンタイル王国の女神教神殿で、大教主や教主が深い溜め息を吐いている頃、アリューシュ神教国では大騒ぎが起きていた。
エメンタイル王国から帰って来た教主二人だが、転移魔法陣を出ると急いでアリューシュ神教教団へ向かい、オンデウス大教主の状態を報告した。
結界魔法でオンデウス大教主が拘束されて身動き出来ないとの報告は、罵声を持って迎えられたが、教主二人から現物を見てくれと居直られて渋々確認に来た。
カーテンで隠されたオンデウス大教主の状態を見た、教皇猊下や他の大教主の使いは絶句し、慌てて報告の為各自の主人のところに駆け込んだ。
カーテンで隠し誰の目にも触れさせず、教団の神殿深く運び込まれたオンデウス大教主の状態を見て、教皇猊下や大教主達は憤慨したが同時に顔を顰めた。
身体を小さく抑え込まれ、痛々しい火傷と焼け焦げてボロボロの聖布に包まれたみすぼらしい姿。
大教主としての威厳の欠片もない、くたびれ果てた男がそこに居たのだから。
オンデウス大教主を連れ戻った教主二人は、ラフォール・ウルバン教皇猊下と七名の大教主に厳しく問われ、エメンタイル王国の女神教大神殿での出来事を話した。
「何か・・・そのアキュラと申す娘は精霊を従え、アリューシュ神様の愛し子と言ったのか」
〈その方共は大教主オンデウスの付き人としての役目も果たさず、精霊だのアリューシュ神様の愛し子だのの戯言で責任逃れをする気か!〉
〈そもそも精霊などは経典の何処にも書かれていない〉
〈あれは子供相手のお伽噺ではないか!〉
〈まこと精霊が存在するのなら連れてきてみよ!〉
「恐れながら教皇猊下に大教主様方、エメンタイル王国の王都での流行病の治療中と、国王陛下との会見中や女神教大神殿でと精霊は何度も姿を現しております」
「その度に精霊の怒りを買い、女神教の大教主様以下数多くの教会関係者が死にました」
「オンデウス大教主様から直接お話しを聞き、精霊の存在をご確認願います」
二人の教主が代わる代わる精霊の実在を語る。
「オンデウスを此処に連れて来い。役目も果たせず情けない格好で戻って来たが、奴の証言は貴重だ」
再び教皇猊下や同僚の大教主達の元に連れて来られたオンデウスは、侮蔑と嘲笑の中でエメンタイル王国での出来事を詳しく聞かれた。
結界魔法で閉じ込められて以来、殆ど身動き出来ない状態で水以外口にしていないので憔悴しきっていた。
教皇や同僚達からの厳しい尋問に、腹を立て抗う気力も残っておらずボソボソと問われた事に答えるのが精一杯であった。
「見苦しい、此れを外せないのか」
大教主の一人が発した言葉に、魔法師団の師団長と結界魔法使いが呼ばれた。
球体の結界魔法など初めて見るものだし、強度に至っては神教国最強の魔法使いの攻撃にもビクともせずどうにもならなかった。
騎士団の猛者が呼び出されたが、大剣,ハルバート,戦斧,大槌が次々と叩き付けられたが何の変化も無く、諦めざるを得なかった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
一晩じっくり考え、女神教の治癒師制度の改革と、治癒魔法を授かった者達の教育制度を整える事にした。
教会が抱え込んでいる治癒魔法を使える者達が、少しでも上達すればはやり病の時に俺が出向く必要も無くなる。
王家や貴族の抱える治癒魔法使いも教育し、いざという時には俺はポーションを作っていれば良い。
初心忘れるべからず。
目指せ! 死なない程度に、のんべんだらりんと生きて行く生活。
・・・・・・
何時もの様に大神殿に転移すると、ソブラン,ランドル二人の大教主と背後にずらりと教主達が並んでいる。
ほんと事大主義、権威主義だよね。
「お早う御座います聖女様」
「挨拶より先に言っておく事があります、明日より出迎えはソブラン,ランドルの二人だけでよろしい。それと教皇の居室を片付けて下さい、あの部屋を執務室に使いますから」
「あっ、あのー教皇猊下の執務室が御座いますが・・・其方をお使いには」
「へえー、若い娘を侍らせるのが教皇の仕事かなと思いましたけど、執務室が在るのなら仕事はしていたのね」
「ザンドラ教皇猊下・・・教皇だった者の補佐を聖女様にお付けしますので如何様にもお使い下さい」
「ソブラン昨日命じた治癒魔法師の事ですが、王都に見習いも含めた治癒魔法師は何名居ますか?」
「それは・・・おい、どうなっている」
背後に控える補佐の男に問いかけている。
「馬鹿か! 己に命じたんだ。補佐の人間がいたとしても、それ位の事も把握出来ていないのか!」
俺の怒声を聞いて呆気にとられているが、女言葉で怒鳴りあげても迫力がないし、これ以上女言葉で話していると舌を噛みそうだ。
どうせ此奴等には俺の正体はばれているんだ、女らしさを装う必要も在るまい。
「お前は、今までどおり大教主様で御座いますとふんぞり返っていると、事務職か田舎の教会に飛ばすぞ。それとも教皇の後を追って殉死するか?」
「お許し下さい、直ぐに名簿を作り新たな体制に致します」
「名簿が出来たら治癒魔法を授かって間のない者の中から、魔力が50,60,70,80,90,100の者を1人ずつ連れて来い。それと治癒魔法の使い方が上手い者五名もだ」
「恐れながら、聖父聖女と呼ばれる治癒魔法の上級者は、大神殿に四名しか居ません。エメンタイル王国の王都には四名と定められていますので」
「どういう事だ?」
偽名にしようかと思ったが、しっくりくる名前を思いつかない。
と言うか、女の名前で呼ばれることに拒否反応が出そうで止めた。
薬師様も使えないので、廃止したばかりの聖女を名乗ることに決めた。
此れなら此の国に聖女と呼ばれる存在は俺一人で間違えようがない。
エメンタイル王国に因んでエメンタイルの聖女、若しくは王都ファンネルの名を取ってファンネルの聖女でよかろう。
俺の指示がいたってまともなのでほっとしているが、そんなに甘くないぞ。 大教主と教主を並べ、腰に下げているマジックポーチの使用者登録を外して差し出せと命じる。
居並ぶ面々の顔が一斉に強ばるのは見ていて面白い、相当見られて都合の悪い物が収まっていそうだ。
渋る者は教皇の殉死者として殺してやろうかと言うと、皆渋々とだが登録を外した。
命あっての事だから当然のことだね。
大教主様や教主様の指に光る物も、マジックポーチに入れて差し出させる。
教皇の凍り付いたマジックポーチも回収し、本格的な捜索開始だ。
姿を現した“ほむら,らいちゃん,あいす”を見張りに残し、教皇猊下の居室へと向かうと大教主達の顔色が変わる。
教主の一人に案内させて教皇の居室に入ると、豪華絢爛キンキラキンで部屋付きの妙齢の侍女まで居る。
「此処は教皇猊下のお部屋です。何をなさるおつもりですか」
「下がりなさい! 教皇猊下はお亡くなりになられました。このお方はエメンタイル王国唯一の聖女様です。聖女様の問いには包み隠さずお答えしなさい!」
言葉の意味が判らないのだろう、呆けた顔の侍女を無視して部屋の捜索を始める。
と言っても“だいち”に石壁や地下の空間を探してもらっただけ。
地下室はなかったが、壁を刳り抜き隠し金庫の様なものの中からマジックバッグを発見。
寝室のテーブルの下に有った宝石箱をいただき、教主の持つマジックポーチに放り込む。
ソブラン,ランドル二人の大教主の部屋も似たり寄ったりだが、金に飽かせた贅沢な造りは教皇の部屋に負けない造りで、宗教ビジネスは儲かるのだと改めて思う。
元の部屋に戻ると、ソブラン,ランドル二人の大教主の浮かぬ顔が印象的だ。
ザンドラ教皇のマジックポーチとマジックバッグは、魔道具店の職人を呼んで使用者登録を外してもらう事にする。
全員を壁際に寄らせ、野営用のタープを広げた上で教主のマジックポーチを逆さにしてぶち撒ける。
教主様とは言え結構稼いでいる様で、革袋が何個も出て来る。
壁際に控えていた聖父・・・治癒師を呼び寄せて宝石と革袋を一ヶ所に集めさせ、残りの品々をマジックポーチに戻させる。
その際金貨10枚と銀貨10枚だけマジックポーチに戻してやる。
元の持ち主に投げ返し、次のマジックポーチを逆さにしてお宝を選別する。
と言ってもそれをするのは壁際に控えていた者達の仕事だ。
教主と言えども結構な稼ぎが有る様で、革袋は平均7,8個持っている。
剛の者は20個近い革袋が出てきて、同僚からも冷たい視線をあびていた。
二人の大教主のマジックポーチは役職相当に、金貨の革袋が30数個が出てきたがこの程度では在るまい。
マジックポーチの中身を見ればマジックバッグの中は想像できるので没収し、積み上げられた金貨の袋を全てマジックバッグに入れさせる。
20名近い教主と二人の大教主、マジックポーチから出てきた革袋だけで160近い数になった。
革袋の選別と回収をさせられた治癒師達が、げっそりとした顔で教主や大教主を見ているがその目に尊敬の色は欠片もない。
金貨の革袋を抜かれて返されたマジックポーチを受け取る、教主や大教主の顔は別な意味で冴えないものになっている。
教皇のマジックポーチと、マジックバッグ三個を俺のマジックポーチに入れて今日の仕事はお終い。
残業は俺の趣味に合わないので、明日又来るからと告げて“てんちゃん”に馬車まで送って貰う。
残された者達はアキュラが消えた場所を恨めしげな目で見ていたが、如何ともしがたく深い溜め息を吐くだけだった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
エメンタイル王国の女神教神殿で、大教主や教主が深い溜め息を吐いている頃、アリューシュ神教国では大騒ぎが起きていた。
エメンタイル王国から帰って来た教主二人だが、転移魔法陣を出ると急いでアリューシュ神教教団へ向かい、オンデウス大教主の状態を報告した。
結界魔法でオンデウス大教主が拘束されて身動き出来ないとの報告は、罵声を持って迎えられたが、教主二人から現物を見てくれと居直られて渋々確認に来た。
カーテンで隠されたオンデウス大教主の状態を見た、教皇猊下や他の大教主の使いは絶句し、慌てて報告の為各自の主人のところに駆け込んだ。
カーテンで隠し誰の目にも触れさせず、教団の神殿深く運び込まれたオンデウス大教主の状態を見て、教皇猊下や大教主達は憤慨したが同時に顔を顰めた。
身体を小さく抑え込まれ、痛々しい火傷と焼け焦げてボロボロの聖布に包まれたみすぼらしい姿。
大教主としての威厳の欠片もない、くたびれ果てた男がそこに居たのだから。
オンデウス大教主を連れ戻った教主二人は、ラフォール・ウルバン教皇猊下と七名の大教主に厳しく問われ、エメンタイル王国の女神教大神殿での出来事を話した。
「何か・・・そのアキュラと申す娘は精霊を従え、アリューシュ神様の愛し子と言ったのか」
〈その方共は大教主オンデウスの付き人としての役目も果たさず、精霊だのアリューシュ神様の愛し子だのの戯言で責任逃れをする気か!〉
〈そもそも精霊などは経典の何処にも書かれていない〉
〈あれは子供相手のお伽噺ではないか!〉
〈まこと精霊が存在するのなら連れてきてみよ!〉
「恐れながら教皇猊下に大教主様方、エメンタイル王国の王都での流行病の治療中と、国王陛下との会見中や女神教大神殿でと精霊は何度も姿を現しております」
「その度に精霊の怒りを買い、女神教の大教主様以下数多くの教会関係者が死にました」
「オンデウス大教主様から直接お話しを聞き、精霊の存在をご確認願います」
二人の教主が代わる代わる精霊の実在を語る。
「オンデウスを此処に連れて来い。役目も果たせず情けない格好で戻って来たが、奴の証言は貴重だ」
再び教皇猊下や同僚の大教主達の元に連れて来られたオンデウスは、侮蔑と嘲笑の中でエメンタイル王国での出来事を詳しく聞かれた。
結界魔法で閉じ込められて以来、殆ど身動き出来ない状態で水以外口にしていないので憔悴しきっていた。
教皇や同僚達からの厳しい尋問に、腹を立て抗う気力も残っておらずボソボソと問われた事に答えるのが精一杯であった。
「見苦しい、此れを外せないのか」
大教主の一人が発した言葉に、魔法師団の師団長と結界魔法使いが呼ばれた。
球体の結界魔法など初めて見るものだし、強度に至っては神教国最強の魔法使いの攻撃にもビクともせずどうにもならなかった。
騎士団の猛者が呼び出されたが、大剣,ハルバート,戦斧,大槌が次々と叩き付けられたが何の変化も無く、諦めざるを得なかった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
一晩じっくり考え、女神教の治癒師制度の改革と、治癒魔法を授かった者達の教育制度を整える事にした。
教会が抱え込んでいる治癒魔法を使える者達が、少しでも上達すればはやり病の時に俺が出向く必要も無くなる。
王家や貴族の抱える治癒魔法使いも教育し、いざという時には俺はポーションを作っていれば良い。
初心忘れるべからず。
目指せ! 死なない程度に、のんべんだらりんと生きて行く生活。
・・・・・・
何時もの様に大神殿に転移すると、ソブラン,ランドル二人の大教主と背後にずらりと教主達が並んでいる。
ほんと事大主義、権威主義だよね。
「お早う御座います聖女様」
「挨拶より先に言っておく事があります、明日より出迎えはソブラン,ランドルの二人だけでよろしい。それと教皇の居室を片付けて下さい、あの部屋を執務室に使いますから」
「あっ、あのー教皇猊下の執務室が御座いますが・・・其方をお使いには」
「へえー、若い娘を侍らせるのが教皇の仕事かなと思いましたけど、執務室が在るのなら仕事はしていたのね」
「ザンドラ教皇猊下・・・教皇だった者の補佐を聖女様にお付けしますので如何様にもお使い下さい」
「ソブラン昨日命じた治癒魔法師の事ですが、王都に見習いも含めた治癒魔法師は何名居ますか?」
「それは・・・おい、どうなっている」
背後に控える補佐の男に問いかけている。
「馬鹿か! 己に命じたんだ。補佐の人間がいたとしても、それ位の事も把握出来ていないのか!」
俺の怒声を聞いて呆気にとられているが、女言葉で怒鳴りあげても迫力がないし、これ以上女言葉で話していると舌を噛みそうだ。
どうせ此奴等には俺の正体はばれているんだ、女らしさを装う必要も在るまい。
「お前は、今までどおり大教主様で御座いますとふんぞり返っていると、事務職か田舎の教会に飛ばすぞ。それとも教皇の後を追って殉死するか?」
「お許し下さい、直ぐに名簿を作り新たな体制に致します」
「名簿が出来たら治癒魔法を授かって間のない者の中から、魔力が50,60,70,80,90,100の者を1人ずつ連れて来い。それと治癒魔法の使い方が上手い者五名もだ」
「恐れながら、聖父聖女と呼ばれる治癒魔法の上級者は、大神殿に四名しか居ません。エメンタイル王国の王都には四名と定められていますので」
「どういう事だ?」
134
お気に入りに追加
2,644
あなたにおすすめの小説
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる